音無響子(めぞん一刻)の徹底解説・考察まとめ

音無響子とは漫画『めぞん一刻』に登場するメインヒロインである。一刻館の新しい管理人として赴任した未亡人の美しい女性であり、主人公の五代裕作に惚れられる。またテニスクラブのコーチをしていた好青年の三鷹瞬にも惚れられ、三角関係を展開した。双方から熱烈なアプローチを受けるも、前の旦那が忘れられない彼女は中々彼等の想いに応えられない。一方で五代が他の女性と一緒に居ると嫉妬し、彼を困らせていた。最終的に五代に惹かれて結婚する。その後は娘の春香をもうけ、一刻館の管理人室で五代と共に娘を育てていく。

五代は保父資格試験を取得し、「しいの実保育園」で再び保父として働くこととなる。響子は五代からの正式なプロポーズを待つが、タイミングが噛み合わず、中々上手く行かない。一方、響子の父親は娘の結婚を阻止する為、体調不良の中五代の職場のキャバクラに乗り込む。キャバクラでは五代の送別会が行われており、父親はキャバ嬢達に酒を飲まされてしまった。これにより彼はすっかり酔い潰れてしまい、響子はキャバクラへ迎えに行く事になる。

キャバクラで泥酔した父親は「響子の泣き顔をもう見たくない」と内心を吐露する。惣一郎が亡くなった際、父親は響子の悲嘆に暮れる姿を見ており「娘の泣き顔をこれ以上見たくない」という思いから、彼女の再婚に反対していたのであった。偶然この現場に響子は出くわしており、彼女は父親の本心を知る。その後、響子は眠ってしまった父親を背負う五代と共に、帰路に着いた。そこで五代からのプロポーズを受ける。響子はこれに応える前に、ある約束を持ち掛ける。それは「自分よりも長生きする事」であった。かつて惣一郎に先立たれ愛する者を失った彼女は、もう2度とあのような悲しみは味わいたくなかったのである。五代はこの約束を必ず守ると誓い、2人は互いを伴侶としてこの先の人生を歩む事を決める。因みに父親はこのプロポーズを五代の背中で聞いており、2人の結婚を受け入れていた。

五代と結婚する

五代と結婚式を挙げる響子

響子と五代は結婚の挨拶の為、互いの親族に挨拶をする。親族達は彼等の結婚を祝福し、五代家で響子は、五代の祖母から旦那(五代の亡き祖父)の形見である指輪を譲り受ける。五代はこれを響子の薬指に嵌め、結婚指輪とした。

音無家では義父が彼等を祝福した。彼は一刻館のオーナーでもある為、響子達は「今後も継続して管理人を続けつつ、一刻館で暮らしたい」旨を伝えた。旦那の五代の収入は少なく、資金面で少々問題を抱える為、響子達は一刻館の管理人室で共同生活を送る事を考えていたのである。義父はこれを受け入れ、彼等は暫く一刻館に住む事になった。

響子と五代は一刻館の管理人室での新しい生活の為、部屋の大掃除を始めた。そこで押し入れの奥から惣一郎との結婚式のアルバムが出てくる。このアルバムを見た後、響子は惣一郎の遺品を取り出し、部屋で1人涙を流した。その様子を五代は偶然目撃し、響子は彼に「明日、この遺品をケジメとして音無家に返してくる」事を伝える。彼は響子を気遣い「無理に返さなくても良い」旨を伝えたが、彼女の意思は固かった。

翌日響子は惣一郎の墓へ赴き、眠っている彼に遺品を返す事を報告しようとする。だが、そこには五代が先に来ており、惣一郎の墓に手を合わせていた。彼は惣一郎の墓に「惣一郎を愛している事も引っくるめて、響子を愛する」事を誓う。これを聞いていた響子は「五代と結ばれて良かった」と感激の涙を流した。

響子と五代の結婚式は和式で執り行われた。式の後、喫茶店茶々丸で大宴会が行われる。一刻館の面々や三鷹を始めとした、今まで物語に登場してきた人々が集まり、響子と五代を盛大に祝福した。

娘を出産し一刻館へ帰る

春香(響子の抱いている人物)と五代と共に一刻館に帰る響子

響子と五代の結婚から時は流れ、彼女は娘の五代春香(ごだい はるか)を出産する。退院後、彼女は春香を抱き、五代と共に一刻館に帰った。そこには一刻館の住人達が待っており、彼等を祝福する。桜の舞い散る中、響子、五代、春香の3人は一刻館の面々に囲まれ、ハッピーエンドを迎えた。

音無響子(めぞん一刻)の関連人物・キャラクター

思い人と関係者

五代裕作(ごだい ゆうさく)

一刻館の5号室に住む優柔不断で奥手な青年。本作の主人公でもある。登場初期は浪人生であり、その性格から他の一刻館の住人達にいじられていた。住人達の騒々しさに耐えかねた彼は一刻館を出ようとした所で、管理人として赴任してきた響子と出会う。この時、彼女に一目惚れし、一刻館に居続ける事を決意した。以降、響子へアプローチを仕掛けていく。

浪人時代は一刻館の住人達に翻弄されながらも、大学合格に向けて勉強をしていく。響子は彼を「出来の悪い弟」のように思い、何かと彼の世話を焼いた。最終的に五代は私立大学に合格し、一刻館から大学に通う事になる。

大学入学後、響子が未亡人である事を知った五代は、音無惣一郎(おとなし そういちろう)に対抗意識を燃やす。惣一郎は響子の亡き最愛の旦那である。だが、彼女の惣一郎への想いは相当なものであり、この事が彼を悩ませた。その後、大学のコンパで泥酔して帰った来た五代は、一刻館の前で響子への好意を力の限り叫ぶ。彼を心配して外に出ていた響子は、彼の告白を目の前で聞いてしまい、衝撃を受ける。だが、泥酔していた五代はこの時の記憶が曖昧であった。彼は「裸踊りを響子に見せた」と思い込んだ事で彼女とすれ違いが生じ、告白の件は有耶無耶になってしまった。

響子がテニスクラブに通い始め、三鷹瞬(みたか しゅん)と出会った際には猛烈な対抗意識を燃やす。三鷹は婦人向けテニスクラブでコーチをしているイケメンで資産家の御曹司の男性である。その後の茶会で彼は改めて響子への好意を明言し、三鷹に宣戦布告した。一方の三鷹も響子への好意を伝え、三角関係を展開する。以降、五代と三鷹は響子を取り合って熾烈な恋の戦いを繰り広げていく。また響子は五代と三鷹を異性として意識するようになったものの、惣一郎への想いから彼等に玉虫色の態度を取ってしまう。これにより、この三角関係は数年に渡って繰り広げられる事となった。

街中で五代は七尾こずえ(ななお こずえ)と再会し、以降は彼女からアプローチを受ける事になった。七尾は五代とは別の大学に通う同学年の女子大生である。彼と同じ酒屋のバイトで働いていた事があり、互いに面識があった。響子は五代と七尾の関係にヤキモキし、事ある毎に嫉妬しては不機嫌になって彼を困らせていた。また響子は、内心では五代が自分に好意を向けてくれる事を嬉しく思っていたため、彼が他の女性と交友を持つ度に嫉妬し、不機嫌になっている。彼はその度に彼女の誤解を解こうと奔走し、トラブルに巻き込まれていった。ある意味で五代は不幸体質であるといえる。

大学卒業後は就職活動に失敗し、就職浪人となる。黒木小夜子(くろき さよこ)のツテで「しいの実保育園」でバイトをする事になり、次第に保父(現在の保育士)の資格取得を目指すようになった。黒木は五代の大学時代の先輩のミステリアスな女性である。だが、不況による人員整理で保育園をクビになり、キャバクラで呼び込みとしてバイトをする事になった。五代が落ち目に苦しんでいる間に、三鷹は響子に結婚を迫り、五代を戦々恐々させた。結局、響子は三鷹の求婚に応えられず、再び玉虫色の態度を取ってしまう。最終的に三鷹は九条明日菜(くじょう あすな)と結婚し、三角関係は終わった。九条は犬好きで、旧華族の箱入り娘である。

響子は保父を目指す五代の世話を甲斐甲斐しく焼いた。だが、五代は七尾との曖昧な関係に決着が付けられず、誤解から響子を怒らせてしまう。これにより響子は一刻館を出て行き、五代は責任を取る形で一時的に一刻館の管理人となった。更に五代は一刻館の6号室に住む六本木朱美(ろっぽんぎ あけみ)とラブホテルから出る所を見られてしまい、いよいよ響子との関係が破局寸前にまでなってしまう。朱美は酒好きで色気のある女性である。男と共にラブホテルに入ったが、酒を飲んで泥酔した彼女は眠ってしまい、男に先に帰られてしまう。お金が無かった彼女は、五代を呼び出し、彼に金を払わせてホテルから出た。そこを七尾に見られてしまい、この話を聞いた響子は深く傷ついてしまったのである。だが、朱美が響子を一喝し、フォローを入れた事で五代は響子の心を繋ぎ止めた。その後五代との曖昧な関係に疲れた響子は、彼と共にラブホテルに入る。しかし惣一郎を意識してしまった五代は、響子を抱く事が出来なかった。

キャバクラの仕事を終え、一刻館に帰宅した五代は管理人室で響子と話す。そして響子が「惣一郎と比較する事無く五代自身を想っている」事を知った五代は、長年慕い続けた彼女とようやく結ばれた。

五代は保父試験に合格し「しいの実保育園」に保父として再就職する。だが五代と響子の関係を知った、彼女の実の父親(千草家の父親)が、五代が働いていたキャバクラでの「五代の送別会」にまで乗り込み、結婚を反対した。五代は、父親が「これ以上響子の悲しむ顔を見たくない」という、旦那に先立たれて悲しむ響子を見てきたが故に結婚を反対している事を知る。その後、五代はキャバ嬢達に酒を飲まされ泥酔して眠る父親を背負い、迎えに来た響子と共に帰路に着く。その道中で、五代は彼女にプロポーズをした。

五代は響子と共に親族への結婚の挨拶を終え、一刻館の管理人室を片付け始める。そこで惣一郎の遺品を見つけて涙を流す響子を目撃し、彼女の惣一郎への想いを改めて実感した。翌日、五代は惣一郎の墓へ赴き「恐らく一生捨てられないだろう“惣一郎への想い”も含めて、響子を愛する」事を墓前に誓う。この場面に偶然居合わせた響子は感動し、五代と結ばれた事を心底喜んでいた。その後五代は響子と和装の結婚式を挙げ、彼女との間に春香(はるか)という女の子をもうける。響子の出産での退院後、五代は響子と春香と共に一刻館へ帰り幸せな家庭を築き上げた。

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五代春香(ごだい はるか)

響子と五代の娘。物語の終盤に登場し、出産を終えた響子の退院後、響子と五代と共に一刻館へ帰った。

惣一郎(そういちろう)

一刻館に住む白い大型犬。響子が管理人として一刻館に赴任する際に、音無家から彼女が連れて来た。元々は野良犬であったが、生前の惣一郎が響子の為に勝った焼き鳥の匂いに釣られて付いて来てしまう。そのまま音無家に居座り、飼い犬となった。当初の名前は「シロ」であったが、この名前には反応せず響子が呼ぶ惣一郎の名前に反応する。この為、名前が「惣一郎」に改名された。

一刻館に来てからは、一刻館の面々に何かと可愛がられる。また名前が惣一郎であり彼との思い出を共有している為、響子が惣一郎を想って悲しむ際には、彼女に抱きしめられていた。三鷹の事が大好きで、よく彼に飛び付いている。彼は極度の犬嫌いな為、惣一郎に苦手意識を持っていた。また響子と三鷹が良い感じになった際には、惣一郎が乱入するして事態を有耶無耶にしてしまう展開が多かった。

音無惣一郎(おとなし そういちろう)

響子の亡き夫。元々は響子が通っていた女子高で講師をしていた。クラスで委員長をしていた彼女は惣一郎と話す機会が多く、次第に彼の人柄に惹かれていった。最終的に響子からのアプローチを受け、2人は結婚した。響子は音無家で幸せな家庭生活を送っていたものの、半年で彼は死亡してしまう。死後も響子は惣一郎を想い続け、毎年の彼の命日には墓参りを欠かさなかった。彼女の中で、惣一郎は最愛の人であり続けたのである。当初五代は惣一郎に対抗意識を燃やしていたものの、最終的に「惣一郎も愛する響子もひっくるめて、彼女を愛する」事を惣一郎の墓前に誓い、受け入れた。

物語を通して素顔が描かれる事は無い。登場シーンでは顔が黒塗りか、何らかの方法で顔が隠されていた。食いしん坊な人物で体格は少し背が高く、かつ性格は穏やかでマイペースな人物である事が描写されている。

一刻館の関係者

一ノ瀬花枝(いちのせ はなえ)

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@monaou0706c3

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