Fortnite(フォートナイト)のネタバレ解説・考察まとめ

『Fortnite』とは、米国Epic Games社によって開発・配信された基本無料の三人称視点のオンライン対戦型シューティングバトルロイヤルゲームである。合計100人の同時接続プレイヤーが一つの島に降り立ち最後の1人になるまで戦い抜く。建築システムを採用しており、プレイヤーは島内へ自由に構造物を建築する事ができる。陣取り・カバーの取り合いによる銃撃戦のみならず、いかに素早く建築をこなして有利を得るかを争う「建築合戦」が醍醐味。有料でストラテジーゲーム「世界を救え」も遊ぶことができる。

本ゲームユーザーで照準という単語を使う人間は極少数だが、それでも本ゲームの正式表記は「照準」であり、エイムではない。

エイムとは、照準の事である。
英語では「AIM」となり、直訳すると目的となってしまうが、英語圏では主に「照準」「狙い撃つ」という感じで使われているため、和訳は照準で合っている。

しかし、なぜか日本の『Fortnite』ユーザー間では「照準」が口語・文語共にほとんど使われておらず、もっぱら「エイム」と称される(例えば「エイム力(えいむりょく)」や「エイムを鍛える」などと使用され、意訳するならば照準というよりも「射撃精度」の方が近くなっている)。
このエイムという用語は本ゲームの専門用語ではなく、元々英語圏のFPSやTPSゲーマーの間で使われていた。これが2010年前後に日本にも流入して使用されるようになったものである。

そして、本ゲームの日本語版では正式な用語はあくまで「照準」であり「エイム」ではない。
そのため、例えば照準アシストの設定をしたくて「エイムアシスト」という単語を、操作設定変更メニューから探しても見つからないので、正しい表現は「照準」だと覚える必要がある。

キル

敵プレイヤーを倒す事、もしくは倒される事。
ただし、この用語は本ゲームでは「殺す」という直接的な表現を避けるため、どの言語版でも正式な用語としては用いられておらず、日本語なら「倒した/倒された」英語版なら「ELIMINATED」の表記である。

つまり、Epic Games社の配慮なのだが、あまり広まっておらず、他のFPSやTPSではもっぱら同じ意味で「キル」や「Kill」が用いられているため、本ゲームでも慣習的にキルの語が優先して使われている(You Tubeなどに上げられている本ゲームの動画でも、わざわざ「○○を倒したよ!」だとか「Eliminated○○!」と表現している人間は非常に少なく、大半が「キル」である)。

ダウン

画像左がダウンしたキャラクター。

バトルロイヤルモードでは、デュオ以上の味方が複数いるマッチでは体力がゼロになっても、即撃破の判定とはならない。
体力がゼロとなったキャラクターは四つんばいになると、ゆっくりと移動する事以外はなにもできなくなり、撃破判定までのカウントダウンがはじまるのだ。
カウントダウンがゼロになると撃破されたという事になるが、それまでに仲間から救助されれば、低体力の状態で復活できる。

この四つんばいになっている状態を「ダウン」という。
なお「ダウン中の体力」が、本来の体力とは別個に設定されており、追撃を受ければトドメを刺されて撃破判定になる(この「ダウン中の体力」は一度救助されて復活すれば、自動的に満タンに戻る)

ダウン状態のキャラクターは敵・味方共に、健在のプレイヤーキャラクターが担いで移動する事ができる。この特性を利用して、ダウンした味方を安全な場所へ待避させてから救助したり、逆に崖下へ放り投げるなどしてトドメを刺すための弾薬を節約したりできる。
ただし、ダウン状態のキャラクターをかついでいる健在キャラクターは攻撃および建築ができなくなるため、無防備となる事を留意しなければならない。

漁夫の利

安全な場所から「敵を倒して安心している相手」を狙撃する様子。

本ゲームは世界を救えモード以外は、基本的にプレイヤー同士の対戦となるため、すべての敵を同時多数で相手取るにはよほどの実力があっても足りない。
そのため、勝ちにいくために率先して戦闘へ参加はせず隠れる事を旨とし、強いプレイヤー同士が戦ってお互いが消耗した隙をつく戦法が有利。
すなわち漁夫の利である。

非常に効果的な戦法である一方、正々堂々とした戦いを好むユーザーからは侮蔑の意味でも使われる。
「漁夫る」などとスラングとして使われる事も多い。

『Fortnite』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

世界一のゲームとなった

本ゲームは2017年に公開され、その後の2018年時点で全世界合わせて3億人以上の登録者数(プレイヤー人数)を獲得している。
これによって開発・販売元のEpic Games社が得た利益は(同社は収益や利益を公開していないが、経済誌などの取材によって推測される利益)2018年時点で30億米ドル(日本円換算で約3202億円)を達成。会社評価額にいたっては150億米ドル(日本円換算で1兆6010億円)にも登り、まさに自他共に認める世界一のゲームになった。

この利益が、ほぼ『Fortnite』単体の功績である事は、2012年時点におけるEpic Games社の企業評価額が8億2500万米ドル(日本円換算で約910億円)であり、それが本ゲーム公開前年となる2016年まで大きな変化がない事からも、明らかである。

さらに比較として、日本を代表するコンピュータゲーム会社である任天堂の2018年3月期の営業利益が約1775億円。同じく2018年3月期のソニー・インタラクティブ・エンタテインメント(SIE)の営業利益が約724億円である。
(なお、ソニー全体としての営業利益は2018年3月期にて7348億円だが、SIE以外はコンピュータゲーム会社ではないので比較対象にできない)

見ての通り『Fortnite』そしてEpic Games社の上げた利益額は、任天堂とソニーという日本の誇る二大ゲームメーカーを合わせたそれを凌駕するものであり、同時にファミコンからプレイステーション2が現役であった頃(1980年代~2000年代)まで、世界最大のゲーム大国だと自他共に認めていた日本ゲーム業界の凋落と、反対に米国ゲーム業界の成長と力強さを象徴するものであった。

とはいえ、この現象を日本ゲーム業界が甘んじて受け入れている訳ではなく、任天堂は2017年に「Nintendo Switch」を、ソニーは2020年に「Playstation 5」を発売し、共にゲームハード市場普及率においては米国マイクロソフト「Xbox」シリーズを引き離して、世界市場を制覇する形で一矢報いている。

eスポーツ界で代表的な作品になった

本ゲームは、100人の人間が同時に接続して対戦できるという大規模なゲーム性に加えて、オンラインゲームとして非常に厳しいチート(割り込み不正プログラム)対策を行っており高いプレイ快適性を維持している。
(これは世界でも評価が高い。オンラインゲームでチート対策を行うのは、すなわちコンピュータウィルス対策と同義であり、至難の業なのだ。例えば本ゲームと同じく米国製で世界史上二番目に売れたゲームとされる『グランド・セフト・オートV』のオンラインモードでは、チートが蔓延している事で有名だ。このゲームではオンライン接続後、数分も経たずして悪意ある同時接続他プレイヤーのチート使用による妨害を受け、最悪は自分のゲームデータが書き換えられてしまう、などの現象が日常茶飯事となってしまっている)。

その甲斐もあり、本ゲームはeスポーツ界で代表的な作品になった。
このeスポーツというのは、コンピュータゲームをスポーツ競技の一種と捉えるものだが、1970年代コンピュータゲーム黎明期より欧米にて勃興してから、2000年頃までは欧米内のみで細々とゲーム愛好者から支持されてきたに過ぎなかった。
しかし、IT技術の発展と共にインターネットが登場し、その環境が向上すると、eスポーツは段階的な加速を見せ始める。
そして2017年、本ゲームが公開されるやいなや『Fortnite』は、たびたびeスポーツの主要項目として取り上げられ、普段はコンピュータゲームを遊ばない層へ『Fortnite』を宣伝すると共に、eスポーツ認知度向上に多大な貢献をしたのである。

2020年代に至ると、それまでは頑なに「コンピュータゲームはスポーツではない」とする人間の多かった日本でも、ネット動画やテレビ放送で『Fortnite』のeスポーツ大会が多くの人間の目に触れるようになり、その影響は、子どもが将来の夢として「プロゲーマー(eスポーツ選手)」になる事を挙げるほどになっている。当然『Fortnite』のプレイが上手な者は、プロ・アマ問わずに子ども達の憧れの的ともなっている。

専門家が中毒性および解決策について言及

本ゲームは、基本無料でいわゆるフリーミアム方式のビジネスモデルを採用しているが、課金しなくてもゲームの進行自体には制限がほとんど加わらない(唯一、世界を救えモードが遊べないだけ)。
その上で、終わりのない競争型のゲーム性とコミュニケーション性を持ち、さらにセカンドライフ・シミュレーターとしての側面さえ見せる。

そして世界で3億人を超える登録者数を誇り、しかもサーバー接続地域の選択はプレイヤーの任意であるため、24時間いつでも必ず自分以外のプレイヤーを見つけられる。
これらの総合的な魅力からもたらされる中毒性は極めて高く、大人でさえ止め時が見つからなくなる者がおり、子どもともなれば、生活に支障をきたすレベルでのめり込んでしまう者が世界中で続出している。

しかし、この問題への対処法はすでに解決策が示されている。フランスの心理学者・精神分析医ミシェル・ストラや、日本では医学博士の川島隆太などが異口同音に語っているが、それらを要約すると以下のようなものになる。

「この問題はゲームそのものを悪玉扱いしても解決する事はない。正しい向き合い方は、"ゲーム内の競争から時々距離を置き、ゲームを通じたコミュニケーションを実践していく事"である(それは本物の人間との直接対話だけでなく、ゲーム内の雄大な世界に込められた、人の想いに感じ入るという事でもいい)。そして、それを面白がってみる事である。そうする事で認知機能が強く働き、人間は生産的になれる」

Google PlayストアとApp Storeから削除された理由

大ヒットゲームとなった本作だが、Google PlayストアとApp Storeから削除された。

Android版は、日本時間2020年8月14日時点でGoogle Playストアから削除され、Epic Games社の公式サイトからのみダウンロード・アップデート可能なアプリとなっている。
iOS版は、日本時間2020年8月14日時点でApp Storeから削除され、ダウンロード・アップデート共に不可能となっている。Apple社は、App Store以外からのiOS用アプリ・アップデート配布を禁じているので、Epic Games社の公式サイトからもダウンロード不可能の状態だ。ただし、App Storeから削除される前にダウンロード・インストール完了している場合は、2020年8月14日以前のバージョンのまま遊ぶ事はできる。

なぜ、本ゲームがGoogle PlayストアとApp Storeから削除されたのかだが、2020年8月当時、Google PlayストアとApp Storeは、それぞれのストア内でのユーザーのアプリおよびアイテム購入額に対して、デベロッパーから「30%」の手数料を課しており、Epic Games社がその手数料を「高額である」と批判していた。しかし、ストアをそれぞれ運営するGoogle社とApple社は、Epic Games社の批判になんら対応をしなかった。

そこでEpic Games社は、強硬手段に出たのだ。それは、Google PlayストアおよびApp Storeを通さず、本ゲームのアプリ内からアイテムを直接購入(この直接購入をエピック・ディレクト・ペイメントという)すれば最大20%を割り引くというサービス「メガプライスダウン・キャンペーン」というものである。日本時間では、2020年8月14日に実施されている。

これは実質『Fortnite』引いてはEpic Games社が、Google PlayストアとApp Storeのアプリ販売手数料を回避するというものである。手数料収入を失う形になったApple社は、当然メガプライスダウン・キャンペーンを認めなかった。そして上記のキャンペーンを「直接課金をプレイヤーに促すため、App Store規約違反である」として『Fortnite』をApp Storeから削除したのである。

Google社もApple社の決定に追随し、2020年8月14日にGoogle Playストアから本ゲームのアプリを削除している。だが、このGoogle社とApple社の対応は「独裁的である」と、アプリ業界関係者やユーザーからの批判が多く、2020年11月19日、Apple社はApp Storeのアプリ販売手数料を条件付(アプリを販売するデベロッパーの収益が100万米ドル(約1億400万円)を下回る場合)で半額の15%に値下げすると発表し、実施する事になった。

ただし、この値下げ条件はEpic Games社には全く該当しておらず、同社のティム・スウィーニーCEOは「これは(値下げ条件は)対立と征服のための皮肉な策略だ」とApple社を強く非難している。

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@takamura1282o2

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