
『金色のコルダ スターライトオーケストラ』とは、音楽がテーマの女性向け恋愛シミュレーションゲーム金色のコルダシリーズの、スマートフォン用育成シミュレーションゲーム。世界一のオーケストラを作る夢を持つ主人公・朝比奈 唯が、日本各地を旅して埋もれた音楽家たち集め、国際コンクール出場を目指す。強力なライバルを相手に立ち向かい、仲間たちと共に勝利をつかむ青春恋愛ストーリーである。株式会社コーエーテクモゲームスから企画配信され、2024年3月にサービスが終了している。
『金色のコルダ スターライトオーケストラ』(スタオケ)の概要
『金色のコルダ スターライトオーケストラ』とは、株式会社コーエーテクモゲームスの女性向け恋愛シミュレーションゲーム『金色のコルダ』のスマートフォン用育成シュミレーションゲームである。
企画開発はコーエーテクモゲームス・アニプレックス、アニメーション制作はCloverWorks、キャラクターデザインを高山 しのぶ(たかやま しのぶ)が担当した。
プレイ料金はフリーミアム制で、課金要素あり。
『金色のコルダ スターライトオーケストラ』は2021年2月24日から配信が開始され、事前登録人数12万人を突破し注目を集めたが、2024年3月29日15時をもってサービス終了となっている。
本作はコミカライズもされており、作者は八橋 はち(やつはし はち)。『コミックZERO-SUM』にて2021年9月28日から2023年12月27日まで連載された。単行本は全4巻が発売されている。
『金色のコルダ スターライトオーケストラ』は、『金色のコルダ3』から10年後の物語である。
ヴァイオリニストの主人公・朝比奈 唯(あさひな ゆい)は、横浜の星奏学院の音楽科に落ち、普通科でくすぶった日々を送っていた。しかし子供の頃憧れた指揮者・一ノ瀬 銀河(いちのせ ぎんが)と再会し、彼から世界一のオーケストラを作ろうと誘われる。朝比奈はオーケストラのリーダーであるコンサートミストレスとして、コンサートの開催やオーケストラメンバーのスカウトなどを続け、国際コンクールへ挑戦する。そして各地の演奏者やファンを集め、日本中を旅して音楽を広げていく。
壮大な夢を描く、音楽を楽しむ高校生たちの物語である。
本作はシリーズ前作同様に、世界観を共有しつつも登場人物は一新されている。作中には日本各地の魅力的なキャラクターが登場し、主人公と心ときめく会話を繰り広げる。
またシリーズお馴染みの横浜の学校・星奏学院の他に、日本各地の新しい学校が登場する。舞台が日本全域になったことで作品の幅が大きく広がり、キャラクターや学校の自由度が広がったのが特徴である。
また日本各地を巡りながらご当地ネタ・地域のソウルフードなども登場し、まるで日本全国を旅しているような楽しさを味わえるのもこのゲームの魅力である。
ゲームシステムはスマホに特化した仕様に変更されているが、演奏曲の完成度アップなど、従来のシステムもうまく取り入れられ、古参ユーザーも十分に楽しめる内容になっている。
『金色のコルダ スターライトオーケストラ』(スタオケ)のあらすじ・ストーリー
スターライトオーケストラの始動
主人公・朝比奈 唯(あさひな ゆい)は、星奏学院普通科の2年生。彼女は学院のオーケストラ部の入部テストを受けられず、肩を落としていた。朝比奈には世界一のオーケストラを作るという夢があった。それは子供の頃にオーケストラのコンサートで、指揮者の一ノ瀬 銀河(いちのせ ぎんが)と交わした約束だった。
同じ菩提樹寮(リンデンホール)に住む世話焼きのクラスメイト・九条 朔夜(くじょうさくや)との帰宅途中、2人の横にバスが停車し、中から一ノ瀬 銀河が現れた。彼は学生オーケストラの音楽監督指揮者に抜擢されたことで、朝比奈に最高のオーケストラを俺たちの手で作ろうと誘いに来たのだった。
翌日、学院掲示板にはオーケストラ募集の張り紙と、代表者指名に朝比奈と九条の名が記載されていた。驚いた2人は事情を聞くべく、事務局のある木蓮館(もくれんかん)へ向かう。
室内では一ノ瀬と音楽科教員・篠森 和真(しのもり かずま)が言い争っていて、一ノ瀬はタイミング良く現れた朝比奈をコンサートミストレスだと紹介する。一ノ瀬が作るオーケストラは、スターライトオーケストラ。朝比奈をオーケストラのリーダーであるコンサートミストレスとして、国際コンクールを目指すと言う。しかし篠森は眉をひそめ、今月中にコンサートを開いてオーケストラの活動実績を提示しろと告げる。篠森を納得させるため、朝比奈・九条はバイオリン、一ノ瀬はピアノを担当してアンサンブルコンサートを開くことにした。
まずメンバー、そしてコンサートを観に来てくれる多くの客を集める必要がある。3人は学院内や路上で自分たちの演奏をアピールするが、メンバー集めも集客もうまくいかない。朝比奈が同じ寮の後輩・成宮 智治(なりみや ともはる)に愚痴をこぼすと、かつてチェロ奏者だった彼は、アンサンブルに参加し協力してくれることになった。
コンサートの演奏曲にはヴィオラ奏者が必要だった。朝比奈はオーケストラ部に所属するヴィオラ奏者・竜崎 疾風(りゅうざき はやて)を勧誘するが、中途半端なオーケストラなんて認めないときっぱりと断られてしまう。その後、別の音楽科のヴィオラ奏者を入れ、朝比奈はコンサートに向けて駆け回った。
コンサート当日、お客さんの集まりも上々、朝比奈たちも準備万端だが、ヴィオラ奏者が現れない。実は彼はコンサートに尻込みし逃げ出していた。困り果てる朝比奈たちの元に竜崎が駆けつけ、彼のおかげで無事コンサートは開演でき、大成功を収めた。
コンサートの成功により篠森はスターライトオーケストラの活動を認め、また竜崎も朝比奈の本気を認め、スターライトオーケストラへ加入してくれたのだった。
新たなメンバー集めの旅へ
水戸のコンサートホールからの誘いがあり、スタオケは水戸でのコンサート開催を決める。水戸には竜崎の知り合いのトランペット奏者がいるということで、新しいメンバーを勧誘すべく、朝比奈たちは水戸に向かった。
水戸の常陽工業高校に到着し、探していたトランペット奏者・刑部 斉士(おさかべ せいじ)に会えた。竜崎が刑部をスタオケに勧誘しても彼はあまり乗り気ではなかったが、周りで聞いていた教諭の後押しで、しぶしぶスタオケ参加を了承してくれた。
実は朝比奈には、もう1人誘いたいトランペット奏者がいた。水戸での散策中、高らかにトランペットを吹く常陽工業高校の不良生徒を見かけたのだ。刑部は、彼は不良チームのウロボロスのリーダー・桐ヶ谷 晃(きりがや あきら)だと教えてくれる。タイミング良くバイクを乗り回し登校してきた桐ヶ谷を捕まえ、朝比奈は彼もスタオケに勧誘する。桐ヶ谷は真っ向から頼んできた朝比奈の度胸を認め、水戸でのコンサートだけ手伝うことを約束してくれた。
生徒会長の刑部と不良の桐ヶ谷は犬猿の仲のようだ。2人は約束通り練習には付き合ってくれるが、お互い必要以上に交流することはない。しかし刑部は、桐ヶ谷が喧嘩を始めたら自分に知らせてほしい、と朝比奈にこっそり頼んでいた。
ある日不良チームの後輩・安田が、別学校の不良チームが喧嘩を仕掛けてきたと桐ヶ谷を呼びに来る。桐ヶ谷は後輩たちを助けるためジャズ喫茶ウロボロスに向かい、朝比奈は約束通り刑部に知らせに走る。
ウロボロスでは、不良チームのボスと桐ヶ谷の喧嘩が始まっていた。仲間を人質に取られた桐ヶ谷は縛り付けられ手も足もでない。そこへ刑部が現れ、喧嘩に加勢して桐ヶ谷を助け、朝比奈が呼んだ警察に紛れて2人は無事逃げきったのだった。
しかし次の日問題が発生した。教員委員会から不良チームに属する桐ヶ谷や、任侠集団・鬼龍会の子息である刑部が所属していることを問題視され、コンサート開催予定のホールの利用予約を白紙にされてしまったのだ。しかし朝比奈はコンサート開催を諦めず、ジャズ喫茶ウロボロスのステージを修復してコンサートを開くことを決める。
桐ヶ谷と刑部は、実は旧知の仲だった。入学当初、周りから見下されていた常陽工業高校を立て直すため、刑部が生徒会長に、桐ヶ谷が不良チームのリーダーとなり改革していったのだ。そして周りに作戦を悟らせないため、2人は仲が悪いふりをしていた。
コンサート当日、周りに隠して共にトランペットを吐き続けていた彼らの演奏は、共鳴し力強く響き渡った。コンサートは大成功し、刑部と桐ヶ谷は2人ともスタオケ正式加入を決断してくれたのだった。
国際コンクールへの挑戦
国際コンクール前の選考説明会に参加するため、朝比奈たちは昨年の優勝者であるグランツ交響楽団の本拠地・花響学園(かきょうがくえん)に向かう。
例年以上の応募数があった今年の選考会は、事前に合同演奏会を行い、選考会に参加するオーケストラを厳選するそうだ。課題曲はヴァイオリンソロパートがある曲で、他オケはグランツに有利だと不満を漏らす。グランツ交響楽団のコンサートマスターの月城 慧(つきしろ けい)は世界的に有名なヴァイオリニストだからだ。
朝比奈は、スタオケの新規加入者で以前グランツに所属していた音楽科女子生徒・香坂 怜(こうさか れい)に、グランツの事情を教えてもらう。まず月城は、音楽やステージを優先しない人間にとても厳しい人物だという。その厳しさがグランツを成功へと導いたが、影では苦しみ挫折した人間が大勢いるそうだ。香坂もたった一日練習を休んだだけで、グランツから除籍させられた。
多くの優秀な演奏家を抱え圧倒的な実力のあるグランツと戦うため、朝比奈は根を詰めて練習に打ち込む。九条はそんながむしゃらに突っ走る彼女を信じ、精一杯フォローすることを決めたのだった。
いよいよ合同演奏会当日。演奏会のトップバッターはグランツが務め、圧倒的な演奏力に客席から大歓声があがる。
いよいよスターライトオーケストラの出番がきた。会場は冷え切り完全なアウェイの状態だが、朝比奈は心を奮い立たせ、仲間を信じてステージを楽しもうと壇上へ上がった。
そして演奏会は無事終了し、スタオケは選考会に出場枠を獲得できたのだった。
アイドルユニットの苦悩と成長
浜松での有名音楽祭の開催を知り、スタオケメンバーは浜松へ向かった。
コンサート会場は、2人組の木管ユニットアイドル・ポラリス出演の影響で盛り上がっていた。ポラリスメンバーの弓原 凛(ゆみはら りん)と榛名 流星(はるな りゅうせい)の演奏レベルが高く、朝比奈は彼らに興味をもつ。
その後会場外で、朝比奈ポラリスとバックバンドの言い合いに遭遇する。プロ意識の高いポラリスは、いつもバックバンドの演奏にダメ出しして揉めるのだという。そこで朝比奈は協力を申し出て、スタオケがポラリスのバックバンドを引き受けることにしたのだが、まるで期待していない様子のポラリスの2人。朝比奈は彼らに認めてもらうため、浜松でスタオケの知名度を上げると啖呵をきる。
ある日、弓原に頼まれた用事のため、朝比奈は彼らの所属するシルフ芸術アカデミーへ向かう。レッスン室を覗くと、弓原と榛名が真剣な顔で練習に取り組んでいた。プロデューサーからダメ出しにもめげずに喰らい付く2人を見て、朝比奈は彼らの根性に感動したのだった。
弓原はアイドルとしてファンを第一とし、大衆が望む演奏を差し出してきた。しかしスタオケと共に演奏したことで、もっと自由な演奏にチャレンジしてみたいと思い始めていた。弓原は榛名に、従来の可愛いアイドルらしい表現以外にも、自分たちらしい新しい表現に挑戦してみないかと提案する。しかし批判を買うことを恐れた榛名は、断固として新しい表現を受け入れない。榛名は今までの表現を求める会社に従わないと、ポラリスを解散させられると心配していたのだ。
しかし榛名は、弓原がスタオケでが自由に楽しく練習していた姿が忘れられなかった。そこで音楽祭のフィナーレであるコンサート当日、榛名は覚悟を決め、弓原が提案した新しい表現で演奏し、弓原も榛名の気持ちを汲み取り新しいポラリスの演奏に挑戦したのだった。
マネージャーは2人の成長に感激し、これからもスタオケと共に演奏して君たちの可能性を広げなさいと説得する。弓原と榛名も了承し、2人は正式にスタオケに加入してくれたのだった。
思い出の遊園地との別れ
季節は夏、世界展開している有名なホテルチェーンから、スタオケメンバーの元に宮崎での音楽イベントの出演依頼が舞い込む。
気持ちを弾ませ向かった宮崎で目的地に到着するも、ホテルは建設中で、そこには古い遊園地があった。待ち合わせ場所を探し朝比奈たちが遊園地の中を歩き回っていると、隅にあるステージで1人トロンボーンを吹く青年・赤羽 拓斗(あかばね たくと)と出会う。そこに赤羽の幼馴染・三上 蒼司(みかみ そうじ)も現れ、朝比奈がホテル関係者だと知ると、まるで敵だといわんばかりに冷たい態度で赤羽を連れて去ってしまった。
無事ホテル主催者と落ち合えたスタオケメンバーだが、どこか話が食い違う。実はホテル主催者側は、スタオケが国際コンクールに何度も出ている世界的なオケだと勘違いしていた。スタオケが有名オケではないと知った途端、手のひらを返し失礼な言葉を吐く主催者に、朝比奈は腹を立てる。
赤羽と三上が気になった朝比奈が翌日、遊園地のステージに訪れると、赤羽と三上が楽しそうに演奏していた。そこへ突如ホテル主催者がステージに乱入し、客席の撤去を始めてしまう。実はこの遊園地をつぶして大型リゾートホテルを作る計画が進行していて、このステージもあと2週間ほどで取り壊すという。先日の失礼な態度に腹が立っていた朝比奈が異を唱えると、ホテル主催者からスタオケの音楽イベント参加のキャンセルを告げられてしまう。失礼な人物と縁を切れてスッキリしたと朝比奈は笑うが、宮崎まで来てコンサートができないのは正直痛い。そこでこの遊園地のステージでコンサートを開催することを決め、赤羽と三上も参加してくれることになった。
スタオケの宣伝効果もあり遊園地の客も徐々に増えてきていた。しかしステージ恐怖症を患う三上は、少しずつ体調悪くし、最終リハーサルの日についに倒れてしまう。
病院に運び込まれた三上が目を覚ますのを待つ間、朝比奈は赤羽から、彼と三上の過去を打ち明けられる。彼らが中学の頃の文化祭で、舞台上の大道具が倒れ、赤羽は足を負傷してしまった。赤羽を文化祭のステージに誘ったのは三上だったため、三上は責任を感じ、音楽家を目指す夢を諦めてしまったのだという。
病室で目を覚ました三上は、朝比奈にコンサートは降りると告げ練習に来なくなってしまった。
家でふさぎ込んでいた三上だが、外から自分を呼ぶ赤羽の声に気づく。なんと赤羽は外の木をよじ登り、2階にある三上の部屋の窓前まで来ていたのだ。中学のころバスケ部だった赤羽は、足の怪我によってバスケ選手になる夢を絶たれて絶望していた。しかし三上の必死な応援で未来へ進むことができた。赤羽はまた2人で一緒に未来を目指そうと三上を励まし、2人は和解したのだった。
コンサート当日、会場には溢れんばかりのお客さんが集まってくれた。コンサート本番では三上も無事トラウマを克服し、大歓声のの中コンサートは終演したのだった。
その後、結局遊園地は取り壊されてしまった。横浜に戻った朝比奈の元に、赤羽と三上から連絡が届く。そこにはコンサートの大盛況ぶりを見て遊園地のシンボルだった観覧車を残してもらえたこと、そしてスタオケへの加入希望がつづられていたのだった。
心を繋ぐ夏の出会い
コンクールの予選に向けて結束力を強めるため、スタオケは沖縄での合宿を決めた。
泊まるのは廃校を利用した宿泊施設だ。夜も更けてきた頃、突然竜崎の叫び声が校舎に響き渡り、彼はお化けが出たと青ざめている。さらに一ノ瀬も変な音を聞いたと駆け込んだため、皆で夜の校舎の見回りをすることにした。朝比奈が物音に気づきとある教室を覗くと、そこにはふわっとした雰囲気の青年・南 乙音(みなみ おとね)が身を隠していた。彼はこの廃校の出身で、時々入り込んでいたという。彼が持つファゴットを見て、朝比奈が明日からの練習に誘ってみると、彼は大喜びして賛同してくれた。
翌日から南がスタオケの練習に参加すると、穏やかな彼の音色に合わせて、自然と皆の音楽がまとまっていった。合宿もあと数日、朝比奈は南を改めてスタオケに勧誘する。しかし南から、祖母を置いていけない、と断りを告げられてしまった。
合宿の締めくくりとして、スタオケメンバーは島で演奏会を開くことにした。演奏会には島中の人々が集まり、演奏を楽しんでくれて大成功を収めた。
翌日、合宿所から旅立ちいよいよ南とお別れとなる。朝比奈は何度も粘って南を勧誘したが、彼は首を縦に振らなかった。バスがいざ出発しようとしたその時、南の祖母が現れて自分は大丈夫だからみんなと共に行けと背中を押す。彼女を心配し拒否する南だが、祖母は彼の尻を叩いて激励する。そしてようやく南はスタオケ加入を決めたのだった。
合宿が終わり、国際コンクールの予選本番が始まった。ステージでの本番は合宿の甲斐あり、今まで1番まとまりがある演奏を披露できた。
12月の本選にはわずか10チームしか進めない。結果、当然のようにグランツ交響楽団が、そしてスターライトオーケストラも予選を通過できた。朝比奈が喜ぶ横で、落選したオーケストラの代表が月城に悪態をつく。オーケストラ協会理事長の息子である月城は忖度で通過したなど、彼を馬鹿にするような声だ。朝比奈が月城はそんな人じゃないと言い返すも、彼は気にしないとばかりにサッサとその場を去ってしまった。
儚くも強い決断
季節は秋、劇場のこけら落とし公演に招かれたスタオケメンバーは、京都に訪れていた。
有名な観光名所が多い京都で散策を楽しんでいる途中、朝比奈はクラリネットを演奏する、儚げで雅な雰囲気の青年と出会う。彼は肌寒さに身を震わせる朝比奈に自分の羽織を肩にかけ、迎えに来た大柄な男性とともにその場から去ってしまった。
スタオケメンバーに彼のことを話すと、それは御門 浮葉(みかど うきは)という有名作曲家の息子だと知る。朝比奈は彼の羽織を返すため、翌日彼が通う鷹峯高等学校(たかがみねこうとうがっこう)に向かう。
高校に到着すると、昨日御門と共に去った大柄な青年・鷲上 源一郎(わしがみ げんいちろう)と運良く出会え、御門の自宅へ案内してくれた。自宅の庭園に佇む御門に、朝比奈は羽織を返してお礼を言う。そして偶然にも鷲上がスタオケのファンだったことから、御門と鷲上をスタオケに誘い、2人が練習に加わってくれることになった。
朝比奈が御門の自宅にお邪魔している最中、突如グランツ交響楽団の堂本 大我(どうもと たいが)が訪れる。彼は御門をグランツに勧誘し、リーガルレコードと契約しろと迫る。彼の強引な態度について、朝比奈が成宮に愚痴をこぼすと、実は御門家はお家存続の危機に立たされていることを知らされる。彼の父は有名な作曲家だったが、曲の盗作騒動によって音楽界から追放されてしまった。そしてリーガルレコードは、潰れかけの家を守る浮葉を悲劇の美少年として売り出したいのだのだという。
翌日も、堂本は御門のもとを訪れて強引な勧誘で揺さぶりをかける。もともと退廃願望のある御門は、自分の代で御門家は潰し、楽器などすべて売り払い音楽をも辞めるつもりだった。しかし彼はスタオケと演奏するにつれ、家と共に心中せず、音楽をつづけたいという自身の本心にも気づき始めていたのだった。
いよいよコンサート本番、御門も鷲上も正装に身を包み、演奏が始まった。鷲上が自由にオーボエを吹き鳴らす姿を見て、御門は彼の未来を想い、そして自分も現実から逃げない覚悟を決める。
コンサート終了後、祝賀パーティーを抜け出した御門は鷲上を呼び出し、お前は御門家から出ていけと告げる。御門は家を潰さず、そして自分が音楽を続けるためにリーガルレコードへ行くことに決めたのだった。御門は引き止める鷲上を振り切り、堂本と共に姿を消してしまった。
その後、横浜に帰るスタオケメンバーの前に現れたのは、スタオケ加入を希望する鷲上だけだった。
新しい音楽と夢
御門がグランツ交響楽団に入団した知らせを受け、朝比奈はグランツに対してライバル意識を燃やす。そんな中、札幌での大規模コンサート依頼がとどき、スタオケメンバーは札幌へ飛び立つ。
いつも通り観光地巡りを楽しむメンバーとは反対に、主人公は1人根をつめて練習を始める。そんな朝比奈の勢いが空回りし、皆との合奏も上手くいかない。するとエキストラで参加していたコントラバス奏者の青年・笹塚 創(ささづか はじめ)が、つまらないと言い捨て練習室を出ていってしまった。ショックを受ける朝比奈に物腰穏やかな青年・仁科 諒介(にしな りょうすけ)が話しかけ、外へ連れ出してくれる。彼はとあるクラブに連れていき、そこで朝比奈は笹塚と仁科のグループ・ネオンフィッシュの演奏を目にする。朝比奈はクラシックを新しく解釈したテクノミュージックに感動し、演奏する彼らをスタオケに勧誘したいと心踊らせる。
翌日、朝比奈は笹塚と仁科が通うラザルス高等学校へ向かい、グランツ交響楽団に負けないオケにしたいと事情を話して彼らを勧誘するが、笹塚は勧誘理由が気に入らず断られる。しかし仁科のとりなしで、札幌でのコンサートだけ参加してもらえることになった。
笹塚と仁科と仲を深めるため、朝比奈は忙しい2人のために身の回りを親身に世話し、少しずつ2人との距離を縮める。練習後、朝比奈はネオンフィッシュが出演するフェスへ招待され、突然ステージに呼ばれ一緒に演奏にしろと無茶振りをかけられる。しかし腹をくくった堂々の演奏を披露し、ステージは大成功。2人は朝比奈の度胸と音楽への真剣さを認めてくれたのだった。
フェスからの帰り道、3人は車のトラブルでキャンプ場で一晩過ごすことになった。満点の星空を見上げ息を吐いた朝比奈は、グランツを敵視しすぎて忘れかけていた、スタオケを世界一のオケにする当初の夢という思い出したのだった。
札幌でのコンサートは大成功だった。笹塚と仁科は、朝比奈とこれからも一緒に過ごしてみたいとスタオケ加入を約束してくれたのだった。
光輝くステージと最高の演奏
国際コンクールの選考会本選直前、朝比奈は一ノ瀬から、コンクール本選で演奏するもう1曲の選定を任され悩んでいた。
ある日の練習中、朝比奈はふと九条が聞き覚えのある曲を弾いていることに気づく。それは子供の頃、一ノ瀬が指揮をふるったコンサートで聴いた特別な1曲だった。主人公はこれこそスタオケが名前の通りキラキラと輝ける曲だと直感的に感じ、演奏曲を決定したのだった。
大会の前日、1人練習する朝比奈のもとに妖精ノノが姿を現す。ノノは、朝比奈が立派なコンサートミストレスになったねと涙ぐんでいる。そして明日の本戦を応援するように、音楽の祝福を授けてくれたのだった。
いよいよコンクール本選選考会当日の朝、本選会場前には各地から応援団やファンが応援に来てくれていた。みんなの温かい言葉と元気が主人公の背中を押し、ステージに向けての気合いが充分に溜まる。
演奏順はグランツ、次にスタオケだった。御門を加えたグランツはさらにパワーアップし、完璧な演奏で会場の空気をかっさらっていった。しかし朝比奈はスタオケメンバーを見渡し、自分たちの演奏を楽しもうと声をかけ、堂々とステージに進む。スタオケの豊かな演奏力に、観客は大歓声をあげてくれたのだった。
次の演奏への待機中、袖中で月城の体調が急に悪くなる。もともと心臓が悪い月城だが、生死を押し切ってステージに上がり、全ての力を出し切るような鬼気迫る演奏を見せる。途中少しだけ演奏が乱れるものの、彼は動揺することなく最後まで弾ききったのだった。最後にスタオケの出番になった。朝比奈が選曲した曲は、皆の楽器の音が響き合い、まるで星がきらめいているみたいにホールに響き渡ったのだった。
すべてのステージが終わり、あとは結果発表を待つのみ。各オーケストラの代表が舞台袖に集まる、朝比奈を含め誰もが緊張した面持ちで静かに結果発表を待っていた。そこへ、国際コンクール代表選考会にて日本代表はスターライトオーケストラに決定いたしました、というアナウンスが響き渡る。朝比奈が信じられないような気持ちでステージに上がると、客席からの大歓声が上がり、祝福を受けたのだった。
コンクール後、スタオケメンバー皆で喜びを分かち合う。朝比奈は自分を信じて同じ夢を追いかけてくれた仲間と、音楽で繋がった絆に深く感謝したのだった。
そして国際コンクールやまだ見たことのない広い世界に向けて、朝比奈の眼差しは星のようにキラキラと輝いていた。一ノ瀬はそんな朝比奈に笑いかけ、さらなる世界一のオーケストラを作るぞと宣言したのだった。
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目次 - Contents
- 『金色のコルダ スターライトオーケストラ』(スタオケ)の概要
- 『金色のコルダ スターライトオーケストラ』(スタオケ)のあらすじ・ストーリー
- スターライトオーケストラの始動
- 新たなメンバー集めの旅へ
- 国際コンクールへの挑戦
- アイドルユニットの苦悩と成長
- 思い出の遊園地との別れ
- 心を繋ぐ夏の出会い
- 儚くも強い決断
- 新しい音楽と夢
- 光輝くステージと最高の演奏
- 『金色のコルダ スターライトオーケストラ』(スタオケ)のゲームシステム
- メインクエストを進める
- ストーリーを楽しむ
- 路上ライブで目標を達成する
- カードデッキを編成する
- キャラクターカードを育成する
- 個人練習でレベルアップ
- 二人練習で育成パネルを解放
- 覚醒でレベル上限アップ
- ギフトを渡して親密度アップ
- キャラクターを集める
- スカウトで獲得する
- 期間限定イベントに参加する
- 『金色のコルダ スターライトオーケストラ』(スタオケ)の登場人物・キャラクター
- 星奏学院高等学校(せいそうがくいんこうとうがっこう)
- 朝比奈 唯(あさひな ゆい)
- 九条 朔夜(くじょう さくや)
- 成宮 智治(なるみや ともはる)
- 竜崎 疾風(りゅうざき はやて)
- 一ノ瀬 銀河(いちのせ ぎんが)
- 香坂 怜(こうさか れい)
- 常陽工業高等学校(じょうようこうぎょうこうとうがっこう)
- 桐ケ谷 晃(きりがや あきら)
- 刑部 斉士(おさかべ せいじ)
- シルフ芸術アカデミー
- 弓原 凛(ゆみはら りん)
- 榛名 流星(はるな りゅうせい)
- 日向南高等学校(ひゅうがみなみこうとうがっこう)
- 赤羽 拓斗(あかばね たくと)
- 三上 蒼司(みかみ そうじ)
- 今帰仁高等学校分校(なきじんこうとうがっこう ぶんこう)
- 南 乙音(みなみ おとめ)
- 鷹峯高等学校(たかがみねこうとうがっこう)
- 御門 浮葉(みかど うきは)
- 鷲上 源一郎(わしがみ げんいちろう)
- 堂本 大我(どうもと たいが)
- ラザルス学院高等学校
- 笹塚 創(ささづか はじめ)
- 仁科 諒介(にしな りょうすけ)
- 花響学園高等学校(かきょうがくえんこうとうがっこう)
- 月城 慧(つきしろ けい)
- 巽 瑛一(たつみ えいいち)
- 北陸ユースフィルハーモニー管弦楽団(ほくりくゆーすふぃるはーもにーかんげんがくだん)
- 宇賀神 惟世(うがじん いっせい)
- 宇賀神 七瀬(うがじん ななせ)
- その他
- 篠森 和真(しのもり かずま)
- ノノ
- 安田(やすだ)
- 『金色のコルダ スターライトオーケストラ』(スタオケ)のアイテム
- クエスト進行アイテム
- ジュエル
- LP回復ドリンク
- スキップチケット
- 育成アイテム
- コイン
- 特産品(とくさんひん)
- レベルアップアイテム
- 楽典(がくてん)
- 覚醒アイテム
- ファータ像
- 親密度アップアイテム
- ギフト
- 交換用アイテム
- 交換用素材
- 『金色のコルダ スターライトオーケストラ』(スタオケ)の用語
- 学校
- 星奏学院高等学校(せいそうがくいんこうとうがっこう)
- 常陽工業高校 (じょうようこうぎょうこうこう)
- シルフ芸術アカデミー(しるふげいじゅつあかでみー)
- 日向南高等学校(ひゅうがみなみこうとうがっこう)
- 今帰仁高等学校分校(なきじんこうとうがっこうぶんこう)
- 鷹峯高等学校(たかがみねこうとうがっこう)
- ラザルス学院高等学校(らざるすがくいんこうとうがっこう)
- 花響学園高等学校(かきょうがくえんこうとうがっこう)
- オーケストラ・グループ
- スターライトオーケストラ
- グランツ交響楽団(ぐらんつこうきょうがくだん)
- ポラリス
- ネオンフィッシュ
- リーガルグループ
- 建物名
- 木蓮館 (もくれんかん)
- 菩提樹寮(リンデンホール)
- ジャズ喫茶ウロボロス (じゃずきっさうろぼろす)
- その他
- オーケストラ
- コンサートミストレス
- 国際コンクール
- ファータ
- 『金色のコルダ スターライトオーケストラ』(スタオケ)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 約2年間改良され続けた期待のアプリゲーム
- 編成した楽器に合わせて音源が変化するハーモニーメイクシステムを採用
- サービス終了後もオフライン版として利用可能
- 『金色のコルダ』過去シリーズのキャラクターも登場