イースvs.空の軌跡 オルタナティブ・サーガ(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

『イースvs.空の軌跡 オルタナティブ・サーガ』とは、日本ファルコムより2010年7月29日に発売されたPlayStation Vita用対戦アクションゲーム。本作は日本ファルコムの看板作品であるRPGゲーム『イース』シリーズ並びに『英雄伝説VI 空の軌跡』シリーズのキャラクターをプレイヤーキャラクターとしており、これらのシリーズのキャラクターたちがザナドゥと呼ばれる異世界に召喚され、魔王ガルシスを倒す冒険を描いたストーリーとなっている。

その他

ザナドゥ

本作の主な舞台にして重要なキーワードである異世界。かつては桃源郷と謳われるほどの隆盛と平和を誇る王国が存在していたが、魔王ガルシスによってその平和が脅かされることになった。その後、王国の住民たちが力を合わせて魔王ガルシスと幾度となく戦いを繰り返したが、終わりなき戦いによる疲弊と、戦いの中で王国と大地が荒廃したことから住民たちが新天地を求めて旅立っていった。その後、戦いによって刻まれた理と、魔王ガルシスだけがこのザナドゥに残され、魔王ガルシスの復活に合わせて動き出す理によって異世界の戦士たちが呼び寄せられるようになったのが本作のストーリーの始まりとなる。

聖剣ドラゴンスレイヤー

本作の重要なキーワードで、『ザナドゥ』シリーズにも武器として登場した聖剣。魔王ガルシスを倒せる力を持った唯一の武器として王国によって重宝されていたが、長い戦いの年月を経て徐々に朽ち果てていくと共に力が完全に失われた。そして本作のストーリーでは魔王ガルシスによって回収されて奇巌城の屋上に突き立てられ、アドルとエステルたち一行を絶望させるために彼らの目の前で破壊されてしまう。しかしその直後、駆けつけてきたロイドによって本来のドラゴンスレイヤーは聖剣ではなく、魔王ガルシスを倒す強い意志と希望の力だということが明かされ、希望を燃やしたアドルとエステルたちにドラゴンスレイヤーの力が宿り、魔王ガルシスは大激闘の末に討ち果たされることとなった。

『イースvs.空の軌跡 オルタナティブ・サーガ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

本作のベースとなったアクションRPG『ザナドゥ』

『ザナドゥ』のゲーム画面。発売から37年の月日が経った今も、ファルコムの大作として根強い人気と知名度を誇っている。

本作の世界観や設定のベースとなった『ザナドゥ』は、1985年に日本ファルコムが開発した8ビットパソコン対応のアクションRPGゲームである。当時、日本国内のパソコンゲームとして約40万本の売り上げ本数を記録し、発売から30年が経過した2015年時点でもこれを超える記録はないとされていた。このゲームのメインシステムは自由落下が表現されたサイドビューマップ上でのブロック単位移動をしつつ、モンスターなどのシンボルエンカウントによって戦闘画面に切り替わってトップビューのドット単位移動によるアクション形式の戦闘を行う。こうした戦闘を繰り返すことによる経験値の蓄積で主人公がレベルアップし、入手する多数の武器や防具およびアイテムを活用して、本作にも登場した最後に待ち受けるラスボスであるキングドラゴン・ガルシスの討伐を目指すというものになっている。

また、翌年にはその続編として『ザナドゥ・シナリオII』が発売され、こちらでのストーリーはガルシスが復活し、その配下である地下迷宮のモンスターたちが勢力を盛り返してきたことから、王が勇者たちにガルシスの調査および魔物たちの殲滅を命じるところから始まる。ちなみにこの『ザナドゥ・シナリオII』は前作『ザナドゥ』の拡張シナリオという形での提供となったが、ストーリーからして前作『ザナドゥ』の事実上の続編であり、アイテムやショップ、地形構成に至るまでゲーム内容の大幅な改修が行われているのが大きな特徴となっている。

開発のきっかけは『Ys SEVEN』のゲームシステム

『Ys SEVEN』のゲーム画面。この『Ys SEVEN』のゲームシステムが本作が作られるきっかけのひとつとなった。

本作が制作されるきっかけとなったのは『Ys SEVEN』にあり、PSP対応ソフトの『Ys SEVEN』を制作するならばネットワーク機能も利用したいという提案が出された。しかし、その提案は『Ys SEVEN』の制作のスケジュールに盛り込んでいなかったために断念しており、いずれはネットワーク機能を利用した協力・対戦ができる作品を作ろうという方針に落ち着いている。そんな中で『空の軌跡』シリーズがコマンド選択型のRPGながらも格闘ゲーム並みにアクションパターンが多彩であり、制作の途中で、『イース』シリーズと同じアクションにしても通用しそうだという話題が出た。そして先述のネットワーク機能とアクションのふたつがこれまでに日本ファルコムがやったことのない分野であったことから挑戦してみようという方針が固まり、本作の制作が決定された。

どちらが強いかという発想で生まれた「お祭りゲーム」

本作のオープニングムービーで、ザナドゥに召喚されて間もないアドルとエステルたち。ファルコムの人気二大作品のキャラが集まり、共演するのはまさにお祭りというに相応しいものである。

本作は冒頭の説明文にもあった通り、日本ファルコムの看板作品である『イース』シリーズと『英雄伝説VI空の軌跡』シリーズの登場人物をプレイヤーキャラクターとして多く出演させたことから「お祭りゲーム」という二つ名で多くのファンに親しまれている。『イース』と『空の軌跡』の2作品を選んだのは日本ファルコムの看板作品ということもあるが、前項の過程で本作の制作が決まった後に製作陣の間で「アドルとヨシュアのどちらが強い」といった話題で盛り上がったことがある。そして、それを実現しようという気持ちが製作陣の間で湧いたのと、このふたつの作品をPSPに移植してからファンが増えたのとで、お祭りをして盛り上げようという理由からきている。

『ザナドゥ』の名を冠したファルコム初の現代アクションRPG『東亰ザナドゥ』

『東亰ザナドゥ』のゲーム画面。『イース』や『空の軌跡』とは違ってシリーズ化されていないが、ファルコム初の現代アクションRPGとして今でも同二作に負けないくらいの人気を誇っている。

前項にも紹介した、本作の世界観や設定のベースとなった『ザナドゥ』は続編『ザナドゥ・シナリオII』の他にも様々な派生作品を残しており、その中に2015年9月に発売された、ファルコム史上初の現代日本を舞台とした作品として大きな話題を呼んだPlayStation Vita専用アクションRPG『東亰ザナドゥ』がある。このゲームは現代日本を舞台としつつ、「怪異(グリード)」と呼ばれる魔物たちがひしめく「異界」をダンジョンとし、異界による現実への侵食と、それにまつわる怪異たちの脅威に主人公たちが立ち向かうなど、『ザナドゥ』の設定を踏襲したストーリーやシステムが特徴となっている。そして翌年の2016年にグラフィックをフルHD化し、新規エピソードが追加されたPlayStation 4対応の続編である『東亰ザナドゥeX+』が発売されている。

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