セトウツミ(漫画・映画・ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『セトウツミ』とは『別冊少年チャンピオン』にて2013年から2017年まで連載された此元和津也(このもと かづや)による漫画作品とそれを原作とした映画、ドラマ作品。大阪のとある河原で男子高校生内海(うつみ)と瀬戸(せと)が他愛もないおしゃべりをする姿を描くコメディー漫画。漫才のような二人の会話が人気だが、最後に大きなどんでん返しがあることでも有名。2016年に池松壮亮と菅田将暉のダブル主演で映画化され、翌2017年には高杉真宙と葉山奨之のダブル主演でドラマ化もされた。

ドラマ版キャスト:松角洋平
人一倍記憶力などに優れていていた内海が思い通りの行動をとらないという理由で病気ということにしてしまう。しばしば内海に暴力をふるい、母親にも内海の存在を無視するように指示を出していた。内海をエリートコースに乗せるために高校も辞めさせようとする。

『セトウツミ』」の用語

三毛貝ちゃん

瀬戸が愛読している漫画『出てこい三毛貝ちゃん』のキャラクター。人間のジョージくんと三毛貝ちゃんとのもどかしい恋の行方が描かれている。ガチャガチャやスマホケースなどキャラクターグッズも充実している。

アラクノフォビア(クモ恐怖症)

虫が嫌いな瀬戸の部屋にしばしば出現するクモ。その恐怖を内海にわかってもらうためオバケに例えて説明するが、内海はそれを「クモ恐怖症」ではないかと指摘する。そんなダサいネーミングのヘタレじゃないと否定する瀬戸だが、内海が「英語で言うとアラクノフォビアやけど」と言ったとたん「俺たちアラクノフォビアとしては、クモはオバケやねん」と一瞬にして受け入れる。

スタンディングオベーション

映画祭などでよく見かける立ち上がって行われる拍手のこと。いきなり瀬戸が「スタンディングオベーションやってくれへん?」と内海に頼み、「なんでスタンディングオベーションやらなあかんねん」と内海が返したことからスタンディングオベーションという語感の良さを気に入った2人が延々会話を続ける。
実写映画の特報CMを作るために書き下ろされたエピソードである。

『セトウツミ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

生物の木崎先生「つまり我々ゴリラは」

生物の授業をさぼった瀬戸は河原で生物の木崎(きざき)先生に見つかり、講義を受けることになる。
人類とゴリラの共通点を話す木崎先生がふと「つまり我々ゴリラは」と言い間違いをしてしまう。笑ってはいけない状況で必死に笑いをこらえる瀬戸と内海だった。
セトウツミのエピソードの中でも笑えると人気の高いエピソード。つまらない状況が先生の一言により一転し、笑いをこらえる瀬戸に先生がさらに追い打ちをかける場面は圧巻。

ババ抜き対決

2巻に収録の「表とジョーカー」、「裏とババ」。この回は同じ話が内海視点と瀬戸視点で描かれている。
ババ抜き対決中に瀬戸の言動の裏の裏を読もうとして自滅していく内海と、野球部の馬場の言動を思い出しうわの空でババ抜きを続ける瀬戸の姿が描かれる。
瀬戸が発した「大アルカナ、愚者」という言葉にタロットカードを連想し狼狽する内海だったが、瀬戸は野球の練習で生卵を使おうとした馬場の「卵の大あるかな?」というセリフと投げ上げた卵が割れる「グシャ」という音を口に出しただけだった。
内海の博識と瀬戸の適当さが嚙み合うようで噛み合わず、苦しむ内海と無心の瀬戸の対比が印象的な場面である。

瀬戸の恋文

古い言葉にはまった瀬戸はついに樫村さんに恋文を書くことを内海に宣言し、口述した文章を内海に古い言葉に変換してくれるように頼む。
そして出来上がったのが以下の恋文である。

「2年生のやがて終はらむとする今日このごろ 受験にことしげくなりぬる前に
今月か再来月なんならば受験が終はりてから いな大学に慣れたる
19歳ぐらいになりぬるころにてもよければ 逢瀬せずや
映画をば観 そののち茶房なんぞへ行ったりとか
コースはもちろん男の子なれば我ぞ決むるし
のりかえの有無より何かしらの予約や切符の手配
川柳なんぞ詠んだりとかもしつつ なんぢを楽しまする自信あるなり
出会ひし頃の衝撃は今にも忘るべからず
おいらかにそれにありてきらびやかなる佇まい
れっきとせしきはよりにじみ出ずる育ちの良さ
ガラスのごときあえかさと透明感併せ持つなんぢを
「おもいわび さても命はあるものの 憂きに堪へぬは 涙なりけり」
前からこのうつろふことなきこの心ばせをば伝へたてまつらまほしくて
をこがましくも筆をとりぬるついでなり
たいせちに思ふ心ばせは誰にも負けず
すべてにおきて我は内海におくれたりと人はいふなり
けれど後悔はしたからず
二度と訪るることなきこのあぢきなき青春の
行き先をば我に任せてくれずや
くるおしきほどかへりごと待ちたり」

内海の言う通りメモに走り書きをした瀬戸は、これを縦書きで筆で清書してくれとメモを渡す。
その後ケンカ別れしたことでメモを瀬戸に返しそびれた内海は、父親との対決の後そのメモを取り出す。
そこには「2月19日コの川出おれガお前をたすけ二行く」と瀬戸からのメッセージが隠されていた。

これまで作中にちりばめられていた伏線が一気に回収される名場面。アホそうに見えた瀬戸が実は賢かったのではと話題になった場面である。

『セトウツミ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

漫画の舞台となっているのは大阪の泉陽高校とザビエル公園横の川岸

8巻の表紙にもなっている景色

原作者の此元和津也が原作漫画を描いた時に舞台にしたのが、大阪府堺市にある泉陽高校とその近くにある中川の河原であったと思われる。
漫画の中で瀬戸と内海が座っている石段は上の写真と全く同じ場所であるし、背景に映っている建物の形もほとんど一緒である。
おそらく此元からその話を聞いた映画監督の大森立嗣は堺市を映画のロケ地として選び、2人が喋る階段のある内川だけではなく、2人が通う高校や通学路なども原作のモデルとなった泉陽高校周辺を舞台にしたそうだ。

3jfurina99
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