ヴァイオレット・エヴァーガーデンの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とは、暁佳奈による小説で、アニメ化もされているファンタジー作品である。戦時中、武器として生きてきた少女ヴァイオレット。ヴァイオレットは、慕っていた少佐ギルベルトから、別れ際に言われた「愛してる」の意味が理解出来ずにいた。戦後、ヴァイオレットは、手紙を代筆する仕事に出会い、「愛してる」の意味を知っていく。手紙の依頼主が抱える胸の内や、それに向き合った代筆屋たちの言葉は、多くの読者を感動させた。今回は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の名言や名セリフを紹介する。

病気を患い、長くは生きられないクラーラは、まだ幼い娘のために手紙を書いた。何よりも大切な娘のアンを1人残してしまうことが心配で、成長を見届けられないことが悲しくて、クラーラは涙を流しながら、手紙を残す。その手紙は、アンが誕生日を迎えるたびに毎年届けられる。手紙を書いている間は、アンとすれ違って、どうしようもない現実に親子で涙を流すこともあった。幼いアンには、自分のことをほったらかして1週間も手紙を書く母の気持ちが分からなかったのだ。手紙を書き終えたクラーラは、アンとの時間を堪能し、亡くなった。そうして1人になったアン。誕生日に母からの手紙が届く。次の年もその次の年も、アンのもとには、「アン、お誕生日おめでとう」から始まる母からのお祝いの手紙が届いた。アンは、あの時書いていた手紙の意味を理解し、涙を流す。アンの成長とともにクラーラの声で読まれる手紙は、涙なしでは観られないとファンの中でも評判の高い名シーンだ。

エイダン・フィールドの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「マリア、マリア…帰りたい、君のところに。死にたくないよ。帰りたい、君のところに。待ってて…」

ヴァイオレットに手紙を代筆してもらうエイダン。

ヴァイオレットは、クトリガル国のメナス基地に手紙を代筆しにやってきた。クトリガルでは、平和を守りたい穏健派と終わったはずの戦争を続けたい過激派による内戦が起こっていた。メナス基地はそんな内戦の最前線にある。いつ死んでもおかしくない兵士たちからの依頼は多い。手紙を依頼したのは、エイダン・フィールド。エイダンは、両親と幼馴染のマリアを故郷に残し、戦っていた。エイダンがいる部隊は、作戦中、敵に待ち伏せをされ、ほぼ全員が撃たれてしまう。エイダンも命からがら逃げていたものの、撃たれてしまい、敵に囲まれてしまう。そこへヴァイオレットが参戦し、敵兵を退ける。ヴァイオレットは、エイダンを小屋に避難させる。死期を悟ったエイダンの希望で、ヴァイオレットはエイダンの手紙を代筆する。エイダンは両親への感謝の気持ちを手紙にし、幼馴染のマリアにも手紙を書き始める。マリアはエイダンにとって、妹のような存在だったが、マリアから告白をされ、自分もマリアに好意があることを自覚する。まだ恋人らしいことを1つもせずに戦争に来たと語るエイダン。エイダンは「マリア、マリア…帰りたい、君のところに。死にたくないよ。帰りたい、君のところに。待ってて…」とマリアへの想いを吐露する。戦争の惨さを感じ、死に近づいていくことで、大切なものをより実感する悲しさに涙する名場面だ。

イルマ・フェリーチェの名言・名セリフ/名シーン・名場面

イルマが歌う新作オペラのアリア

アリアを歌いあげるイルマ。

代筆の依頼をしたのは、オペラ歌手のイルマ・フェリーチェ。新作オペラのクライマックスで歌うアリアは、ヒロインのマリエッタが、戦場から戻ってこなかった恋人のモデストへ書いた恋文となっている。この恋文の代筆を任されたのは、ヴァイオレットだ。イルマは、その言葉を耳にした全ての女性が共感し、全ての男性の胸を打つ、そんな恋文が欲しいと言う。ヴァイオレットは、何度手紙を書いても満足してもらえず、大苦戦。しかし、この依頼内容を聞いて、ヴァイオレットを推薦したのが、恩師であるローダンセであることを知ったヴァイオレットは、初心に帰り、イルマのことを知ろうとする。新作オペラのモデルはイルマ自身だった。イルマの恋人フーゴは戦争から帰ってこなかった。もう帰ってこないと分かっていても諦められないと語るイルマ。戦争のために届ける人も返す人も居なくなってしまった手紙に込められた愛を見て、イルマがフーゴに書いていた手紙を見て、ヴァイオレットは、恋文を完成させる。そして、イルマのオペラが上演される。クライマックスのアリアは、観客の心を打ち、視聴者の心を打つ名場面となっている。

エイミー・バートレットの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「君が1番綺麗なんだよ。ねぇ、そばを離れないでね」

舞踏会に参加するヴァイオレット(右)とイザベラ(左)。

ヴァイオレットは、花嫁学校の生徒であるイザベラ・ヨークに、3ヶ月付きっきりで、言葉遣いやマナー、振る舞い方などを教える家庭教師をすることになった。花嫁学校では、美しくそつない所作をするヴァイオレットが目立ち、イザベラは、「君を見てると、自分が惨めになる」と言い、必要最低限以上の会話を拒否する。しかし、気管支の弱いイザベラが、夜中に咳き込んでしまった時、朝まで手を握って見守ってくれていたヴァイオレットに心を開き始める。一緒にダンスを練習し、お風呂に入って、一緒に眠り、2人は友達になった。ヴァイオレットが学校で過ごす最後の日は、舞踏会があった。イザベラは、ヴァイオレットとともに舞踏会の会場へ足を踏み入れる。美しいヴァイオレットの姿はひと目を惹き、多くの視線を集めた。イザベラが、「みんな君を見てるよ」と言うと、何かおかしいところがあるか、と真剣な顔をするヴァイオレット。イザベラは微笑み、「君が1番綺麗なんだよ。ねぇ、そばを離れないでね」と言い、2人は部屋の真ん中で踊り始める。自分に自信がなく、女性らしい振る舞いは自分に似合わないと決めつけて、ひと目に触れることを嫌っていたイザベラが、ヴァイオレットと一緒ならと、一歩を踏み出す名場面である。

「復讐だから。こんな生き方しかさせてくれない。本当はこの子も不幸になるはずなんだ。でも、僕が幸せにする。新しい選択肢を、何もない僕がこの子に与える」

テイラーを引き取ることに決めたエイミー。

花嫁学校で過ごすイザベラ・ヨークは、家庭教師として来ていたヴァイオレットと過ごす最後の日に、ヴァイオレットに、妹に手紙を書いて欲しいと言い、自身の過去を話し始める。イザベラは、もとからヨーク家の子どもではなかった。本名はエイミー・バートレットという。エイミーは戦争で貧困に陥った街で、拾ったものを売って、なんとか生活をしていた。ある日、いつものようにものを売って、店を出ると、ボロボロの布にくるまった赤毛の女の子がいた。エイミーは、「お母さんは?」と聞くが、答えは返ってこない。店の店主が出てきて、また捨子か、とため息をついた。女の子は、エイミーの手を掴む。エイミーは、女の子と目線を合わせ、少し考えてから、女の子を自分の妹にする、と決意。店主にエイミーもまだ子どもであることから、反対されるが、エイミーは、「復讐だから。こんな生き方しかさせてくれない。本当はこの子も不幸になるはずなんだ。でも、僕が幸せにする。新しい選択肢を、何もない僕がこの子に与える」と言う。エイミーが感じる人生への不満を、人を幸せにすることで晴らそうというエイミーの強さが分かる名セリフで、エイミーの生きる目的が決まる名場面だ。

「エイミー。ただ、そう唱えて」

エイミーの手紙を代読するベネディクト(左)と、内容に涙するテイラー(右)。

赤毛の女の子テイラーを引き取り、自分の妹にしたエイミー。エイミーは、不幸になる以外選択肢の無かったテイラーを幸せにするために生きていた。エイミーにとって、テイラーの笑顔を見るのが1番の幸せだった。ある日、エイミーの父親を名乗る男性が家を訪ねてきて、今までの人生、名前を忘れて、ヨーク家の娘として生きるようにと、エイミーに言う。従うなら、テイラーの今後も面倒を見るという。エイミーは、少し悩んだが、テイラーの幸せのために、その男性に人生を売った。それから、エイミーは、イザベラという名前になり、花嫁学校に入れられて、テイラーとは会えなくなった。そんな花嫁学校に、イザベラの家庭教師として着任したのは、手紙を代筆するドールであるヴァイオレット。イザベラは、ヴァイオレットに、テイラーへの手紙を代筆してもらう。その手紙を、テイラーのいる孤児院に届けたのは、ベネディクト。ベネディクトは、字が読めなかったテイラーのために、その手紙を代読する。手紙には「エイミー。ただ、そう唱えて」とある。呼ばれることのなくなったエイミーという名前。離れていても、テイラーの幸せを願い、テイラーを守ろうとするエイミーの優しさが溢れる手紙だ。言葉もわからないテイラーが、エイミーという言葉に反応し、涙を流すこのシーンは、視聴者の涙を誘う名場面である。

テイラー・バートレットの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「あんたが、ヴァイアレット・エヴァーガルデン?」

ヴァイオレットから貰った手紙を見せるテイラー(真ん中)とそれを見守るカトレア(左)とベネディクト(右)。

ドロッセル王国が経営する孤児院から抜け出したテイラー・バートレットは、ライデンの街まで辿り着いた。南北の戦争で孤児となったテイラーは、エイミーという女性に引き取られ、お金はないが幸せな生活を送っていた。しかし、エイミーとの別れは突然やってくる。エイミーは、貴族であるヨーク家の血を引いていた。エイミーの父だという人間が突然現れ、エイミーがヨーク家の人間として生きるのならば、テイラーの面倒も見てやると言われたエイミー。エイミーは、テイラーにいい生活をさせてやるため、人生を売り渡す。1人孤児院に入れられたテイラーは、そこで、ヴァイオレットとエイミーから手紙をもらう。言葉も喋れず、字の読み書きも分からないテイラーだったが、その手紙を大切にしていた。貴族の娘として自由の効かない生活をしていたエイミーの友達になったヴァイオレットは、テイラーに何かあったら自分を訪ねろ、という手紙を書いていた。その手紙を握りしめ、テイラーはC.H郵便社にやって来た。言葉もおぼつかないテイラーはヴァイオレットの姿を見て、「あんたが、ヴァイアレット・エヴァーガルデン?」と聞く。ベネディクトの「いろいろ間違いすぎ」というつっこみもあり、言い間違いの滑稽さ、一生懸命なテイラーの愛らしさが伝わる名セリフだ。

「郵便配達人が運ぶのは幸せだから!」

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