ドラゴン桜(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ドラゴン桜』とは、2003年から2007年に講談社の『モーニング』で連載された、元暴走族の貧乏弁護士を主人公にした受験がテーマの漫画及び、それを原作としたドラマ作品である。偏差値36の龍山高校は落ちこぼれや不良ばかり集まる。弁護士の桜木健二は、受験のノウハウや心理的なテクニックを使い、龍山高校から東大合格者を出すことを目標に挑む。実用的な勉強テクニックであることから、学生のみならず親世代からも人気が高い。理論に基づいた正しい努力をすることで誰もが成功者になれるというメッセージが込められている。

『ドラゴン桜』の概要

『ドラゴン桜』は、三田紀房による作品であり、2003年から2007年まで、講談社の漫画雑誌『モーニング』にて連載された。元暴走族の弁護士が、学校の再建に奮闘し、落ちこぼれ学校を進学校にするという、受験がテーマの漫画及びそれを原作にしたドラマ作品である。2007年10月からも『モーニング』にて、この作品の続編にあたる『エンゼルバンク-ドラゴン桜外伝-』が連載を開始し、転職をテーマにしている。
『ドラゴン桜2』は2018年から2021年まで連載された。第29回講談社漫画賞、平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞。2021年7月時点で累計発行部数は800万部を記録しており、学生や子育て世代などを中心に人気となっている作品である。
『ドラゴン桜』の誕生のきっかけは、東大卒の担当編集者が「東大など簡単に入れますよ」と答えたことがきっかけであり、編集者で東大に行った同級生のつてを頼りながら勉強方法を聞き出して作品に反映されている。
弁護士である、桜木健二(さくらぎけんじ)は、龍山(りゅうざん)高校に赴任し、全校生の前で「バカとブスほど東大へ行け」と言い放つ。特進クラスを設け、1年で、東大合格させると約束する。特進クラスに来たのは、水野直美(みずのなおみ)と矢島勇介(やじまゆうすけ)である。2人とも半信半疑で始まった東大受験であるため、馬鹿にされた発言や、少し成績が悪いとすぐに諦めようとする。2人は、壁にぶつかりながらもその都度桜木のフォローもあり、次第に本腰を入れて勉強することとなる。科目に特化した東大受験の先生達が、ユニークな受験テクニックを用いて成績を上げるだけではなく、勉強を楽しいと思えるような工夫した授業内容となっている。
『ドラゴン桜2』では、早瀬菜緒(はやせなお)と天野晃一郎(あまのこういちろう)が東大特進クラスに入り、アプリやSNSを利用しながら勉強するという時代に合わせた受験方法を用いている。受験のノウハウだけではなく、子育てにおいての心得やメンタル強化の方法などのエピソードも盛り込まれており、カバーする領域が広く幅広い世代で人気となっている。
2005年にテレビドラマで放映され、幅広い世代で人気となった。2018年から2021年まで、『ドラゴン桜2』の連載を開始し、2021年には再度テレビドラマ化されている。韓国でも『ドラゴン桜』が放映されており、東大から架空の名門大学の天下大に場所を変え、主役の弁護士役には韓国映画を代表する俳優キム・スロがドラマに初出演しアクの強い弁護士を熱演している。

『ドラゴン桜』のあらすじ・ストーリー

ドラゴン桜

龍山高校特進クラス創設

受験のテクニックを語る桜木。

元暴走族で弁護士の桜木健二(さくらぎけんじ)は、経営難の龍山高校に債権者代理として乗り込んだ。自分が弁護士としての知名度を上げるためにこのまま、龍山高校を潰して仕事を終えるのはもったいないと考え、落ちこぼれの龍山高校を超進学校にするべく立ち上がる。立て直しには東大合格者という目に見える形での成果が必要であると述べる。「今年に東大合格者を出す」と言ってから特別進学クラスを設け、高校3年生に「バカとブスこそ東大に行け」と叫ぶ。みんながバカにする中で、特進クラスに入ったのは矢島勇介(やじまゆうすけ)と水野直美(みずのなおみ)であった。この2人の担任は桜木自ら担当し、各教科は桜木が招いた特別講師からの授業を受ける事となる。矢島や水野は最初「東大なんて本当に行けるのか」半身半疑であったがやってみることとなる。
特進クラスの講師として最初に来たのは数学の柳鉄之助(やなぎてつのすけ)である。柳はかつて数学の鬼として柳塾を経営し、詰込み教育をメインに受験生達に恐れられていたが、時代に合わないとのことで柳塾の看板を降ろした。そこで、桜木が声をかけて数学担当となった。柳は計算100問を10分で満点が取れるまでやり続ける指導をした。また、卓球暗算を用いて、相手が出した問題を卓球の球を返すように瞬時に答えを言うという勉強法を説明した。数学の基礎学力がついてきたところで問題解答同時プリントを用いて、東大受験レベルまで数学の知識を詰め込んでいく。次に英語の講師の川口洋(かわぐちひろし)がやってきた。英語はビートルズなど音楽を使って楽しく覚えるというユニークな勉強法で生徒達の英語嫌いを克服していく。楽しそうに英語を学ぶ姿を見ていた龍山高校の教師井野真々子(いのままこ)は、川口の教え方には気に入らなかった。そこでどちらが特進クラスの講師にふさわしいか、特進クラスの生徒VS井野が選んだ生徒で英語対決をすることとなる。

英語対決

特進クラスが、文法を無視した実践的な授業を行うことに反感を抱く通常クラスの教師である井野は、特進クラスの川口に対し、英語の指導をかけて「4コマ漫画を英文で説明する」という勝負を申し込む。簡単で知っている文法を使って埋めていく特進クラスの矢島と水野。一方井野が選んだのは栗山祥太(くりやましょうた)と西崎麻美(にしざきあさみ)という生徒だった。西崎は最初から勝負を諦めていたが、栗山は元々成績が優秀な生徒であり、井野は「必ず勝てる」と熱心な指導を行って勝負に挑んでいた。
しかし、難しい文法を使い、スペルミスが目立ち減点が多くなる。一方、簡単な文法であるが、スペルのミスがなく減点できない特進クラスの水野と矢島が得点を上回り勝利する。かんたんな英語でもミスが無ければOKの東大英語式・減点法が勝因であった。

受験勉強加速

国語の講師には、芥山龍三郎(あくたやまりゅうざぶろう)が就任した。国語は全ての教科の基礎であることから、国語の授業時間を増やして欲しいと提言する。国語は「読解力」が身につき、他の問題を解く際には必要な力であることを述べる。今まで、物事に対して何も考えてこなかった矢島と水野は、身の回りに溢れているものから「なぜこうなっているのか」という疑問を持ち、分からなければ調べることとする。そうして、国語の力をグングン伸ばしていった。
また、理科の講師には阿院修太郎(あいんしゅうたろう)を迎え、阿院の物理としてイラストを交えてわかりやすく物理の勉強を教える。「理科っておもしろい」というところから始まり、理科の楽しさを伝えていく。「精子と卵」という性を持ち出したテーマで水野と矢島の興味を引き出していく。社会では、桜木の予算が足りずに自分が講師をすることになった。スクラム勉強法と言い、ラグビーのスクラムをイメージして協力しあって勉強していくという方法である。社会の担当の範囲を決めて、担当箇所を分かりやすくまとめていき、それを配っていく。

水野と矢島の成長と挫折

成績が伸び悩み落ち込む矢島と水野。東大模試でも最低ランクのEランクとされ、成果が発揮できない。そんな中で、桜木は定期テストでは水野と矢島を競わせることにする。それに反発し授業をサボる矢島であったが、水野が「矢島がいなくて1番になっても意味がない。正々堂々と戦って勝って1番になりたい。負けても自分の実力だと納得できる」と一緒に競うことを説得し特進クラスに戻ってくる。2人を子供扱いせずに、精神的に自立することを期待した桜木の作戦は成功し、定期テストが終わった時には勉強の達成感を味わった。1年間の受験勉強を通して不安な時期を乗り越えながら成長していく。そして、受験に対しても考え方が変わってきているようで「合格できるならどんな考え方だって変える」と受験勉強前とは違う価値観をも身につける。

大沢賢治と本田美智子の登場

東大模試で東大理Ⅲを受験する予定のエリート大沢賢治(おおさわけんじ)と出会った水野。何でもこなせる「宇宙人」であると感じる。そんな大沢の出会いから勉強を教えてもらったり、自分の勉強法を教えたりと一緒に東大合格に向けて走り始める。そんな水野を見て、矢島は大沢に対して嫉妬心が抑えられないが、「受験一直線に行く」と宣言し勉強する。矢島は、現役東大生の本田美智子(ほんだみちこ)を家庭教師として迎える。親から勧められた家庭教師に反対していた矢島であったが、本番に弱いタイプであると矢島の欠点を見抜いたことで桜木が本田の家庭教師としての資質を感じそのまま続けてもらうことを提案する。本田は、以前は銀行に勤めていたが、その銀行が倒産し何も知らない無知の自分を恥じた。それから、猛勉強して東大に入り、知らなかった物事を知っていくことから始めた。矢島の他にも京都の教え子である松本エリカ(まつもとえりか)がいる。水野と大沢、矢島と松本で東大受験に挑み、切磋琢磨するようになる。

東大受験と合否発表

センター試験を目前にして、スランプに落ちていった水野。そんな水野に桜木は、過去に自分がどれだけ勉強したのかを振り返りさせることで自信を取り戻させた。一方矢島は、柳の指導方法に納得が行かずに教室を飛び出した。「東大受験を辞める」と言い放ったが、家庭教師の本田から失敗から学ぶことが大切と言われ、柳に謝罪し特進クラスに戻ってくる。成績と共に精神的にも成長した2人は、センター試験当日に自分の中の「大爆発」を感じ、東大足切りラインの700点を超えるのであった。足切りは免れたものの東大合格にはギリギリの難しい点数であったため、焦った桜木はそこから「3日間不眠の強制合宿」を開始した。合宿を乗り切り東大の2次試験に挑んだ矢島と水野。「東大なんて無理」と反対する矢島と水野の親であったが、本人達の本気度から、次第に家庭環境にも変化がみられ子供を応援するようになる。試験でミスをした水野は試験1日目が終わった直後は、落ち込み学校に向かう。一方矢島は自信があったのか、学校には来なかった。桜木は、自信がない水野の方は安心したが、学校に来ない矢島に対しては心配していた。それは、自信がない方が出来ている可能性が高いというのを桜木は知っていたからだ。そうして、東大の合格発表日になった。水野は無事合格し、矢島は不合格となった。そして、矢島はもう少しで手が届きそうだったことを知って、来年もう1度チャレンジすることを決意するのである。

ドラゴン桜2

龍山高校東大専科創設

東大を卒業して、弁護士となった水野は、桜木の補助として働いている。龍山高校の東大合格者は0人となり、落ちぶれていた。そんな中で桜木が再び立ち上がり、かつての卒業生の水野と共に龍山高校から東大合格者を出す指針を掲げる。東大専用の受験クラスである「東大専科」を設け、生徒達が来るのを待つ。そこに、頑張れる人になりたいと考えた早瀬奈緒(はやせなお)と考えずに動いてみようと行動を起こした天野晃一郎(あまのこういちろう)の2人が入った。担当講師は水野となり、特別講師を招いたり、スマホアプリで学習していく方法で東大合格に導いていく。東大専科に入った2人はそれぞれ桜木の指示を受ける。早瀬は「毎日Twitterで英作文を投稿する事」、天野は「毎日YouTubeで英語での動画配信をする事」だった。始めはどうしたら良いか分からない2人であったが、指示通り更新を続けていく。そして、かつて水野に教えていた方法を変えて「頑張らない」勉強方法を伝える。モチベーションを維持し続けるために「頑張る」には限界がある。そのことから「頑張らない」ように指導する。飽き性という問題を抱えていた早瀬は東大専科を辞めると言い出したが、桜木に「自分が幸運であることに気づけ」と言われたことと、センターの過去問で思った以上に点数が取れたことから再度やる気になる。一方天野は、センターの過去問であまり点数が取れずに意気消沈し、東大専科を抜けようとするが行動を起こせずにそのまま踏ん張っている状態である。早瀬と天野はまったくタイプの異なる2人だが、それぞれの性格に応じた、人生の障害になり得る要素を持っている。桜木はそれを適切に見抜き、彼らに応じたフォローによってモチベーションの向上を図ろうと行動していく。

早瀬と天野の成長と挫折

「東大専科に入って失敗したかも」と落ち込む天野。何事も恐れずに何でも立ち向かい要領よくこなしていく弟とは反対に、失敗が怖く慎重に行動しようとしたあげくに行動できずにいる天野は、自分に対する劣等感を感じていた。そして勉強しても成績が伸びないタイプであると分かる。早瀬は、順応性は高いが、飽きっぽくて分かった気になってしまうタイプである。そんな性格から、東大受験は無理と諦めることが何度もあった。桜木は2人の性格を変えようと合宿を敢行する。数学講師の柳先生や英語のリスニング講師の明美先生、国語のスペシャリストの太宰府先生も加えて成績を伸ばし自信につなげることで、徐々に2人の考え方を変えることに成功した。「弟に負けたくない」と腹をくくった天野と、東大を「ファッションアイテム」と捉える早瀬は、本気で受験に取り組み始め成績も順調に伸びてくる。

小杉麻里と藤井遼

難関大コース文系トップの小杉麻里(こすぎまり)は東大受験を拒んでいた。しかし、担任から「絶対合格させる」と言われ、腹をくくって勉強し始める。小杉は、何をやっても要領よくこなして常に成績はトップで東大模試もA判定である。しかし、自分の勉強方法で今後も進めていっても良いのか不安に思う。東大専科の型破りな授業が気になる様子である。そうした中で、早瀬は以前から小杉のことを尊敬しており、2人で入試に向けて話をするようになる。東大専科で学んでいることや小杉の勉強方法などをお互い参考にしながら前へ進んでいく。早瀬にとっては、東大受験の力強い仲間ができた。
難関大コース理系トップの藤井遼(ふじいりょう)は、東大受験は早々に決めていたものの東大模試では思ったような良い判定がでない。東大専科の天野のことは見下し、担任とも上手くやっていけない。そうした藤井の性格から、桜木は「お前は東大に落ちて、天野は受かる」と伝える。意地っ張りな藤井は、桜木に反論する。「その性格を直さない限り東大合格は無理だ」と再度伝え、素直でない藤井の性格を改めるように言う。

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