TRIGUN STAMPEDE(トライガン・スタンピード)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『TRIGUN STAMPEDE』(トライガン スタンピード)とは、内藤泰弘の人気漫画『TRIGUN』及び『TRIGUN MAXIMUM』を原作とする2023年冬のアニメ作品。同作は1998年にもアニメ化されているが、その続編ではなく原作の内容を再編集した新作となっている。
砂漠と荒野が続く灼熱の星ノーマンズランド。お尋ね者のヴッシュ・ザ・スタンピードは凄腕のガンマンだが人死にを嫌う変わり者で、行く先々で事件を巻き起こす。やがて彼と仲間たちは、星と人類の未来を賭けた戦いに臨んでいく。

『TRIGUN STAMPEDE』の概要

『TRIGUN STAMPEDE』(トライガン スタンピード)とは、内藤泰弘の人気漫画『TRIGUN』及び『TRIGUN MAXIMUM』を原作とする2023年冬のアニメ作品。
原作は1995年に連載が始まり、その独特の世界観と次々に現れる超人的な敵キャラクター、壮絶極まる覚悟と共に不殺を貫く主人公の姿などが読者を魅了。2007年に連載が終了し、現在も傑作SF漫画として高く評価されている。1998年にもアニメ化されているが、本作はその続編ではなく原作の内容を再編集した完全新作となっている。

砂漠と荒野が続く灼熱の星ノーマンズランドに、人類の移民船が不時着してから100年あまり。水も少なく食べ物もほとんど作れないこの星で、人類は「プラント」と呼ばれる生体ユニットに様々な物資を生産させ、その恩恵を受けながらなんとか生き延びていた。
そんなノーマンズランドに、ヴッシュ・ザ・スタンピードというお尋ね者が存在していた。「ヒューマノイドタイフーン」と恐れられるヴァッシュは、しかしその評判とは裏腹に底抜けのお人好しで、凄腕のガンマンではあったが人死にをとことん嫌う変わり者でもあった。記者として彼の取材にやってきたメリル・ストライフとロベルト・デニーロは、やがて彼と共に人類殲滅のために暗躍する組織との対決に巻き込まれていく。

『TRIGUN STAMPEDE』のあらすじ・ストーリー

殺せないガンマンと新人記者

砂漠と荒野が続く灼熱の星ノーマンズランドに、人類の移民船が不時着してから100年あまり。水も少なく食べ物もほとんど作れないこの星で、人類は「プラント」と呼ばれる生体ユニットに様々な物資を生産させ、その恩恵を受けながらなんとか生き延びていた。
ベルナルデリ通信社に入社したメリル・ストライフは、「ヒューマノイドタイフーン」の異名で恐れられる賞金首ヴァッシュ・ザ・スタンピードを取材するよう会社から命じられる。先輩記者のロベルト・デニーロと共に出発すると、意外とすんなりヴァッシュを発見することはできたものの、賞金首であるはずの彼は"妙に抜けたところのある好青年"といった人柄で、自分に向けて放たれた弾丸を撃ち落とすほどの凄腕のガンマンながら決して人を殺めず、メリルは「どうしてこんな人が大金を懸けられているのか」と不思議に思う。

その後メリルたちはヴァッシュと共に最寄りの町であるジェネオラ・ロックを訪れ、そこで「プラントの調子を見てほしい」と依頼される。ヴァッシュはプラントを調整する技師であるらしく、知り合いらしい町の人々からは非情に頼りにされていた。彼は「連続プラント襲撃犯」として賞金首となっていたが、本人曰く「それはナイヴズという双子の兄のしたことで、自分は何も悪いことをしていない」らしい。
そんな折、そのナイヴズが部下を率いてジェネオラ・ロックに侵入。ナイヴズを止めようとするヴァッシュだったが、彼のすさまじい力の前にそれは叶わず、プラントを奪われた上に町は壊滅。人々に追い立てられるようにして町を去るヴァッシュに、メリルが「どこに行くつもりなのか」と尋ねると、彼は「そこでナイヴズが待っている」と言って遥か東にあるジュライ・シティの名を口にするのだった。

十字架を背負う葬儀屋

ジュライ・シティを目指すヴァッシュ。取材のために彼を追うメリルとロベルト。彼らは旅の中で葬儀屋を自称するニコラス・D・ウルフウッドという青年と出会う。ノーマンズランドの昆虫型原生生物バグズを自在に操る謎の少年ザジ・ザ・ビーストとの交戦を経て、「殺そうとしてくる相手でも殺せない」ヴァッシュの甘さに辟易としたウルフウッドは、「見ていられない」と一行の旅にしばし同行する旨を申し出る。
しかし実はウルフウッドはザジの仲間で、ヴァッシュに接触したのもスパイとして情報を流すためだった。孤児だったウルフウッドは、人体実験の素材として肉体をいじくり回され、「自分以外の孤児には手を出さない」という約束の下ナイヴズの一味に協力していたのだった。

しかし孤児院で弟分としてかわいがっていたリヴィオという少年が、自分同様の処置を受けてヴァッシュに対する新たな刺客として現れたのを見て、ウルフウッドは絶望する。洗脳されて暴れ回るリヴィオを見続けること忍びなく、殺してでも止めようとするウルフウッドだったが、「諦めるな」とのヴァッシュの激励を受けて奮起。どうにか彼を正気に戻すも、「大切な兄貴分に銃を向けた」ことを知ったリヴィオは錯乱し、己の頭を銃で撃ち抜いて姿を消す。
ヴァッシュに対する攻撃を指揮しているのは、ナイヴズの腹心のレガートという男だった。リヴィオを刺客としたのは、ヴァッシュへの攻撃と同時にウルフウッドを心理的に追い詰めて完全な駒とするためのものでもあった。結果として自分の作戦が完全なものにならなかったことを察したレガートは、実験によって超人的な再生能力を得たリヴィオを回収して去っていく。一方、メリルたちは一連の攻防の中で「ヴァッシュがプラントと同調してその暴走を抑える」姿を見てしまい、彼が人間ではなく自我を持つプラントであることを知るのだった。

ヴァッシュの過去

汚染された地球を発った移民船団が、ナイヴズの工作で惑星ノーマンズランドに墜落した直後のこと。ナイヴズから「お前からパスワードを教えてもらったお陰で移民船団を墜とせた、お前も共犯だ」と告げられたヴァッシュは、恐怖と罪悪感に錯乱してその場から逃走。走り疲れて行き倒れたところを、ルイーダとブラドという人物によって助けられる。
ルイーダたちは移民船団の3番艦の乗組員で、ギリギリで重力ブレーキをかけられたことで死を免れていた。彼女たちはヴァッシュが自立型のプラント「インディペンデンツ」であることを知って驚くも、暴走しかけたプラントを咄嗟に調整してくれた彼を「我らの恩人にして仲間である」と受け入れることを決め、新たな家族となっていく。

しかしある時、ヴァッシュの乗っていた5番艦のデータが復元され、ナイヴズの「お前も共犯者だ」という言葉がルイーダたちに知られることとなる。もはや彼らと一緒にはいられないと考えたヴァッシュは3番艦を離れ、せめてナイヴズを倒して責任を取ろうとノーマンズランドの砂漠を旅していく。ヴァッシュの真意を知ったルイーダが責任を感じてそれを追う中、彼はナイヴズと久々の対面を果たしていた。
ナイブズの目的は、人間に酷使されては死んでいくプラントたちを解放することにあった。目の前で次々と人間を殺し、追いかけてきたルイーダまでも手にかけようとしたナイブズを止めようとしたヴァッシュは、自身の力を暴走させて左腕を失う。それでもなお人間を守ろうとするヴァッシュを「今は説き伏せることはできない」と判断したナイブズは、「100年後を楽しみにしていろ」と言い残して去っていく。

決戦前夜

リヴィオとの戦いで消耗したヴァッシュが、英気を養いながらウルフウッドからナイヴズとの決戦に臨む覚悟を問われる中、メリルとロベルトは突如現れたバグズの群れにいずこかへと連れ去られる。
これはザジの仕業で、本人曰くその正体は“バグズたちの集合意識”であり、ヴァッシュたちの前に現れていたのも“バグズとたまたま波長が合う人間”でしかないのだという。ザジは「この星の先住生物である自分たちが共に歩むべきなのは人間なのか、それともプラントなのか」を見極めるために行動しており、いよいよその問いを出そうとしていた。

ここにウィリアム・コンラッドという老人が割って入り、ザジは「邪魔が入った」と判断して撤退。コンラッドはナイブズと長年行動を共にしている科学者で、ウルフウッドやリヴィオを含む超人的な戦士たちを作り出したのも彼だった。そのために非人道的な実験と施術を繰り返してきたコンラッドのことをメリルは糾弾するが、コンラッドは「この星で人類が生き延びていくには必要なことだ」と反論する。
コンラッドの研究室で、その研究成果の1つであるプラントと人間を合成した新生物を目の当たりにしたメリルは、これを“狂気の研究の産物”と見て「かわいそう」とつぶやく。しかしこれによりエレンディアと名付けられた個体から「下等生物の分際で情けをかけるとは」と怒りを買ってしまい、メリルとロベルトは研究用のケージから飛び出してきた彼女に襲撃される。

ナイヴズの真意

同じ頃、ヴァッシュとウルフウッドはついに第7都市ジュライに辿り着いていた。メリルたちがザジによって連れ去られたのも同じ場所だったが、2人が駆け付けた時には一歩遅く、ロベルトは致命傷を負ってしまう。メリルは「引き際を誤った」と愚痴る彼からデリンジャー(小型拳銃の一種)を受け取り、この先は自分の足と意志で進めとの遺言を送られる。
ウルフウッドがレガートたちから受けていた仕事は、「ヴァッシュをジュライまで連れてくる」というものだった。これを果たしたことでようやく彼は全ての契約から解放されるが、望まぬまま背負ったこれまでの業の重さに途方に暮れる。一方ヴァッシュは、「まだ彼が人間に絶望していない」ことを見て取ったナイブズによって罠にかけられ、囚われの身となってしまう。

ナイヴズの手に落ちたヴァッシュは、彼とコンラッドの手によって記憶を書き換えられようとしていた。コンラッドによれば、通常のプラントとヴァッシュたちインディペンデンツの違いは“魂の有無”にあるらしく、プラントが物質を作り出す際にアクセスする別次元にそれは保管されていると予想されていた。彼らは「人格をいったん白紙に戻したヴァッシュを媒介にして、プラントたちに魂を定着させる」ことを目論んでいたのだった。
失われていく記憶の中、味わい続けた無数の絶望と、延々と見続けた人の愚かさを追体験させられるヴァッシュ。やがて彼の意識は敬愛してやまないレムという女性と共に幼少期を過ごした移民船へと戻り、そこで「自分たち以前に生まれたインディペンデンツが研究のために解体された」こと、「ナイヴズが移民船団を墜落させようと決意した最大の理由は、“プラントとしての特殊能力を一切持たないヴァッシュを人間たちから守るため”」だったことを思い出してしまう。

ロスト・ジュライ

“この星における全ての人間の悲劇は自分がきっかけに生まれた”ものであることを突きつけられたヴァッシュは、絶望に屈して全ての記憶と人格を失う。完全に初期化されたヴァッシュを前にナイヴズは歓喜し、コンラッドのサポートを受けつつプラントたちの魂が潜む別次元へと侵入する。
その場に駆け付けたメリルだったが、小口径のデリンジャー1丁でナイヴズたちを止めることもできず、ただヴァッシュの精神が壊されていくのを見守り、励まし続けることしかできなかった。一方、プラントとしてのヴァッシュの力が起動した影響で、ジュライにはナイヴズたちの拠点を内包する形で巨樹がそそり立つ。

完全に自我を封じられたかに思われたヴァッシュだったが、それでもなおレムが優しくしてくれた記憶だけは忘れることができず、これとメリルの必死の呼びかけによって復活。メリルに礼と「すぐに逃げてくれ」との言葉を告げ、異次元へのゲートを開く際に使用していた莫大なエネルギーをキューブの形にして奪い取ると、これを2度とナイヴズに利用されまいとその場を脱出する。
ナイヴズの執拗な追撃を凌ぎ、爆発寸前のエネルギーキューブを処分する場を求め、ジュライの街を駆け回るヴァッシュ。これを追おうとするメリルだったが、気になって戻ってきたウルフウッドに「命がいくつあっても足らない」とむりやり退避させられる。

やがてヴァッシュはナイヴズとの接触で限定的に覚醒したインディペンデンツとしての能力でまっすぐ上空へと飛翔し、宇宙空間にエネルギーキューブを投棄しようとする。ナイヴズもこれを追い、「人間がどれほど愚かな生き物かはお前も嫌というほど味わってきたはずだ、ヤツらは決して我々を受け入れない」とヴァッシュの説得を試みる。しかしヴァッシュはなおも人間たちと一緒に歩む道を選び、いよいよ爆発を始めたエネルギーキューブを“ビームとして宇宙に向けて撃ち尽くす”という方法で処分する。この時、それでもエネルギーキューブを取り戻そうとしたナイヴズはビームによって全身を焼かれ、非殺を貫き続けたヴァッシュに向かって「俺を殺したのはお前だ」との呪いと嘲笑の言葉を残して消えていく。結局エネルギーキューブの力を完全に放出することはできず、その余波でジュライは壊滅。町の住人の9割が命を落とし、「ロスト・ジュライ」の名で人々の記憶に刻まれる大惨事となった。
2年後。ウルフウッドに町の外まで連れ出されていたお陰で惨禍を生き延びたメリルは、会社から「お前に新人の教育を任せる」との連絡を受け、自分がかつてのロベルトと同じ立場になるのだという事実に苦笑する。一方、どことも知れぬ教会では、その身と心に甚大な傷を負った“左腕の無い青年”が、物憂げにピアノを弾いていた。

『TRIGUN STAMPEDE』の登場人物・キャラクター

ヴァッシュ・ザ・スタンピード

CV:松岡禎丞/黒沢ともよ(幼少期)

主人公。600万もの高額賞金を懸けられた凄腕のガンマン。行く先々で次々騒ぎを巻き起こし、大抵その中心にいるため、「ヒューマノイドタイフーン」の異名で呼ばれている。
人死にをとことん嫌い、自分が傷つくことも覚悟の上で手の届く全ての者を救おうと足掻く。その様は、作中の人物たちによって聖者にも愚者にも例えられている。

その正体は自立型のプラント。フルパワーを発揮した際は、月をも穿つほどのすさまじい力を発揮する。移民船の不時着以前から生きており、人類殲滅を目論むナイヴズを止めるため旅を続けている。

ニコラス・D・ウルフウッド

CV:細谷佳正

「葬儀屋」を自称し、巨大な十字架を背負って旅をする謎の男。「やられる前にやれ」、「他人を切り捨ててでも自分の命を守れ」といったシビアな思想を持つが、一方で甘さを捨て切れないところがあり、ヴァッシュに憧れと苛立ちを同時に抱く。
常に傍らに置く十字架は機関銃やビーム砲を組み合わせた大型複合銃器パニッシャーであり、100メートルを超える超大型バグズをも撃破するほどの破壊力を秘める。

メリル・ストライフ

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