まもって守護月天!(初代/解封の章)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『まもって守護月天!』とは1996年から『月間少年ガンガン』にて連載を開始した桜野みねねによるハートフルコメディ漫画及び、漫画を原作としたアニメ作品のことである。幼少期より家族の不在によって心に寂しさを抱えて過ごしてきた少年が、父からの贈り物によって呼び出された精霊たちと生活を共にして賑やかな日々を送るようになる。日常のドタバタ劇だけではなく、登場人物たちの恋模様や頼りなかった少年が徐々に成長していく姿も見どころだ。

精霊たちの宿った道具を見つけ出し太助に送った張本人

CV:堀秀行
世界中を旅して動き回っている画家で、さゆりの夫であり那奈、太助の父親。中国の深い歴史に興味を抱き中国の骨董市で支天輪を見つけて太助に贈った後も、中国に居座り黒天筒や短天扇を手に入れては太助に贈っている。国際ボランティアをしていたさゆりと出会って結婚し日本に家を建てたが、幼い子供たちを残してまた旅に出てしまった。
太助が一歳の時に別れて以来帰宅していなかったさゆりと比較するとそれでも日本に帰国する機会は多かったため、太助は父親との記憶は残っていた。しかし泣きながらいかないでと必死で止める幼い太助に対して「空は繋がっているから寂しくなったら空を見ろ」という言葉を残して去って行ってしまう。
家族に対する愛情は持っているが、思っていれば気持ちは伝わるという考え方をしているため家族と会うことはない。妻のさゆりとは心がつながっているから問題ないとの認識を持っている。

七梨家の水槽には太郎助が連れてきた鯉が飼われていたが、太郎助が家を出てから元気がなくなって死んでしまったトラウマからしばらくの間空っぽの水槽が置かれていた。いまはシャオが宮内神社の祭りですくってきた金魚が住んでいる。
中学生である太助やボランティアとして生活しているさゆりに収入を得ている描写はないので、那奈の旅行費や3人の精霊の分を含めた生活費を太郎助が一手に稼ぎ出しているものと思われる。

七梨さゆり(しちりさゆり)

文明社会から離れていたためシャオと気が合うさゆり(画像右下)

CV:西原久美子(OVA版)
テレビアニメ版には登場せずOVA版にのみ登場している。
太郎助の妻で那奈と太助の母親。人助けをしないと生きていけないほど博愛精神に満ちた女性で、若いころから国際ボランティアに参加しアフリカなどの発展途上国で恵まれない子供たちの面倒を見ていた。ボランティア先で日本人である太郎助と出会って結婚し帰国するが、那奈と太助を出産後家を建ててすぐに「自分は十分な愛をもらったからほかの人に分け与えてくる」と宣言し、1歳の太助を残して旅立ってしまった。
家族に対する愛情は持っているが「月に祈ればこの思いは太助や那奈に伝わっている」と思っていた。那奈がユーラシア大陸でヒッチハイク生活をしていたころ「天使サユーリ」の名で「タスーケ」と叫びながら人助けをしている謎の人物として世界中に名が知れ渡っており、タイで熱を出して倒れこんでいるところを那奈に発見され帰国した。

13年ぶりに息子と再会を果たすが1歳で別れた太助はさゆりのことを覚えておらず、ショックを受けてその日のうちに荷物をまとめて出ていこうとするが精神的ダメージから倒れこんでしまう。シャオの部屋で休んでいたさゆりが寂しそうに「月が見えないわね」とつぶやいたのを聞いたシャオは、軒轅を呼び出して月までの散歩に出かけさゆりを励ました。そして月の精霊であるシャオが太助を守っていてくれたことを感じると、涙を流して安堵し翌日旅立つ。別れ際さゆりは太助に「話をしなくても伝わることはたくさんあると思わない?」と笑顔で言葉を交わした。

全体的な雰囲気がシャオと似ており、太助や汝昴には当初「シャオの母親」だと思われていた。発展途上国で過ごしてきたために現代日本の文化に疎く、テレビのチャンネルをシャオと二人で次々に変えながら喜んでいた。

友人関係者

野村たかし(のむらたかし)

シャオに一目惚れした太助の幼馴染のたかし(画像上)

CV:置鮎龍太郎
太助の親友で幼馴染。芝居がかった口調で自分の世界に浸りきっているなどややナルシストな一面がある。現代にやって来たばかりのシャオが太助を学校から救い出すためにクラスに現れたところ、シャオの可愛さに一目惚れをする。太助をめぐって汝昴とシャオが学校で大乱闘を起こした際はもう来ないというシャオと汝昴に対して、汝昴に一目惚れした乎一郎と絶妙なコンビネーションでシャオを引き留めることに成功した。
ノリがよく何事にも全力で取り組む熱い性格のため、雪合戦や太助の家で遊ぶ計画、シャオと恋仲になるための数々の計画を立ち上げては汝昴や花織と組んで実行に移している。しかしシャオと太助の仲のよさを見せつけられてことごとく失敗に終わっており、シャオを彼女にすることは半ばあきらめている。

太助に恋心を抱き積極的にアプローチする花織を見て最初は「かなわない恋なのになぜそんなに積極的になれるのか」と疑問に思っていたが、けなげに太助を思い続ける姿勢を見て手助けをしたことがきっかけとなり花織といい雰囲気になっている。

遠藤乎一郎(えんどうこいちろう)

汝昴のことが大好きな乎一郎(画像上)

CV:南央美
3月31日生まれでクラスメイトの中では最も遅い誕生日のために幼い印象だが、年上が好みで初めて学校に現れた汝昴に一目惚れしている。普段は汝昴に席を取られても反論できずに泣いていたり、海水浴に行った際に足がつかないから戻ろうとシャオに泣きつくなど泣き虫で甘えん坊な性格だが、汝昴の為ならたとえどんなに理不尽な目にあってもついていくほどに一途。神社で初詣のお参りをした際には、汝昴の隣に立てただけで幸せそうな表情を浮かべている。
文化祭の『竹取物語』に帝役で出演した際には、普段おとなしい乎一郎が汝昴を含めて真面目に練習をしないクラスメイトに対して真面目に練習するよう一喝してみせるほど真剣に取り組んでいた。

山野辺翔子(やまのべしょうこ)

シャオと太助の仲を応援している翔子

CV:宮原永海、山崎和佳奈(OVA版)
現代に来たばかりのシャオが買い物の仕方を太助に教えてもらうために出かけた先で出会う。学校の中では学年一の問題児と認識されており、遅刻、早退、無断欠勤、喫煙などを繰り返していた。シャオとの出会いのきっかけも翔子が万引きをしようとしていた所をシャオが目撃したことによる。太助に見つかり万引きは失敗するが、その後の言い争いの中でシャオから「翔子は悪い人ではない」と言われる。翔子が不良行為を繰り返していた原因は見た目や話し方によって周囲から誤解されやすく、自分を理解してもらえないという寂しい思いが要因だった。見た目ではなく本当の自分を理解してくれたシャオにやさぐれていた心がほぐれた翔子は、シャオと太助の仲を進展させることを決めてシャオの心強い理解者となる。シャオの友人となってからは特に目立った問題行動もなく、たまに学校をさぼることはあるもののきちんと通学して全面的にシャオの味方になっている。
二人の仲を進展させるために様々な嘘をついているため、太助には「また何か吹き込んでいる」と度々思われているが、翔子の嘘がきっかけで寂しい想いを抱えていたシャオが太助と話ができるようになったケースもある。

万引きの手伝いをさせるために呼び出してもらった事が最初の出会いだった瓠瓜は、シャオと友人になってからは純粋に可愛がっており瓠瓜のほうも翔子に会うと嬉しそうな表情を見せている。また瓠瓜好きという共通点と太助の情けなさを何とかしたいという思いがお互いあったため、太助とシャオの仲を発展させるための共同作戦を展開した。

翔子の自宅はシャンデリアが備え付けられている洋館風の豪邸で、調度品も豪華なお金持ちのお嬢様だが普段の服装はミニスカートやキュロットなど動きやすく活発な印象の服を好んでいる。

愛原花織(あいはらかおり)

太助に一目惚れした積極的な花織

CV:原えりこ、前田愛(OVA版)
中学1年生で太助の後輩。雨の日に傘を忘れた花織に太助が傘を貸したことがきっかけで一目惚れをした。翌日借りた傘を返却するために太助のクラスを訪れるが、その傘に昼休み屋上に来てほしいというメモを添える。太助はそのメモに気が付かなかったが、汝昴が巻き起こしたトラブルの影響でたまたま屋上にやってきた太助に運命を感じる。
思い込んだら積極的にアプローチを仕掛ける性格で、いきなり家に押しかけ泊まり込もうとするほど大胆に行動する。花織の態度が気に入らない汝昴が考えた作戦によって家に泊まることはできなかったが、帰宅途中送ってくれた太助に対してシャオが人間ではないことを指摘し「そういうのって結ばれないような気がしませんか」と太助に迫った。

太助のことが好きな汝昴に対してはお互い一歩も引かない程にライバル視しており、旅行先での部屋割りやバレンタインデーのチョコレートをめぐって常に火花を散らしている。またシャオのことが好きなたかしと度々組んでお互いの好きな人と結ばれるように計画を立てているが、いずれもシャオと太助の仲を深めるような結果に終わっている。

『七夕に短冊を飾れば願いは届く』と思っている純粋な一面もあり、一人遅くまで短冊や七夕飾りの準備をするなど一途に行動していた。夜の10時30分まで学校の屋上で太助を待つ花織のことを放っておけなかったたかしは、花織の「太助と一緒に星空を見たい」というささやかな願いをかなえるため、花織に「自分を太助の代わりだと思ってみたらどうか」と思わずつぶやきいい雰囲気になっていた。その後太助と恋人同士になる目的で出かけた温泉旅行でシャオにジュースをおごっているたかしを見かけて嫉妬するなど、たかしを気になる存在として意識しだした。

宮内出雲(みやうちいずも)

きざなセリフをさらりとこなす出雲

CV:森川智之
太助らが住んでいる町内にある宮内神社の神主。買い物帰り熱帯魚を見つめていたシャオに声を掛けて一目惚れをし、宮内神社で催される祭りに誘った。祭りの会場でシャオと太助に会った出雲はシャオに対して大変紳士的な態度で接する。一方の太助に対してはシャオが「太助様」と呼んでいることを聞き、シャオがいなくなった瞬間に「君って変態?」とまで言うなどまるで別人のように態度を変えている。もともと女性に対しては優しく紳士的に接している為町内のご婦人たちにも人気があるが、男性に対しては態度が冷たく「二重人格」とまで呼ばれている。
太助の姉である那奈の同級生であり、那奈によると「成績優秀、スポーツ万能、顔もよく女性に優しい」ため中学時代から非常にモテていたが、男性に冷たい態度は当時から健在だった。

今まで黙っていても女性のほうから好かれていた出雲だが、シャオの可愛らしさや健気さに惚れ猛アプローチを仕掛ける。シャオとのデートをかけてテニスの試合を申し込んだり、旅行先で泣いているシャオをドライブに誘うなど時に大人の余裕で太助との差を見せつけるが、恋愛感情を理解できないシャオには通じなかった。
紀柳の策略により宮内神社にシャオが巫女の手伝いとしてやって来た際、太助の元には戻らずにずっと自分のもとにいてほしいと告白するが、暴走したシャオによって社殿を破壊され気絶。翌日建物の修理にやって来た太助たちだったが、シャオと太助の様子を見て諦めたような表情をしていた。

自動車の免許を持っているが運転は非常に荒く、太助が「この運転で良く今まで生きてこれたな」と思わずつぶやくほどだった。また女性に優しく男性に厳しいが基本的にお人好しの性格な為、中学生である太助たちにいい様に使われて人知れず悩んでいる。

精霊の元主

魅花(メイホア)

シャオが太助よりも以前に仕えていた亡国の生き残りの姫君。シャオが魅花と初めて会ったときにはまだ幼い少女で、城が落とされる寸前母から託された支天輪を持ち数名の従者とともに逃げ延びた。シャオを呼び出しともに暮らすことになったが、魅花は国を失い両親も殺されてしまったことで無気力状態に陥っており脱出以来食事をとることもなかった。
敵国に魅花生存のうわさが伝わり魅花を亡き者にしようと刺客が向かっているという情報を得たシャオは、塁壁陣で結界を張るがそのすきに魅花は家を抜け出し自ら刺客の元へ出向く。刃が振り下ろされる瞬間身を挺して怪我を負いながらも主を守ったシャオに対して、魅花は「父母の元へ行こうとしたのに邪魔をするな」と怒りをぶつける。シャオは「大切な人を失うことは悲しいが乗り越えられないことではない」と悲しげな表情で言葉を返していた。
その後無事家に戻り床に就いた魅花は、シャオの表情が気になり側についていた離珠に「もしかしたらシャオも自分と同じく大切な人を亡くしたことがあるのかもしれない」とつぶやく。翌日魅花は元気を取り戻し、驚くシャオに「お主には負けぬ」と笑顔を返した。

それから時がたち魅花の寿命が残りわずかに迫ったころ、守護月天としての使命を果たしているシャオの姿を見せる為南極寿星に連れられた太助が現れる。魅花は突然現れた太助を自室に招き入れ、今までシャオにどれだけ助けられ感謝しているかを語った。魅花の最期の瞬間シャオに対して今まで精いっぱい命を懸けて自分を守ってくれた感謝を伝え、シャオが今までだれにも頼らず主との別れを乗り越えてきた事を悟る。シャオがこれから頼れる誰かに出会えることを願いながら生涯の幕を閉じた。

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