スイートプリキュア♪（スイプリ）のネタバレ解説・考察まとめ

『スイートプリキュア♪』の概要

『スイートプリキュア♪』（SUITE PRECURE♪）とは、伝説の楽譜を巡る争奪戦に臨む伝説の戦士プリキュアの活躍を描いたアニメ作品。
「女の子だって暴れたい」をテーマに続いてきた『プリキュア』シリーズの第8作目の作品である。「音楽」をテーマとしており、タイトルの「スイート」は「甘さ」を意味する「sweet」ではなく「組曲」を意味する「suite」を表している。略称は「スイプリ」。

もう1つのテーマとして「友情」を掲げており、主要キャラクターの多くが大切な友人との間に深刻な悩みを抱えている。そのキャラクターたちが時に衝突し、時に傷つけ合いながらも友情を紡いでいく姿を前面に押し出しているのが特徴。これらは「幼児向けアニメとしては生々し過ぎる」として批判する意見もあるが、その分だけ友情の貴さを訴えるものとして評価が高い。
作劇的な工夫として、物語序盤から「敵か味方か分からない仮面のブリキュア」が登場。その正体を巡ってネット上では盛んに議論が交わされ、「メイジャーランドの姫君にして、史上初の小学生プリキュア」であることが明かされた時は大きな話題となった。

幸せな音楽の国メイジャーランドに悲しい音楽の国マイナーランドの王メフィストが乱入し、伝説の楽譜を書き換えようとする事件が発生。メイジャーランドの女王アフロディテは、伝説の楽譜を守るためにこれを人間界へとばら撒き、一時的にせよ保護することに成功する。妖精のハミィはアフロディテから伝説の楽譜の回収を命じられて人間界へと赴く。
その人間界では、北条響（ほうじょう ひびき）と南野奏（みなみの かなで）が、偶然から伝説の楽譜の一片を手にしていた。2人は仲の良い幼馴染だったが、ちょっとした擦れ違いからケンカしたまま仲直りができていなかった。伝説の楽譜を追って現れたハミィと、これを狙うマイナーランドの先兵に出会った2人は、同時に伝説の戦士プリキュアへと変身。ギクシャクとしながらも伝説の楽譜の争奪戦に身を投じていく。

『スイートプリキュア♪』のあらすじ・ストーリー

伝説の楽譜の争奪戦

幸せな音楽の国メイジャーランドに悲しい音楽の国マイナーランドの王メフィストが乱入し、伝説の楽譜を書き換えようとする事件が発生。メイジャーランドの女王アフロディテは、伝説の楽譜を守るためにこれを人間界へとばら撒き、一時的にせよ保護することに成功する。アフロディテから伝説の楽譜の回収を命じられ、妖精のハミィは人間界へと赴く。
その人間界では、北条響（ほうじょう ひびき）と南野奏（みなみの かなで）が、偶然から伝説の楽譜の一片を手にしていた。2人は仲の良い幼馴染だったが、ちょっとした擦れ違いからケンカしたまま仲直りができてない日々を送っていた。伝説の楽譜を追って現れたハミィと、これを狙うマイナーランドの先兵に出会った2人は、同時に伝説の戦士プリキュアへと変身。ギクシャクとしながらも伝説の楽譜の争奪戦に巻き込まれ、その中で激しく衝突し、傷つけ合いながらも和解する。

人間界にやってきたマイナーランドの先兵は、セイレーンという妖精に率いられていた。セイレーンはもともとはメイジャーランドの出身で、伝説の楽譜を歌う役目を担っていたが、今年は親友でもあるハミィにその座を奪われて嫉妬と憎悪に心を支配されていた。メフィストはこれを利用してセイレーンの心を闇に染め、自身の配下としていたのだった。
ハミィは親友であるセイレーンのことを「話せばきっと分かってくれる」と信じ、なんとか和解しようと努める。セイレーンは当初はこれを嘲笑していたが、どれだけ傷つけても自分との友情を信じるハミィを前に次第に罪悪感に苛まれていく。やがて彼女はメフィストの支配を脱し、ハミィとの友情を復活させるも、闇の力を一気に跳ね除けた反動で人間に変身したまま本来の姿に戻れなくなってしまう。やむなく人間として生活し始めたセイレーンは、黒川エレン（くろかわ エレン）という名で響たちの学校に通うようになり、プリキュアにも覚醒。響たちの心強い仲間となる。

メフィストの秘密

セイレーンが敗れたことに業を煮やしたメフィストは、自ら人間界に赴いて陣頭指揮を執り始める。響たちは協力してこれに立ち向かうも、黒い仮面で顔を隠した謎のプリキュアが暗躍。時に響たちを妨害し、敵に手助けするなど、不可思議な行動を繰り返す。
仮面のプリキュアの正体はエレンにも分からず、メイジャーランドの者でもマイナーランドの者でもないと思われた。戦いそのものを長引かせることを目的としているようにしか思えないその振る舞いに響たちは戸惑うが、メフィストとの伝説の楽譜争奪戦はさらに続き、彼らとの決戦が近づいていく。

そんな中、響たちは謎のプリキュアの正体が奏の弟の南野奏太（みなみの そうた）の同級生である調辺アコ（しらべ アコ）であることを知る。アコは祖父の調辺音吉（しらべ おときち）と共に人間界で暮らしてはいたが、その正体はメイジャーランドの姫君だった。彼女の父でもあるメフィストは、かつてはメイジャーランドの王として活躍していたが、ノイズという魔物に奪われた秘宝を取り戻すために「魔響の森」という秘境へと赴き、そこで返り討ちに遭って洗脳されてしまっていたのだった。アコは今の父が正常な状態ではないと知りつつ、響たちとの戦いで傷つけられるのも見ていられず、ひたすら決着が先延ばしになるよう立ち回っていたのだった。
仮面のプリキュアの正体が自分の娘であることを知ったメフィストは驚愕し、「娘とは戦えない、娘を傷つけるなんてできない」と洗脳を打ち破りかけるも、そうはさせじと威力を増した闇の力に飲まれて暴走。アコを新たな仲間に加えた響たちによって浄化され、ついにかつての記憶と人格を取り戻すのだった。

ノイズとの和解

メイジャーランドに起きたいくつもの悲劇の元凶は、遥か昔からこの国を脅かしてきたノイズという魔物だった。強固な封印の中から逃れかけていたノイズは、メフィストを含む何人もの人間を自分の力で操っては封印を解除させるために動かしており、もはやその復活は秒読みの段階だった。なおも人を操って様々な事件を起こすノイズを相手に、響たちは音吉やメイジャーランドの人々の力も借りて戦い続ける。
そんなある日、アコは一抱えほどもあるヒヨコのような奇妙な鳥を拾う。「ピーちゃん」と名付けられたこの鳥は、響たちからかわいがられて素直に甘える一方、彼女たちの戦う様を冷徹に観察したり伝説の楽譜の在り処を探したりと誰もいないところで怪しい動きを見せる。果たしてその正体は、封印の外に送り込まれたノイズの末端なのだった。

響たちに正体を知られたノイズは彼女たちの下から逃れ、完全な復活を遂げる。「完全な静寂の世界」を求めるノイズは人間界の全ての人々を石化し、メイジャーランドにも侵攻。難を逃れた響たちは、音吉と共にメイジャーランドに向かい、最後の決戦を繰り広げる。
時に卑劣に、時に圧倒的に立ち回って恐るべき力を見せつけるノイズに対し、響たちは「どうしてこんなことをする、いったいあなたは何がしたい」と問いかける。苛立ちに顔を歪めながらノイズが語ったのは、「自分にも分からない。だが自分をこういう存在としてこの世に生み出したのは人間たちだ」との苦悩と絶望に満ちた言葉だった。ノイズは"この世の全ての悲しみ"が生み出した怪物で、この世に人の悲しみがある限り永遠不滅の存在だった。彼が「完全な静寂の世界」を求めるのも、生きている人間がいなくなれば自分のような存在もまた消滅するはずだとの虚しくも悲しい願いが理由だったのである。

これを聞いた響たちは、「全ての悲劇の元凶だったノイズもまた、自分たちの生み出した悲しみによって苦しみ続けていたのだ」と気付き、彼を救おうと考える。そのための方法など分からず、彼によって傷つけられた人々が受け入れてくれる保証などないまま、響たちは暴れるノイズに手を差し伸べ続ける。彼女たちが本気で自分を救おうとしていることを理解したノイズは、苦笑しながらもついにその手を取り、一筋の涙と共に消滅していった。
かくしてメイジャーランドを揺るがした事件は解決し、一行は人間界へと帰還。メイジャーランドからメフィストとアフロディテが見守る中、エレンはハミィと音楽を楽しみ、アコは奏太や他の友達と笑顔で学校に通い、響と奏は時にケンカしつつも幼馴染として大切な友人として過ごしていく。彼女たちの傍らには、悲しみの化身であることをやめたピーちゃんの姿もまたあったのだった。

『スイートプリキュア♪』の登場人物・キャラクター

プリキュアチーム

北条響（ほうじょう ひびき）／キュアメロディ

CV：小清水亜美

加音町に住む中学生の少女。勝気で活発な一方、不器用で寂しがり屋。スポーツ万能で様々な部活の助っ人に駆り出されているが、本人は音楽に興味を持ち、ピアニストを目指すようになっていく。
幼馴染の奏とは無二の親友だったが、物語開始時点ではケンカしたまま仲直りできておらず、険悪な関係にあった。

変身すると、赤を基調とする戦士キュアメロディになる。
響自身が体を動かすことが得意なため、戦闘でも派手な活躍を見せた。ヘソは隠れているのが公式の設定だが、二次創作などではヘソが描かれていることが多い。

南野奏（みなみの かなで）／キュアリズム

CV：折笠富美子

響の同い年の幼馴染。真面目で友人や教師からも信頼される優等生だが、「自分が正しい」と判断すると絶対に譲らない頑固な一面も持つ。実家はカップケーキショップで、自身もお菓子作りが好き。将来の夢はパティシエール。
響の長所も短所もよく理解しており、時に寂しがり屋な彼女を支え、時に彼女の明るさに救われている。3年生の王子正宗（おうじ まさむね）に憧れており、たびたび妄想に浸っては響に呆れられている。

変身すると、白を基調とする戦士キュアリズムになる。
響がその性格もあって突撃傾向な分、比較的冷静に立ち回るのが常だが、プリキュアになったばかりの頃はうまく連携が取れずに衝突することもしばしばだった。

黒川エレン（くろかわ エレン）／セイレーン／キュアビート