ドラゴン桜(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ドラゴン桜』とは、2003年から2007年に講談社の『モーニング』で連載された、元暴走族の貧乏弁護士を主人公にした受験がテーマの漫画及び、それを原作としたドラマ作品である。偏差値36の龍山高校は落ちこぼれや不良ばかり集まる。弁護士の桜木健二は、受験のノウハウや心理的なテクニックを使い、龍山高校から東大合格者を出すことを目標に挑む。実用的な勉強テクニックであることから、学生のみならず親世代からも人気が高い。理論に基づいた正しい努力をすることで誰もが成功者になれるというメッセージが込められている。

国語の授業で、生徒達に否定的な意見を言われて落ち込む宮村沙知子(みやむらさちこ)教師。特別講師の芥山龍三郎(あくたやまりゅうざぶろう)の授業の方が良いと知ったが目をそらし逃げようとしていた。それを見て桜木が言ったセリフが「本当にダメなのはその失敗を次に活かせないやつだ」である。失敗=自分がダメという意味ではなく、失敗から学んで次に活かそうとしないことが一番の失敗だという桜木らしい理論的なセリフが印象的である。

桜木健二「一時の感情で利益を失うバカにはなるな」

桜木(画面右)と矢島(画面左)

東大受験を控えて、不安や感情が抑えられない矢島。些細なことで自分を見失いそうな矢島に言ったセリフが「一時の感情で利益を失うバカにはなるな」である。情緒が不安定になることは誰しもあるが、その不安定な感情で利益を失うような真似だけはするなと教えている。感情をコントロールしながら、利益を自分の物にする視点が、受験にも社会に出ても役に立ってくると気づかされる心に残る言葉である。

本田美智子「信じたくないものを知る。本当の利益はそこにあるのよ」

銀行員として働いていた本田は、会社が倒産するという情報は全く知らなかった。そして、会社が倒産した経験から無知である自分を恥じた。そのことから矢島に伝えたセリフが「信じたくないものを知る。本当の利益はそこにあるのよ」である。信じたいものだけを信じることは何も得られないが、逆に信じたくないものを知ることは真実を知ることにつながる。情報に溢れた社会であるからこそ、自分で調べ本当に有益な情報であるかを見極めて行動していく必要がある。こうしていくことで、視野が広がりバランスよく物事を判断できるという自身の経験をかねた本田のセリフに重みを感じさせられる。

矢島勇介「競争って、結局は自分との闘い」

東大合格を目指し、少しずつ成長を続ける矢島であったが、成績が伸び悩み壁を感じている。そんな時に、自身で言った言葉が「競争って、結局は自分との闘い」である。他人と比較しても、成績が伸びることはない。自分自身で今の現状を見極めながら、進んでいくという根気が必要であり、それは自分との競争と例えている。自分の掲げた目標にどれだけ努力できているか、過去の自分と常に競争を続けていった先に成長があるのだと気づいた矢島の印象に残るセリフである。

矢島勇介「合格できるならどうにでも考え方を変えてやる」

自分の性格は変えるのが難しいが、物事の考え方や価値観は変えられる。そんな思いから矢島の言ったセリフが「合格できるならどうにでも考え方を変えてやる」である。過去に受験に失敗し落ちぶれていた矢島であったが、受験に対する考え方を改め「合格」に向けて本気になったと捉えることができる。このセリフから、矢島の成長と決心が感じられる。

柳鉄之助「勉強とは、まず己を知ることから始まるのだ」

勉強をする前に自分の得意不得意や、問題の解き方思考などを知っておく必要があることを伝えたセリフが「勉強とは、まず己を知ることから始まるのだ」である。自分のどこが良くてどこが足りてないかを分析することで勉強の効率が上がる。物事を考えすぎてしまうタイプか、うっかりミスが多いのかなど人それぞれで傾向が違うことを踏まえて数学教師の柳が、矢島と水野に最初に伝えたセリフである。

水野直美「そもそも問題は解かせないために作るんじゃない! 解いてもらわなきゃ問題にはならないんだ」

問題を作ることに挑戦した水野は、なんとか矢島に答えさせないように難しいものを考えていた。しかし、それは誤りだったと気づいた言葉が「そもそも問題は解かせないために作るんじゃない! 解いてもらわなきゃ問題にはならないんだ」である。道筋をたどればしっかりと答えることができる問題が良問であり、その問題は解いてもらう必要がある。受験問題は、受験生が解けるように、問題が作られていると気づいた水野が一歩成長したと思えるセリフである。

桜木と矢島のフリースロー対決

桜木は、矢島が本番に弱いタイプであることを証明するために矢島の得意なバスケのフリースロー対決を持ち掛ける。必ず勝てると勝負を受けるた矢島であったが、結果は桜木の勝ちであった。矢島は、1度フリースローを外すと動揺して、思ったようにプレイ出来ずに失敗を重ねてしまった。対して桜木は、初めから「だいたい6本ぐらい入ればよい」という心構えで臨んでいたので余裕があった。どんな状況でも実力を発揮できる「本番に強い人」になるには、自分が不安を抱いていることを自覚したうえで、誰にでもミスは起こりうると想定し、ミスを犯しても動揺しないように心の準備をすることが大切であることを説いた。「完璧を目指すな」というメッセージを込めたフリースロー対決はドラゴン桜で作者が伝えたいことの1つであり、心に残る名場面である。

矢島の講演会

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