セトウツミ(漫画・映画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『セトウツミ』とは『別冊少年チャンピオン』にて2013年から2017年まで連載された此元和津也(このもと かづや)による漫画作品とそれを原作とした映画、ドラマ作品。大阪のとある河原で男子高校生内海(うつみ)と瀬戸(せと)が他愛もないおしゃべりをする姿を描くコメディー漫画。漫才のような二人の会話が人気だが、最後に大きなどんでん返しがあることでも有名。2016年に池松壮亮と菅田将暉のダブル主演で映画化され、翌2017年には高杉真宙と葉山奨之のダブル主演でドラマ化もされた。

瀬戸の恋文

古い言葉にはまった瀬戸はついに樫村さんに恋文を書くことを内海に宣言し、口述した文章を内海に古い言葉に変換してくれるように頼む。
そして出来上がったのが以下の恋文である。

「2年生のやがて終はらむとする今日このごろ 受験にことしげくなりぬる前に
今月か再来月なんならば受験が終はりてから いな大学に慣れたる
19歳ぐらいになりぬるころにてもよければ 逢瀬せずや
映画をば観 そののち茶房なんぞへ行ったりとか
コースはもちろん男の子なれば我ぞ決むるし
のりかえの有無より何かしらの予約や切符の手配
川柳なんぞ詠んだりとかもしつつ なんぢを楽しまする自信あるなり
出会ひし頃の衝撃は今にも忘るべからず
おいらかにそれにありてきらびやかなる佇まい
れっきとせしきはよりにじみ出ずる育ちの良さ
ガラスのごときあえかさと透明感併せ持つなんぢを
「おもいわび さても命はあるものの 憂きに堪へぬは 涙なりけり」
前からこのうつろふことなきこの心ばせをば伝へたてまつらまほしくて
をこがましくも筆をとりぬるついでなり
たいせちに思ふ心ばせは誰にも負けず
すべてにおきて我は内海におくれたりと人はいふなり
けれど後悔はしたからず
二度と訪るることなきこのあぢきなき青春の
行き先をば我に任せてくれずや
くるおしきほどかへりごと待ちたり」

内海の言う通りメモに走り書きをした瀬戸は、これを縦書きで筆で清書してくれとメモを渡す。
その後ケンカ別れしたことでメモを瀬戸に返しそびれた内海は、父親との対決の後そのメモを取り出す。
そこには「2月19日コの川出おれガお前をたすけ二行く」と瀬戸からのメッセージが隠されていた。

これまで作中にちりばめられていた伏線が一気に回収される名場面。アホそうに見えた瀬戸が実は賢かったのではと話題になった場面である。

瀬戸「お前かって、米だけ食べといたら生きられるけど、デミグラスソースのハンバーグとか食べるやろ。」

瀬戸と内海。この異色のコンビが誕生したきっかけは、瀬戸が河原で暇を潰す内海に「家にコバエが大量発生している」と相談したことにあった。
そして内海は瀬戸のこの相談に対し、食虫植物で対抗することを提案。
素直にその提案を喜んだ瀬戸が翌日コバエがいなくなったことを内海に報告した際、食虫植物に興味が湧いたことを明かす。
内海は「別に食虫植物って虫がエサなんちゃうで?水だけでも生きられんで?」と、食虫植物が常に虫を食べるわけではないことを理論的に話すが、これに対して瀬戸が返した一言は「お前かって、米だけ食べといたら生きられるけど、デミグラスソースのハンバーグとか食べるやろ。」であった。
コミカルかつ息の合ったやり取りだが、この二人は学校でのクラスも異なり、前日まで全く話したことがなかったというので驚きである。

内海「チャクラが二重まぶたで開いてるわ」

欲しいものがたくさんあるのに実家の手伝いでは時給300円というところを、怪しいおじさんにつけこまれた瀬戸。
闇バイトを斡旋された瀬戸は何度も断るが、その度におじさんに矢継ぎ早に難しい話をされ、追い返されてしまったことで焦り、考えがまとまらなくなってしまう。
その瞳孔の開きっぷりを見た内海は思わず「チャクラが二重まぶたで開いてるわ」と口にするのであった。
結局相談を受けていた内海がおじさんをうまく言いくるめて追い払い、瀬戸は間一髪のところで犯罪に手を染める事態を避けることができたのであった。

『セトウツミ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

漫画の舞台となっているのは大阪の泉陽高校とザビエル公園横の川岸

実はこの原作の舞台になっているのはザビエル公園横の川岸で、主人公の通っている高校のモデルは泉陽高校だということで、映画の制作会社の方から撮影に本校を使わせてほしい、できれば生徒にエキストラで参加してほしいとのお話をいただきました。私も原作を見ましたが、そこに描かれている高校の景色は誰がどう見ても泉陽高校の正門や前の道路でした。

出典: www.osaka-c.ed.jp

分かりやすいよう画像を逆さにしてある。逮捕現場と書いてある辺りが川べりの設定。

参考:ドラマ・アニメ・映画の【DAM】(URL/http://askew6.com/setoutsumi-location#i-10

上記の泉陽高校の学校長の言葉でもわかるように、原作者の此元和津也が原作漫画を描いた時に舞台にしたのが、大阪府堺市にある泉陽高校とその近くにある中川の河原であったと思われる。
そこで作中の地図と実際のマップを比較してみると、実際に橋は無く、内海は学校から川べりまでの距離を200m・徒歩で250歩かかると説明していて、瀬戸がこの距離を100歩で行くのは実際には無理なので、あくまでもモデルなのではと考えられ、そしてここからセトサイクルは見えるのではと推測されている。

漫画の中で瀬戸と内海が座っている石段はこの写真と全く同じ場所であるし、背景に映っている建物の形もほとんど一緒である。
おそらく此元からその話を聞いた映画監督の大森立嗣は堺市を映画のロケ地として選び、2人が喋る階段のある内川だけではなく、2人が通う高校や通学路なども原作のモデルとなった泉陽高校周辺を舞台にしたそうだ。
ロケ場所の決め手について、監督である大森立嗣はこう語っている。

八雲:本作は大阪の堺市にある河原で撮影されました。ロケ場所に選んだ決め手は?
大森監督:原作と同じ場所だからです。何処でもいいけど、だからと言って東京で撮影するのもなぁ…。だったら、原作で描かれている場所が実在するなら其処でやろうと。
八雲:原作と同じ場所なら、ロケ地から受けるインスピレーションもあったのでしょうか…。
大森監督:いやぁ、それが撮影には向かない場所で。奥行きもないし、夕方になると逆光気味になるし(笑)。
八雲:(笑)。原作と同じ場所じゃなかったら使いませんでしたか?
大森監督:使わないですね〜(笑)。だって、ずっと河原にいるんだもん。逃げ道がないですよね(笑)。まぁ、そういう環境も含めて撮ってて面白い部分もありましたけどね。

出典: news.1242.com

瀬戸と内海が過ごして見ている風景はこんなところ。公式サイトには『ロケ地マップ』が紹介されている。

ザビエル公園
天文19年(1550年)に堺に来たイエズス会の宣教師フランシスコ・ザビエルを、手厚くもてなした豪商・日比屋了慶の屋敷跡につくられた公園で、昭和24年(1949年)ザビエル来航400年を記念して「ザビエル公園」と命名されました。
また、10月に行われる「堺まつり」では、なんばん市会場として賑わいます。

出典: www.sakai-tcb.or.jp

余談だが、鹿児島県にもザビエル公園があるという。

『セトウツミ』の大阪弁は「泉北弁」

大阪弁には大きく分けて、摂津弁(北摂地区)・河内弁(河内地方)・泉州弁(泉州地区)という言い回しがある。
本作『セトウツミ』のモデルとなったのは堺市であるため、泉州弁の中でも河内弁との共通点が多いとされている泉北弁の言い回しをしているという。
しかし、瀬戸は気持ちが高ぶると「おんどれ」など河内弁よりの言い回しになることがあるようだ。

『ざっくりハイタッチ』の「どうしたんですか?待ち」と瀬戸と内海の会話との類似点

3jfurina99
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