1/11 じゅういちぶんのいち(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『1/11 じゅういちぶんのいち』とは、中村尚儁による日本の青年向けサッカー漫画。第一部は『ジャンプSQ.19』(集英社)で連載された。とある出来事から主人公・安藤ソラは大好きだったサッカーから遠ざかっていた。そんな時、小さい頃の友人でプロのサッカー選手であるツヨシこと若宮四季と再会し、サッカーの楽しさを思い出す。しかし、ツヨシは突然この世を去ってしまう。ソラはそんなツヨシの遺志を継ぎ、プロサッカー選手を目指す。その過程で、ソラの熱意に心を動かされ成長する人々も描いた感動のサッカー物語。

大神の妹。大神とは似ても似つかない可愛さと、人柄の良さ。公園でサッカーの練習をしているところ、薮田と出会う。ソラや四季を尊敬している。
将来の夢は男子セリエAで得点王になること。守備が硬いイタリアで、なおかつ男子チームで得点王になれれば世界一のFWになれると思っている。

ドイツチームに移籍したのち、数年後では横浜で行われたソラの引退試合にも出場するほどになっている。

御手洗 恭輔(みたらい きょうすけ)

フットボールが好きな御手洗 恭輔(みたらい きょうすけ)。

第17と18話の主人公。25歳のサラリーマン。

毎日同じ日々を過ごすことに嫌気が差し、入社3年目で思い切って退職。元々興味のあったフットボールのライターになることを決意し、アメリカへ渡る。
「キャリアを積むため」の気乗りしない初仕事で、フィラデルフィア・ユナイデットに移籍したソラの取材をすることになる。ソラと対面した際にうっかり「フットボールが好きなのにサッカーの取材なんて、この仕事も嫌々してるんだ」と御手洗がソラに言ったため、「嫌々取材しにきてんのかよ…」とソラと険悪な仲になる。

御手洗がフットボールにハマったきっかけは、小さい頃に見たトヨタカップだった。組織的で流麗なヨーロッパのフットボールに一目惚れするが、周囲にフットボールに詳しい者がおらず孤立する。それでもフットボールを取り扱った雑誌を読み漁り、自分が知りたいフットボールの情報を届けてくれる「ライター」こそが自分の理解者だと感じていた。

その後もソラを取材し続け、ソラは広い視野を持ち、確かな技術を持っている自分が好きな選手であることに気づく。アメリカにもサッカーにも好感触を持ち始めた頃、ソラが怪我をしてしまう。その結果、御手洗も上司から「もう安藤選手は終わりだ、取材しても意味がない。引き上げろ」と言われてしまう。
御手洗はリハビリやトレーニングを行なっているソラへ会いにいく。そして「ここで頑張らなくても、日本に戻ればまた活躍できる」と御手洗はソラに声をかける。しかしソラは「俺はここのチームを強くしたい。このチームの1/11になる。他の誰かが見限ったとしても、俺はここに残る」と強い意志を見せた。
そんなソラの姿が、周りに理解者はいなくとも、フットボールを好きで追いかけ続けた昔の自分と重なる。御手洗は上の命令に逆らい、ソラの存在を知り尽くして世界に伝えてやると心に決める。しかしソラは御手洗をまだ信用しておらず、四季の遺志を継いでアメリカに来たことは話していなかった。そのため御手洗は、自力でソラの過去を探ってやろうと動き出す。

御手洗はフィラデルフィア・ユナイデットの広報担当や、ゼネラルマネージャーに取材を続ける。そしてフィラデルフィア・ユナイデットの現オーナーであるアメリア・マツモトにも取材を行う。そこで御手洗は、アメリアから「サッカーは11人でするもので、自分が1/11であることを理解して動けるものだけをスカウトしている」ことと「ソラの前に、若宮四季もチームに来る予定だった」という情報を教えられる。そして四季とソラのつながりを発見し、御手洗は「ソラはヨーロッパチャンピオンリーグという未来を捨ててでも四季の遺志を受け継いでアメリカにやってきた」ことを知る。
それをソラに話し、御手洗は「これを記事にしていいか?」とソラに聞く。ソラは自分の力でもう一度、サッカーで活躍したいと思っていた。だから記事の影響力は借りたくなかったものの、御手洗の熱意に感心していたため「四季もあんたならいいって言うと思うよ、記事にしていい」と返答する。
しかし御手洗は「俺はお前の過去じゃなく、未来に賭ける」と言って記事は発表せずに終わった。このことでソラとも打ち解け、自費でアメリカに残り怪我から復帰したソラを追い続けた。以降、ランベスに移籍後もソラへついて行っている。

クリスティアン

横浜と上位を争っていた東京のエースのFW。気質は荒く、試合中、神崎に何度もゴールを止められたことからイライラを募らせていく。
後半ロスタイムに、ボールへ飛びついてきた神崎をそのまま蹴って怪我を負わせた。当然一発退場となり、試合後リーグからシーズンの残り試合出場資格を剥奪。それに伴いチームも失速した。

佐藤 剛志(さとう つよし)

第30と31話の主人公。ソラに憧れているがサッカーが下手な少年で、サッカーをしている少年グループからのけものにされてしまう。
そのさまを見守っていた老人から「ドリブルは基本アウトサイドだ」「トラップは力んでやるな」とサッカーの手ほどきを教える。さらには「強い意志と心構えを持ってプレーすることが大事」と気持ちの面も教わる。
そして練習を重ねたある日、老人と剛志でいじめっ子たちに勝負を挑む。いじめっ子たちが負ければ、剛志をチームに入れることを約束し試合開始。老人の華麗なプレーでいじめっ子たちを翻弄、その間に剛志がシュートを決めて勝ちとなった。
それからは約束通り、剛志はいじめっ子たちとサッカーをするようになったが老人が姿を見せなくなる。老人の姿が見えなくなったと分かると、いじめっ子はまた剛志をのけものにしようとボコボコに殴り「サッカーチームから出ていけ!」と言った。さらには「あのジジイはもう死んだんだよ」という事実を剛志にぶつける。剛志は動揺するものの「おじいさんがいなくなったって、僕は…今度は1人で頑張るんだ!」と強い意志を見せ、どれだけ殴られても逃げなかった。その姿勢を見たチームメイトは「もうやめようぜ」「剛志を仲間に入れよう」と剛志を受け入れた。

後日、老人の葬式に向かう剛志。そこには大勢の人間が集まっており、受付にいた男性は安藤選手だった。剛志は「どうして安藤選手が!?」と聞くと、安藤は「だってこの葬式は、俺のじいちゃんの葬式だから」と説明した。
実は剛志にサッカーを教えた老人は安藤ソラであり、受付にいた男性は悠の息子で、彼もまたプロのサッカー選手だった。
剛志は事情を全て話し、ソラにサッカーを教えてもらったことに感謝を述べた。そこに年老いた仁菜もやってきて、「あの人はいつもサッカーを楽しそうにする人だった。今も天国でサッカーしてると思うわ」と笑った。

『1/11 じゅういちぶんのいち』の用語

サッカー用語

サッカー

サッカーとは、2つのチームが両橋に設置されているお互いのゴールにシュートを決めて、得点が多い方のチームが勝ちとなるスポーツである。公式ルールでは1チーム11人と決められている。
基本は足のみを使い、ボールをフィールド上で転がしていく。自分のチームのゴールを守りながら、相手チームのゴールへ運びシュートを決められれば1点となる。足以外にも胸を使ったトラップや、頭を使ったヘディングなどでシュートを決めても1点となる。またGKはゴールを守るポジションであり、ゴール前の一定の領域内において手と全身でシュートを防ぐことが許されている。

ゴールキーパー以外のポジションとして、大きく分けて3つのある。
ボールを運び相手チームのゴールを狙う「フォワード(FW)」、一方で自チームのゴール前を守る「ディフェンダー(DF)」、そして相手チームからボールを奪い、FWへとパスを繋げる「ミッドフィールダー(MF)」である。
またポジションは、役割や場所によってさらに細分化される。例えばフィールドの左側によく位置し、ボールを奪って味方へパスするならば「レフトミッドフィールダー」と言われる。

ポジションについて細かい規定や規約はなく、GKを除いた選手10人の組み合わせは様々で、その試合状況によって変化することがある。

フォワード(FW)

フォワード(FW)とは、攻めるポジションのことである。MFからパスを受けボールをもらい、相手のゴールにシュートを決める役割。
本編ではソラや四季、真壁が当てはまる。

ミッドフィールダー(MF)

ミッドフィルダーとは、攻めと守りのバランスが重要なポジションである。
攻めの部分では、相手チームからボールを奪い、自分のチームのFWへボールをパスをする。状況によってはMFでも自らシュートする場合もある。
守りの部分では、チーム全体のバランスを整えつつ、相手MFに注意をしたりパスを阻止したりなどである。
その場の状況を見ながら、「今は攻める」「今は守る」と決断できる人物でなければならない。広い視野を持ち、常に周りを意識する必要がある。

ディフェンダー(DW)

ディフェンダーとは、主に守りを固める側である。DFの中でも「センターバック(CB)」と「サイドバック(SB)」という更に分かれてポジションがある。

CBとは、自分のチームのゴール前に位置する中央付近のポジションのこと。真ん中から攻撃してくる相手FWからゴールを守る役割。そのため、相手のドリブルからボールを奪う技術や、シュートを阻止しえたボールを味方へパスへするコントロール能力も求められる。
本編では修学院の紺野や、横浜チームの青柳が当てはまる。

SBとは、自分のチームのゴールサイドに位置するポジションのこと。サイドから来る相手の攻撃から守ることが役割。加えてCBのフォローなどを行い、基本は守りであるが攻める際には味方へロングパスする能力も求められる。
本編では修学院の加瀬が当てはまる。また、ランベスのチャンピオンズリーグ準決勝の試合において、チームメイトのSBが負傷したためFWのソラが一時的に担った役割でもある。

ゴールキーパー(GK)

GKとは、手を使って相手チームのシュートをブロックするポジション。ゴール前に位置し、味方に指示出ししたりボール回しをしたり、時にはゴールキックしたりとさまざまな役割を担う。
FW、MF、DFとの違いとして、試合中にほとんど交代しないという特徴が挙げられる。更には他のポジションとは異なり選手生命も長いため、ポジション争いが激しいとされている。

本編では横浜チームの神崎がこれに当たる。神崎も横浜チームに入団後、レギュラーを目指して努力していたが若手の大城がGKに選ばれ、長い間セカンドGKとしてチームに在籍していた。

ボランチ

ボランチとはMFの中でも、守備的な役割を担うポジションのこと。ボランチは試合全体の流れを把握し、攻めと守りを瞬時に理解しなければいけない能力を求められる。

自分のチームが盛り上がり攻め時には、相手の守りを崩すためにボランチが中心となってパスを回し攻撃を続ける。
逆に相手チームに攻められている時には、失点のリスクを減らすために自分たちでボールを守って、パスを回していく。
つまりは試合状況によって、「今何をして勝てるか」を常に考え、試合をコントロールしなければならないポジションである。

本編ではランベスの試合で、FWのソラが怪我をした選手に代わりボランチとして出場する場面がある。

オフサイド

紺野が関にオフサイドを説明している時の図。

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