ヴァイオレット・エヴァーガーデンの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とは、暁佳奈による小説で、アニメ化もされているファンタジー作品である。戦時中、武器として生きてきた少女ヴァイオレット。ヴァイオレットは、慕っていた少佐ギルベルトから、別れ際に言われた「愛してる」の意味が理解出来ずにいた。戦後、ヴァイオレットは、手紙を代筆する仕事に出会い、「愛してる」の意味を知っていく。手紙の依頼主が抱える胸の内や、それに向き合った代筆屋たちの言葉は、多くの読者を感動させた。今回は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の名言や名セリフを紹介する。

「私は、今、愛してるも、少しは分かるのです…!」

ギルベルトを想い、涙するヴァイオレット。

戦争が終わり、久々に開催された航空祭。未来の自分、未来の子ども、戦争で亡くした大切な人、本来渡せない誰かに、届くと願って手紙を書き、飛行機から手紙をばら撒くお祭りだ。ヴァイオレットも初めて、自分の手紙を書いた。宛先は、ギルベルト少佐だ。この先に何があるか分からなくても、ギルベルトが繋いでくれた命を生きて生きて、どこかでまたギルベルトに会いたいという内容を書いた。そしてギルベルトに会えたなら、「私は、今、愛してるも、少しは分かるのです…!」と言いたいという。代筆の仕事を通し、出会った人々を通し、いろんな感情を知ったヴァイオレット。ギルベルトが未帰還だと聞いた時は、慕っていた人を失って泣いた。そして、「愛してる」を知った今は、愛してくれた人に会えない悲しみで涙する。それでも、ギルベルトに生きろと言われた命を前向きに捉え、ヴァイオレットは微笑みながら、涙する。繊細な描写が美しく、ヴァイオレットに感情移入した視聴者が涙した名場面である。

クラウディア・ホッジンズの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「これから君は、たくさんのことを学ぶよ。だけど…学ばない方が、知らない方が、楽に生きられるかもしれない。君は、自分がしてきたことで、どんどん身体に火がついて、燃え上がっていることをまだ知らない」

ホッチンズが自分の想いを語るのを聞くヴァイオレット。

戦争が終わり、ホッチンズが社長を務めるC.H郵便社で働くことになったヴァイオレット。初日の仕事を終え、ホッチンズに、ヴァイオレットが寝泊まりする会社に送ってもらっている帰り道。ヴァイオレットはホッチンズから話をされる。ヴァイオレットは、小さい頃から軍にいて、任務を遂行するだけの毎日を送ってきた。でも、戦争はもう終わった。普通の生活の仕方や価値観を、ヴァイオレットはまだ知らない。これからここで生きていけば、そのことを知ることになる。ホッチンズは、「これから君は、たくさんのことを学ぶよ。だけど…学ばない方が、知らない方が、楽に生きられるかもしれない。君は、自分がしてきたことで、どんどん身体に火がついて、燃え上がっていることをまだ知らない」と言う。ホッチンズは、戦時中には選択肢がなかった殺しや、暴力、押し殺した感情などを火傷と形容した。ホッチンズは、幼い頃から、軍で武器として、道具のように扱われていたヴァイオレットを見ていて、気付いていて放置していたことに罪悪感を抱いていた。ギルベルトにヴァイオレットのことを託された時、これは機会だと思い、受け入れたという。ヴァイオレットには戦争の罪意識はまだ芽生えていなかったが、今後の生活で気付き、苦しむだろうことを、ホッチンズは受け入れ、それを支えていく覚悟が感じられる名言だ。ホッチンズ自身も戦争での火傷を感じているからこそ、ヴァイオレットの心を案じる大人な名セリフである。

「大丈夫。失くしてないよ、何も」

カトレアと話すホッジンズ。

戦場で多くの人を殺めてきたヴァイオレットは罪の意識に苦しんでいた。唯一の生き甲斐であったギルベルトも戦場から未帰還であることを知り、ヴァイオレットは食事もとらずに、部屋にこもった。カトレアはヴァイオレットを心配し、部屋まで差し入れを持ってくる。そこで、カトレアは、ホッジンズが、ヴァイオレットに戦場での罪を意識させるような言葉をかけていたことを知る。カトレアはホッジンズのもとへ行き、なぜそんなことを言ったのかと怒鳴った。ホッジンズは冷静に、背景がどうであれ、してきたことは変わらないし忘れられるものでもない、と言う。カトレアは、唯一の生き甲斐すらも失い、何もなくなってしまったヴァイオレットはどしたらいいのか、と悲嘆にくれる。そんなカトレアに、「大丈夫。失くしてないよ、何も」とホッジンズは言う。今までヴァイオレットがしてきた経験、与えられた感情、もらったものは何も失われてはいない、とホッジンズは思っている。ホッジンズが誰よりも、ヴァイオレットのことを信じていることが分かる名セリフである。

「もし、将来、俺に子どもが出来るとしたら、やっぱり息子が良い…。女の子は、俺の神経がもたない…」

ヴァイオレットのことを心配するホッチンズ。

ヴァイオレットのもとを、ギルベルトの兄ディートフリートが訪ねてきた。ヴァイオレットが、ギルベルトの母のお墓参りに行った際、髪飾りのリボンを落としてしまい、偶然それを拾ったディートフリートが届けにきてくれたのだ。ディートフリートはヴァイオレットに、昔ギルベルトとよく乗っていた船を処分する、と伝える。船の中には、ギルベルトがよく読んでいた本やおもちゃがあり、それをヴァイオレットが欲しければ譲ってくれるというのだ。ヴァイオレットは船がある場所まで伺う、と前のめりに答えた。そのやりとりに気を揉んでいたのは、ホッチンズだ。ディートフリートは、戦場でヴァイオレットを拾い、ギルベルトに武器として渡した張本人だ。ホッチンズは、ディートフリートがヴァイオレットの弱みにつけ込んでいる、とカトレアに言う。カトレアは、ディートフリートなら、ヴァイオレットが想いを寄せるギルベルトのことをよく知っていて、案外慰みを与えられるのではと返した。すると、ホッチンズは「もし、将来、俺に子どもが出来るとしたら、やっぱり息子が良い…。女の子は、俺の神経がもたない…」と言った。ホッチンズが、どれだけヴァイオレットのことを大切にしているかが分かる名セリフで、優しすぎるが故、周りに振り回されてしまうホッチンズにクスッと笑える名場面だ。

「大馬鹿野郎ーーーーっ!!!」

ギルベルトに怒鳴るホッチンズ。

ギルベルトが生きているかもしれないことが分かり、ホッチンズとヴァイオレットは、エカルテ島に向かう。そこにいたのは、やはりギルベルトだった。先にホッチンズがギルベルトに会いに行き、ヴァイオレットも来ている事を伝えるが、ギルベルトは会えないと言う。ギルベルトは、ヴァイオレットを人間として接していると言いながらも、まだ幼かったヴァイオレットを戦場に出してしまったことを、ずっと後悔していた。ギルベルトは、自分はヴァイオレットの側にいるべきではないと言う。ホッチンズはヴァイオレットに、ギルベルトが今は会えないと、柔らかく伝えるも、ヴァイオレットはギルベルトが自分に会いたくないと思っていることを察してしまう。ヴァイオレットはたまらず、ギルベルトを探し、家まで辿り着く。ギルベルトは、家のドアを開けてはくれなかった。ドアの外から、ヴァイオレットは会いたい、と伝えるが、ギルベルトは帰ってくれ、と返す。ギルベルトの少ない言葉の中から、自分の存在がギルベルトのことを苦しめているのだ、と察したヴァイオレット。ヴァイオレットは走っていってしまう。それを見守っていたホッチンズは、走っていくヴァイオレットを追いかける前に、ドアに向かって「大馬鹿野郎ーーーーっ!!!」と叫ぶ。ずっとギルベルトに会いたがっていたヴァイオレットの想いを知るホッチンズの心からの叫びは、ヴァイオレットとギルベルトが、想いあっているのにすれ違ってしまう辛さを強く感じる名セリフとなっている。

ギルベルト・ブーゲンビリアの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「ヴァイオレット…君は、生きて、自由になりなさい。心から、愛してる」

ヴァイオレットへ愛を伝えるギルベルト。

戦争終結が目前に迫った戦いで、ギルベルトとヴァイオレットは最前線にいた。敵の本拠地であるインテンス奪還作戦。ギルベルトが率いる部隊は、地下水路からインテンス内部に侵入し、内部を制圧、信号弾を放ち、味方部隊に突入の合図を送る。内部の制圧は厳しい戦いとなったが、ギルベルトとヴァイオレットは無事に戦い抜き、信号弾を上げる。全てが終わったと思ったその時、隠れていた敵兵士により、ギルベルトは頭部を撃たれてしまう。ギルベルトは、ヴァイオレットに逃げろと言うが、ヴァイオレットにはギルベルトをおいて逃げるという選択肢など無かった。ヴァイオレットは敵兵士に腕を撃たれながらも、ギルベルトを抱えて逃げる。絶対に少佐を死なせない、と両腕を失っても、ギルベルトを運ぼうとするヴァイオレットの姿を、ギルベルトは見ていられず、やめてくれ、と叫ぶ。ギルベルトはこれが最後とばかりに、ヴァイオレットに「ヴァイオレット…君は、生きて、自由になりなさい。心から、愛してる」と微笑んだ。戦争しか知らなかったヴァイオレットの生きる意味になる名セリフであり、ギルベルトがヴァイオレットへ愛を伝える作中でも屈指の名場面だ。

「ヴァイオレット…ヴァイオレットだ。成長すれば、君は、きっとその名前に相応しい女性になる。君は道具ではなく、その名が似合う人になるんだ」

少女にヴァイオレット(右)と名前をつけるギルベルト(左)。

名前もなく、武器として扱われてきた少女を引き取ることになったギルベルトは、「私が、名前をつけていいか?」と言い、少女の名前を考える。その時、ギルベルトの目に映ったのは、木の影で逞しく綺麗に咲くヴァイオレットという花だった。ギルベルトは、少女の顔を見つめ、「ヴァイオレット…」と呟く。ギルベルトは、「ヴァイオレット…ヴァイオレットだ。成長すれば、君は、きっとその名前に相応しい女性になる。君は道具ではなく、その名が似合う人になるんだ」と少女に言った。ただの武器だったものが、ヴァイオレットという名の少女になる名場面であり、ギルベルトの誠実さと優しさが伝わってくる名セリフである。

「命令じゃ、ない。私が君に、感謝、したいんだ」

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