ヴァイオレット・エヴァーガーデンの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とは、暁佳奈による小説で、アニメ化もされているファンタジー作品である。戦時中、武器として生きてきた少女ヴァイオレット。ヴァイオレットは、慕っていた少佐ギルベルトから、別れ際に言われた「愛してる」の意味が理解出来ずにいた。戦後、ヴァイオレットは、手紙を代筆する仕事に出会い、「愛してる」の意味を知っていく。手紙の依頼主が抱える胸の内や、それに向き合った代筆屋たちの言葉は、多くの読者を感動させた。今回は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の名言や名セリフを紹介する。

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の概要

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とは、暁佳奈による、KAエスマ文庫から出版されたライトノベルである。シリーズ累計発行部数は70万部を越える人気作だ。イラストは、高瀬亜貴子が担当。ライトノベルを原作に、2018年1月よりTVアニメが放送される。アニメ制作は、京都アニメーション。監督は石立太一が務める。そして、2019年9月6日に劇場アニメとして、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』が公開。2020年9月18日には、『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が公開された。繊細な線で描かれる美麗なイラスト、涙なしでは観られないと話題のストーリーが見どころの作品だ。この作品は、ヴァイオレット・エヴァーガーデンという少女の人生譚であり、彼女を取り囲む人々の群像劇になっている。

大陸の東西南北が戦争をしていた。そんな戦場に、幼い少女はいた。孤児だった彼女は、武器として戦争に放り込まれ、戦闘の才能を開花させた。名前もなく、言葉も分からず、読み書きも出来ない少女は、ただ武器として戦場にあった。そんな少女が、ギルベルト少佐と出会う。ギルベルトは、誠実で優しく、少女を武器として扱うことはせず、彼女に言葉を教え、読み書きを教え、ヴァイオレットという名前を与えた。人間らしくなったヴァイオレットだが、戦争にはギルベルトとともに参加し、その才能を見せつけていた。いよいよ終戦を目前にした戦いの最前線にヴァイオレットとギルベルトは投入されていた。作戦は成功したものの、そこで瀕死の重傷を負ったギルベルト。ギルベルトは、ヴァイオレットに「愛してる」という言葉を残し、2人は離れ離れになる。1人生還したヴィオレットは、「愛してる」の意味を知るべく、自動手記人形、別名ドールという手紙を代筆する仕事を始める。ヴァイオレットは多くの手紙を書いて、人の感情を知り、「愛してる」の意味を理解し始める。これは、名前も持たなかった少女が、「愛してる」を探す物語である。手紙の代筆を依頼する、伝えたい想いを抱えた人々の言葉には、視聴者を考えさせ、時に微笑ましく、時に涙なしでは聞くことが出来ない名セリフが数多く存在する。

ヴァイオレット・エヴァーガーデンの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「少佐の瞳があります。少佐の瞳と、同じ色です。これを見た時の、こういうの、なんて言うのでしょう…?」

ギルベルトの瞳と同じ色のブローチを見つけたヴァイオレット。

ヴァイオレットはギルベルトに連れられて、メヒティッヒの感謝祭に来ていた。いつものように、ギルベルトの後ろを付いて歩いていたヴァイオレットだが、珍しく自分の意志で足を止めた。そこに売られていたのは、ギルベルトの瞳と同じ、澄んだエメラルドのブローチだ。ヴァイオレットは、そのブローチを見つめ、「少佐の瞳があります。少佐の瞳と、同じ色です。これを見た時の、こういうの、なんて言うのでしょう…?」と言う。言葉も文字も感情も知らなかったヴァイオレットが、ギルベルトの瞳をずっと綺麗だと、美しいと思っていたことが分かる名セリフである。また、幼い少女を戦争に連れて行くことに大きな罪悪感を抱くギルベルトへの純粋な気持ちが痛ましく感じられるセリフでもある。ギルベルトは、ヴァイオレットが感じている気持ちが「美しい」だと察するも、自分なんかの瞳が美しいなどと、教えることは出来なかった。

「知りたいのです、『愛してる』を…知りたいのです」

自動手記人形になりたいと言うヴァイオレット。

戦争が終わり、戦場で回収されたヴァイオレットを、ヴァイオレットの上官だったギルベルトの友人であるホッチンズが迎えに来た。ギルベルトの言伝を守ったホッチンズは、エヴァーガーデン家にヴァイオレットの身元引受人になってもらうが、戦場での生き方しか知らないヴァイオレットは、そこでの生活を拒否する。ホッチンズは仕方なく、自身が経営するC.H郵便社にヴァイオレットを連れてくる。ヴァイオレットはギルベルトの命令を欲しがり、命令がもらえない自分は不要なのでは、と考える。ギルベルトはそんなヴァイオレットに郵便配達の仕事を与えた。郵便社で過ごすヴァイオレットは、たまたま人気No.1のドールであるカトレアが手紙を代筆するのに立ち会った。ドールとは、依頼者の気持ちを汲み取り、手紙を代筆する仕事をする人のことだ。ヴァイオレットは、人が伝えたがっている「愛してる」の気持ちが分かるカトレアに驚き、ホッチンズに自分もドールになりたいと言う。ホッチンズが理由を聞くと、ヴァイオレットはギルベルトから「愛してる」と言われたことを話し、「知りたいのです、『愛してる』を…知りたいのです」と言う。ヴァイオレットが戦場以外での生きる意味を見つけた名シーンだ。ヴァイオレットから、そう言われたホッチンズは、初めて命令ではなく、ヴァイオレット自身がやりたいと主張したことを尊重し、それを認める。本当はその気持ちが分かるから、自動手記人形をするのだ、と笑うホッチンズの優しさが分かる名シーンでもある。

「『愛してる』は、とても勇気のいる言葉なのですね」

アイリスの話を聞くヴァイオレット。

C.H郵便社のドールであるアイリスの過去の話を聞くヴァイオレット。学生時代、アイリスはエイモンという男性に恋をしていた。アイリスはエイモンと両想いであると信じて疑わなかったが、エイモンはアイリスに告白の類いの言葉を口にすることはなかったのだという。アイリスは、学校を卒業する時に、エイモンに「愛してる」と告白した。しかし、返ってきた答えは、「幼馴染としか思えない」だった。アイリスは、その時の気持ちを、ここに居たくなくなって、消えたくなったと語る。それを聞いたヴァイオレットは「『愛してる』は、とても勇気のいる言葉なのですね」と呟いた。ヴァイオレットが「愛してる」という気持ちに近付いた名セリフである。ヴァイオレットは、ギルベルトが「愛してる」と言った時も、そんな気持ちだったのだろうかと考える。アイリスは、ヴァイオレットにギルベルトのことを聞き、ヴァイオレットがギルベルトから言われた「愛してる」の意味を知るためにドールになったことを知る。ヴァイオレットのことが分からないと思っていたアイリスが、ヴァイオレットとの距離を縮めるきっかけになった名場面だ。

「少佐…いいのですか…?武器として人を殺めてきた私が、それでいいのですか?私は誰かの、いつかきっとを、奪ったのではないですか?そして、その人たちにも、愛する相手がいたのではないですか?」

戦時中の罪を抱えきれず、ブローチを抱き締めるヴァイオレット。

ヴァイオレットは、脚本家であるオスカーの代筆に来ていた。オスカーは、病気で亡くなった娘のことを受け入れられずに、悲しみに暮れていたが、ヴァイオレットと関わるうちに、少しずつ現実と向き合っていく。書いていた脚本のイメージを膨らませるため、ヴァイオレットはオスカーの娘のお気に入りだったという傘で、水の上を数歩歩いてみせる。それは、娘がいつかオスカーに見せると言った姿だった。脚本が無事に書き終わり、別れ際にオスカーは「娘のいつかきっとを叶えてくれた」とヴァイオレットに感謝を述べた。少しずつ人の感情が分かるようになってきたヴァイオレット。オスカーの家から、ライデンにあるC.H郵便社に帰る道中で、ヴァイオレットは自分の罪を意識し始める。自分が戦争の時に殺してきたのは、戦う道具ではなく、いつかきっとという未来を持った人間で、誰かのことを愛し愛されていた人間なのだということを思い知る。人の想いを届ける仕事をするドールである自分と、武器として人を躊躇いなく殺していた過去の自分。ヴァイオレットは葛藤し、「少佐…いいのですか…?武器として人を殺めてきた私が、それでいいのですか?私は誰かの、いつかきっとを、奪ったのではないですか?そして、その人たちにも、愛する相手がいたのではないですか?」と会えないギルベルトに縋りたくなり、ギルベルトからもらったブローチを握りしめる。普段あまり表に感情を出さないヴァイオレットの悲痛な感情が露わになる名セリフだ。

「手紙をもらう、というのは、とても、嬉しいことなのだと分かりました」

アイリスとエリカからの手紙を受け取るヴァイオレット。

戦時中、兵士として、たくさんの人を殺めてきたヴァイオレット。ヴァイオレットは、そんな自分が、今のまま手紙を代筆していてもいいのか悩んでいた。そのタイミングで、ヴァイオレットは偶然、ギルベルトが戦場から未帰還であることを知ってしまう。ギルベルトと再会することを願い、ギルベルトの最後の言葉である「愛してる」の意味を探して生きてきたヴァイオレットは、生きる意味を失い、自分の部屋に閉じこもった。そんなヴァイオレットを心配していた同僚のアイリスとエリカ。声を掛けに行った方がいいのではと考えるアイリスとそっとしておいた方がいいと考えるエリカ。そんな2人のドールは、ヴァイオレット宛に手紙を書くことにした。手紙には、ヴァイオレットのことを心配していること、ヴァイオレットのことを待っていること、ドール育成学校でヴァイオレットと友達になったルクリアの兄スペンサーが代筆の依頼に来たことが書かれていた。その手紙は、ヴァイオレットが生まれて初めてもらった手紙だった。ヴァイオレットは、スペンサーのもとへ向かい、代筆をする。ヴァイオレットがしばらく休むと聞いていたのに、と言うスペンサーに、ヴァイオレットは、同僚が教えてくれたのだと説明し、「手紙をもらう、というのは、とても、嬉しいことなのだと分かりました」と言う。ヴァイオレットが人間的に成長し、ドールの仕事の価値を実感する名セリフである。

「届かなくていい手紙なんて、ないのですよ、お嬢様」

泣きじゃくるアン(左)を抱きしめるヴァイオレット(右)。

治らない病気を患ってしまったクラーラ・マグノリアが、娘のアンヘ届ける手紙を代筆しに行ったヴァイオレット。クラーラの余命は短く、広い屋敷に1人取り残されてしまうアンを想い、クラーラは、アンの誕生日に毎年手紙を届けようとしていた。アンは母のことが大好きで、いつも一緒に居たがった。しかし、ヴァイオレットが手紙を代筆している間は、アンは母と一緒に過ごすことが出来ず、ヴァイオレットに、私からお母さんを取らないで、と言う。アンが、ヴァイオレットとの作業を覗きに行くと、苦しみながらも無理に手紙を書こうとする母の姿があった。アンはそこに、もうやめて、と飛び込んでくる。母が長く生きられないのだと悟っていたアンは、お母さんが居なくなったら私は1人なのだから、手紙なんて書かないで自分と一緒に居て欲しい、と言い、家を飛び出してしまう。ヴァイオレットはアンを追いかけ、これは意味があるものなのだと説明する。ヴァイオレットは、アンが泣きながら語った想いを受け止める。そんな手紙は届かなくていい、と泣くアンに、ヴァイオレットは、「届かなくていい手紙なんて、ないのですよ、お嬢様」と優しく言う。その時は、その言葉の意味を理解できずとも、アンが手紙を受け取るようになった時に想いを馳せ、涙するファンが多かった名場面だ。

「守りたかった!…私も!守りたかったんですっ!!!」

ディートフリートに自分の気持ちを伝えるヴァイオレット。

南北が争った戦争は終了し、南に位置するライデンのC.H郵便社から、人気No.1ドールのカトレアとポストマンのベネディクトは、公開和平書簡取り交わしのため、北にあるガルダリクへ向かっていた。移動には特使も同行していて、和平反対派からの襲撃に備え、道中は緊張感が漂っていた。前の任務から帰るべく、飛行機で移動していたヴァイオレットは、空からカトレアたちが通る予定の線路に数ヶ所の火災の跡を発見し、急遽カトレアたちと合流。ヴァイオレットは移動の護衛を指揮するディートフリートの指示を仰ぐ。そして、和平反対派からの襲撃を受ける。ヴァイオレットは率先して応戦する。走行中の列車の上で、数名と交戦。もう誰も殺さないと決めたヴァイオレットは、追い込まれてしまい、ディートフリートに助けられる。ディートフリートは、自分の身も守れないのに不殺生などと言うのかと、ヴァイオレットに怒鳴り、そんなだから弟のギルベルトを守れなかったのだ、ギルベルトを殺したのはお前だ、と声を荒げる。そう言われたヴァイオレットは、「守りたかった!…私も!守りたかったんですっ!!!」と言い返した。戦争終了直後は、ギルベルトを死なせてしまったことに罪意識を持っていたヴァイオレットだが、ギルベルトの死を受け入れ、ギルベルトの残した「君は生きろ」という言葉を大切にしていた。ヴァイオレットの成長が感じられる名セリフである。

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