アンデッドアンラック(アンデラ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『アンデッドアンラック』(公式略称:アンデラ)とは、日本の漫画家・戸塚慶文による少年漫画。2020年に『週刊少年ジャンプ』にて連載が開始。同年、「次にくるマンガ大賞 2020」にてコミックス部門1位を受賞して一躍話題となった。2022年8月にTVアニメ化が発表され、翌2023年7月に放映が開始される。
主人公・出雲風子(いずも ふうこ)は、相手に生身で接触すると相手に不運が起きる特殊な能力「不運(アンラック)」の否定者。そんな風子が「不死(アンデッド)」のアンディと出会い、物語は幕を開ける。

『アンデッドアンラック』(アンデラ)の概要

『アンデッドアンラック』とは、日本の漫画家・戸塚慶文による少年漫画。公式略称は『アンデラ』。ジャンルは、ヒーロー、バトルアクション、ダークファンタジーなどに分類され、恋愛要素も含んでいる。

2020年に『週刊少年ジャンプ』にて連載が開始。物語には、ヒーローとヒロインが出会い互いの絆を深めていく恋愛要素、異能力者達のが互いの信念を賭けて戦うバトル要素、思わずクスッと笑ってしまうコメディ、世界の運命を揺るがす壮大な物語など、漫画の王道とも言える要素が満載。ストーリーの展開速度が実に軽快であり、次から次へと予測不能な展開が引き起こる。このストーリーのテンポの良さも本作の魅力の1つであり、短い話の中で濃厚なストーリーが繰り広げられている。世の中の理(ルール)を否定する、否定者(ひていしゃ)という異能力者という設定も目新しく、魅力的だ。

連載開始から人気を獲得し、連載を開始した2020年には「次にくるマンガ大賞 2020」にてコミックス部門1位を受賞して一躍話題となった。2021年には、「第5回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞」7位を受賞している。さらに人気は上がり続け、2022年8月にはTVアニメ化が発表された。2023年7月に放映が開始される。

世の中の理(ルール)を否定することで特殊な能力を使用することができる否定者(ひていしゃ)という異能者がいる世界。主人公・出雲風子(いずも ふうこ)は、好意を持つ相手に生身で接触すると相手に不運が起きる特殊な能力「不運(アンラック)」の否定者だった。風子は8歳の時に「不運」の能力で両親を含む200人以上を巻き込んだ飛行機事故を起こしてしまう。そこから10年間、人と触れ合うことを避けて生きてきた。そんな風子は愛読していた少女漫画『君に伝われ』の完結を機に、人生を終わらせることを決める。自殺をしようとしたその時、風子はもう1人の主人公、「不死(アンデッド)」の否定者・アンディと出会った。アンディは風子の「不運」で最高の死を迎えるために、風子と行動を共にするようになっていくのだった。

『アンデッドアンラック』(アンデラ)のあらすじ・ストーリー

風子とアンディの出会い

主人公である18歳の少女・出雲風子(いずも ふうこ)は、素手や素肌で触れた相手に不運を引き起こす体質を持っており、8歳の時に両親を含める270名を巻き込んだ飛行機事故を起こしてしまった。以来、風子は人と触れ合うことを避け、10年間ずっと引きこもりの生活をしてきた。ある日、ずっと愛読していた少女漫画『君に伝われ』が完結。風子はそれを機に自殺することを決めた。橋の上から線路に飛び込もうとする風子。その騒ぎに集まった野次馬の中の1人が風子に近づいてきた。その男性は上半身が裸で額にカードのようなものが刺さっている、変わった男性だった。男性は風子に興味があったようで、ずんずんと近づいてきて風子に触れる。するとその男性に不運が訪れ、男性は電車に轢かれて死んでしまった。

男性が死ぬのを見た風子は、また自身の体質のせいで人を死なせてしまったたと悲しむ。しかしそこに男性の首が転がってきた。男性は首だけになっても生きていた。そして首から身体が全て再生。風子はそれを見てゾンビだと悲鳴をあげて逃げようとする。しかし、男性は風子を逃さなかった。男性は自分は「不死(アンデッド)」あり、死ねない身体であることを告げ、自分に本当の死をもたらす存在を探していた。風子の体質に目をつけた男性は、風子を連れてアジトへ帰り、能力の検証を始める。

そこへ突然黒いスーツに身を包んだ男達が現れた。スーツの男達は首だけになった男性を特性のカプセルに閉じ込め、風子に手錠をかける。訳の分からない風子にスーツの男達のリーダー格の男性は、自分たちは否定者(ひていしゃ)やUMA(ユーマ)を捕獲、処分するための組織の人間だと告げ、風子のことを「不運(アンラック)」と呼んだ。否定者やUMAが何かわからない風子は、状況が飲み込めない。飲み込めないながらも、このスーツの男達よりも不死の男性のほうが自分をよほど人間らしく扱ってくれることだけはわかった。

閉じ込められていた不死の男性は、落雷によってカプセルから逃げ出すことに成功。風子はこの状況を打破するために、自身の知る最大の不運を呼ぶ方法を実行する。飛んできた不死の男性の頬にキスをしたのだ。「くるよ!不運が!!」と言い、風子はアジトから逃げ出す。するとアジトに隕石が落ちてきた。その光景を見て不死の男性は、「いいねぇ!!最高だ!!」と叫び、隕石を受けた。隕石によって風子達を捕まえに来たスーツの男達は全滅。不死の男性は、生きていた。駆け寄ってきた風子に不死の男性は、「いい不運だった」と笑いかける。その言葉が嬉しくて、風子は笑った。

風子は不死の男性にあらためてきちんと自己紹介をする。男性のほうは記憶がないらしく、自身の名前を知らないという。そんな男性に風子は不死(アンデッド)からとったアンディという名前をつけた。

こうして風子とアンディが最高の死を探す物語が始まった。

「ユニオン(UNION)」への加入

風子の呼ぶ不運で最高の死を迎えるため、アンディと風子は共に行動するようになる。その中で不運の大きさは相手への好感度によることがわかったアンディは、風子を自身に惚れさせるために、組織の否定者(ひていしゃ)から風子を守りながら旅をすることを決めた。否定者とは、この世の「理(ルール)」を否定することで超常的な力を発揮する人間のことだ。風子は「運」を否定し、アンディは「死」の否定者ということになる。

アンディ達の元に新たな刺客はすぐにやってきた。突然空にヒビが入り、特殊なスーツに身を包んだ大柄な男と、中華風の装いをした青年が現れたのだ。2人とも何かしらの否定者である。アンディはボイド=ボルクスという「不可避(UNAVOIDABLE/アンアボイダブル)」の否定者と交戦、風子はシェンと呼ばれた中華風の青年によって動きを拘束されてしまった。シェンは気さくな性格で、風子にいろいろと話をする。話の中でシェン達が所属する組織・対未確認現象統制組織「ユニオン(UNION)」に入れば、自分達が追われないのではと気がついた。風子のその発想に乗ったアンディは、ボイドを殺して1席を確保する。シェンも殺して席を奪おうとしたが、シェンの否定能力がわからず、倒すことができなかった。

シェンはアンディと風子が気に入り、もう1人、「ユニオン」の否定者を殺すことができれば、自分が2人を「ユニオン」に推薦することを約束する。数日後に物の変化を否定する「不変(UNCHANGE/アンチェンジ)」の否定者ジーナ=チェンバーがロシアで任務に当たるという。アンディと風子はロシアに渡り、ジーナと戦った。そしてジーナを倒して、ボイドを倒したのと合わせて2席を確保することに成功した。ジーナを倒した後、アンディと風子の頭上の空間にヒビが入り何かで出てきて、2人は連れ去られた。そして次の瞬間、円卓が置かれた不思議な部屋へと移動していた。そこは「ユニオン」に所属する否定者が一堂に会する円卓の間だった。

アンディと風子は無事に「ユニオン」に入ることができた。そこで風子は様々なことを知る。「ユニオン」に所属する否定者達は円卓メンバーと呼ばれ、序列が決まっている。組織を変えたいのであれば、円卓のNo.1の席に着くしかない。そして円卓のメンバーが全員席に座ると、古代遺物(アーティファクト)「黙示録(アポカリプス)」が目を覚ます。黙示録(アポカリプス)は、3ヶ月に1度、目を覚まし、円卓のメンバーに様々なクエスト(課題)を出す。クエストを成功させれば報酬がもらえ、失敗すればペナルティ(罰)を受ける。

風子は理(ルール)についても教えられた。「性別(セックス)」、「言語(ランゲージ)」、「人種(レイス)」、「死(デス)」、「病気(シック)」など、様々なものがあり、クエストに失敗すれば新たな理(ルール)が世界に足されるのだ。何もしなければ3ヶ月に1度、理(ルール)が世界に増えてく。しかし理(ルール)が増え続けることは、世界の終わりを意味していた。「ユニオン」は世界の終わりを防ぎ、黙示録(アポカリプス)の向こう側にいると思われる創造主(神)を倒すために活動しているのだった。

風子とアンディもこれから「ユニオン」の否定者としてクエストに挑戦していくのだった。

UMA・スポイル(腐敗)の捕獲

風子とアンディは、シェンと3人で、UMA(ユーマ)・スポイル(腐敗)の捕獲任務へ行くことになった。UMAとは、特定の理(ルール)を司る神が生み出したモンスターのような存在である。自身の縄張りを持ち、それに入った人間に強制的に理(ルール)を課して苦しめるのだ。

スポイルがアメリカのロンギングという町にいることがわかった風子達は、早速ロンギングに向かう。ロンギングの町の中にはゾンビで溢れかえっていた。アンディとシェンは早速スポイルと戦いを開始する。シェンの相手の「真実」を否定する「不真実(UNTRUTH/アントゥルース)」の能力でアンディ達が優勢だったが、スポイルがフェーズ2と呼ばれる次の段階に進んでしまい、今度はアンディ達が苦戦を強いられることになった。アンディはスポイルを倒すためにシェンの提案で、額に刺さっているカードを抜くことにした。アンディの額のカードは、アンディの脳に栓をしている状態であり、栓を開けるとアンディが長年培っていた経験や力が一時的に発揮できるのと同時に、アンディの内なる人格・ヴィクトルを呼び覚ますことができる。アンディはシェンの提案を飲み、額のカードを抜いてヴィクトルを起こす。そして、ヴィクトルの圧倒的力で、スポイルの核を取り出すことに成功。クエストは無事に完了した。

否定者狩り「アンダー(UNDER)」と11人目の円卓メンバー

風子達はクエスト(課題)に成功したが、別のクエスト「否定者『不可視(UNSEEN/アンシーン)』の捕獲」に失敗してしまう。「不可視」の否定者は、「否定者狩り」と呼ばれる別の組織に取られてしまったのだ。全クエストの達成に失敗したペナルティ(罰)として、UMA(ユーマ)・ギャラクシー(銀河)が世界に追加される。それによって宇宙に太陽と月以外の星が生まれ、それによって曜日の概念や星にまつわる神話などが世界に追加される。そして別の星が生まれたため、地球外生命体がいるという発想も追加された。これで理(ルール)が世界に足されたのは99回。黙示録(アポカリプス)と同時に発見された石板によれば、101個目のペナルティは世界を滅ぼす「ラグナロク」だ。これを回避するためにも、これ以上の失敗は許されない。

クエストの報酬で、円卓に11人目の枠が追加され、戦力増強のために新たな否定者を探す「ユニオン」。調査の結果、ブラジルで行われる黒競売(ブラックオークション)に否定者がいる可能性が高いとわかった。現地で「不可触(UNTOUCHABLE/アンタッチャブル)」の否定者タチアナと合流した風子とアンディは、偽造IDでオークション会場である豪華客船に乗り込む。そこで他者の「動作」を否定する「不動(UNMOVE/アンムーブ)」の否定者・重野力(しげの ちから)と出会った。そこには「ユニオン」と同じく否定者である力を狙う「否定者狩り」、正式名称「アンダー(UNDER)」もやってきていた。

アンディは、風子と力、タチアナと協力して「アンダー」を撤退に追い込む。力はその後、「ユニオン」に円卓メンバーNo.11として加入した。

ビリーの裏切り

2020年12月1日。100個目のペナルティ(罰)がかかったクエスト(課題)が発動する。今までのクエストは、円卓メンバーの参加しか認められていなかったが、このクエストは全人類が参加することが許された。四季を司る4つのUMA(ユーマ)が標的である。スプリング(春)の討伐、サマー(夏)の討伐、オータム(秋)の捕獲、ウィンター(冬)の討伐の4つのクエストがオープンされた。その内容を聞いた、円卓メンバーNo.3のビリー=アルフレッドは、「ユニオン」のボスであり、円卓No.1のジュイスに、倒すだけでいいのでれば核でも撃ち込めばいいと提案。円卓の間に不穏な空気が流れ始めた。核を打ち込めば当然多くの罪のない人間が巻き込まれる。しかしビリーは「でも それだけじゃないか」と答えた。そしてビリーは武器である二丁拳銃をメンバーに向けて発砲する。ビリーは、「アンダー(UNDER)」のボスであり、「ユニオン」を裏切ったのだ。

ビリーは自分達ばかりが否定の業(ごう)を背負わされ、他の人間が安穏と生を享受しているのが許せなかった。「そうでなければ…不公平(アンフェア)だろう?」とビリーは言い、「ユニオン」が捕獲していたUMA(ユーマ)・バーンを使って円卓を奪っていこうとする。円卓を奪われてしまえば、クエストをクリアしても意味がない。アンディや風子を始めとする「ユニオン」のメンバーは、円卓を取り戻そうと力を尽くした。なんとか黙示録(アポカリプス)を取り戻したが、円卓は結局「アンダー」に奪われてしまった。ジュイスは円卓のメンバーを集めて、自分がずっと隠してきたことを話し始める。

風子達がいる世界は何度も破壊と再生を繰り返していた。ジュイスはこれをループと呼んだ。世界に理(ルール)が100回足されれば「ラグナロク」が起き、地球そのものが破壊される。そして同じ宇宙に新たな地球が造られる。「ユニオン」はその連鎖を断ち切るためにジュイスが作ったのだ。何故ジュイスがそのことを知っており、風子達他の否定者はその事実を知らないのか。それはジュイスがアークに乗って次の世界へ次の世界へと移動を繰り返してきたからだ。そしてもう1人、アンディの中に眠るヴィクトルもそのことを知っている。「不死」の否定者であるヴィクトルは地球が破壊された後、地球が人の住める環境になる度に地球へと引き寄せられ、ジュイスと共に神による世界の破壊を防ぐために戦ってきたのだ。

真実を聞き、円卓のメンバーは改めて「ユニオン」として世界の破壊を防ぐために活動を続ける覚悟を決める。そんな中、ジュイスは風子とアンディにとある任務を依頼する。それはある本が古代遺物で描かれた予言書であるかどうかを確かめることだった。そのある本とは、風子が人生のバイブルとして愛読し、アンディやタチアナ達にも布教した安野雲(あんの うん)が描く少女漫画『君に伝われ』だった。少女漫画でありながら、SFやバトルの要素もあるこの『君に伝われ』の内容は、ところどころ風子達が体験した戦いを示しているようにも見える。風子とアンディはそれを聞き、早速作者の安野に接触するために動き出した。

安野雲による修行

風子は新人漫画家を装って、集英社の本社に入ることに成功し、安野雲(あんの うん)と接触することができた。そして風子とアンディは安野に指定されたカナダのスタンレーパークにへと向かった。安野は未来を教える代わりに、自身の課す修行を受けるようにアンディと風子に言う。2人は安野を信じて修行を受けることにした。

攻撃を加えた相手を本にするUMA(ユーマ)・オータム(秋)の力を使って、アンディを本にする。その本にはアンディの人生の全てが描かれていた。安野はその本の中に風子の魂を送り込む。そして風子は、昔のアンディに出会った。その頃のアンディは仲間と共になくした記憶を取り戻す旅をしていた。風子はアンディの仲間としてたくさんの出会いと別れを繰り返す。風子と過ごす日々の中でアンディの「死」に対する理解が変わっていった。また同時に風子の中でもアンディに対する理解が深まる。互いを深く理解し、自身の能力に対する解像度が上がったことで、2人の能力が性質を変え、進化するに至った。

UMA・オータムの捕獲

本の中で互いの理解を深めた風子とアンディの力は格段に上がっていた。それでもまだUMA(ユーマ)・オータム(秋)には届かない。そこで風子達はその場に来ていた「アンダー」のメンバー、リップ、ラトラ、「不出(UNBACK/アンバック)」の否定者バニー(本名:バックス)と協力してオータムと戦おうと提案する。しかしリップはそれを了承しなかった。連携も取らずに戦い続けたため、なかなか決定打がない。

そんな状況を打破するため、安野はこの戦いに勝つための最終兵器を「Gライナー」で描いた。人間の身体の時間を操作する古代遺物(アーティファクト)「ライフ・イズ・ストレンジ」だ。ブラジルの黒競売の時にアンディに重症を負わされたリップは、この古代遺物を使って身体を若返らせることで一命を取り留めていた。その代償として子供のサイズになっている。安野は「ライフ・イズ・ストレンジ」を描いて、リップの身体を15年進ませ、元の年齢まで戻した。しかし「ライフ・イズ・ストレンジ」は、使用者が操作した時間の10倍の変化を受けることになる。15年時間を巻き戻したため、安野は150年分年老いてしまった。古代遺物を描いたため、「Gライナー」も限界。安野は「後は任せたよ ボクのカッコいいヒーロー達」と言い残して消滅した。それを目の当たりにしたリップは風子達と協力することを決意。風子達はオータムの捕獲に成功した。

UMA・サマーの討伐とシェンの過去

風子とアンディはオータムを捕獲した足で、UMA(ユーマ)・サマーのいる台湾へ向かう。そこでシェンとムイと合流した。サマーは成長するために火薬を求める傾向にあり、シェン達はエサの花火を大量に準備して迎え撃つ準備ができていた。そこに「アンダー」のメンバーの1人・ファン=クーロンが現れた。ファンは殺した相手を珠に封じてキョンシーとして操る古代遺物「死亡遊戯(しぼうゆうぎ)」を使って、過去の武人を召喚して戦う。戦闘狂のシェンは過去の猛者と戦えることを喜び、キョンシーやファンと戦うことを決めた。

戦いの中、シェンはファンに違和感を覚える。ファンが使う武術が自分の知る人物のものと良く似ていたからだ。それもそのはず、ファンはシェンに武術を教えた師匠だったのだ。そしてファンの妹メイの死ぬ原因を作った仇でもある。シェンはメイの仇を討つためにずっとファンを探していた。シェンの知るファンは70も超える老齢だった。しかし目の前にいるファンは年若い青年だった。ファンは古代遺物「イフ・イズ・ストレンジ」でリップに使い、その代償として若返ったのだ。シェンが動揺している間に、ファンはシェンに攻撃を加える。そしてムイを連れ去った。絶望の度に強くなるシェンの次の段階を見たくてムイを殺そうというのだ。さらにファンはサマーの成長の手助けもする。ファンはシェン以上の戦闘狂で、「最強」であることに強く執着している。そのため強者を育てては戦いを挑み殺すのだ。それが人間でもUMAでもファンには関係ない。

シェンはアンディや風子と一緒にムイを助けようとする。しかし、ファンの技からムイと風子をかばって、シェンは瀕死の重症を負ってしまった。そこでシェンはアンディと風子にファンから古代遺物「死亡遊戯」を奪ってもらい、その上でムイに自身を殺してもらった。「死亡遊戯」を持つムイに殺されたことで、シェンは一度死に、ムイのキョンシーとしてこの世に蘇る。シェンが死んだことによって失われた「不真実」の否定能力はムイに継承された。シェン達は4人で力を合わせてファンを倒すことに成功した。

その後、サナギのような状態だったサマーが羽化を始める。風子、アンディ、シェン、ムイに、トップと力、タチアナも加わった。そして総力を挙げてサマーの討伐を完了した。しかしその瞬間、真夏のような天候だった台湾が吹雪に見舞われる。世界から夏がなくなったことで、ウインター(冬)の力が強まったのだ。すぐにでもウインターを討伐しなければ、世界の気温がどんどん低下してやがて人が住めなくなってしまう。ウインターを押さえている「アンダー」はウインターを討伐したければ、「不運」の否定者である風子を差し出せと要求してきた。風子はそれに従い、自ら「アンダー」の手の内へと落ちていった。

UMA・スプリング(春)の討伐

風子を「アンダー」に連れさられたアンディ達は、風子奪還とUMA(ユーマ)・スプリング(春)の討伐の作戦を並行して考える。「アンダー」のアジトに捕らえられた風子は情報収集に務めた。そして「アンダー」がスプリング討伐を行う日程をなんとかアンディ達に伝える。2020年12月24日、新宿にいるスプリングを風子の不運を使って討伐する。それが「アンダー」の作戦だった。

12月24日、新宿にはそれぞれ思惑を持った「ユニオン」と「アンダー」のメンバーが集結。風子の争奪戦をしながら、スプリング討伐をそれぞれが目指した。スプリングは賽の目など、ギャンブル要素のある古代遺物を使ってくる。それに勝つにはやはり「運」を否定する「不運」の否定者・風子だけなのだ。メンバーは風子にスプリング討伐を託した。スプリングは風子に羽子板など日本の昔の玩具を模した古代遺物で3本勝負をすることを提案してきた。1戦目は独楽、2戦目は十三人一首(百人一首)、そして最後は賽の目(チンコロ)での勝負だ。みんなの命を賭け金として、風子はスプリングとの勝負を繰り広げ、最後に見事勝利する。スプリングの討伐は成功した。

人間のことを好きだったスプリングに死(消滅)を与えて落ち込む風子をアンディが元気づける。そして風子が元気を出そうと笑った瞬間、風子の胸が背後から何者かに貫かれた。

風子の死

風子を刺したのは、「不滅(UNRUIN/アンルイン)」の否定者・ルイン。ルインは神に否定の業を背負わされたにも関わらず、神に心酔する異端者だった。神に届きうる否定能力を持つ風子が殺し、満足気な表情を浮かべてルインは姿を消した。目の前で風子を殺された「ユニオン」と「アンダー」のメンバーは、風子の命を長らえさせるために協力。ジュイスが突然夜空に向かってルナ(月)に取引を持ちかけた。そしてアンディと風子は1週間後の、クエスト報酬としてゴースト(霊)が追加された世界に飛んだ。ゴーストが追加される前の世界は魂の概念がなく、肉体が死ねば完全な「死」となる。ゴーストの概念がある世界に来たことで、風子の身体は延命することができた。

しかし何故かUMA・ゴーストが風子の霊体を連れ去ってしまった。アンディは「ユニオン」を離れて単身風子を探す旅に出る。その間、世界は崩壊に向かって進んでいた。100個のペナルティが追加されたことによって「ラグナロク」が起きるのだ。「ユニオン」のメンバーは少しでも世界の破滅を遅らせようとした。しかしそんな中、「ユニオン」の科学者で「不忘(UNFORGETTABLE/アンフォーゲッタブル)」の否定者ニコが組織を裏切った。アンディの魂を差し出せば、死んだ妻、「不眠(UNSLEEP/アンスリープ)」の否定者イチコ=ネムリの魂をくれるとルインに言われたからだ。アンディは基地に戻り、ニコと戦い、苦戦を強いられながらもニコに勝つことができた。そして風子の魂を取り返して蘇生に成功する。

風子は魂の状態で周りに起きた出来事をずっと見ていた。優しい人が死んでいくこの世界が許せない。風子とアンディは2人で次の世界へループすることを決意した。

「ラグナロク」発動

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