1/11 じゅういちぶんのいち(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『1/11 じゅういちぶんのいち』とは、中村尚儁による日本の青年向けサッカー漫画。第一部は『ジャンプSQ.19』(集英社)で連載された。とある出来事から主人公・安藤ソラは大好きだったサッカーから遠ざかっていた。そんな時、小さい頃の友人でプロのサッカー選手であるツヨシこと若宮四季と再会し、サッカーの楽しさを思い出す。しかし、ツヨシは突然この世を去ってしまう。ソラはそんなツヨシの遺志を継ぎ、プロサッカー選手を目指す。その過程で、ソラの熱意に心を動かされ成長する人々も描いた感動のサッカー物語。

第11話のメイン人物。28歳。チームの新人スカウトで、熱心に仕事と向き合っている。たまたま視察していた試合でソラを発掘した。
かつてはチームでプレイしたプロの選手。

足立は偏差値は高いが、サッカーは強くない大学のキャプテンとしてプレーしていた。大学生の時に、堂本からスカウトされ「僕がプロになれるなんて…」と驚きと謙遜をしていた。その後、一流企業からの内定を蹴ってプロ入りした。
しかし身長の低さと、当時の監督が「背の低い奴に中央は任せられない」と言って足立をサイドバックにしていた。そのような環境の悪さから、プロ生活4年でトップチームでのスタメン出場は5試合に終わり、チームを解雇される。その後は「スカウトしておいて、活躍させられなかった」と感じた堂本からスカウトに誘われ、スカウトマンへ転身した。

ソラの獲得を堂本に進言し続けるも、頭ごなしに反対される。その理由は、プロ入りしたものの成功出来なかった足立と、ソラがよく似ていることだった。
堂本の気持ちを知った足立は「プロ入りは自分の誇りで、後悔していない」と堂本に伝える。その後、編成会議にて堂本がソラを推して見事ソラを得ることが出来た。堂本に「お前が最初から目をつけていた、いい選手だ」と褒められ、嬉しそうな顔をした。

青柳 大貴(あおやぎ だいき)

FW5年目にしてDFに移動させられる青柳 大貴(あおやぎ だいき)。

第13話の主人公。プロ5年目の22歳。チームでコンパニオンをしていた芸能人の藍(あい)と結婚している。

FWとして3年目には結果を残していたが、4年目の序盤で負傷。そこで藍の妊娠が重なり「これからは家族が出来るのだから」と気持ちは前向きだったが、療養中に後輩のソラの活躍などで前線への復帰が難しくなる。
そこでコーチから「青柳は体力があるから」とDFへの移動を求められる。青柳はFWへの復帰を掲げていたため受け入れきれず、十分なプレーができないまま練習を重ねていた。そして「DFを求められているのにFWとしてプレーしたい自分」から思い通りにプレーが出来ず、ついにはコーチやチームメイトに「やってらんねぇよ!」と逆ギレをしてしまう。その結果「頭を冷やしてこい」と謹慎を命じられ、練習もそこそこに帰路へ着いた。

家に帰る途中、花屋でパート中の藍に会う。藍は暗い顔をした青柳を見て「私は大くんの味方だよ」と励ます。青柳は「俺と結婚しちまったから、芸能界入りの夢も途絶えた。後悔してないか?」と藍に聞く。藍はモデルを目指し芸能界入りしていた。しかし、活躍できないまま歳を取り妊娠したことも加えて引退。今は一般人として過ごしている。そのことを悔しくないのかと、青柳は藍に聞いた。
藍は「どんな環境でも自分らしい花を一生懸命咲かせることが大事、私は大くんの隣で咲くことを決めたの」と青柳に微笑んだ。その言葉を聞いた青柳は、今自分が置かれている状況で必死に頑張るしかないと腹を括る。
青柳はチームに戻り、「もう一度だけセンターバックをさせてください!」と土下座をしてチームに復帰した。

数年後、横浜で行われたソラの引退試合に参加して「横浜のDFラインに君臨し続けた」と紹介されており、DFとして一生懸命に努力したことが窺える。

大城(おおしろ)

チームの正GK。目覚ましい活躍で将来を期待されており、正キーパーとして入団。入団当初から背番号1を付けるなど、他のチームメイトとは差をつけて迎えられた。
ある時、試合前に負傷し治療のために長期的にフィールドから離れる。その間は神崎が正キーパーを担った。治療後はスタメンに戻っている。

狭川 遼馬(さがわ りょうま)

ソラを見下す狭川 遼馬(さがわ りょうま)。

第27と28話の主人公。ソラの横浜復帰後のチームメイト。かなりの無愛想。プロ2年目でありながら優秀な成績を残し、周囲からも期待されている新人。

小さい頃からサッカーに夢中で、特にソラに憧れていた。ソラが横浜に復帰すると聞いた時も「一緒にプレーができる」と内心喜んでいた。
しかし、肉体は衰え闘争心も見せない現在のソラを知り「俺の憧れの人は…もう終わった選手だ」と見下している。実はソラは怪我をしており、そのために自主練を控えていただけだったが、それを知らない狭川は「自主練もサボって、あの人は本当に終わったな」と思っていた。ソラへの失望と、同時に自身も思ったように結果を残せず、やきもきしていた。

首位・大阪との大事な試合で狭川は「俺がゴールを決めてやる」とドリブルで攻めるも空回り。相手にボールを取られ、そのままゴールを決められて1点を決められてしまう。観客から「狭川どうしたんだよー!?」が飛んだ。
そんなとき、ソラがフィールドに立つ。しかし狭川は「もう終わった人が来たって」と諦めていた。そんな狭川の心を見抜いたソラは「終わった俺がフィールドに来ても何も意味はないって思ってるだろ。だけど誰がなんと言おうと、俺は俺が終わったと思っていない」と全力で試合に臨んだ。ソラは怪我をした足を庇いながらも、相手のマークをすり抜けゴール出来る場面で、あえてボールを狭川にパスする。狭川は驚きながらも受け取り、見事にゴールを決めた。
狭川は「なんであの状況でパスを出した、あんたならそのままゴール出来たはずだ」と言うと、ソラは「同感だ。あそこでパスを出すなんて正気じゃない。だけど俺がパスを出せるところまでよく走って追いついたな、お前は本物のFWだ」とFWとしてヤキモキしていた狭川の心まで読み、勇気付けるように励ました。

その後、ソラは長年の疲労蓄積による怪我により引退を発表。あの試合でもプレーは全て、自分の跡に残るFWの狭川のために、狭川へ自信を付けさせるために行ったことだった。
それを知った狭川はソラへの評価を改め、「チームで勝つ」意識も持ちスランプからも抜け出すことができた。また狭川はヒーローインタビューで「昔も今も安藤さんは俺のヒーローです」と愛想なく言った。それを見たソラは「本当愛想がねぇな」と笑いながらも喜んでいた。

のちにオランダへ移籍したような描写がある。

フィラデルフィア・ユナイテッド

マツモト・ジェラルド

フィラデルフィア・ユナイテッドの元オーナー。日系三世。ソラが入団した年の春に脳梗塞で他界。

四季が移籍予定だった女子チームのオーナーでもある。チームの方針には滅多に口出ししないタイプだが、四季とソラの時だけは「彼らは自分たちが1/11の存在だと分かっている」と言って欲しがった。

アメリア・マツモト

仕事関係で横浜に住んでいるアメリア・マツモト。

ジェラルドの娘であり現オーナー。会社の日本進出のために横浜に滞在している。
ソラがフィラデルフィアを選んだ理由を探っていた御手洗の取材を受け入れ、四季とソラの関係を御手洗に教えた。

ロンドン・ランベス

ジェイコブの圧倒的な資金力と野心で、トップレベルの選手を次々補強。万年下位争いだったチームを、たった2年で上位を脅かすチームに仕立て上げた。

ジェイコブ・クレスウェル

ランベスのオーナーであるジェイコブ・クレスウェル。

第21 から23話の主人公。2年前にランベスのオーナーに就任した実業家であり、チームの方針へ積極的に口出しするタイプ。

チームの強化のためなら金に糸目をつけない、合理的で冷徹な人物。小さい頃から両親とランベスを応援しており、現在病に臥している母親が生きているうちにランベスがチャンピオンズリーグで優勝する姿を見せたいと思っている。そのために金に物を言わせ性急とも思える方法と手段で、優秀な選手を世界各国から集め続けている。

母が亡くなる前にと、いち早く優勝することが目的である。そのため、強い選手を金でとってきては活躍が見られないとすぐに降格させる。追いつかない育成と、性急な強化を目指すあまりランベスは連携ないチームになってしまっていた。
そして実力は申し分ないのに、新しいFW選手を使うためと、ソラの友人でもあるFWダニー・クラドックを補欠に回した。このことからソラに「選手をキチンと強化して、育てていかないとチームにもまとまりが出なくなる」と意見され、自分に反発するソラに「試合にも出さず放出もせず、お前を飼い殺しにしてやる」と宣言する。実際にソラをスタメンから外し、2軍へと移動させた。しかし、チャンピオンズリーグ準決勝を前にしてボランチが怪我により不在となったため、ソラに「活躍すれば決勝にも出してやる」という嘘の約束をして出場させる。

チャンピオンズリーグ準決勝当日を迎え、ソラはジェイコブの嘘に気づかず「ただチームを勝たせたい」その一心で試合に臨んでいた。そんなソラを嘲笑うジェイコブ。
そんな中、試合途中でサイドバックのチームメイトが怪我で倒れる。ソラは監督に「FWの俺をサイドバックで使ってください」と提案する。監督も了承し、ソラはサイドバックとして後半の試合に望むことになる。ジェイコブはこのソラの行動を「俺に気に入られたいから、ポジションを変えてまで試合に参加しているんだな」と思っていた。
試合が再開し、敵チームがボールを獲得。ゴールしようとソラの前にやってくる。体力の限界が来ていたソラは、敵を止められず、それでも点数を入れさせまいと敵のユニフォームを引っ張った。ソラは一発退場をくらい、その後の試合も出場停止となる。ソラはそこまでして相手のゴールを阻止し、チームが勝つことしか考えていなかった。
その姿を見たジェイコブは「お前は本当にチームを勝たせるために…」とソラに感心していた。

ソラが抜けた試合後も、ランベスは決勝に進んだ。しかしPK線で敗退、リーグ戦も5位に終わりタイトルは一つも獲れなかった。シーズン終了後、病状が悪化した母に、ジェイコブは「勝てなくてすまない」と謝る。しかし母は「ランベスというチームがいつも私たちと一緒にいたから、私たちはランベスが好きだったし応援していた。私たちのランベスが、生きている間に決勝に行けたところを見れて嬉しい」と喜んだ。その一言により、ジェイコブは「ランベスをただその場しのぎで強くするのではなく、心に残るチームにする」と考えを改める。
その結果、金で強い選手を集めるだけではなく、時間をかけてチームを育てる方針に変えた。
またソラに対し「私に意見した者がチームにいればしめしがつかない。お前はドイツのブレーメンに行け」と助言し、ソラを送り出した。

ダニー・クラドック

ランベス下部組織出身。誰とでもフレンドリーに接し、ソラに対しても偏見などなく好意的に接している。確実な実力を持つFWの1人。

ソラのランベスでの初めての友人で、ピッチ上でも息が合う。ジェイコブに対しても尊敬の念を持っているが、ジェイコブによって控えに回される。その際にも恨み言を言うことなく、現状で努力し続けると前向きだった。

主要人物の家族

沢渡 真名(さわたり まな)

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