ファイブスター物語(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ファイブスター物語』(略称『FSS』)とは永野護が『月刊ニュータイプ』で連載している漫画作品、およびそれを原作としたアニメ作品。4つの恒星と1つの遊星からなる「ジョーカー太陽星団」を舞台とし、光の神である天照帝とパートナーのラキシスを中心に、巨大兵器「モーターヘッド」とそれを動かす「騎士」「ファティマ」たちの数千年におよぶ戦いを描く。SF作品であるが神や悪魔、ドラゴンが登場するファンタジー要素も併せ持つ。何度かの休載をはさみながら連載され、2013年の連載再開時から大幅な設定変更が行われた。

『ファイブスター物語』の概要

『ファイブスター物語(ファイブ・スター・ストーリーズ、The Five Star Stories)』とは、永野護が『月刊ニュータイプ』で1986年から休載を何度か挟みながら連載している漫画作品、およびそれを原作としたアニメ作品である。略称は「FSS」。1989年に単行本の1巻を原作にした劇場用アニメ『ファイブスター物語(ファイブスターストーリーズ)』が公開された。その時の併映は『宇宙皇子』である。
4つの恒星と1つの遊星からなる「ジョーカー太陽星団」において、光の神である天照(アマテラス)と、そのパートナーであるファティマ・ラキシスを中心に、戦闘兵器「モーターヘッド(MH)」を操る「騎士(ヘッドライナー)」、モーターヘッドを動かすために生まれた人造人間「ファティマ」、超能力者である「ダイバー」、ジョーカー星団の守護者である「ドラゴン」、人間、神や悪魔による数千年にもおよぶ戦いの歴史が描かれる。
ジャンルとしてはSFに分類される作品だが、ファンタジーの要素も多くあり、作者の永野護自身は「おとぎ話」だと公言している。
非常に複雑な設定とストーリー展開を特徴としており、あらかじめストーリーが星団暦という形で年表として公表されている。単行本の各巻の巻末には膨大な設定資料と年表が収録されている。
本作の連載前に発表された『フール・フォー・ザ・シティ(FOOL for THE CITY)』とは世界観を共有しており、『フール・フォー・ザ・シティ』の一部の登場人物が『ファイブスター物語』にも登場する。
本作は何度も休載を挟みながら連載が続けられ、2004年からの長期の休載のあと、2013年に再開された連載からそれまでの設定から大幅な設定変更が行われている。単行本には通常のバージョン以外に「1998 EDITION」「2005 EDITION」「リブート」といった別バージョンが存在する。
その独特の世界観とストーリーにより、長期にわたる連載が続きながらもファンから熱い支持を受け、愛される作品である。

『ファイブスター物語』のあらすじ・ストーリー

プロローグ

星団暦3960年。惑星ジュノーのコーラス王朝が滅ぼされ、各地では残党狩りが行われていた。

コーラス王家王室軍団長グラード・シドミアンとファティマ・エストが駆るモーターヘッド、ブラック・グラード(バッシュ)と、ミラージュ騎士団のカーレル・クリサリスとファティマ・ティータが駆るL.E.D.ミラージュが激闘を繰り広げ、カーレルがなんとか勝利する。

この戦いを最後に、ジョーカー星団は惑星デルタ・ベルンのグリース王国のアマテラスのもとに統一された。

アマテラスとラキシスの出会い

星団暦2988年。惑星アドラーのトラン自治区の都市バストーニュ。天才ファティマ・マイトとして名高いクローム・バランシェによって作成された、アトロポス、ラキシス、クローソーの3人のファティマが成人する。
アトロポスはバランシェによって逃がされるが、ラキシスとクローソーは領主ユーバー・バラダによって捕えられた。

「ファティマ」とは、人型の巨大ロボット「モーターヘッド(MH)」を動かすための人造生命体で生体演算装置である。モータヘッドは超人的な戦闘能力をもつ「ヘッドライナー(騎士)」とファティマが一体となって操縦する。「ファティマ・マイト」はファティマを作る能力を持った科学者で、クローム・バランシェは「星団四代ファティマ・マイト」と称される。

成人したファティマは「お披露目」と呼ばれる儀式を経て、自分のパートナーとなるヘッドライナーを選ぶ。ファティマは自分が選んだパートナーのことを「マスター」と呼ぶ。
ラキシスとクローソーはユーバーが主催するファティマのお披露目に出ることになり、各国から要人が集まる。
ラキシスとクローソーには、マインド・コントロールが施されておらず、発覚すれば大事件となる可能性があった。バランシェは2人の救出を友人であり高名なモーターヘッドマイスターであるレディオス・ソープに託す。

バストーニュに向かう途中で、ソープは陽気で能天気な騎士、ボード・ヴュラードと出会う。彼の正体は、トラン連邦の大統領であるミッション・ルースだった。ミッションはアマテラス(ソープ)の数少ない友人として、協力し合う存在となっていく。

一方、お披露目を前にクローソーも逃亡し、道に迷い暴漢に襲われそうになる。そこを惑星ジュノーの大国コーラス王朝の当主であるコーラス3世に助けられた。クローソーはコーラス3世の後裔であるコーラス6世が自分のマスターであると感じ取り、コーラス3世のもとに身を寄せる。
クローソーはラキシスがソープに思いを寄せており、自分のマスターとして助けに来るのを待っていると告げる。

ラキシスのお披露目の当日。
ラキシスをパートナーとすることを迷うソープは、お披露目を避けて姿を消そうとする。そこに現れ、ソープを説得したのは今はなき妻・リトラーの魂だった。
リトラーの言葉に後押しされ、意を決したソープはお披露目に乱入。ラキシスを連れ出し、会場から逃亡する。ソープは黄金のモーターヘッド「ナイト・オブ・ゴールド(KOG)」を隠しており、追っ手のモーターヘッドを退けた。
ソープの正体は惑星デルタ・ベルンの大国、グリース王国の国王である天照帝(アマテラスのミカド)であった。ラキシスはアマテラスのもとに妻として迎えられる。

ハグーダのジュノー侵攻

星団暦2989年。惑星ジュノーの小国・ハグーダが、隣接するコーラス王朝に侵攻を開始する。想像していなかったハグーダの勢いを前に、コーラスは圧倒される。ハグーダの背後には、謎の傭兵組織「虹のブーレイ」の暗躍があった。

コーラス3世は開発中で未完成だったモーターヘッド、ジュノーンで出撃するが、虹のブーレイの前に苦戦し、パートナーのファティマ、ウリクルが死亡。コーラス自身も瀕死の重傷を負う。虹のブーレイの正体は、強国・フィルモア帝国の騎士団であるノイエ・シルチスに所属する騎士たちであり、リーダーはノイエ・シルチスの筆頭騎士であるラルゴ・ケンタウリだった。

コーラス3世の負傷により、ジュノーンの開発はいったん頓挫する。
コーラスの苦境を知ったレディオス・ソープはコーラスに駆けつけ、コーラス3世の依頼によりジュノーンの開発に携わる。これによりジュノーンは新たに生まれ変わり、星団屈指のモーターヘッドとなった。
コーラスは亡きウリクルに変わり、クローソーをパートナーとして再度出撃するが、一瞬の隙をつかれラルゴの奇襲を受ける。

ラルゴの攻撃によってコーラス3世が死亡し、絶体絶命の危機に陥るクローソーとジュノーン。追い詰められる中でクローソーとジュノーンの発揮しきれていなかった能力が覚醒し、その圧倒的な力によってラルゴと虹のブーレイを撃破する。その勢いでコーラスはハグーダを撃退することに成功した。
戦後、コーラス3世を失って悲しみにくれるクローソーは、いずれ出現するコーラス6世を待つため眠りについた。

カステポーの壊し屋事件

星団暦2989年。クバルカン法国ルーンの騎士であり枢機卿であるミューズ・バン・レイバックは、法王の命により、パートナーのファティマ・静(しず)とともに無法地帯カステポーに赴く。カステポーでは、メヨーヨ朝廷の騎士イラー・ザ・ビショップが駆るメヨーヨの新型MH「アシュラ・テンプル」による、MHの首狩りが行われ、「壊し屋」と呼ばれて恐れられていた。

カステポーには、星団を股に掛ける剣聖ダグラス・カイエンやミラージュ騎士団のアイシャ・コーダンテ、フィルモア最強とも言われた三銃士の1人であるバーバリュース・V(ビィ)など、有力な騎士たちが集まっていた。
ミューズは知人のボード・ビュラードから聞いた酒場を探し、首刈りについて調べるうちに、酒場に集うこれらの騎士たちと知り合う。

アイシャはパートナーのファティマ・アレクトーを人質にとられ、アシュラ・テンプルと戦うことになるが、モーターヘッドの不調により敗れる。
ミューズはアイシャの窮地を救うため、星団の三大モータヘッドであり最高機密兵器である「破裂の人形」で出撃する。
これまで「壊し屋」として猛威を振るい、多くのモーターヘッドを撃破してきたアシュラ・テンプルだったが、星団三大モーターヘッドである破裂の人形の敵ではなかった。
肩に隠し持つ必殺の「ドラゴントゥース」も破裂の人形には通用せず、あえなく撃破された。

ミューズは機密兵器の無断使用による処分を覚悟するが、なぜか不問とされる。その裏には、カステポーで出会った騎士たちの尽力があった。

「命の水」の争奪戦

星団暦2992年。ボォス星のカステポーで、最強の生命体であるドラゴンの長「L.E.D.ドラゴン(レッド・ドラゴン)」が消滅を迎えようとしていた。これに立ち会うため、アマテラスはカステポーに向かう。

ボォスの小国シーブルを支配する魔導士ディ・バローは、転生するドラゴンだけが生み出すといわれる「命の水」を探していた。その作戦行動中に起こった民間人を巻き込む事故にアマテラスも巻き込まれる。事故の中で唯一生き残ったアマテラスだが、ディ・バローの雇った傭兵アーレン・ブラフォードに気づかれ、狙撃されて致命傷を負う。本来なら死ぬことのないアマテラスだが、蘇生の力が機能せず、主の力を失ったA.K.D.の浮遊城フロート・テンプルは大混乱に陥る。

この混乱に乗じ、幽閉されていた天照家元王族のサリオン率いるミラージュ騎士団の左翼大隊がクーデターを決行する。ミラージュ騎士団は右翼大隊の主要メンバーの大半が不在であり、劣勢に立たされる。左翼大隊最強の騎士・シャフトとミラージュダイバーでも屈指の実力を持つズームがラキシスに迫るが、ラキシスは2人を圧倒する。剣聖カイエンが駆けつけたこともあり、事態は収束。アマテラスの危機を悟ったラキシスは、アマテラスを救出するためシャフトらをカステポーに派遣する。

その頃、アマテラスは転生したドラゴンの幼生と出会い、命の水の力で蘇生していた。アマテラスとドラゴンの幼生・すえぞうはシーブルの兵に襲われるが、放浪していたアトロポスに助けられる。

カステポーに到着したA.K.D.は、アマテラスを救出するため地上軍を展開し、シーブル軍と交戦状態に入る。A.K.D.は苦戦し、A.K.D.の正規騎士団であるゴーズ騎士団もシーブルが雇った傭兵騎士団パイドパイパーに圧倒される。窮地に陥るA.K.D.だが、そこにアイシャやシャフトが駆けつけ、パイドパイパーとシーブル軍を壊滅させた。

「命の水」はいったんバローの手に落ちかけたが、何者かがバローを消滅させて持ち去った。生き残ったブラフォードはミラージュ騎士団に入り、アトロポスとすえぞうは放浪生活を送ることになった。

魔導大戦の勃発

強国であるフィルモア帝国やクバルカン法国が支配するカラミティ星は寿命を迎え、消滅の危機が訪れようとしていた。

バローから「命の水」を奪ったのは、かつて少年時代のソープ(アマテラス)に戦いを挑み、敗北した純血のダイバー、ボスヤスフォートだった。ボスヤスフォートは「命の水」によって復活を遂げる。

新興国家バッハトマ魔法帝国を建国したボスヤスフォートは、A.K.D.のフロートテンプルを襲撃する。
アマテラスは星団会議出席のため不在だったが、サリオンが代わりに指揮をとる。ボスヤスフォートの強力な力の前に苦戦するA.K.D.だが、アマテラスの分身であるメル・リンスが駆けつけ、ボスヤスフォートに重傷を負わせたことで、なんとか撃退した。
しかし、サリオンをかばったF・U・ログナーをはじめ、多くのミラージュ騎士が死亡し、A.K.D.は多大な犠牲を出した。

やがてボスヤスフォートはバッハトマ魔法帝国を率い、大国の1つであるハスハ連合共和国に宣戦を布告する。ボスヤスフォートの煽動にのった星団中の国々の軍がハスハの首都ハスハントに集結し、「魔導大戦」が勃発する。

ハスハの女帝、ムグミカ・ラオ・コレットとハスハAP騎士団長に就任したカイエンは殺され、ハスハ連合共和国は崩壊。各領が独立して動きながらもかろうじて連合勢力を保ち、「ミノグシア連合」としてバッハトマ魔法帝国を中心とした「枢軸側」と戦火を拡大させていく。

この混乱を見過ごすことができず、ソープ(アマテラス)もラキシスとともにミノグシアに入る。北部ミノグシア最前線である小国ベラを訪れたソープとラキシスは、この地を守るナルミ・アイデルマの率いるAP騎士団ツラック隊を援助する。
次第に戦力が充実したツラック隊は、4倍近い兵力で押し寄せる枢軸側を撃退。枢軸側は撤退し、ベラは守られた。

アマテラスの星団侵攻

やがて魔導大戦は収束するが、アマテラスは星団統一を志し、突然アドラー星への武力侵攻を開始する。情け容赦ない攻撃でアドラーを制圧したアマテラスは星団委員会を離脱。星団法を無視して今度は魔道大戦による疲弊と混乱が激しいボォス星を侵略し、統治下に置く。

カラミティ星では星の崩壊が始まる。アマテラスはカラミティにもA.K.Dへの編入を要請するが、カラミティは拒否し、戦う道を選ぶ。アマテラスはカラミティの崩壊の影響から人々を守るため、避難させようと奮闘する。しかし、その中でラキシスはカラミティ爆発に巻き込まれてしまい、消息を絶つ。

やがてジュノーにアマテラスに滅ぼされた国家の騎士やファティマが集まり始め、コーラス5世が代表に祭り上げられる。アマテラスはコーラス王朝を滅ぼす決意を固め、ジュノー侵攻を開始する。

ジュノーの頑強な抵抗の前に、制圧に手こずるアマテラスだが、姿を現したアトロポスがその窮地を救う。モーターヘッド「ナイト・オブ・ゴールド・アトロポス」とともに参戦したアトロポスの活躍により、攻勢に転じたA.K.Dはコーラス城を陥落させ、コーラス5世は戦死。その遺児であるコーラス6世は女官の手によって逃された。

この戦いでコーラスを滅ぼし、星団統一を成し遂げたアマテラスは星団皇帝となる。しかし、ラキシスら大切な人々を失った喪失感から引退を決意し、バランシェから託された42番目のファティマでアマテラスのコピーであるユーパンドラ・ライムを影武者として、自らは宇宙船ザ・ウィルに引き籠もる。ミラージュ騎士団もアマテラスとともに表舞台から姿を消した。

アマテラスに全てを託されたユーパンドラだが、反感を抱く人々を恐怖政治で支配しようとする。人々はユーパンドラ率いるA.K.D.に不満を抱き、反アマテラス軍を形勢していく。やがて、星団に散っていた不満分子たちが続々とジュノーに集結する。

ジュノーを解放した反アマテラス軍は、アドラー、ボォスを解放し、AKDの本星デルタ・ベルンの内戦に突入する。やがてAKDの象徴フロートテンプルは崩壊し、惑星デルタ・ベルンは消滅する。アマテラスはザ・ウィルにて星団を去り、星団を解放した人々はボォス、ジュノー、アドラーの3つの星に散って国家を再建を再建する。この戦いで多くのファティマ、GTM(MH)の大半が失われ、残されたファティマも次第に姿を消していく。そして星団暦は記録を止めた。

ラキシスは様々な世界、様々な時代を巡る旅を続けていた。アマテラスは人類にジョーカー星団の未来を託し、ラキシスを探す旅に出る。

『ファイブスター物語』の登場人物・キャラクター

主要人物

天照・ディス・グランド・グリース・エイダス・フォース(あまてらす でぃす ぐらんど ぐりーす えいだす ふぉーす)

CV:堀川亮
主人公。ジョーカー星団イースター太陽系の惑星デルタ・ベルンの国家連合体A.K.D.の光皇。その正体は光の神。不老不死であり、地球人の年齢で言う20歳程度の外見のまま歳をとらない。
性別を超越した美貌と優れた頭脳を持つ。また、超人的身体能力を持つ騎士としても、いわゆる魔法使い的な力を持つダイバーとしても作中で最強の力を持っている。

モーターヘッドマイスターである男性としてのレディオス・ソープ、女性としてのレディオス・ソープ、星団最大のダイバー集団である「ダイバーズ・パラ・ギルド」を率いるメル・リンス・ウザーレ・ターマ、ダイバーズ・パラ・ギルドのダイバー東の君(男性)というそれぞれ別の人格の4つの分身を持ち、星団のあちこちに出没する。

A.K.D.には正式な騎士団として「ゴーズ騎士団」がいるが、それとは別に自信に直属する「ミラージュ騎士団」を持つ。
ミラージュ騎士団には星団でもトップクラスの能力を持つ騎士が集められ、事実上、星団で最強の力を有している。

星団暦2988年、ファティマ・ラキシスを妻に迎えた。

ラキシス

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