ヴァイオレット・エヴァーガーデンの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とは、暁佳奈による小説で、アニメ化もされているファンタジー作品である。戦時中、武器として生きてきた少女ヴァイオレット。ヴァイオレットは、慕っていた少佐ギルベルトから、別れ際に言われた「愛してる」の意味が理解出来ずにいた。戦後、ヴァイオレットは、手紙を代筆する仕事に出会い、「愛してる」の意味を知っていく。手紙の依頼主が抱える胸の内や、それに向き合った代筆屋たちの言葉は、多くの読者を感動させた。今回は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の名言や名セリフを紹介する。

「良い手紙だった。伝わったよ。あんたの書いてくれた手紙、良い手紙だったから」

ヴァイオレットの手紙を褒めるアイリス。

一生懸命勉強してドールになったアイリスは、突然社長が連れてきて、ドールとして働き始めたヴァイオレットのことが理解出来ずにいた。そんな中、アイリスに初めての依頼が来る。依頼が来るのは、優れたドールの証だ。依頼があったのは、アイリスの故郷であるカザリからだ。しかし、アイリスは依頼が来たことで調子に乗り、階段から落ちて、腕を負傷してしまう。そこでタイピングのフォローをするために、ヴァイオレットが同行することになった。カザリに向かった2人を迎えたのは、アイリスの両親らだ。アイリスに手紙を依頼したのはアイリスの母で、アイリスの誕生日に合わせて村に呼び戻し、結婚相手を探そうという考えだった。それを知ったアイリスは激怒する。手紙の依頼は、アイリスの誕生会の招待状を書くことだった。誕生会には、アイリスの失恋相手も呼ばれてしまう。必死で掴み取った仕事に理解を得られず、自分を振った相手までやってくる誕生会が嫌になり、アイリスは部屋に閉じこもってしまう。アイリスと両親との仲は険悪になった。ヴァイオレットは、そんなアイリスが抱える両親への想いを代筆し、手紙を渡す。カザリから帰る列車の中で、ヴァイオレットは、アイリスの両親に気持ちが伝えられただろうか、と心配する。両親の表情を見れば、伝わったのが一目瞭然だったが、感情に疎いヴァイオレットは、それが分からなかった。アイリスは「良い手紙だった。伝わったよ。あんたの書いてくれた手紙、良い手紙だったから」と、ヴァイオレットに伝える。アイリスが、ヴァイオレットのことを認め始める名セリフである。

ディートフリート・ブーゲンビリアの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「手紙か?多くの命を奪ったその手で、人を結ぶ手紙を書くのか?」

ヴァイオレットの姿を見つけたディートフリート。

仕事を終えて、ライデンの港に帰ってきたヴァイオレットは、聞き覚えのある声を聞く。ギルベルトの兄、ディートフリート・ブーゲンビリア海軍大佐だ。ヴァイオレットをギルベルトに渡したのは、ディートフリートだった。戦時中、ディートフリートは何人かの仲間をヴァイオレットに殺されていた。そんなヴァイオレットが、手紙を代筆するドールの仕事をしているという。ディートフリートは、「手紙か?多くの命を奪ったその手で、人を結ぶ手紙を書くのか?」と、ヴァイオレットに問う。ドールを始めた頃のヴァイオレットは、人の感情に疎く、自分がドールの仕事をすることに何も違和感はなかった。しかし、ドールの仕事を通し、人が抱える想いの大切さを知ったヴァイオレットは、そんな想いを奪ってきた自分の罪を自覚し始める。ヴァイオレットの事情を知っているからこそ、そのような事を言ってくるものはいなかった。ディートフリートの指摘は、ヴァイオレットが自分と向き合うきっかけとなる名セリフだ。仲間を殺されたディートフリートの気持ちもあるものの、心無い言葉に胸を痛める視聴者も多かった。

「ヴァイオレット!あいつの分も、お前は生きろ。生きて、生きて生きて、そして死ね。これが俺からの最後の命令だ」

ヴァイオレットに「生きろ」と言うディートフリート。

ヴァイオレットへのあたりが強かったディートフリート。ディートフリートもまた、ギルベルトの死を悲しんでいた。国の南北が公開和平書簡の取り交わしをするにあたり、カトレアたち南からの一行を、北のガルダリクまで護衛をする任に着いていたディートフリート。一行の危機を感じたヴァイオレットは、自分も護衛に参加したいと言った。ディートフリートに命令を請うヴァイオレット。ディートフリートは、ヴァイオレットのことを、戦争の時から何も変わらない道具だと思った。しかし、ヴァイオレットは、命令ではないにも関わらず、誰も殺したくないという強い決意を持って戦う。ディートフリートの目には、ヴァイオレットがギルベルトからもらったブローチを大切にしている姿、捨て身でディートフリートを守ろうとする姿が映り、ヴァイオレットへの考えを改めざるを得なくなる。ギルベルトのことも守れなかった無能な道具のようにヴァイオレットのことを思っていたディートフリートだが、ヴァイオレットもギルベルトのことを大切に想い、死を悲しんでいるのだと知った。ディートフリートは後日、自身の屋敷にヴァイオレットを呼び、母に会わせる。ヴァイオレットと母の会話を聞いたディートフリートは、ヴァイオレットのことを認められるようになっていた。ディートフリートは、「ヴァイオレット!あいつの分も、お前は生きろ。生きて、生きて生きて、そして死ね。これが俺からの最後の命令だ」と、ヴァイオレットに声をかける。ディートフリートが、初めてヴァイオレットに前向きな言葉をかける名場面で、ヴァイオレットが今も心の支えとしているだろう命令という言葉のチョイスに気遣いを感じる名セリフだ。また、これに対し、ヴァイオレットは「もう命令は要りません」と深々と頭を下げる。ディートフリートの気遣いを受け取った上で、もう自分の意思で生きていけるのだというヴァイオレットの人としての成長が分かる名場面でもある。

「ブーゲンビリアの家は俺が継ぐ。お前はもう、自由になれ」

ディートフリートに微笑む幼いギルベルト。

幼い頃のディートフリートとギルベルトは、父親に連れられて、外を歩いていた。ブーゲンビリア家は軍人の家系で、将来は軍人になる道しかなかった。厳しい父親に対して反抗的だったディートフリートは、その日も父親に突っかかり、殴られそうになった。それを必死で止めたのは、ギルベルト。ギルベルトは、自分は父親みたいになるから、兄を殴らないでくれと言った。そんな家庭でも、ギルベルトはディートフリートにはにかんだ笑顔を向ける。素直になれないディートフリートだが、弟のことをとても大切に思っていた。しかし、ディートフリートは、自分が反抗的なせいで、ギルベルトは父親に従い、生き方を制限されてしまったと考えていて、ギルベルトに鼻持ちならない態度をとってしまっていた。そんな、ディートフリートは、ギルベルトへまっすぐな想いを向けるヴァイオレットと関わることによって、少しずつ変わっていく。エカルテ島で生きていたギルベルトに会いに行き、大きすぎる罪悪感で、ヴァイオレットからの想いを受け止められないギルベルトを叱咤する。そして、「ブーゲンビリアの家は俺が継ぐ。お前はもう、自由になれ」と言った。ブーゲンビリアの家が嫌いで、自由に生きてきたディートフリートが、弟の笑顔を守るために、弟が幸せになれるように、家を継ぐという覚悟した名セリフだ。

ルクリア・モールバラの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「本当はただ、生きててくれるだけで嬉しいの。…ありがとうって、伝えたいだけなのに…!」

スペンサーへの想いを吐露するルクリア。

自動手記人形育成学校でヴァイオレットのクラスメイトになったルクリアは、主席で卒業した。ルクリアは、学校が終わった後も、卒業出来なかったヴァイオレットのことを気にかけ、ヴァイオレットが想いを寄せるギルベルト少佐に手紙を書こうと誘ってくれる。ギルベルトへの言葉が思い浮かばないヴァイオレットに、ルクリアは自身が抱える想いを吐露し始める。ルクリアの両親は戦争で死に、家族は兄スペンサーだけが生き残ったという。ルクリアの両親は、スペンサーが配置されていた戦線が突破されたために、戦いに巻き込まれた。それを自分のせいだと責め続けるスペンサーは、大量の酒を飲み、喧嘩をし、荒れた日々を過ごしていた。ルクリアは、そんなスペンサーへの気持ちを「本当はただ、生きててくれるだけで嬉しいの。…ありがとうって、伝えたいだけなのに…!」と語り、涙を流す。人のための発言が多く、自分の主張をあまりしないルクリアが、自分の気持ちを吐き出した名シーンであり、家族想いのルクリアの優しさが伝わる名セリフだ。

「時に手紙は、たくさんの美しい言葉を並べるより、ひとことだけで、大切な気持ちを伝えることが出来るのです。私は、ドールにとって1番大切なことを、彼女に教わった気がします」

思い出の景色を見るルクリア(左)とスペンサー(右)。

ヴァイオレットが代筆した、ルクリアからルクリアの兄スペンサー宛ての手紙は、「生きていてくれて嬉しいの。ありがとう」と、とてもシンプルで明瞭なものだった。しかし、その飾らないまっすぐな手紙は、ルクリアが今まで抱え続けてきた兄への気持ちがしっかりと伝わるものだった。両親が死んだのは自分のせいだと責め、生きているルクリアと向き合おうとしなかったスペンサーは、その手紙を読み、涙を流す。スペンサーは、戦争が始まる前に兄妹で登った、ルクリアが大好きな眺めの良い場所に、ルクリアと一緒に向かう。アニメの第3話で、物語の最後に綴られるルクリアの言葉は、「時に手紙は、たくさんの美しい言葉を並べるより、ひとことだけで、大切な気持ちを伝えることが出来るのです。私は、ドールにとって1番大切なことを、彼女に教わった気がします」である。人に何かを伝える時、飾らないひとことで、気持ちが伝わるのだという、視聴者も考えさせられた名セリフだ。

ローダンセの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「手紙とは、そもそも人の心を伝えるもの。良きドールとは、人が話している言葉の中から、伝えたい本当の言葉をすくい上げるものです」

ヴァイオレットにドールの在り方を説くローダンセ。

ヴァイオレットはドールとして仕事をするために、自動手記人形育成学校へ通い始める。学校に通わずともドールにはなれるが、この学校を卒業することが、一流のドールである証明だった。手紙の代筆をする最初の授業で、クラスメイトであるルクリアの手紙を代筆したヴァイオレット。しかし、それは報告書のような文章で、とても手紙とは言えなかった。その文章を読んだ育成学校の先生であるローダンセは、ヴァイオレットに、「手紙とは、そもそも人の心を伝えるもの。良きドールとは、人が話している言葉の中から、伝えたい本当の言葉をすくい上げるものです」と言葉をかける。この作品のメインとなるドールとは、どんな存在であるかを表した言葉であり、これからドールとして働くヴァイオレットの教訓となる名セリフだ。

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