君に届け(君届)のネタバレ解説・考察まとめ
『君に届け』とは、椎名軽穂が別冊マーガレットで2006年1月号から連載していた少女漫画である。全30巻。
見た目が暗く周りからも「貞子」と呼ばれる女子高生の黒沼爽子。高校一年生の爽子が友情や恋愛などを通して成長し、高校を卒業して新たな生活を始めるまでの青春を描いた作品。
32回講談社漫画賞少女部門を受賞したほか、2度のアニメ化や実写映画化がされている。
『君に届け』の概要
『君に届け』とは、別冊マーガレットで椎名軽穂が、2005年9月号に読み切りとして発表した後、2006年1月号から2017年12月号まで連載していた少女漫画である。全30巻。
2008年に第32回講談社漫画賞少女部門を受賞したほか、2009年、2011年にはアニメ化、2010年には実写映画化されている。
高校一年生の夏休みがすぐそこまでやってきていた時期から、高校卒業し新たな生活を始めるまでが描かれている。
人と交わることを諦めていた主人公は、自分の意見を受け止めてもらえることに戸惑いつつも、同じように信頼し一緒に過ごすようになる。
恋だけじゃない、友情とも将来とも真剣に向き合い、それぞれの道を歩いていく。
『君に届け』のあらすじ・ストーリー
高校生の黒沼爽子(くろぬまさわこ)は、真黒な長い髪と真夏でも青白い肌、それによる醸し出す雰囲気で貞子と呼ばれ、避けられる日々を過ごしていた。
座右の銘に「一日一善」をかかげ、クラスのために行動している彼女の存在を知っている人は一人もいないと思っていた。しかし、クラス一、いや学校一の人気者である風早翔太(かぜはやしょうた)だけは、春の出会いからずっと気にかけていた。
ある日、爽子が幼馴染と話していたところを、偶然にも話題に上っていた本人である風早に聞かれてしまう。幼馴染でさえ嫌味を言っていると思っていたにもかかわらず、ほめ言葉なのだと伝えるとそのまま受け取ってくれた彼にますます憧れを抱く。彼とのやり取りから、彼女はきちんと言葉に出すことで気持ちを伝えるように努力していく。
クラスでの夏休み直前のイベントとして行った肝だめしがきっかけで、吉田千鶴(よしだちづる)と矢野あやね(やのあやね)とも話す機会が増える。一方で他のクラスメイト達とも同じようにはすぐに打ち解けられなかった。しかし、その度に風早や千鶴、あやねがそっと寄り添い救ってくれる。気付けば、彼女等と、幼馴染の真田龍(さなだりゅう)の4人に囲まれ、新たに担任となった荒井一市(あらいかずいち)から構われて過ごす日々が続き、徐々にクラスメイトとも話す機会が増えてきていた。
ところが、爽子が千鶴やあやねのイメージを落とすような話を流していると噂が広まる。最初はその噂を信じていなかった二人だが、爽子が幼馴染と話していたところを立ち聞きし、不安を抱き、直接話をする。欲しい答えを得ることが出来ず、三人の関係に亀裂が入る。噂話をしていた女子生徒たちと言い争いになり、人だかりができても爽子は諦めずに噂が真実でないと訴え続ける。そこへ千鶴とあやねが彼女をかばうように間に入ってくる。騒動が収まり、三人の関係はそれまで以上に強まる。
彼女たちや風早、龍と関わりがますます増え、学校行事のイベントにも積極的に爽子もかかわり始める。そんな時に、学校一かわいいと称される胡桃沢梅(くるみざわうめ)と親しくなったのだが、上記の噂話を広めた張本人だった。千鶴とあやねは、こらしめようと証拠集めにいそしんでいたのだが、爽子は止める。そして、くるみと関わるうちに風早に恋心を抱いていると気付くことが出来た。
千鶴やあやねの恋模様も同じように少しづつ描かれはじめる。
クリスマスや年越しを一緒に過ごしてきた風早と爽子。けれど、バレンタインには爽子が風早への本命チョコだけは渡すことが出来ず、なんだか気まずい雰囲気のまま新学期になってしまった。
クラス替えはあったものの、二人ともあやねも千鶴も龍もみんなそのまま同じクラスになった。
新たなクラスとなり、存在感を増したのは三浦健人(みうらけんと)という博愛主義の男子学生で、何かと爽子にちょっかいをかける。
そんな状況に耐えられなくなった風早は、爽子への思いを直接なんどかぶつけるのだが、タイミングの問題や爽子が素直にその告白を受け入れられずすれ違ってしまう。
あやね達と話すうちに爽子も決意を固め、今度は彼女から風早へ思いを伝える。高校生活二回目の文化祭当日にようやく二人の思いが、結ばれ、付き合うことになる。
思いが届き伝わったことは終わりではなく、始まりで、その関係をどうすればいいのか悩む爽子だったが、二人でゆっくりと彼ららしく歩んでいく。
お互いの両親とも交流を深め、学校でも家族でも公認の仲になる。
周りから冷やかしを受けつつも、いつまでも付き合いたての恋人のように初々しく眩しい彼らに、あやねは憧れるとぽつりとつぶやく。
そんなあやねに、次第に健人が惹かれはじめ、一度は付き合うことになる。
千鶴も初恋相手への思いから、龍の真剣な思いを受け、幼馴染の関係から恋人へと段階を移り変えていく。
彼らの恋愛模様を丁寧に描きつつも、時間は流れ、ついに受験を意識する高校三年生になる。
それぞれの家庭の事情や夢に悩み、友人や恋人ともこれまでのようにすぐに会える距離ではなくなることへの不安を抱きつつも、彼らなりに答えを出していく。
そして、納得のいく進路を定め、塾に通うなど準備を進める。そんな中であやねは、自分の気持ちに気づき、中々素直になれないものの最終的にはきちんと伝えることが出来た。
卒業式の日に、爽子は代表として答辞を述べる。
一年生の時と、卒業する三年生の自分とは全く異なり、貞子として過ごせた日々に感謝していると笑顔でみんなに思いを届ける。
そんな爽子に一年生の時のクラスメイトの高橋千草(たかはしちぐさ)から、これまでの爽子の学生生活を描いた一冊のノートを貰う。
そこに書かれていたように、いつしか彼女はクラスに溶け込み、みんなの思い出の中心にかかわるようになっていた。
高校を卒業し、それぞれが次の新たな環境に行くため、早めに地元を出たり、残り少ない時間を一緒に過ごしていたりしていた。
爽子は地元を離れ、教師になるために、くるみと一緒の大学へ進む。あやねは、最初は出るつもりはなかったが、東京に進学することに。そして千鶴は地元に残り、龍の実家のラーメン屋を手伝う。風早は実家を出て、一人暮らしになる。龍も地元を離れる。
みんなと一緒に過ごせなくなることに不安があったが、それでも過ごしてきた時間と共に築いてきた関係で出来るようになったことも増えた。
新たな環境でそれぞれの道を進んでいく。
『君に届け』の登場人物・キャラクター
黒沼 爽子(くろぬま さわこ)
声:能登麻美子 / 演:多部未華子
「一日一善」を座右の銘に掲げる。あだ名は貞子、爽子、爽など。
霊感があるなどと恐れられていたが、そんな能力がない代わりに、みんなの期待に応えるべく怪談を勉強していた時期がある。
ジョギングがてらにゴミ拾いをしたり、学校の花壇に薬草を育てたりしている。
勉強を人に教えることが上手いようで、何度かクラスの勉強会で黒板を使って説明したり、千鶴専用のノートを作ったりしている。
絵が下手で、何を描いているのか伝わりにくいが、度々彼女の描く絵は登場する。
前向きで、自分も嫌味を言うことはないが、言われていても気づかない。言われたことはそのまま素直に受け止める。
風早と高校二年生の文化祭から付き合い始める。
風早 翔太(かぜはや しょうた)
声:浪川大輔 / 演:三浦春馬
座右の銘は「真実一路」。あだ名は風早がほとんどだが、龍やピンは翔太。
爽やかで男女ともに人気がある。中学時代には、女子の間で風早くんはみんなのものという暗黙のルールがあったほどだ。
中学では野球部に所属していたが、高校では帰宅部。
まっすぐに言動を行い、回りくどいやり方は苦手。告白されるときも、千鶴経由でされたときは理解できないようだった。
高校一年生の春に爽子に道を尋ねた時から、ずっと気になっていた。
そんな爽子と紆余曲折あったが、高校二年生の文化祭から付き合い始めた。
吉田 千鶴(よしだ ちづる)
声:三瓶由布子 / 演:蓮佛美沙子
座右の銘は「腹八分目」で、龍の家のラーメンが大好物。あだ名は、ちづ。龍の兄からはちーと呼ばれる。
難しいことを考えることは苦手で、頭で考えるよりは行動するタイプ。
義理人情に弱く、爽子と初めて話した時にもけなげだと涙を流してすぐに受け入れていた。
恋愛面には疎く、あやねによく注意されている。
龍との関係に戸惑いつつも順調に交際している。
矢野 あやね(やの あやね)
声:沢城みゆき / 演:夏菜
座右の銘は「眉目秀麗」。あだ名は、やのちん、あやね。
美容には目がなく、爽子のためにくるみを懲らしめている時にも彼女の肌のきれいさの原因を追究するほどだった。
爽子とちづのことを大切に思っている。彼女たちの恋愛をからかいもするが、真剣に考えている。
自分のことを話すよりも、二人の話を聞くことばかり。
風早と爽子をからかうのが好きで、特に風早の反応はツボのようだ。
一方で、自身の恋愛にはそれほど真剣になったことがないようで、健人に大事にされるたびに戸惑う場面が見受けられる。
真田 龍(さなだ りゅう)
声:中村悠一 / 演:青山ハル
座右の銘は「不言実行」。あだ名は龍。
野球部に所属し、大学にも野球の推薦で進む。
幼いころからずっとちづが好きで、宝物は彼女から誕生日に貰ったグローブ袋。
寡黙で、周りのことをよく見ている。風早やちづが悩んでいる時、そして爽子の恋心を気づかせるきっかけにも一役買っている。
照れる様子を見せることはまれで、ちづだけが慌てているように感じるが順調に交際をしている。
荒井 一市(あらい かずいち)
声:小野友樹 / 演:ARATA
座右の銘は「唯我独尊」で、あだ名はピン。爽子からだけは荒井先生と呼ばれている。
小さなころから風早と龍を知り、よく龍の家であるラーメン屋に入り浸っている。
翔太いじりが趣味。自信満々で、たまに生徒をハッとさせることを言う。
爽子のことを除霊ができると本気で信じているが、それは彼自身が霊感が強いせいで見えたり感じたりしている。
実際に女の幽霊にまとわりつかれていた時期があるが、自覚はない。
胡桃沢 梅(くるみざわ うめ)
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目次 - Contents
- 『君に届け』の概要
- 『君に届け』のあらすじ・ストーリー
- 『君に届け』の登場人物・キャラクター
- 黒沼 爽子(くろぬま さわこ)
- 風早 翔太(かぜはや しょうた)
- 吉田 千鶴(よしだ ちづる)
- 矢野 あやね(やの あやね)
- 真田 龍(さなだ りゅう)
- 荒井 一市(あらい かずいち)
- 胡桃沢 梅(くるみざわ うめ)
- 三浦 健人(みうら けんと)
- 『君に届け』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 風早と爽子が初めてきちんと向き合って話した場面
- 『ピュアホワイト』
- 『友達って気づいたらもうなってんの!』
- 『風早がすきになってくれなきゃ意味がないじゃん!!』
- ちづが爽子に喝を入れる場面
- 自分の進む道に悩むあやねにピンが教師らしく声をかける場面
- 卒業式の答辞をする爽子
- 『君に届け』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 爽子の幼いころの夢
- 『THE LEGEND OF SADAKO』
- 爽子のいとこの赤星栄治(あかほしえいじ)
- 紙のコミックの裏表紙のイラスト