ヴァイオレット・エヴァーガーデンの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とは、暁佳奈による小説で、アニメ化もされているファンタジー作品である。戦時中、武器として生きてきた少女ヴァイオレット。ヴァイオレットは、慕っていた少佐ギルベルトから、別れ際に言われた「愛してる」の意味が理解出来ずにいた。戦後、ヴァイオレットは、手紙を代筆する仕事に出会い、「愛してる」の意味を知っていく。手紙の依頼主が抱える胸の内や、それに向き合った代筆屋たちの言葉は、多くの読者を感動させた。今回は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の名言や名セリフを紹介する。

ヴァイオレットに感謝を伝えるギルベルト。

ヴァイオレットは、ギルベルトに連れられて、メヒティッヒの感謝祭に来ていた。ガルダリク軍に3年間占領されていたメヒティッヒが解放されたのは、ヴァイオレットの功績でもあると話すギルベルト。ギルベルトは、この感謝祭は、感謝を捧げる人に贈り物をする習わしがあるのだ、とヴァイオレットに説明する。そして、ギルベルトはヴァイオレットに欲しいものはないか、と問う。ヴァイオレットは、ギルベルトが命令するなら物を欲しがる、と答えた。命令としてではなく、個人的な気持ちとして受け取ってほしいギルベルトは「命令じゃ、ない。私が君に、感謝、したいんだ」と呟く。ギルベルトが、ヴァイオレットを武器としてではなく、1人の少女として見ていることが分かる名セリフだ。そう言いながらギルベルトはヴァイオレットの方を向く。ヴァイオレットの身体は傷や痣だらけでボロボロだった。ギルベルト自身でも、ヴァイオレットを武器としてではなく人間として接しているつもりだったが、その身体を見て、自分がやっていることは他の兵士と同じく、この少女を武器として戦場に放り込んでいるだけだと感じ、たまらず目を逸らす。ギルベルトの優しさ、誠実さ故の葛藤が伝わる名シーンである。

「今でも、君を愛している。側にいて欲しい、ヴァイオレット」

ヴァイオレット(左)を抱きしめるギルベルト(右)。

ギルベルトが生きているかもしれないと知り、エカルテ島に向かったヴァイオレットとホッチンズ。ギルベルトは名前を変え、島の学校の先生をしていた。なんとしてでも、ギルベルトに会おうとしたヴァイオレットだが、ヴァイオレットを戦場に出してしまった罪悪感を抱え続けていたギルベルトは、頑なにヴァイオレットと会おうとはしなかった。人の感情を理解できるようになったヴァイオレットは、自分の存在がギルベルトを苦しめてしまっていると、理解する。その日は会うことを断念したヴァイオレット。そんな中、以前ヴァイオレットが手紙を代筆し、自分が死んだ日に家族に手紙を渡して欲しいと依頼され、約束をしていたユリスという少年が、危篤になったと連絡が入る。島から動けないヴァイオレットに代わり、アイリスとベネディクトが奔走し、依頼を成し遂げた。今の自分がやるべきことを実感したヴァイオレットは、ギルベルトと会うことを諦め、手紙を書いて、島を去ることに決める。島からの船に乗っていたヴァイオレットの耳に、ギルベルトが自分の名前を呼ぶ声が届いた。ギルベルトは、ものすごい勢いで、海に走ってくる。ヴァイオレットは、船から、海に飛び降りた。海の中で、2人は再会を果たす。ギルベルトは、ヴァイオレットを戦場に出したことを悔いていることを話し、そして、「今でも、君を愛している。側にいて欲しい、ヴァイオレット」と言う。泣きじゃくって、何も言えないヴァイオレットをギルベルトは抱きしめ、「ずっとこうしたかった」と言った。ギルベルトの一途な想いが分かる名セリフで、2人の想いが通じ合う名場面である。

カトレア・ボードレールの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「武器?…そうよね。私たち働く女性が、社会に出て、戦うためのね」

タイプ練習をするヴァイオレット(左)と進捗状況を確認するカトレア(右)。

ヴァイオレットが、ドールという手紙を代筆する仕事に興味を持ち、ドールになるべく勉強を始めた。教えるのは、カトレアだ。ヴァイオレットは、まずタイプライターを使ってのタイプ練習から始める。ヴァイオレットは、補給は不要だと、休憩もろくに取らずに練習を続けた。カトレアはヴァイオレットのタイプ練習の様子を見に来て、ずいぶん上達したと褒める。ヴァイオレットは、「凄いのはこの武器です」とタイプライターのことを指す。戦争の感覚が抜けず、使うものを武器というヴァイオレットの言葉だったが、カトレアは「武器?…そうよね。私たち働く女性が、社会に出て、戦うためのね」と返す。戦後は、女性の立場は強くなく、社会進出も当たり前ではなかった。このタイプライターがあるおかげで、ドールという仕事が出来、女性たちの社会進出を可能とした。カトレアの社会情勢を踏まえた上手な返しと妖艶な仕草にも注目の名場面だ。

「言葉には裏と表があるの。口に出したことが全てじゃないのよ。人の弱いところね。相手を試すことで、自分の存在を確認するの」

人の心の難しさを語るカトレア。

エリカとヴァイオレットしかいないタイミングで、C.H郵便社にお客様がやってきた。自動車の会社を立ち上げた男性に交際を申し込まれたという、綺麗なワンピースを身にまとったブリジットという名の女性だ。ブリジットは、彼への返事を書いて欲しいという。ブリジットは、カトレアの評判を聞き、カトレアに書いて欲しかったが、不在のため受けることができなかった。唯一会社に残っていたドールであるエリカは前回の失敗を引きずり、その依頼に尻込みをしていた。そうして、ドールとして半人前のヴァイオレットが、その依頼を受けることになる。私に好意はないが、彼が誠意を見せてくれて、本当に私を愛しているなら付き合ってもいい、というブリジットの言葉をそのまま手紙にしたヴァイオレット。後日、ブリジットはその手紙を持って、怒鳴り込んできた。ブリジットは、彼のことが大好きで、交際したかったが、簡単に手に入る尻の軽い女に見られたくない、もっと追いかけてほしい、という想いから、あんな言葉を口にしたのだった。手紙はカトレアが書き直し、彼のところへ謝罪に行くことで、事を収めた。カトレアはヴァイオレットとお茶をしに行く。ヴァイオレットは、依頼者の意図を最大限反映したのに理解不能だ、と言った。カトレアは、「言葉には裏と表があるの。口に出したことが全てじゃないのよ。人の弱いところね。相手を試すことで、自分の存在を確認するの」と返す。この時のヴァイオレットには理解が難しいことだったが、今後、ヴァイオレットがドールの仕事をする上で、大切にしていく名セリフである。人間の裏腹さを理解しているカトレアが、人気のドールである所以が分かる名場面だ。

ベネディクト・ブルーの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「郵便物分けるのは難しいか?」

ヴァイオレット(右)にポストマンの制服を渡すベネディクト(左)。

戦後、病院からヴァイオレットの身柄を引き取ったホッチンズは、自身が経営するC.H郵便社にヴァイオレットを連れてきて、ポストマンとして手紙を配達する仕事を与える。ホッチンズはポストマンの先輩になるベネディクトにヴァイオレットの世話を任せる。ベネディクトは、軍隊のように敬礼をしたり、人前で平気で着替えようするヴァイオレットに振り回されながらも、ヴァイオレットの面倒をみる。ベネディクトはヴァイオレットが手袋をしていることに気付き、とったほうが仕事がしやすいのでは、と提案。ヴァイオレットはそれに従って、手袋をとり、銀色の義手が顕になった。それを見たベネディクトは、驚くことも、理由を尋ねることもせずに、「郵便物分けるのは難しいか?」と聞く。ベネディクトの優しい気遣いが伝わる名セリフだ。

「確かにあいつは出来損ないかもしれねぇけど、それでも必死にやってる。あいつが書いた手紙で救われてる人もいる」

ディートフリートにヴァイオレットのことを話すベネディクト。

ガルダリクへ向かうC.H郵便社のカトレア、ベネディクトらの護衛を任されたのは、ディートフリートだ。ヴァイオレットを武器として、弟のギルベルト少佐にプレゼントしたディートフリート。結局、ギルベルトは、ヴァイオレットのことを1人の女の子として扱い、ギルベルトは戦場から帰らず、ヴァイオレットだけが生還した。素直ではないが、ギルベルトのことを思っていたディートフリートは、強い武器を与えたのに、武器だけが生き残ったことが腹立たしかった。その上、ヴァイオレットは人の想いを届けるドールの仕事をしている。カトレアとベネディクトに近づいたディートフリートは、「まだドールなんぞをやっているのか。あの人間もどきの出来損ないが」とヴァイオレットへの暴言を吐く。ベネディクトは言葉を荒げるでもなく、淡々と、「確かにあいつは出来損ないかもしれねぇけど、それでも必死にやってる。あいつが書いた手紙で救われてる人もいる」と言う。冷静に、しっかりとヴァイオレットを庇う名セリフだ。ベネディクトのファンにはたまらない名シーンである。

エリカ・ブラウンの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「自動手記人形に向いていないのは、私の方だ。だから、彼女を、あんなにムキになって庇ってしまったんだ」

ヴァイオレット(左)がドールを続けられるように頼むエリカ(右)。

エリカは、代筆したお客様から文句を言われたことを気にしていて、自分はドールの仕事に向いていないと感じていた。そんなエリカの目に映ったのは、大きな失敗をするも、ドールの仕事をやりたがるヴァイオレットの姿。ヴァイオレットは、エリカに、自分はドールとして不適格かと聞く。人の感情がわからず、自身が表情もないヴァイオレットが、人の心を理解して、手紙を代筆するドールに向いているとは思えない。エリカは、向いてないと答える。ヴァイオレットは向いていないとしても、「愛してる」の意味を知るためにドールの仕事がしたいのだ、と言う。向いてないと言われても、ドールを続けようとするヴァイオレットの姿は、悩んでいたエリカの心を救った。ヴァイオレットとエリカが、C.H郵便社に戻ると、アイリスとホッチンズの声が聞こえてくる。アイリスが、やっと軌道に乗ってきた会社のために、ヴァイオレットを辞めさせるべきだと、ホッチンズに提案していた。エリカは、アイリスたちが話している部屋に入り、ヴァイオレットを辞めさせないで欲しい、と頭を下げる。ヴァイオレットに、先ほど向いていないと言ったのに、辞めさせないでと頼むのは裏腹だと言われ、頬を染めるエリカ。エリカは「自動手記人形に向いていないのは、私の方だ。だから、彼女を、あんなにムキになって庇ってしまったんだ」と、振り返る。ヴァイオレットの気持ちを知ることで、エリカが、忘れてしまいそうになっていた本当の夢と埋もれてしまっていた自分の気持ちを思い出す名場面だ。

アイリス・カナリーの名言・名セリフ/名シーン・名場面

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