僕たちがやりました(僕やり)のネタバレ解説・考察まとめ

『僕たちがやりました(僕やり)』とは、原作が金城宗幸、漫画が荒木光による日本の漫画。通称「僕やり」。講談社の『週刊ヤングマガジン』で、2015年19号から2017年8号まで連載された。主人公は凡下高校に通う2年生、増淵トビオ。同級生らと楽しい日々を送る中、いたずらのつもりで計画した「爆破」が死者10人を出す大惨事を招く。罪悪感を抱えながら、窮地に追いつめられた若者たちの成長と共に人間の本性や心理を描く。『僕たちがやりました』は、2017年7月からフジテレビ系列の関西テレビでドラマ化された。

『僕たちがやりました』の概要

『僕たちがやりました(僕やり)』とは、原作が金城宗幸、漫画が荒木光による日本の漫画。通称「僕やり」。講談社の『週刊ヤングマガジン』で、2015年19号から2017年8号まで連載された。凡下高校に通う2年生、増淵トビオは、同級生の丸山友貴(マル)と伊佐美翔、同じ高校のOBで金持ちの小坂秀郎(パイセン)と共にそれなりに楽しい日常を送っていた。ある日、近くの不良が通う矢波高校の生徒に目を付けられたマルは、ひどく痛めつけられる。トビオたちは、マルの仕返しをするため矢波高校に手製の小型爆弾の設置を計画。窓ガラスが割れる程度の威力しかない爆弾だったが、運悪く近くに置かれていたプロパンガスに引火し大爆発を起こす。結果、多くの死傷者を出すという大惨事を招いてしまう。平凡な暮らしを送っていたはずのトビオら4人。パイセンから口止め料をもらい4人の逃亡劇が始まった。裏切りや疑い。この事件がきっかけとなり、仲が良かったはずの4人の関係にひずみが生まれる。さらに、恋人や家族など愛する人との幸せなひと時が彼らに重くのしかかる。窮地に追いつめられた若者たちの成長とともに見える人間の本性や心理を描く。『僕たちがやりました』は、2017年7月からフジテレビ系列の関西テレビでドラマ化された。火曜日の午後9時からの放送で計10回の放送となった。トビオ役に窪田正孝、伊佐美役に間宮祥太朗、マル役に葉山奨之、パイセン役を今野浩喜が務めた。また、蓮子役を永野芽郁が演じたほか、新里今宵役に川栄李奈、輪島宗十郎役を古田新太が演じるなど豪華キャストがドラマを盛り上げた。ドラマでは、トビオと蓮子が同じ高校に通っていたり、トビオとマル、伊佐美が警察に逮捕されたりするなど原作とは異なった描き方がされている部分がある。視聴率は5パーセントから7パーセント台だった。

『僕たちがやりました』のあらすじ・ストーリー

失われる平凡な日々

凡下高校に通う高校2年生の増淵トビオは、面倒なことは避けながら平凡な生活を送ることを望んでいた。「そこそこ楽しければ幸せ」という思いが強かった。学校生活でいつも一緒にいるのが、同級生で丸山友貴(マル)と伊佐美翔、2つ上の先輩で凡下高校OBの小坂秀郎(パイセン)だった。もともと、トビオとマル、伊佐美の3人で遊んでいたところに、友達のいないパイセンが仲間として加わった。パイセンは親が金持ちで、3人の遊び代や食事代をすべて持っていた。スポッチャやカラオケが行きつけだった4人は「そこそこ」楽しい毎日を送っていた。ある日、凡下高校の向かいにある矢波高校の生徒にマルが絡まれる。矢波高校は不良が集まる高校として有名だった。

マルが道端で矢波高校の悪口を言っているところを、不良たちに聞かれたのだ。トビオとマルは連れていかれそうになるが、通りかかったパイセンが不良たちに金を渡してその場をおさめた。しかし、矢波高校の不良たちのトップ、市橋哲人はマルを連れ去りボコボコにしてしまう。マルを除いた3人は、いつものようにスポッチャで遊んでいたが、帰ろうとした際、パイセンの車の上に段ボールが置かれていた。その中には、痛めつけられたマルが入れられていた。警察に通報しようという話になったが、トビオは「アイツら殺そう 俺たちで」と言う。この一言がきっかけとなり、手製の爆弾を作って矢波高校に仕掛けるという仕返しをすることになった。爆弾は窓ガラスが割れる程度で、いたずらのつもりだった。そして、4人は夜間に矢波高校に忍び込んで、窓ガラスや屋根などに爆弾を仕掛けていった。この時、高校の教師に見つかったが、何とか逃げ切ることができた。

翌日、4人は凡下高校の屋上に集まった。爆弾は10個以上設置しており、パイセンが遠隔で起爆できる装置を持ってきていた。4人は屋上から矢波高校の様子を見ながら、1人ずつ起爆スイッチを押していった。教室の窓ガラスが割れるたびに、矢波高校の生徒たちはパニックに。慌てる様子を見て、トビオたちは笑い転げていた。そして、パイセンが顎でスイッチを押したその瞬間、大爆発が起きてしまう。爆弾の一つがガス管の近くに取り付けれられていたことから、引火してしまったのだ。学校は炎と煙に包まれ、悲鳴が上がる中、火だるまになる生徒もいた。

いたずら心で仕掛けたはずの爆弾は、死者10人を出す大惨事になった。パイセンは「これはテロだ。あの爆弾にそんな威力はない」と言う。しかし、トビオは、パイセンがガス管の近くに爆弾を設置していたのを見ており、爆発の原因は自分たちだと感じていた。そして、トビオはパイセンを相談があると言って食事に誘い、「大爆発の原因は自分たちだ」ということを告げた。パイセンは「俺がなんとかする。マルと伊佐美を集めろ」と声をかけ、伊佐美とマルに爆発の真相を伝えた。驚く2人だったが、パイセンは誰にも言わないようにと口止め料として一人300万円をトビオとマル、伊佐美に渡した。戸惑うマルだったが、伊佐美は金を受け取り「俺たちの関係もこれっきり。これからは赤の他人」と立ち去っていた。4人だけの秘密にするはずだったが、後日、テレビニュースで犯人の似顔絵が公開される。パイセンにそっくりの似顔絵だった。防犯カメラにパイセンの顔が映っていたのだ。このため、パイセンは、トビオとマルにプーケットに国外逃亡しようと提案する。

現実逃避

パイセンとともにプーケットに行くかどうか悩んでいたトビオは、偶然、幼馴染の蓮子と急接近する。海外に行くことで会えなくなるかもしれない。トビオが勇気を出して蓮子をカラオケに誘うと2人で遊ぶことに。そして、キスをする。勢いで蓮子を押し倒したが、蓮子は「トビオはそういんじゃないと思ってた。マジで好きだったのに」と怒って帰ってしまう。トビオはショックを受けながらも、プーケットに行くことを決意する。空港に向かうトビオ。しかし、国外に逃亡する直前でパイセンが警察に捕まってしまったことを知る。
マルは約束していたはずの空港に現れなかった。連日報道される矢波高校爆破事件のニュースを見て、外を歩くのが怖かったという。トビオとマルはカラオケルームで集合して、今後、どうやって生活すればいいのか相談することにした。2人は「死ぬまでにしたいこと」を書き出す。パイセンからもらった口止め料は2人であわせて600万円ある。ネットカフェのパソコンを使って、2人はやりたいことを話し合っていた。トビオはいつの間にか眠りにつくが、目覚めるとそこにマルの姿はなかった。「ごめん」と書かれた1万円が置かれていただけだった。マルは金を持ち逃げしていた。トビオは必死に周辺を探したがマルは見つからなかった。途方にくれていた時、伊佐美の彼女の今宵とばったり会い、「うちにくる?」と声をかけられる。トビオは今宵の家にかくまってもらうことにした。トビオはその夜、今宵と身体の関係を持ちかけたが、行方が分からなくなっていた伊佐美が突然家に入ってきた。

伊佐美は300万円で新しい人生を送ろうとしていたが、爆破事件のニュースを見て怖くなり公園のブランコで首をつって自殺を図った。しかし、ロープが途中で切れて未遂に終わったのだった。そして、生きていることを実感した伊佐美は、彼女である今宵の前に現れた。そして、トビオがいるにも関わらずセックスを始める2人。トビオの初体験には至らなかった。ここから3人の生活が始まろうとしたが、翌朝、今宵の自宅前に矢波高校のリーダーの市橋らが訪れた。爆発で死んだと噂されていたが命は取り留めた市橋。車いす生活を余儀なくされていた。市橋はトビオらに復讐するために爆破の犯人を捜していた。市橋ら不良グループの存在に気付いたトビオは2階の窓から飛び降りて逃げるが、金もなくホームレス生活を送ることになる。

蓮子は、カラオケルームで無理やり押し倒してきたトビオからの謝罪がなく腹が立っていた。そんな時、トビオの携帯から「会いたい」という内容のメッセージが入る。指定された場所に行くと矢波高校の市橋とその仲間の不良たちが待っていた。トビオは逃げる時に自分の携帯電話を落としていたため、市橋らが回収していた。市橋は、自分たちから逃げたことなどから爆破の犯人はトビオだと考え、蓮子に復讐することを伝えた。一方で、蓮子はトビオに会いたいという思いから、「私は告白するため。貴方は復讐するため」と一緒にトビオを探すことを市橋に提案した。
ホームレスになったトビオは、ベテランホームレスのヤングに助けられる。しかし、ヤングに無理やり襲われそうになる。この時、トビオは蓮子に対して無理やりした行為がひどいことだったと痛感し、蓮子の当時の気持ちを理解した。蓮子に謝りたい。ヤングは、トビオを解放するのであった。一方、600万円を持ち逃げしたマルは京都に滞在し、風俗店や高級店で豪遊していた。

トビオも蓮子を探していたが、街中で車いすの市橋とそれを押す蓮子の姿を目にする。トビオはショックを受けて、その場から逃げるように立ち去った。呆然としてるところに再び今宵と再会し、家に転がり込むことに。そしてトビオは初体験を終える。トビオは、今宵の家に居候することになる。そのころ、矢波高校の市橋は、リーダーから陥落してしまう。車いす生活を余儀なくされ、力もないことから、これまで手下のような存在だったメンバーからいじめに遭うのだった。ある日、市橋は蓮子と一緒にいるところを不良たちに見つかり襲われてしまう。不良たちは蓮子を襲うために連れ去ろうとした。市橋はナイフを突きつけられていたが、そのナイフを手に取り自らの首を刺した。これにより不良たちは逃げだすのであった。蓮子は市橋に助けられ、市橋も一命を取り留めた。病室で目覚めた市橋は、横にいた蓮子に告白するのであった。

一筋の光

一方、捕まっているはずのパイセンが凡下高校を訪れる。凡下高校の教師は驚きを隠せなかった。このときは、まだ理由は明かされていない。
風俗などで豪遊して600万円をほぼ使い果してしまったマル。「また盗めばいい」という考えがよぎる。マルは、パイセンからの口止め料の300万円を持っているであろう伊佐美に連絡し、金儲けができるとの口実で熱海に誘う。2人が新幹線で熱海に向かう途中、マルは下剤入りの弁当を伊佐美に食べさせる。そして、お腹を下した伊佐美がトイレに行っている間に300万円を盗むことに成功するのであった。しかし、車内で観光客を装った女性外国人によって、マルは300 万円をだまし取られてしまう。
大金を失い途方にくれるマルと伊佐美。そんなとき、矢波高校の爆破事件の真犯人が逮捕されたというニュースを目にする。真犯人の真良中幹男という男が出頭し、パイセンの逮捕は誤認逮捕だったという。すでに釈放されていたパイセンは、今宵の家を訪れてトビオと再会。その後、伊佐美とマルの2人も合流し、喜びを分かちあっていた。

再び闇の中へ

事件の前のように仲良く遊ぶ4人だが、暴露大会をしていた時、パイセンが「矢波高爆破事件の犯人 あれやっぱ 俺らやねん!」と明かす。真犯人の真良中はもともとホームレスで、風俗界の実力者でパイセンの父親が金を渡して、整形させた上で警察に出頭させたのだという。パイセンは父親とは会ったこはないが、逮捕後、父親の弁護士からその話を聞かされていた。驚きを隠せないトビオと伊佐美、マルの3人。そんなとき、4人の前に刑事の飯室成男が現れた。警察では誤認逮捕として捜査を打ち切っていたが、飯室は4人が爆破の犯人であり、パイセンの父親で輪島宗十郎が画策して事件をでっちあげていたことを知っていた。飯室はすべて独自の捜査で調べ上げ、パイセンが輪島の愛人の子供であることもつかんでいた。飯室は、亡くなった10人の写真を4人に見せ「お前らはこれから生きていく中で 幸せを感じるたびに思い出すんだ いつか他人を愛した時 子どもが産まれた時 その節々で思い出せ 人の命を奪ったことを」と告げる。4人は静かに別れ、トビオは実家に戻った。以前の暮らしを取り戻したが、トビオと伊佐美、マルは学校ですれ違っても声すらかけなくなっていた。トビオに飯室の言葉が重くのしかかる。校舎屋上から見えるきれいな夕日。トビオは、それを見て校舎の屋上から飛び降りたのだった。

校舎から飛び降りたトビオは、運よく木に引っかかって右足を骨折しただけですんだ。飛び降りたあとに生きていたら、爆破事件と関係なく新しい人生を歩もうと決めていたのだ。足の治療のため入院を余儀なくされたが、偶然、矢波高校の市橋と同じ病院になる。市橋と再会したトビオは「爆破事件の犯人は俺じゃない」と告げる。そして、2人はリハビリなどを通して仲が良くなっていった。友達がいなくなっていた市橋は、トビオに蓮子が好きであることを明かす。トビオも応援すると背中を押していた。一方、伊佐美は死亡した10人の自宅を訪れるという自分なりの謝罪を行っていた。「一生苦しめ」という刑事飯室の言葉が頭から離れなくなっていた伊佐美は、勃起せずセックスができなくなっていた。10人の自宅を回り謝罪をすることで、再びセックスができると考えていたのであった。

骨折した足がほぼ完治したトビオは、自分に好意を寄せ居ているリハビリの先生ミナミとデートをする。爆破事件で受けた苦しみの分、幸せになりたいと考えていたトビオは、楽しい生活を送ろうとしていた。その日の夜、帰宅したトビオは自宅前で蓮子と会う。疎遠になっていた2人だったが久しぶりに話すことに。カラオケルーム以来だった。トビオは蓮子と唇を交わした。このあと、2人は結ばれ付き合うことになる。トビオは幸せを感じ、飯室の言葉も思い出さなくなっていた。一方で、市橋を応援すると伝えていたトビオは、蓮子との関係を打ち明ける。トビオは関係が切れることを不安がったが、市橋は祝福の言葉をトビオにかけた。しかし、その後、トビオの携帯電話に市橋が自分自身を撮影した動画が送られてきた。そこには、トビオの幸せを願う一方で、自分は爆破により身体が不自由になりパイロットの夢が絶たれるなど希望がないという内容のメッセージが記録されていた。トビオがその動画を見ながら病院の外を歩ていた時、近くで大きな落下音がした。市橋が飛び降り自殺を図ったのだった。

決意

伊佐美は爆破で亡くなった10人への謝罪を終えると勃起するようになる。今宵の家に行きエッチをするが、遠洋漁業に出ていた今宵の父親が偶然帰宅する。今宵は、伊佐美の子どもの妊娠したことを明かす。今宵の父は怒り、身体を回転して投げ飛ばす「クラウディア・トルネイド」と名付けた技を伊佐美にかける。今宵の父親は出産を反対したが、今宵は産むことを決めていた。父親は「縁を切る」と言って家を出ていく。そして、今宵は伊佐美に「爆破事件の犯人でしょ 犯罪者の子どもにしたくない」と言う。伊佐美やトビオらから爆破の犯人だと告げられたことはなかったが、爆破後に行方が分からなくなったり逃げたりする姿を見て、今宵は伊佐美らが犯人だと考えていたのだ。伊佐美は家を出たあと、遊びで付き合っていたはずの今宵を本気で好きになっていることに気づき、爆破事件を起こしてしまったことを後悔する。トビオは、市橋の自殺を機に再び爆破事件のことを思い出す。今、やりたいことを紙に書き出す。それは「自首」だった。

一方、父親からの愛を確かめたかったパイセンは、ようやく輪島宗十郎に会うことができる。しかし、輪島はパセインをはじめ爆破事件のことすら知らなかった。輪島の顧問弁護士が大事にならないように処理していたのであった。「愛はないのか」と父親に問うパイセン。輪島からは、パイセンは13番目の愛人・早季子の子どもで不細工だったから、相手にしなかったことを告げられた。さらに、パイセンの名前の由来についても、産まれた顔を一目見て「ひでえ野郎」と思ったことから「秀郎」と名付けたと明かされたのだった。ショックを受けるパイセンは涙を流しながら「生きる価値あるのか」と輪島に言ったところ、「死ぬか」と返されて殺されそうになる。パイセンは土下座で謝罪して生き延びる。

トビオは、いつも4人で集まっていた学校の屋上にある部室に向かった。部屋には伊佐美とマルがいた。そのあと、パイセンも現れ「自首する人」と声をかける。トビオと伊佐美、マルの3人は手を挙げた。
警察に自首しても輪島に揉み消されてしまう可能性がある。4人は世間に公表して事件の真相を伝えることで、自分たちなりに「自首」を成立させようと計画を立てた。資金は、長年、輪島がパイセンの生活費として送っていたものを使うことになるが、その総額は1億2000万円に上った。準備を終えて作戦決行の前、トビオは大好きな蓮子とデートをする。そして、自首することは隠したまま、「別れ」を告げるのであった。一方、伊佐美は今宵の家に訪れていた。2人は別れていたため会うことを拒んでいた今宵だったが、自宅前で居座る伊佐美のしつこさに負けて玄関の扉を開く。伊佐美は、今宵のお腹に触れ、産まれる子どもに「明日男」と名付けるよう話した。マルは童貞のパイセンとともに風俗店に行っていた。

自首決行の日、4人は車を東京・渋谷のスクランブル交差点の真ん中で止めた。そして、改造した車から花火を打ち上げる。そして、QRコードが印刷された紙をばらまいた。そのQRを読み取ると、矢波高校爆破事件の真相を代々木公園で話しますという内容の動画が見られるようにしていた。4人はビラをばらまいた後、代々木公園野外音楽堂に向かった。そして、音楽イベントに乱入し、マイクを奪う。「僕たちがやりました!」。ついに爆破事件の犯人は自分たちだと明かした。4人は自由と達成感を感じていた。
しかし、その時だった。輪島宗十郎の部下が突然現れ4人を連れ去る。パイセンが1億円余りの預金を下ろした時点で、輪島の顧問弁護士ら部下は「企み」に感づいていた。今回の騒動を起こしたことで輪島は、実の息子のパイセンを殺害するよう命じる。命を受けたのが息子の玲夢。4人を監禁した車の中で、玲夢はパイセンを除くトビオら3人に逃げるように話した。高校生を殺して処理するのは困難だからであった。マルと伊佐美はすぐさま車から飛び降りて逃げ出したが、トビオは「死ぬために来た」と車から降りなかった。そして、運転手のハンドルを奪い取って、車を横転させた。

車外に投げ出されたトビオとパイセン。パイセンを連れて逃げようとしたが、足がしびれて動けなかった。パイセンは玲夢に馬乗りになられる。玲夢は「ゴミは死ぬまでゴミなんだよ!」と言いながら、パイセンの首を絞めて殺害しようとした。しかし、パイセンは近くに落ちていたナイフを手に取り、玲夢の脇を刺す。倒れた玲夢。パイセンは追い打ちをかけるように、仰向けの玲夢の腹を何度も何度も刺す。パイセンは駆けつけた警察官に取り押さえられ、トビオも警察官に保護される。
たまたま近くにいた蓮子は、トビオから別れを告げられた意味に気づき駆け寄ってキスをした。「あなたが一生逢いたくなくても私は逢いたい」と蓮子は想いを伝えるのであった。

10年後

警察に連れていかれたトビオのもとに飯室刑事が訪れる。自首をしたことで捕まると思っていたトビオだったが、「君は被害者だ」と言われる。飯室がテレビをつける。ニュースでパイセンが捕まったことが報じられていたが、パイセンが警察の調べに「爆破事件の犯人だというのは思い込みだった」と話しているいう。4人の決死の計画も輪島によって揉み消されていたのだ。動画も「いたずら」として削除されていた。4人の自首で真実を伝えることができなかった。
それから10年後、トビオは芸能プロダクションで働き、グラビアアイドルのマネジャー業務をしていた。「夏っちゃん」という女性との結婚を控えていた。夏っちゃんは、お腹にトビオとの子どもを妊娠していた。ある日、刑期を終えたパイセンから電話がかかってきた。会う約束をしたトビオが集合場所に行くと、伊佐美とマルも来ていた。久しぶりの再会だった。伊佐美は建築現場で働き、今宵と結婚。長男の明日男のほか、長女「翌朝」が産まれて幸せな生活を送っていた。マルは、マルチ商法をはじめ年収3000万円を稼ぐようになっていた。パイセンの出所を祝い、4人はいつものスポッチャとカラオケで楽しいひと時を過ごした。

4人がお開きするとき、伊佐美はマルがパイセンの金を盗んだとつぶやき、「あんな奴幸せになんねーよ」と言う。マルは、自首のためにパイセンが用意した1臆2000万円の資金のうち余った2000万円をくすねていた。それを元手にマルチ商法をしていたのだ。伊佐美の言葉にトビオが「お前だってマルと一緒に逃げたくせに」と話した。口論になるトビオと伊佐美。伊佐美は「あの日パイセンが捕まった時点で もう終わってんだよ俺らの関係は」と本音を言ってしまう。4人の関係が完全に崩れた瞬間だった。
ある日、仕事中に街中を歩いてたトビオ。人目のない高架下で一人の高校生にナイフで刺される。高校生の名前はワタル。面識のない2人だったが、ワタルは上手くいかない人生の中で、殺人を犯して有名になろうと考えていたのだ。トビオにナイフを突きつけて、「怖いか」と問うワタル。しかし、トビオは殺してほしいと懇願する。逆に恐怖を覚えたワタルはその場から逃げ出してしまう。トビオは爆破事件の後悔の念を今でも持ち、いつか死ねることを希望していたのであった。

トビオは夏ちゃんと産婦人科に訪れた際、蓮子と再会する。蓮子は結婚し、出産を間近に控えていた。別れ際、蓮子は「よかった 生きてて 頑張ったね」とほほ笑んだ。
トビオはパイセンに会いたい気持ちにかられ、携帯電話に連絡した。パイセンはお笑い芸人を目指しているという。トビオは「人殺しが!!何楽しそうに夢語ってんすか」と叫ぶ。「生きてんねんからしゃあないやろ」。パイセンがトビオに語りかける。トビオは泣きながら「時々 死にたくなる」と秘めた思いを口にした。すると、パイセンは「死にたくなるのは生きてる証拠」という言葉を投げかけ、トビオは心が晴れるのであった。

トビオのもとに無事、赤ちゃんが産まれたとの連絡が入る。道中、市橋の幻覚が現れ、「死ねよ 裏切り者が」とナイフを突き出してきた。ナイフを手に取り、首を刺すトビオ。すると市橋の幻影を消えた。
病院に到着したトビオは、夏っちゃんと赤ちゃんと対面する。「そこそこを生き抜こう 耐えきれない日が来たら その時は死ねばいいだけの話だろ」と心に決める。夏っちゃんに子どもの名前をどうするか聞かれたトビオ。頭の中にパイセンの爆破スイッチを押す時の顔浮かび、火だるまになる不良たちの姿を思い出していた。

『僕たちがやりました』の登場人物・キャラクター

中心人物

増淵トビオ(ますぶち とびお)

演:窪田正孝
物語の主人公で、凡下高校の2年生。周りからはトビオと呼ばれている。「そこそこの人生」を理想に掲げるが、不良たちが通う矢波高校爆破事件を機に人生が変わる。10人の命を奪ったという罪に耐え切れず逃亡生活を送る。結局、爆破事件の真相は世間に明らかにならず事件を背負って生きることになる。

丸山友貴(まるやま ゆうき)

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