君に届けの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『君に届け』とは、椎名軽穂により描かれた作品。根暗で控えめな主人公黒沼爽子が、爽やかなクラスの人気者の風早翔太に恋をし、成長していく姿を描いた青春ラブストーリーである。人と関わりを持つことが出来なかった爽子が、風早と出会ったことをきっかけに人間関係が広がっていく。自分の素直な気持ちと向き合い、恋に友情にと奮闘する姿が描かれている。個性溢れる登場人物の感情や想いが交錯し、思わず応援したくなるような作品となっており、故に名言が多い。

爽子は陰気で人見知りだと誤解されてきたが、誤解を解こうとずっと頑張っている爽子に憧れの気持ちが風早にはあった。風早は自分に自信がなく、爽子が思っているようなすごい存在でもないし尊敬される人間でも無いという。その時に言ったセリフが、「黒沼はいつも風早くんのおかげっていってたけど、いつも一人で頑張って、何とかしてしまう黒沼に憧れていたのはきっとおれの方だ」である。爽子は風早のことを明るく、爽やかでクラスの中心で自分とは正反対の存在であると言って憧れているのに対して、風早もまた爽子に憧れを抱いている。お互いが自分自身とは違った良い部分を認めており、尊敬しあって接していることが分かる名セリフである。

「ごめん...俺ばっかすきだと思ってたのに俺ばっかうれしい」

付き合うようになった風早と爽子。初めてのデートで、爽子は「彼女の仕事もまだわからない」と「彼女」がどういう存在で、どのように風早に接して良いのかを迷っていた。「仕事じゃないんだよ」と優しく言ってくれる風早への想いが強くなる一方で、一緒に過ごすことに緊張している。幸せのあまり時間が早く過ぎる中で、爽子は一緒にいることが普通になれたらいいと感じるようになった。その想いを知った風早が、ぎゅっと爽子を抱きしめて言ったセリフが「ごめん...俺ばっかすきだと思ってたのに俺ばっかうれしい」である。爽子は風早と付き合う前、嫌われたくなくてバレンタインもクリスマスのプレゼントも渡せなかった。付き合って、気持ちが通じ合ったことでプレゼントを渡した。そのプレゼントをもらったこともそうだが、何より風早の想いが爽子に届いたことを全身で喜ぶ印象的な場面である。

「大事にしたいけどどこまでが大事でどうしたら大事じゃないのかわからない」

付き合い始めて爽子のことを大事にしている風早だが、爽子が思っているような爽やかな自分でいれているのか分からないと感じる。自分のことと好きな子のことはよく分からなくなり、真面目に付き合い大事にしていくことがどういうことを意味するのかを悩んでいた。そんな時に言ったセリフが「大事にしたいけどどこまでが大事でどうしたら大事じゃないのかわからない」である。「貞子」のレッテルを貼られた爽子と、「爽やか」のレッテルを貼られた風早は、お互い自分自身を見失い相手にとって理想の自分であるのかを考えていた。誰とも上手に付き合う風早だが、自分自身の考えと行動があっているのかと不安になり、自信のない表情が高校生らしい悩みであり印象的な場面である。

「俺がどれだけ黒沼が好きか、想像できる?最初っから、他の誰とも違ったよ。黒沼は。初めて会った時から、ずっとここ...ずっと俺の奥の方」

修学旅行の時に、理性がとび爽子にキスをしようとしたことを後悔している風早。爽子の両親に「真面目に付き合います」と言った手前、真面目に付き合うことがどういうことなのかをずっと考えていたが分からなくなり爽子との距離が開いてしまった。そして、爽子を苦しめることなく大事にしたいと思う反面、自分の理性が飛ぶことに不安を感じていた。自分に自信が無いから大事に出来ないかもしれないと感じていたが、爽子からの「一緒にいたい」という言葉で目が冷めて風早が言ったセリフが「俺がどれだけ黒沼が好きか、想像できる?最初っから、他の誰とも違ったよ。黒沼は。初めて会った時から、ずっとここ...ずっと俺の奥の方」である。誰とも隔てなく付き合う風早だが、本音を言える相手は限られており、一定の距離をあけてしまうことがあった。それは爽子と出会ったことで、自分では気づかなかった自分の感情や行動を知ったからである。風早の隠された気持ちや悩みが伝わる名セリフである。

「黒沼を誰にも渡すつもりはないし、好きだよ。好きなのに、好きだから大事にできないのかもしれない」

爽子は「みんなと仲良くなりたい」と思い頑張って行動している姿を見ていた風早だが、好きな気持ちが強くて「ひとりじめしたい」という想いが強くなっている。その感情は爽子の頑張りを無駄にしてしまうので抑えていたが、どうしても抑えきれない想いが強くなっていた。心が狭いと感じる風早は、爽子が思っている爽やかで優しくいる自信が無くなった。そんな時に言ったセリフが「黒沼を誰にも渡すつもりはないし、好きだよ。好きなのに、好きだから大事にできないのかもしれない」である。好きだからこそ、ひとりじめしたい。その気持ちは、爽子を苦しめるかもしれない。自分の気持ちと爽子の気持ちを考えて揺れ動く風早の心情が読み取れる奥深い名セリフである。

「違うよ!!あ〜もう!ぎゅってしたい!!!」

ホワイトデーに一緒に帰る爽子と風早。爽子は風早と一緒に歩くだけで幸せ過ぎて、これがホワイトデーだと思っていた。笑顔で楽しそうに風早に接する爽子を見て言ったセリフが「違うよ!!あ〜もう!ぎゅってしたい!!!」である。風早は爽子の天然で何でも楽しんでくれる姿が愛おしくてしょうがないといった気持ちが伝わる印象的なセリフである。

吉田千鶴(よしだちづる)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「しってる?友達ってね...気付いたらもうなってんの!」

自分が一緒にいることで、吉田と矢野に変な噂が流れて傷つけると感じた爽子だが、それでも一緒にいたいという気持ちが強かったので2人に「ともだちになりたい」と思い切って伝える。そして、爽子の健気な想いを聞いた千鶴は「しってる?友達ってね...気づいたらもうなってるの!」と言う。爽子が友達になりたいと思う一方で吉田と矢野は爽子のことをもうすでに「友達」として大事な存在であると伝える。「友達になろう」と伝えてから友達になるのではなく、いつの間にか「友達」になり、お互いを想う大事な存在となっていることを気づかせてくれる名セリフである。

「...龍!もしあんたになんかあったら その時はあたしがなぐさめてやるからね」

真田龍(さなだりゅう)の兄の真田徹(さなだとおる)が好きだった千鶴だが、徹が結婚することを聞いて落ち込んでいた。その時に、いつも側にいて千鶴をなぐさめてきたのは龍だった。千鶴は、寄り添ってくれる龍に感謝していた。その時に言ったセリフが「...龍!もしあんたになんかあったら その時はあたしがなぐさめてやるからね」である。千鶴らしい龍への日頃のお礼を伝えた言葉であり、なぐさめると表現している2人の深い絆が感じられる名セリフである。

「龍...あたしここにいるから。だから...安心して行っておいで」

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