封神演義の宝貝(パオペエ)まとめ
「宝貝(パオペエ)」とは、藤崎竜の漫画『封神演義』に登場する武器である。仙人の太公望は、師である元始天尊に命じられて仙女の妲己をはじめとする悪の仙人を神界に封じる「封神計画」を遂行する。物語が進む中、歴史を陰で操作する女媧の存在や、封神計画の真の目的が明らかとなる。中国王朝が殷から周へと移り変わる時代を舞台に、仙人の世界を絡めた同名小説をモデルに、展開や一部キャラクターや宝貝のデザイン等が少年漫画風にアレンジされている。本項では敵味方の仙人たちが使用する武器・宝貝をまとめる。
『封神演義』の概要
『封神演義』とは、藤崎竜による漫画、及びそれを原作とするメディアミックス作品である。1996年から2000年まで『週刊少年ジャンプ』で連載された。中国に伝わる同名の怪奇小説を安納務が翻訳した。『週刊少年ジャンプ』に掲載された『封神演義』も、安納務の翻訳版を原作としている。
宝貝(パオペエ)と呼ばれる武器を全身に纏い生まれた哪吒(なたく)が人造人間風、原作では女神の女媧(じょか)が地球外生命体など、一部の設定が少年漫画風にアレンジされた。
古代中国・殷(いん)の時代。30代目の皇帝である紂王(ちゅうおう)は、新たに迎えた妃の蘇妲己(そ だっき)にたぶらかされかつての名君ぶりは影も形もなくなっていた。妲己たちの贅沢の為に重い税を取り立て、残虐な刑罰を考案し、人心は乱れて国は荒れていった。
仙人界にある崑崙山の道士の一人である太公望(たいこうぼう)は、師である元始天尊(げんしてんそん)から「封神計画」と呼ばれる計画を遂行するように命じられ、霊獣の四不象(スープーシャン)と共に人間界へと向かう。
封神計画とは、太公望が渡されたリストに載っている悪の仙人を封神台へ送って封じ(リストに名前が載っているものが死ぬと自動的に魂魄が封神台へ送られる)、人間界に革命による新たな王朝をたてさせるというものであった。妲己の正体は狐の妖怪仙人(妖怪仙人とは、1000年間月日を浴びた物や動物が仙人化したもの)で、彼女とその部下を捕らえよというのが下された命令だった。
策士である太公望だが、妲己は彼以上の頭脳と力を持ち、今すぐにでも封神できる(倒せる)存在ではなかった。元始天尊直属の弟子である崑崙十二仙(こんろんじゅうにせん)と呼ばれる十二名の仙人の他、天才と謳われた道士の楊戩(ようぜん)、紂王に仕えながら妲己を倒したいと願う黄飛虎(こう ひこ)と彼の息子である黄天化(こう てんか)、宝貝をまとい生まれた哪吒(なたく)、改造された雷震子(らいしんし)といった仲間を得て、太公望は改めて封神計画を遂行する。妲己の客人として王宮に出入りしていた最強の仙人・申公豹(しんこうひょう)は、初めて自分に傷をつけた太公望をライバルと見なす一方で、妲己のたくらみについて調査、推理をする。
その中で、次の王朝を率いるべき人物姫発(きはつ)に出会う。姫発は長男の姫伯邑考(はくゆうこう)を殺されその肉を食らう羽目になった経緯があり、太公望に協力するが後に拒食症が元で死亡する。姫発の志を継いだ次男の姫昌(きしょう)を王とする為、太公望らは革命の準備を始める。
敵は妲己だけではなかった。数代にわたって殷を守り続けてきた仙人の聞仲(ぶんちゅう)や彼の部下である魔家四将(まかよんしょう)、通天教主の直系の弟子である十天君(じってんくん)といった面々が難敵として太公望たちに立ちはだかる。
人間界の革命が進む中、仙人界でも戦いが始まる。
封神リストには、仙人だけではなく人間の名前も載っていた。紂王と先の皇后、紂王の二人の息子たち殷郊(いんこう)と殷洪(いんこう)の名もあり、皇后の魂魄は死後封神台へと飛んで行った。太公望が封神計画の真意を元始天尊に尋ねると、元始天尊は「歴史の道標」と呼ばれる存在の介在を口にする。
この世界は、かつて異星からやってきた「始まりの人」により作られた。彼らのリーダー格であった女媧(じょか)は故郷から持ってきた種をまき、地球を第二の故郷にしようと提案したが、女媧の同胞は星と同化して生きる道を選んだ。女媧は下等生物との一体化を拒み、頑なに仲間の意見を聞こうとしなかった。仲間たちは止むを得ず女媧を封印する。
始まりの人たちは提案通り地球やそこに息づく生命体と同化するが、魂魄のみで移動する術を得た女媧により世界は一度滅ぼされてしまった。始まりの人が地球に来たのは、故郷がある過ちによって滅んだためで女媧は「その過ちがなかった場合の未来」が見たいとの気持ちから、地球に故郷とそっくり同じ歴史を歩ませる。
少しでも故郷と違う歴史を歩む世界は破壊し、また一から作り直すという砂遊びにも似た行為の繰り返しの果て、今ある世界が誕生した。元始天尊の言う「歴史の道標」とは、女媧のことであった。その中で妲己と出会い、封じられた自分の代わりに「歴史に干渉して世界を意のままに導く」役割を担わせる。妲己は表向き女媧に従いつつ、彼女に成り代わろうとした。しかし、女媧から始まりの人の話を聞いたことで永遠に地球と共に生き続けることを望むようになる。
一方、仙人界では王奕(おうえき)という人物が崑崙山の仙人を束ねる元始天尊、金鰲列島の妖怪仙人を束ねる通天教主(つうてんきょうしゅ)、太上老君(たいじょうろうくん)に女媧を倒すための計画である封神計画を持ち掛ける。王奕の正体は始まりの人の一人である伏羲(ふっき)であった。
魂魄を分割できる特性を持った伏羲は、一度魂を二つに分けた。片方は王奕の体に戻され、もう片方の魂魄は死んだ羌族の統領の息子である呂望(りょぼう)の体に入れられた。元始天尊は何食わぬ顔で成長した呂望を仙人界にスカウトし、封神計画を遂行させる(もともと伏羲は妲己打倒に備えて魂魄を分けていたが、太公望は伏羲としての記憶を失っていた)。
王奕は通天教主の息子である楊戩と交換に金鰲列島に人質にされた。楊戩は崑崙十二仙の一人である玉鼎真人(ぎょくていしんじん)を父親代わりに比較的穏やかに育ったが、王奕は妖怪仙人だらけの金鰲列島で監禁され精神を病み、そこを妲己に付け入られた。王奕は王天君(おうてんくん)と名乗り十天君を束ねるようになる。
王天君は太公望に自分たちの出自を明かし、再び融合して伏羲として復活する(以降、人格のベースは太公望だが戦いで容赦をしない王天君の冷徹さが加わった)。伏羲は仲間とは違い地球と同化せず、女媧が復活するときに備えていたのだった。
女媧は伏羲との戦闘の中、肉体に戻り復活を試みる。しかし、既に肉体は妲己に乗っ取られていた。妲己は望み通り地球と同化するが、女媧は万一の為に躯体にわずかな魂魄を残しており、完全復活を果たす。
今の歴史に見切りをつけた女媧は、「この星はもういらない」と地球を破壊する為に動き出す。その力は圧倒的で、伏羲は敗北寸前まで追い詰められる。元始天尊が封神台を開放し、封じられた魂魄が解き放たれて伏羲に力を与えた。
最後の攻撃で女媧は消滅するが、伏羲が道連れにされた。戦いが終わり、人間界では新たな国が立ち仙人たちも人間界から撤退する。伏羲は地球と融合した妲己に守られて生還を果たし、仲間たちの前に姿を現していた。道標を失い、歴史はそれまでにない道を歩むこととなる。
宝貝(パオペエ)とは
宝貝(パオペエ)とは、『封神演義』における武器であり、使用することで奇跡的な力を発揮する。形状は様々で、古来よりの武器である鞭や剣の形をしていることもあれば、近未来的なビーム砲やロボットといった機械、扇や服飾品といった日用品も存在する。
使用者の精気を吸い取り奇跡を起こすため、生まれつき道士の素質がない者が使用するとたちまち精力を吸いつくされて干からびてしまう。強力な宝貝や、複数の宝貝を同時に使うなどした場合も精力を吸い取られる為、自身の力量に合った宝貝を使うのが望ましい。
仙人骨と呼ばれる骨を持つ仙人や、修業中の道士などが使用する。作中には仙人骨を持ちながら何らかの事情で修業を受けなかった天然道士を呼ばれる者もおり、天然道士は身体能力は仙人以上だが宝貝を使うことができない。
全ての宝貝は、「スーパー宝貝」と呼ばれる七つの強大な力を持ったものが元となっている。スーパー宝貝は始まりの人が用意した対女媧用の決戦兵器で、七つ全てがフルに力を発揮すれば女媧を倒せるよう設計されている(実際には女媧の側も封印の中でさらに力をつけており、スーパー宝貝の力だけでは倒せなかった)。封神計画とは、歴史が殷から周へと変わる時に女媧を倒すべく極秘裏に進められたものであった。
『封神演義』の宝貝まとめ
打神鞭(だしんべん)
大気を操る宝貝。見た目には教鞭のようだが、振るうことで風を起こすことができる。太公望の知略と合わせて使うことで、単に風を操る以上の効果を発揮することもある。
杏黄旗(きょうこうき)
太公望が使用する。崑崙山からパワーを送ってもらう宝貝。打神鞭と合わせることで、打神鞭の威力を上げることができる。副作用として、杏黄旗を使うと一定時間ただの人間になってしまう(と太公望は言ったが、嘘だった)。
誅仙陣(ちゅうせんじん)
元は始まりの人の一人・伏羲(ふっき)の宝貝。
魂魄を溶かす雪を降らせる。
万仙陣(ばんせんじん)
太極図で空間に印を描き、囲むことで完成する宝貝。
万仙陣の中では、通常の宝貝で直接魂魄にダメージを与えられる。
霊珠(れいじゅ)
肉の塊に命を宿すことができる。崑崙十二仙の一人である太乙真人(たいいつしんじん)が作ったもので、3年6カ月も妊娠していた殷氏(いんし)の胎内に埋め込み、哪吒(なたく)を誕生させるに至った。哪吒の本体ともいえるもので、哪吒が霊獣王を怒らせ一度自害した時、母である殷氏に立派な墓を作られて埋葬された。
哪吒の肉体の父に当たる李靖(りせい)が墓を壊し、霊珠を川に捨てた際太乙真人によって哪吒は復活を遂げた。
乾坤圏(けんこんけん)
哪吒が生まれながらに身に着けていた宝貝。両腕に左右1組の銅の輪を飛ばし、攻撃をする。すさまじい破壊力を持つが、風を操る打神鞭とは相性が悪い。
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目次 - Contents
- 『封神演義』の概要
- 宝貝(パオペエ)とは
- 『封神演義』の宝貝まとめ
- 打神鞭(だしんべん)
- 杏黄旗(きょうこうき)
- 誅仙陣(ちゅうせんじん)
- 万仙陣(ばんせんじん)
- 霊珠(れいじゅ)
- 乾坤圏(けんこんけん)
- 風火輪(ふうかりん)
- 混天綾(こんてんりょう)
- 金磚(きんせん)
- 火尖鎗(かせんそう)
- 九竜神火罩(きゅうりゅうしんかとう)
- 九竜神火罩II(きゅうりゅうしんかとう・ツー)
- 三尖刀(さんせんとう)
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