観た後に不思議な余韻を残す映画まとめ!『鑑定士と顔のない依頼人』など

ここでは観た後に不思議な余韻を残したり、何かモヤモヤするものが残る映画をまとめた。美術品の鑑定士と決して姿を現さない依頼人の交流を描く『鑑定士と顔のない依頼人』、自伝を出版してスターとなった殺人犯と彼を憎み続ける遺族の攻防を描いた『殺人の告白』などを紹介している。

▼『鑑定士と顔のない依頼人』

出典: eiga.com

"豪華絢爛な映像と饒舌な語り口の絶品映画。余韻の残るラストも素晴らしい"

ジュゼッペ・トルナトーレ監督・脚本、ジェフリー・ラッシュ、ジム・スタージェス、ドナルド・サザーランド主演による2012年の作品。世界中のオークションで活躍するオークショニアであり鑑定士としても一流の中年紳士ヴァージル・オールドマン。しかし、彼は結婚もせず、友人もいない孤独な男で、自宅の隠し部屋に飾った女性の肖像画の数々を眺めるのが唯一の楽しみだった。ある日、クレアと名乗る女性から、両親が遺した家具や絵画の鑑定依頼があった。鑑定がはじまったが、肝心の依頼人は姿を見せない。彼女は邸宅内に住んではいるが、広場恐怖症で姿を見せないのだという。

kanteishi.gaga.ne.jp

出典: www.cinemacafe.net

オークショニアであり鑑定士としても一流の中年紳士ヴァージル・オールドマンは、贅沢で一流の暮らしをしていたが、心には満たされない孤独を抱えており、過去に人を愛した事がなかった。ヴァージルを演じたのは、『シャイン』のデヴィッド・ヘルフゴッド役や、『英国王のスピーチ』の言語療法士ローグ役で知られるジェフリー・ラッシュ。齢を重ねて益々渋く、しかし孤独な悲しい老紳士を演じた。

出典: news.biglobe.ne.jp

ヴァージルに鑑定を依頼した謎の女性クレア。彼女は邸宅内に住んではいるが、広場恐怖症で人前に姿を見せないのだ。電話や壁越しの会話の気まぐれな態度でヴァージルを翻弄する。そして、彼女の姿を盗み見たヴァージルは、引き籠った彼女の人生を変えようとする。それこそが彼の人生を大きく変えてしまう行動だったとは!

ヴァージルの古くからの友人であるビリー。オークションの現場で、立場を利用して高級品を安価で手に入れてきたヴァージルの片棒を担いでいる。過去に画家であった様だが...。「君が認めてくれていたら...」と口癖のようにヴァージルに訴える。演ずるはドナルド・サザーランド。彼がこんなちょっとした役をやるとは思っていなかったが...やはり。

出典: openers.jp

今作を仕掛けたジュゼッペ・トルナトーレ監督。『ニュー・シネマ・パラダイス』『みんな元気』『海の上のピアニスト』といった作品で知られるイタリア屈指の名監督。スタイルは違えど、その緻密な映画作りとストーリー展開、独自の美学には定評がある。

出典: www.nndb.com

音楽を手掛けたのは、言わずと知れた映画音楽の巨匠中の巨匠エンニオ・モリコーネ。セルジオ・レオーネ監督との数々のマカロニ・ウエスタン作品での強力なタッグも有名だが、ジュゼッペ・トルナトーレ監督とも名コンビ。先の『ニュー・シネマ・パラダイス』『みんな元気』『海の上のピアニスト』をはじめ、『マレーナ』『シチリア!シチリア!』など、トルナトーレ作品の殆どを担当している。今作でもストリングス主体の流麗な音楽が作品を見事に彩っている!

映画『鑑定士と顔のない依頼人』予告編 - YouTube

この物語を明白に解き明かしてしまうのはどんな結果であれ無粋な気がする。それにたぶん何度見ても分かりはしないだろう。これはそういう映画だ。解けない謎を残すミステリー……なんて贅沢でなんて憎いことだろう。

出典: lapinova.blog.fc2.com

幾つもの伏線、物語を根底から揺さぶるドンデン返し、観客の感性に挑戦するかのように疑問符を投げかけるラストシーン。近年私が観たミステリー映画でも、必ず上位に入ってくる素晴らしい仕上がりだ。

出典: cineref.com

芸術的なミステリー映画のつもりで鑑賞したが、確かにこの映画は2つの顔を持つ。少なくとも入場前にリピーター割引のチラシをいただいた謎だけは、解けた。なるほど、鑑賞後にもう一度観たくなってしまう映画だった。

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▼『殺人の告白』

出典: blog.goo.ne.jp

”アクションだけと思ったら大間違い。ラストの余韻は更なる深読みを誘う!”

チョン・ビョンギル監督・脚本、パク・シフ、チョン・ジェヨン、チョ・ウンジ、キム・ヨンエ主演による2012年の作品。10件もの連続殺人を起こした恐るべき殺人者。時効を迎えた現在、犯人を名乗る男が世間に姿を現し、その事実を赤裸々に暴露した自叙伝を出版した。衝撃的な内容と彼のカリスマ性により、本はベストセラーになり、彼も一躍時代の寵児となった。しかし、妻を殺された上、自身も大きな傷を負わされた刑事や、被害者の遺族の一部が、それぞれの思いを胸に、彼を追跡し拉致しようとするが...。

出典: ameblo.jp

本件の実行犯であるというドゥソク。出版した本はベストセラーになり、一躍世間に注目を浴びる存在となる。確かに犯人しか知り得ない事実が書かれていたため、彼を真犯人と信じて疑わない周囲の人々だったが、どうしても納得のいかない刑事と、遺族中の数人が、真実を確かめようと危険な行動に出る。演じたのはパク・シフ。兵役を終えた後にデビューした遅咲きの俳優で、今作が映画初主演となる。

出典: yaplog.jp

犯人に妻を殺され、追跡中に酷いキズを受けるという、心身ともに大きな傷を負わされて、時効を迎えても尚、真犯人の追跡に執念を燃やす破天荒で荒っぽい男・チェ刑事。『シルミド』『トンマッコルへようこそ』『黒く濁る村』といった作品で知られるチョン・ジェヨンが演じた。

出典: ameblo.jp

主演のふたりに囲まれた人物が、本作を監督したチョン・ビョンギル。元々はアクション俳優を目指していたという彼だが、前作であるドキュメンタリー映画 『俺たちはアクション俳優だ』で俳優業に一区切りつけ、本格的に監督として今作を撮った。アクション畑の監督らしい、奇想天外なアクションが展開されるエンターテイメント作だが、卓越した脚本による人間ドラマや斬新な展開も見どころ。余韻が残る秀逸なラストシーンは、更なる深読みを呼ぶのだ!

映画『殺人の告白』予告編 - YouTube

最近見た韓国映画の中でも、際立って良かったし、とにかく、この凄いどんでん返しのストーリーは、今年一番のクールさでした。

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