1/11 じゅういちぶんのいち(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『1/11 じゅういちぶんのいち』とは、中村尚儁による日本の青年向けサッカー漫画。第一部は『ジャンプSQ.19』(集英社)で連載された。とある出来事から主人公・安藤ソラは大好きだったサッカーから遠ざかっていた。そんな時、小さい頃の友人でプロのサッカー選手であるツヨシこと若宮四季と再会し、サッカーの楽しさを思い出す。しかし、ツヨシは突然この世を去ってしまう。ソラはそんなツヨシの遺志を継ぎ、プロサッカー選手を目指す。その過程で、ソラの熱意に心を動かされ成長する人々も描いた感動のサッカー物語。

小田 麻綾(おだ まあや)/演:東亜優)

演劇部部長の小田 麻綾(おだ まあや)。

第7話の主人公。ソラより2学年上。演劇部部長で、愛称は「オタマヤ」。妹がサッカーをしているため、サッカーはある程度分かる。

小さい頃から演劇にのめり込み、熱意を持ったまま高校入学後は演劇部に入部し部長となる。その一方で、自分と似た「演劇好きなオタク」気質の女子部員ばかりが集まってしまい、男性部員が居らず、男性が主役の脚本や舞台が出来ないことに悩んでいた。そんな時、野村が入部してくる。野村の「小田先輩たちの演劇に感動した」という熱意に心打たれ、小田も野村へ熱心に指導を重ねた。

ある日、ソラから日曜日に開催される練習試合の助っ人として、野村を呼ぶことを依頼された。前日に行う演劇部の公演を、サッカー部員が手伝うことを条件に受諾。
その後、野村の過去を聞いたため、野村がサッカー部に引き抜かれることを心配し練習試合を見に行く。そして野村がまだサッカーへの未練があることを見抜き、野村にその未練を気づかせるために一芝居打つ。
小田は野村を呼び出し、「この前の公演で、野村くんの演技が下手だったって苦情が来てたの。あなたは演劇部の品位を下げた。だから演劇部を辞めて」と嘘をつく。その後、野村に全て芝居だったことがバレており、野村に感謝を述べられながらもサッカー部へと送り出した。

䅣 千夜子(すめらぎ ちやこ)/演:古畑星夏)

歌を歌いながら写真を撮る䅣 千夜子(すめらぎ ちやこ)。

越川の中学・高校での同級生。「変人」と呼ばれるほどカメラに夢中で、マイペースな性格。
カメラは「生きていて努力している生き物はキラキラ輝いており、その一瞬を撮って残しておきたいから」と毎日持ち歩いて、所構わず取り続けている。空気なども全く読まず、校門前で必死に部員勧誘をしていたソラも「キラキラ輝いている、一生懸命だ」と感じたために撮影していた。

越川に対して特別な感情はないが、越川から中学最後の野球部の試合に誘われた時には喜んで行っている。その試合が雨天中止になり、越川の出番が来る前に終わってしまい越川から「せっかく来てくれたのにごめん」と謝られた時も「大丈夫」と優しく励ましていた。そのため全く空気が読めない訳ではなく、人への優しい気持ちはある。
そして試合後、悔しさから雨の中で1人素振りをしている越川の悔しさと一生懸命さを感じ、勝手に写真を撮って「キラキラ」と名づけコンクールに応募している。なおこの作品は写真コンクールの金賞を受賞している。

高校入学後、久々に顔を合わせた越川が以前とすっかり変わってしまい、キラキラしていなかったため「あなた誰?」と冷たくあしらった。しかしその後、越川が改心しサッカー部に入部。努力を重ねる越川の姿を「ちょっとだけキラキラしてる」と評価して撮影している。
デジカメを買ってきた越川に対して「デジタルに頼るなんて邪道」と言いながらも、デジカメの自動修正機能やハイテクな面は感心している。

また、アニメ『機動戦士ガンダム』シリーズのファンであり「FLYING IN THE SKY」の一節を口ずさむことがある。番外編の4コマにおいても、シリーズの登場人物の1人シャア・アズナブルのセリフ「機体の性能の差が戦力の決定的差にならないことを教えてあげる!」と口にしていた。

なお実写版では、柏木千夜子(かしわぎ ちやこ)という名前に変更されている。

高瀬(たかせ)

ソラの高校1年生時のクラスメイト。合唱コンクールにおいて伴奏者を務めた。

白鳥 光一(しらとり こういち)

真壁の親友・白鳥 光一(しらとり こういち)。

真壁の同級生で元サッカー同好会。学年一の秀才。サッカーにおいては周りへの視野が広い一方、足が遅い。

学年一の秀才ではあるが、親からの「有名大進学」のプレッシャーに苦しんでいた。
その矢先サッカー同好会の活動を目にし、偶然飛んできたボールを拾ったことから真壁に「お前、サッカーしたいのか?」と聞かれたことがきっかけで同好会に入部。
プレッシャーから気持ちを逸らしたかった白鳥は、同好会での活動が楽しかった。また真壁とは親友関係になる。その一方で、真壁の過去のことは薄らと知りながらも「安藤がいるサッカー部はダメだ」と、真壁が頭ごなしにソラを否定することには完全に同意していなかった。

3年生に進級し、親から「予備校へ行きなさい」と言われたことで同好会を離れる決意をする。地域一番の社会人チームとの試合を最後に、白鳥は同好会を引退となった。
その試合途中、怪我による欠員が出たため後半は10人で試合することになる。白鳥の最後の試合を勝たせたい真壁は、助っ人として嫌っていたソラを呼ぶ。
白鳥は、真壁が嫌うほどソラは悪い人ではないと試合中、連携の取れたプレーで感じる。そして試合はソラのサポートもあり勝つことが出来た。

試合後、「自分を助けてくれたように今度は安藤君を助けるべき」と真壁にサッカー部入部を勧め、その後はサッカー部を見守っている。

関 由香里(せき ゆかり)

紺野にオフサイドを教わろうとする関 由香里(せき ゆかり)。

第9話のメイン人物。紺野に「オフサイドを教えろ」と絡んでくるクラスメイト。クラスメイトからは「遊ぶための金欲しさからアルバイトに明け暮れ、学校にもろくに来ていない不良ギャル」と思われている。

父親が碌でもない男で、母の金を使い込んでは暴力を振るうような人間だった。そこから「人の金を使って自由に生きる、狡い奴は嫌い」と思うようになる。
関も中学生の時にはグレて、地元の不良グループに入っていた。高校に入ってからは両親が離婚し、関も更生してアルバイトを始め家計を助けるようになった。
そして母が再婚し、義理の父親と暮らすことになる。新しい父親は生真面目で、仕事もきちんとしており趣味はサッカー観戦だった。そのため関は共通の話題が欲しくて、紺野に付き纏いサッカーのルールを教えてもらっていた。
サッカー部の練習を見てオフサイドを覚え、それを父親に言ったところ「サッカー部じゃないのにオフサイドが分かるのか、由香里はすごいな」と初めて父親に褒められたことに涙する。父とサッカー観戦を行く約束をして、より親子らしい関係を築こうとしている。

横浜チーム

ソラがプロ入り後、加入する最初のチーム。以前は監督選びや、監督による無駄なこだわりからチーム内の環境が悪く成績が低迷していた時期もあった。チームカラーはトリコロール。
当初はソラを引き入れることを周囲も渋っていたが、スカウト部長の堂本の説得によりソラを引き入れた。ソラが入団した年にチーム初のリーグ3位を成し遂げ、サッカーの大陸選手権でもあるAFCチャンピオンズリーグに出場を決めた。

神崎 真臣(かんざき まさおみ)

久しぶりの試合で自分を奮い立たせる神崎 真臣(かんざき まさおみ)。

第4話の主人公。29歳。チームのセカンドGK。努力家で周囲からの信頼も厚い。年下の面倒見も良く、よくソラの練習にも付き合っていた。
「GKなんてボーッとしてるだけで暇そう」とみんなが遠慮する中、「ゴールを守れる、ただ一人の存在になれる」という理由からずっとGKというポジションを選んできた。

大学4年生の時、好プレーが横浜チームの目に留まりプロ入りのオファーを受ける。実はこの頃、一般企業からの内定を貰っていたことや、妻・理颯(りさ)が妊娠していたこともあり断ろうと考えていた。しかし理颯から「こんなチャンスないよ!私たちは大丈夫だから!」後押しされたことでプロ入り。
その後、努力を重ねセカンドGKになる。そんな時、正キーパーの引退も近いと神崎の正キーパーへの昇格も期待されていた。しかし、横浜チームが優秀な成績を残していた他チームの新人GK・大城(おおしろ)を獲得したため、神崎はそのままセカンドに留まることになってしまう。
神崎はそれでも腐ることなく練習を重ね、周りからは「セカンドキーパーである努力家の神崎がいれば、いつ正キーパーが倒れても安心だな!」と評価されるほど。しかし神崎は「セカンドである事実は変わりない…」とこの言葉に虚しさを感じながら、セカンドとして多くの時間を過ごしていた。

そんな中、とあるリーグの後半戦、大城の怪我により神崎に出番が回ってくる。久しぶりにフィールドに立った神崎は、その試合の威圧感に飲まれ足が震える。それでも「ここが踏ん張りどきだ」と気持ちを固めて、必死にゴールを守り続けた。
しかし、後半ロスタイムに相手FWのクリスティアンがゴールしようと神崎の目の前にやってくる。クリスティアンの勢いは神崎を前にしても怯まず、力強くボールを蹴ろうとした。「絶対に止めてやる!」と神崎はそのボールに飛びつく。直後、クリスティアンの蹴りを顔に食らって顎を骨折し、救急搬送された。
その後は試合が続行出来なかったものの、ゴールを守る楽しさを忘れていない自分の心に従い、出場機会を求めてドイツ2部リーグのチームに移籍した。

妻の理颯は、神崎の大学時代のサッカー部のマネージャー。のちに生まれた息子の護(まもる)は、「父親の背中を見て育つから、きっとGKのポジションを好きになる」という理由から、「守護神」から一文字取り「護」と名付けられている。
実際に護は体育の授業で、サッカーのポジション決めをする際には「GKがいい」と自ら立候補しており、神崎の背中を見てきたと言える。

堂本 誠治(どうもと せいじ)

横浜チームのスカウト部長・堂本 誠治(どうもと せいじ)。

第11話の主人公。42歳。チームのスカウト部長。
選手を見る上で「プレー」はもちろんのこと「ピッチ外の振る舞い」も見る性格。どれだけ恵まれた選手でも、失点した際に物に当たっていたりチームメイトに悪態をついていたらスカウトしない。

5年前に視察した試合で足立を発掘し、熱意ある勧誘で入団させる。足立は「まさか僕がプロなんて…」と謙遜しながらもプロ入りを受け入れた。
しかし、足立はプロで成功できたとは言えない成績のまま引退。これにより堂本は「スカウトは1人の人生を狂わせる可能性もある仕事」であると感じ、足立が引退した後は「一緒にスカウトしないか」と彼をスカウトする側に誘った。

足立から「いい選手見つけました!」とソラを勧められるが、ソラの特徴が足立とよく似ていた。低身長であること、強豪校ではないこと、プレースタイルまでソラが足立に見えた堂本は「ソラもプロで活躍できないまま足立のようになる」と思い反対する。
その後も足立はソラを追いかけ続け、堂本に「スカウトしましょう」と何度も持ちかける。堂本もついに感情的になり「こいつがプロで活躍できなかったらどうする。スカウトは人1人の人生を変えるんだぞ。プロになったのに、結局今はスカウトをしているお前が一番よく分かるだろう!」と足立に怒る。
それを聞いた足立は「俺はプロの舞台に立ててプレーが出来た。今でもそのことは自分の誇りです。だけど堂本さんは、僕をスカウトしてプロにしたことを後悔しているんですか?」と言われ、気持ちが揺らぐ。
一度ソラに会ってみようと、堂本は河原で練習しているソラの元を訪れる。そして堂本は「プロになりたいか?」とソラに聞いた。ソラは「プロになりたいです」と強い意志で返した。謙遜していた足立とは違う、と感じ堂本はソラをスカウトする。

その後、堂本はチームの編成会議において、ソラをスカウトして横浜チームに入れるべきだと他のメンバーにもプレゼンテーションする。しかし周囲の人間は「ソラって子、足立くんにそっくりじゃないか。これじゃプロで活躍しないよ」と反対される。そこで堂本は「足立が在籍していた時の成績を見てください」と足立の現役時代の成績を見せる。
足立が在籍していた時、チーム成績は暗黒期と呼ばれるほど悪かった。しかし一方で、サテライトで出場した試合の不敗率が75%と高かった。
また当時の監督が「背の低い奴に中央は任せられない」という理由だけで、足立をサイドバックにしていた。これらを踏まえて、堂本は「ソラは使いようによっては必ずチームを引っ張る存在になる」ことを提示し、獲得を決定させた。

足立 拓実(あだち たくみ)

ソラに目をつけたスカウトマンの足立 拓実(あだち たくみ)。

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