素敵な選TAXI（ドラマ）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『素敵な選TAXI』の概要

『素敵な選TAXI』とは、2014年10月～12月までフジテレビで放送された連続テレビドラマである。火曜22時に放送されたテレビドラマで、ドラマの脚本はお笑いタレント、俳優、ナレーターなど多方面で活躍しているバカリズムが書いている。エピソードは全10話あり、1話ごとに完結した内容になっている。物語は登場人物がどんな行動をやり直したかによって、ストーリーが変化していく。

『素敵な選TAXI』は、過去に戻れるタクシーの運転手をしている枝分が、いろいろな乗客を乗せて過去に戻るストーリー。売れない俳優が彼女にプロポーズする話だったり、駆け落ちするふたりを応援したり、当選した宝くじを拾う話だったり、元レディースの結婚話など、いろいろな物語が登場する。

ドラマの主演は竹野内豊で、その他には清野菜名、南沢奈央、升毅などが出演し、このドラマの脚本を書いているバカリズムも出演している。平均視聴率が約10％の人気ドラマで、2020年5月には火曜21時にドラマの再放送がされた。その時に、竹野内豊とバカリズムのスペシャル対談『素敵な選TAXI 特別編』もテレビ放送されている。

『素敵な選TAXI』のあらすじ・ストーリー

売れない俳優が辿るプロポーズの意外な結末

夜、売れない俳優の村上秀樹（むらかみひでき）は高級レストランに向かって急いでいた。今夜、村上は恋人の浦沢香（うらさわかおり）にプロポーズをしようと考えていた。村上が21時の待ち合わせに遅れてきたことを謝らなかったことで口論になり、香から別れを切り出される。村上は店から出て行った香りの跡を追い、タクシーに乗る。村上から事情を聞いたタクシー運転手の枝分（えだわかれ）から、「彼女がいた時間のお店に戻りましょうか」と言われる。枝分は「このタクシーはやり直したい分岐点に戻れる」と説明した。村上は半信半疑だったが、1万円を払って30分前の21時21分に戻る。過去のレストランに戻った村上は遅刻したことを香に謝り、プロポーズをする。そこに男がやってきて、香が合コンに行ったことがわかる。しかも、村上のことで愚痴をこぼしていたことが判明する。怒った村上はレストランから出ていき、誤解を解こうと香が追ってくる。再び枝分のタクシーに乗った村上に香からメールがくる。枝分から諭された村上は、また1万円を払って21時30分のレストランに戻る。合コンに行った香が村上を誉めていたことがわかり、いい雰囲気になる二人。そこに強盗が入ってきて、レストランの客は人質になる。銃で殺されそうになった村上をかばって、代わりに香が銃で撃たれる。村上は枝分のタクシーに戻り、3千円を払って人質になっている香のところに行く。今度は香をかばって村上が銃で撃たれる。香は村上のポケットに入っていた枝分のタクシーのチラシを見つける。香りは枝分のタクシーに乗り過去に戻る。香は待ち合わせの場所を別のお店に変更し、無事に村上からプロポーズされる。警察に通報して強盗は捕まる。

お見合いから逃げた駆け落ちカップルを応援

海辺の田舎町。高橋（たかはし）町長の娘が誘拐されて犯人は選挙カーで逃走。高橋町長に恨みがある犯人の犯行だと考えて警察は捜査を始める。その頃、民宿を経営している平野（ひらの）は防波堤で釣りをしていた。そこに枝分がやってきて、平野にカップルに人気の「はあと岩」がどこにあるのか道を尋ねる。その場所まで道案内をすることになった平野は枝分のタクシーに乗って、はあと岩に向かう。その途中で枝分のタクシーは選挙カーとすれ違う。交番の警察官から誘拐事件の話を聞いていた平野は警察に通報し、高橋町長の娘のいのりは警察に保護される。平野が警察署に行くと、町長の妻でいのりの母親の高橋加奈子（たかはしかなこ）がいた。昔、平野と加奈子は恋人同士だった。平野は加奈子の見合いを止められなかった過去を思い出す。しかし、平野はいのりと捕まった犯人の若者を見て、ふたりは駆け落ちをしようとしたことに気づく。枝分に「過去に戻ればいい」と言われた平野は19,500円を払って、選挙カーとすれ違った1時間前の15時30分に戻る。平野は選挙カーを止めようとするが、車はそのまま逃走した。平野は枝分のタクシーで選挙カーを追う。ふたりに追いついた平野は、いのりの父親の高橋町長が強引に見合いを決めたため、駆け落ちをする計画を立てたことを知る。平野はふたりに協力することにする。交番の警察官が選挙カーを見つけ、駆けつけた刑事たちにふたりは捕まる。警察署で平野は警察官の拳銃を奪い、いのりと若者を警察署から連れ出して、枝分のタクシーに乗せる。高橋町長からもらった謝礼金を枝分に渡し、「お父さんを説得して、理解してもらえ」と平野はふたりに言った。タクシーが走り去った後、平野は刑事に取り押さえられる。3時間前の過去に戻り、若者といのりは父親の高橋町長を説得して交際を認めてもらう。枝分のお願いでタクシーではあと岩に向かったいのりと若者は、その途中で平野を見つける。タクシーを降りてふたりは平野にお礼を言ったが、平野はふたりと初対面だったがために意味がわからなかった。

結婚をせまった女性の怖い本性と結末

IT会社の野々山武彦（ののやまたけひこ）社長と妻の明歩（あきほ）は受賞式会場で、「いい夫婦ベストパートナー賞」を授賞し、カメラのフラッシュを浴びていた。その様子を会場で野々山社長の秘書の麻里奈（まりな）が見ていた。授賞式が終わり、付き合っている麻里奈と野々山武彦社長はホテルに行く。麻里奈は「結婚してほしい」と言ったが、野々山武彦社長は取り合わなかった。「妊娠したの」とも言ったが、野々山武彦社長に「お金目的か」と言われふたりは別れることになる。麻里奈は泣きながら枝分のタクシーに乗る。麻里奈は枝分に話を聞いてもらい、6万円を支払って3時間10分前の11時50分に戻る。授賞式会場に戻った麻里奈は明歩と男性が会っているのを目撃する。麻里奈は今度は結婚の話をせずに、家族に恵まれなかった野々山武彦社長に明歩が男性と一緒にいたことを話す。今度は話はうまくいき、ふたりはホテルの部屋を出る。そこに麻里奈の元カレの芝田省吾（しばたしょうご）が現れる。麻里奈と野々山武彦社長がホテルから出てきた写真を見せて、ふたりを別れさせようとする。野々山武彦社長と芝田省吾がつかみ合いになる。芝田省吾は階段から落ちて大量出血をする。麻里奈はホテルの前にいた枝分のタクシーに乗り、2時間前の14時31分に戻る。麻里奈は明歩に野々山武彦社長と別れるように仕向ける。明歩は麻里奈を同席させて、野々山武彦社長に不妊治療を続けていて、ようやく子供ができたことを報告する。明歩が会っていた男性は産婦人科のお医者さんだった。麻里奈の方から野々山武彦社長に別れを告げる。麻里奈は再び枝分のタクシーに乗り海に向かう。実は妊娠はウソだった。枝分は「女性って怖い」と震えた。

当選した宝くじを拾った男がなかなか換金できない話

社長と口論して、朝倉陽平（あさくらようへい）は10年間働いていた町工場をクビになる。帰り道のバスで宝くじを拾う。その宝くじは1億円に当選していた。枝分のタクシーに乗り、銀行に宝くじの換金をしに行くが、渋滞で銀行の営業時間の午後3時までに間に合わなかった。枝分から宝くじの期限が今日だと言われた朝倉は、50分前の14時12分に戻る。バスに乗る前に戻った朝倉はバスで宝くじを拾い、すぐに枝分のタクシーに乗る。無事に銀行についたが、宝くじを受け取るためには身分証明書と印鑑が必要なことが窓口でわかる。慌てて朝倉は自宅に取りに行ったが、妻の明日香（あすか）に捕まり、振り切って自宅を出たが銀行の営業時間に間に合わなかった。自宅に帰ると会社をクビになったことを知った明日香は家を出ていっていた。朝倉は再び枝分のタクシーで50分前の過去に戻る。バスに乗り、朝倉は落ちている宝くじを拾おうとしたが、バスが揺れて女子高生に抱きついてしまう。チカンだと思われて慌ててバスを降り、枝分のタクシーに乗る。また50分前の過去に戻り、バスで宝くじを拾い、身分証明書と印鑑を自宅に取りにいき、枝分のタクシーで銀行へ向かう。渋滞になったのでタクシーを降り、走って銀行に向かう。その途中で朝倉は建設現場の事故に巻き込まれる。その後、枝分のタクシーに本当の宝くじの持ち主の客が乗ってくる。その客は過去に戻り、バスで落とした宝くじを手に入れる。朝倉はバスに乗り、宝くじを拾うこともなく、そのままバスを降りた。次の日、朝倉は口論になった社長に謝り、町工場の仕事を続けた。

結婚したいアラフォー女性の婚活パーティー

大学病院で外科医をしている女医の美佐子（みさこ）は、アラフォーの独身女性。同じアラフォー女性で学生時代からの親友が婚活パーティーの参加で結婚することになる。仕事ばかりしていて彼氏がいない美佐子は、焦って次の日に婚活クッキングパーティーに参加する。イケメンで大手商社で働く工藤（くどう）を狙う。料理が得意な美佐子は、同じグループにいた英里香（えりか）が失敗したピラフをあんかけ風おこげに作り直す。男性陣にいいアピールができた美佐子だったが、工藤とカップルになったのは同じグループで看護師の知美（ともみ）だった。帰りに枝分のタクシーに乗った美佐子は、枝分と今日の婚活パーティーの反省会をしているうちに、すべて知美の計算だったと気づく。美佐子は33,000円を払って、2時間前の14時20分の過去に戻る。婚活クッキングパーティーに戻った美佐子は英里香がピラフを失敗しないように手を打つ。美佐子はできる女性を演出するために食器を洗う。知美は指を切った工藤の手当てをして、まつげをとってあげるなどアピール。敗北した美佐子はもう一度過去に戻る。美佐子は婚活クッキングパーティーにテープを持っていく。工藤が手を切るのを待って、すぐにテープで手当てをする。工藤に誘われて美佐子は2人で婚活パーティー会場から出る。そこに一人の女性がやってきて、婚活パーティーで女性をひっかけるために、工藤があちこちに出入りしていることがわかる。美佐子は再び枝分のタクシーに乗る。知美が婚活パーティーで知り合った男性と帰っているのを見た美佐子は、もう一度、チャレンジすることを決める。後日、枝分は「café shoise」の常連客で独身の標（しるべ）の婚活パーティーでの失敗談を聞く。標にどこかにいい女性はいないかと聞かれた枝分は「女医なんてどうです？」と言った。

人気マンガの原稿と親友の彼氏の浮気問題を解決

マンガ家の虫海暗（むしうみあん）が描く『おひとよしトレジャー』は、週刊『少年ストロング』で連載中の人気マンガ。担当編集者の美空（みそら）は締め切り当日の原稿が出来上がるのを、虫海のマンションで待っていた。実は虫海はストーリーの続きに悩み、『おひとよしトレジャー』は3週連続休載していた。「飲み物を買ってきてほしい」と虫海から言われた美空が買い物に行っている間に、虫海に逃げられる。美空が編集部に電話をすると、編集長からクビにされる。枝分のタクシーで美空が編集部に帰る途中、『おひとよしトレジャー』の大ファンの枝分がまた休載になることを知って、美空は約15分前の21時10分の過去に戻ることになる。今度は美空は飲み物を買いに行かずに、原稿が描き終わるのを待つ。そこに友達の佑香（ゆうか）から、「彼氏に浮気された、今から来て」と電話がくる。美空は仕事で行けず、しばらくした後に警察から電話があって佑香が自殺未遂したと聞く。その頃、枝分は標から交際していた女性にお金を渡したら、音信普通になったと泣かれていた。佑香に会いに行かなかったことが原因で自殺したと思った美空は、枝分のタクシーで約1時間前の過去に戻る。仕事と友達の両方を救えばいいと枝分に言われた美空は佑香に会いに行く。虫海のマンションに戻ると虫海はいなかった。美空は枝分の提案で佑香と一緒に過去に戻り、美空、佑香、枝分の3人でマンガの原稿を待つことになる。虫海が脱走しようとするのを美空が阻止し、飛んできた虫海のスマホ画面を佑香が見ると、佑香の彼氏が浮気した女性が写っていた。その女性は標がお金を持ち逃げされた女性とも同一人物だった。美空、佑香、枝分、標の4人で1時間40分前の過去に戻る。4人は女性をクラブで捕まえる。その女性は第5話に出てきた知美と判明し、グループで犯罪をしていたことがわかり、警察に出頭させた。枝分に虫海から「今のマンガを描く前に戻りたい」と電話がくる。虫海は登場人物の魔女を倒せないことで、ストーリーに困っていた。「また休載か」と枝分はため息をついた。

元レディースが実家に結婚報告する過去との問題

大西真理（おおにしまり）は一流企業で働く、美人で仕事ができて人望も厚いOL。大手企業CEOの代表取締役の内藤彰（ないとうあきら）と結婚することになり、内藤から両親の所に挨拶に行きたいと言われる。実家に帰りたくない真理は、暴力をふるう父親と遊んでばかりいる母親から逃れるために家出中だとウソをつく。「親子関係を修復したら」と内藤に説得されて、ふたりで実家に帰ることになる。ふたりが故郷の駅につくと、パワースポットの写真を撮っていた枝分がレディースにからまれていた。内藤が枝分を助けようとしたが、「女同士の方が話がわかる」と言って、真理がひとりでレディースに話をつける。実は真理はレディース「苦露悪惨（くろわっさん）」の初代総長で、両親に散々迷惑をかけて、高校を卒業した後に家出をしていた。ふたりは助けたお礼に枝分のタクシーで実家に送ってもらう。真理が過去とウソをついていたことを知った内藤は怒って帰ってしまい、真理は追いかけようと枝分のタクシーを呼び出す。枝分から両親に謝ること、内藤との結婚を伝えた方がいいと言われた真理は、ふたりで実家に着いた約30分前の過去に戻る。真理はひとりで実家に入り、両親に過去のことを謝り、話をあわせてもらうことにする。両親に結婚の同意をもらったふたりの所に、9代目総長の黒田陽子（くろだようこ）が後輩たちを連れて真理に詫びを入れにくる。内藤に元レディースの初代総長だとバレた真理は、枝分のタクシーに乗って1時間前の過去に戻る。真理は内藤と一緒にすぐにバスに乗って実家に向かう。レディースにからまれている枝分をcafé choiceの店員の関カンナ（せきかんな）が助ける。カンナも実は元レディースで、「苦露悪惨」の6代目総長だった過去があった。真理と内藤は両親に結婚の同意をもらい駅に戻る。真理の両親がふたりを追いかけて駅に来て、「真理をよろしくお願いします」と内藤に頭を下げる。それを見た真理は枝分のタクシーに乗り、過去に戻って内藤に本当のことを話して両親に謝りたいと言った。「今から話しても遅くない」と枝分に言われた真理は、枝分のタクシーの後部座席で内藤にすべて話す。実は内藤は真理の普段の様子から元ヤンではないかと気づいていた。ふたりはそのまま両親の所に行き、真理は過去のことを両親に謝り、結婚の同意をもらった。

祖父の最期の願いを叶える病院での出来事

佑香は入院中の祖父泰三（たいぞう）の見舞いにいきたが、最期に会えなかった。泰三の最期に立ち会いたかったと思った佑香は、枝分に電話をする。枝分のタクシーに乗って、泰三がまだ生きていた頃の1時間前の過去に戻る。佑香は急いで病院に行き、泰三と最期の時を過ごす。泰三が眠るように息を引き取った後、佑香は泰三が祖母の六実（むつみ）が作ったいなり寿司を食べたいと言っていたことを知る。「食べさせてあげたかった」と後悔している六実を見た佑香は、六実と一緒に枝分のタクシーで過去に戻る。佑香は入院中の祖父の側に、六実は枝分のタクシーで自宅に帰り、いなり寿司を作る。祖父から「愛してると言われたら、女性はうれしいか？」と聞かれて、「うれしいよ」と佑香は答える。しかし、祖父は祖母が作ったいなり寿司を食べて、何も言わずに亡くなる。その頃、枝分はある男をタクシーに乗せる。その男は富士山を見に行きたい、それから、30分前の過去に戻りたいと言った。枝分は男と一緒に富士山を見ながらいなり寿司を食べる。男は「愛してる」と言ってあげれば良かったと後悔していた。枝分は男をタクシーに乗せて、30分前の過去に戻る。しかし、病院に着いた時には後部座席に男はいなかった。病室では祖父が祖母に「愛している」と言って、眠るように亡くなった。枝分の方は男が消えたことに驚き、祖父が入院中の病院で医者をしている女医の美佐子に、「幽霊が出た！」と言う。美佐子は枝分に診察を勧めた。

ナイフと拳銃を持つ強盗ふたりとの力関係