封神演義(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『封神演義』とは1996年から2000年まで『週刊少年ジャンプ』にて連載されていたSFバトル漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。作者は藤崎竜。中国最古の王朝・殷。名君であった紂王は仙女・妲己に誘惑され、国は悪しき仙人によって支配された。成す術のない人間たちの事態を重く見た仙人界は、妲己たちを封印する「封神計画」の発動を決意。「仙道のいない真の人間界をつくる」壮大な計画を託された道士・太公望は仲間と共に過酷な戦いへと挑む。

歴史の道標

封神計画の真の目的

殷が滅び、周の時代になった人間界には平和が訪れようとしていた。しかし、殷周戦争の終盤から忽然と姿を消した妲己の存在など、いくつかの疑問が残っていた。太公望は元始天尊に全ての真相を聞くため一度仙人界に戻ることになる。そして封神計画の真の目的について知るのであった。封神計画とは妲己を倒すための計画ではなく、「歴史の道標」と呼ばれ、地球の歴史を裏から操作している女媧(じょか)を倒すためのものだった。女媧は何万年も昔に地球へ降り立った5人の異星人の内の1人であり、地球を自分の故郷の星に似せて作り上げることを目的とし、地球の歴史が故郷と違う方向にズレる度にその文明や生命を滅ぼしてきた実質この星の支配者である。そして妲己は、女媧から力を与えられることを条件とし、彼女に協力していた共犯者だったのだ。

始まりの人

何万年も昔に地球へ降り立った5人の異星人の中に女媧も居た。彼女たちは自らが持つ強大な力を制御できず故郷の星を滅ぼしてしまい、宇宙船の「蓬莱島」に乗って故郷と環境が近い地球を訪れたのだった。これからのことを話し合った際に、地球との共存を願った4人に対し、女媧だけが地球の破壊と、故郷の復元を提案する。女媧の説得が不可能だと悟った4人は女媧を異空間に封じ込め、地球の生物や自然と融合を始める。彼らの血は地球の一部となり、彼らの力を強く受け継いだ存在が後に仙人と呼ばれるようになったのだ。しかし女媧は完全に封じ込められてはいなかった。長い年月をかけて自分の魂のみを移動させる術を手に入れることに成功し、自分の目的を達成するため、肉体は異空間に残し魂の状態で歴史の操作を繰り返してきた。

女媧討伐へ

女媧の存在を知った太公望は、女媧討伐のメンバーを募り、女媧と妲己の待つ蓬莱島に向かう。待ち構えていた妲己が提案したのは、妲己チーム7名と太公望チーム7名での団体戦「大宝貝大会」であった。第一回戦から第三回戦まで順調に勝利を収めていく太公望チームであったが、第四回戦で太公望が対戦相手の胡喜媚(こきび)にまさかの敗退。太公望が封神されてしまう。太公望の封神を目の当たりにするも、なんとか勝利を収めた太公望チームは妲己の案内で女媧の元へと向かうことになる。ついにあいまみえた女媧は彼らを歓迎し、自分がこれまでどのように歴史を操ってきたか、そしてその歴史が望むものと違っていく度に幾度も文明と生命を滅ぼしてきたことを自慢げに語る。そのあまりに非道な内容に太公望チームは憤慨し女媧へ攻撃を仕掛けるも、逆に異空間に閉じ込められる。

伏羲の登場

五感を全て封じられた異空間でおよそ1500時間に及ぶ精神攻撃を受ける太公望チーム。そんな中、伏羲(ふっき)と名乗る男が異空間を破壊し現れる。彼は、女媧と共に地球に降り立った異星人の内の1人であり、魂だけになった太公望と十天君のリーダーである王天君(おうてんくん)が融合した姿であることを打ち明ける。伏羲は女媧を封じ込めたのち、自分だけは地球との融合をせず、万が一女媧が復活した際に備えていた。そして女媧の復活を悟った伏羲は秘密裏に封神計画を立案、その後自身の身体を太公望と王天君の二つに分け、機会を伺っていたのだった。

妲己、地球と融合

伏羲と女媧との最終決戦が始まるも、強大な力を有する女媧を倒すまでは至らず苦戦が続いていた。伏羲は女媧が肉体を手に入れて完全に力を取り戻すと勝ち目が無いと考え、封じられている女媧の肉体へと向かう。しかし、女媧の肉体は既に妲己によって乗っ取られていた後だった。妲己の真の目的は女媧の肉体を奪い、地球と融合することで、地球の支配者となることだったのだ。

女媧との決着

妲己に乗っ取られ、地球と融合を果たした女媧の肉体。しかし、女媧はあらかじめ肉体に自分の魂の一部を残しており、バラバラに分解された肉体を再生しようと試みる。真の姿となり完全復活を果たした女媧。今回の歴史に見切りをつけ、地球を破壊するために動き出す。女媧の圧倒的な力は伏羲の想定を大きく上回り、肉体的にも精神的にも敗北寸前まで追い詰められてしまう。そんな中元始天尊が封神台を開放し、これまで封神されてきた魂が解き放たれ、伏羲の元へと駆けつける。これまで一緒に戦ってきた仲間や、強力な宿敵たちと思わぬ再開を果たす伏羲。そして彼らの魂は女媧を倒す為、伏羲に力を与えるのだった。

道標を失った新たな歴史

伏羲の最後の攻撃で、ついに女媧は敗北するも、最後の抵抗として伏羲を道連れにしてこの世から消滅する。伏羲の犠牲はあったが、長かった戦いもようやく終わりを迎えた。戦いを終えた仙人たちは人間界から撤退、封神された仙人たちが住まう世界として「神界」を作り、人間界と仙界も新たな関係が始まろうとしていた。そして、女媧の手により消滅したかのように思われていた伏羲だったが、地球と融合した妲己により守られ、生存を果たしていたことが明らかになる。人間界、仙人界と共に、「歴史の道標」を失った新たな物語が始まるのであった。

『封神演義』の登場人物・キャラクター

主要人物

太公望(たいこうぼう)

CV:結城比呂 / 小野賢章
本作の主人公。メイン宝貝は、打神鞭(だしんべん)、太極図(たいきょくず)
仙人界の教主である元始天尊の弟子であり、後に「殷」と対立する国である「周」の軍師。12歳までは人間界で羌族の統領子息として生活していた。その頃は呂望(りょぼう)と名乗っていた。普段はぐうたらと怠惰に過ごし、仲間からもバカにされているが、実はかなりの策士。その頭脳は、多くの仙人や道士たちを養成している「崑崙山」でもトップクラスである。ピンチに追い込まれていても必ず状況を打破する奇策を打ち出し味方を救ってきた。人間界を平和にしたいという想いは非常に強く、そのためには自己犠牲も問わない熱い部分も持っている。桃や酒が大好きな甘党で、腹痛を起こした際も、苦い薬は飲まないと豪語していた。酒に関しては、酔えば酔うほど強くなる「泥酔拳」の達人でもある。

四不象(スープーシャン)

CV:増川洋一 / 櫻井孝宏
太公望が元始天尊より授かった霊獣。見た目はカバに似ている。性格はまじめで押しにかなり弱い。カバと呼ばれると普段よりも強めの口調で否定する。基本的に語尾は「〜っス」。太公望の一番の理解者&ツッコミ役として活躍している。太公望の元に付くまでは、北欧にあるスープー谷と呼ばれる場所で、父親のスープーパパと母親のスープーママと暮らしていた。後に普段の姿は第一形態であり、戦闘形態に変化できることが明らかになる。戦闘形態では見た目もシャープになり、一人称も「僕」から「俺」に変わる。スープーパパに成人になったと認められてからは、自分の意思でいつでも戦闘形態になれるようになった。

哪吒(なたく)

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