ダイヤのA(エース)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ダイヤのA(エース)』は、高校野球を題材にした、寺嶋裕二によるスポーツ漫画である。『週刊少年マガジン』にて2006年第24号から2015年第7号まで第1部が連載され、同年第38号から第2部『ダイヤのA actII』(ダイヤのエース アクトツー)が連載されている。投手としての才能を見出されて野球の名門校に入学した主人公・沢村栄純が、チームメイトとともに甲子園を目指しながら成長する姿を描く。各社の漫画賞を受賞し、累計発行部数4000万部を突破した人気作である。

『ダイヤのA』の概要

『ダイヤのA』(ダイヤのエース)は、高校野球を題材にした寺嶋裕二によるスポーツ漫画、および、同作を原作とするアニメその他のメディアミックス作品である。『週刊少年マガジン』にて2006年第24号から2015年第7号まで第1部が連載され、単行本全47巻に収録されている。また、同年第38号から第2部『ダイヤのA actII』(ダイヤのエース アクトツー)が連載されている。主人公・沢村栄純を中心とする個性豊かな登場キャラクター達のそれぞれが、苦悩・葛藤を重ねながら甲子園を目指して成長していく姿を描く。弱小校ではなく強豪校を舞台としている点、魔球のような超人的な描写がなくあくまで現実的な描写に徹している点、全シリーズを通していわゆる「悪役」的な人物が存在しない点などが、本作の特徴として挙げられる。各社の漫画賞を受賞し、累計発行部数4000万部を突破した人気作である。
投手としての才能を見出されて野球の名門校・青道高校に入学した沢村は、絶対的なライバルとなる天才投手・降谷暁と出会う。上級生を押しのけてわずか3人の1年レギュラーのうちの一人に選ばれた栄純は、クセはあるが優秀な上級生達とともに、甲子園を目指す。しかし、その年の夏、地区大会の決勝まで駒を進めた青道高校だが、あとアウト1つで甲子園というところで逆転サヨナラ負けを喫することとなった。夏の大会の後に新チームが始動し、悔しさをばねに結束を固めたチームは秋の大会を勝ち進む。苦戦を強いられながらも勝ち進んだ青道高校は、見事に優勝を果たし、選抜甲子園出場を決めたのであった。
厳しい冬の合宿を終えた沢村たちは、全国制覇を目指して春の選抜に挑む。2回戦まで勝ち進んでベスト8入りを果たすも、3回戦で健闘むなしく敗退した。春を迎え新入生が入部してくる中、青道高校は春の都大会を準決勝まで順調に勝ち上がるもまたしても敗退し、関東大会の出場を逃してしまう。この敗戦を受け、片岡監督は夏に向けてチームを一新することを宣言した。降谷が春から故障しがちであったために夏の大会のエースナンバーは沢村へと託され、沢村たちの二年目の夏が始まった。

『ダイヤのA』のあらすじ・ストーリー

沢村の青道高校入学からレギュラー入りまで

長野県の中学校で弱小野球部に所属していた沢村栄純は、東京にある高校野球の名門校、青道高校を見学に訪れる。ひょんなことから1学年上の捕手・御幸一也のリードに従って球を投げることになった沢村は、その快感が忘れられなかったことをきっかけに、青道への進学を決めた。
晴れて青道高校野球部の一員になった沢村だが、初日から大遅刻をかまし、監督・片岡鉄心の逆鱗に触れたがために練習でボールを触る事を禁じられる。一軍の選手たちが春の大会に赴いた日、試合観戦を断って一人練習に励んでいた沢村は、同じく居残っていた1年生とキャッチボールをすることになり、彼が投げる球の威力に驚愕する。これが、後に熾烈なエース争いを繰り広げることになるライバル・降谷暁との出会いであった。
一軍に入った降谷は御幸とバッテリーを組むことになり、一方二軍入りを果たした沢村は、3年捕手である滝川・クリス・優と組むようにと言い渡される。練習にも参加せず、一軍入りを諦めた様子のクリスに、沢村は怒りを隠せない。だが、実はクリスが優秀な捕手であり、周囲の期待が大きいがために肩の故障を隠し続けて復帰がほぼ不可能になるほどの大怪我を負ってしまっていたことが明らかになる。それでも選手の道を諦めずにリハビリを続けているクリスを目にした沢村は、彼を師匠と慕うようになり、引退するまでに成長した姿を見せることを決意した。
最後の公式戦を経て沢村、そして、並外れた天賦のバッティングセンスをもつ1年・小湊春市の昇格が決まる。同時にクリスを始めとする多くの3年選手の引退が決まり、沢村は彼らの分も力を尽くして夏の大会に挑むことを決意した。夏合宿にて行われた練習試合、青道の3年・丹波が大怪我を負い、戦線離脱を余儀なくされた。丹波の復帰は予選に間に合わない可能性が高かったが、片岡はエースナンバーを丹波に託し、彼が戻ってくるまでチーム一丸となって戦うようにと強く言い渡す。

沢村1年・夏の大会

西東京大会、順調なスタートを切った青道学園は、3回戦までを難なく圧勝する。4回戦の対戦相手は、外国人投手・楊舜臣を要する明川学園である。楊は台湾から留学して日本の野球に魅せられた選手であり、その正確無比なコントロールから、「精密機械」と呼ばれていた。先発投手に抜擢された降谷はスタミナが不足しがちな弱点をつかれ、青道は先取点を許してしまう。明川はファインプレーを連発する一方で青道は失点を重ね、「最後まで投げ抜きたい」という想いもむなしく降谷に投手交代の声がかかった。降谷の悔しさを引き継いで登板した沢村はその後一人のランナーも出すことなく明川の打線を抑え、両者譲らないまま迎えた7回、青道が5点を奪取した。留学生である楊にとってはこの夏が甲子園を目指す最後のチャンスとなる。楊をホームに返そうと必死で粘る明川だったが、最終結果は7対2と青道の完勝に終わったのであった。
明川学園に勝利して大会のベスト8一番乗りを果たした青道高校、次の相手は無名の1年スラッガー・轟雷市を擁する薬師高校である。その父親である轟雷蔵監督の策略でゆさぶりをかけてくる薬師を青道は最強の投手リレーで迎え撃ち、攻撃的継投が功を奏して、試合は青道ペースで進んでいた。しかし、轟が沢村から奪った一発のホームランをきっかけに、青道はいっきに窮地に陥る。奪われた一球に動揺した沢村は自分のピッチングを見失い、マウンドを2年投手・川上に譲ることとなった。あと一打で同点の危機的状況の中、いよいよ復帰を果たした青道のエース・丹波が登板する。薬師のエース・真田俊平とのエース対決を制したのは、丹波であった。8回の攻撃で青道が点を重ねて丹波が切り札として隠していたフォークで轟を打ち取り、結果として青道が勝利を決めた。

地区予選大会準決勝、青道高校の相手は、名将・鵜飼一良率いる仙泉学園に決まった。仙泉のエースは、その長身から大巨人との異名をもち、カーブを得意とする2年投手・真木洋介である。真木はもとは青道を目指していたがスカウトの声がかからなかったために仙泉にきた経緯があり、打倒青道に執念を燃やしていた。データに基づいて堅実な采配を行う鵜飼と絶好調で強力な投球を続ける真木に苦戦を強いられ、青道は5回攻撃を終えても無得点のままであった。しかし後半に入って青道が逆転し、以降はどんどん点差を広げていく。最終結果は8対3で青道が勝利し、青道の甲子園までの道のりはあと1勝となった。
地区予選大会決勝、青道高校の前に立ちはだかったのは去年の覇者・稲城実業である。徹底した攻撃的姿勢を崩さずに勝負に挑む青道は初回から1点を得るが、それ以降は双方無得点のままで試合が進み、4回で逆転を許してしまう。追加点が欲しい稲実とこれ以上1点もやれない青道の熾烈な争いが続く中、マウンドに立っていた丹波が足を傷めて降板し、ハートの強さを買われた沢村が登板した。強い気持ちをぶつけた沢村の全力の投球は稲実のエース・成宮鳴を三球三振で制し、青道の窮地を救った。そして8回、青道はとうとう逆転を果たす。しのぎを削る試合終盤、1点リードのまま最後の守備を迎えた青道は2アウトまで稲実を追い詰める。だが、なりふり構わず塁に出ようとする執念に威圧された沢村は余裕を失って追い詰められ、ついには最悪のデッドボールを放って退場となってしまう。後を引き継いだ川上も稲実打線を阻むことは叶わず、成宮の渾身の一撃が試合に終止符を打った。夢の舞台までアウト1つ届かず、青道高校の夏は終わりを告げたのであった。

新チーム始動

決勝戦で敗北を喫した後、青道メンバーの誰もが失意の底に沈んでいた。そんな中で3年生は引退していき、新チームが始動する。結城の後を次いでキャプテンとなった御幸は、「勝つことにはとことん貪欲でありたい」と宣言した。だがこのとき、生徒たちは知らなかったものの、甲子園出場を長らく叶えられずにいることに責任をかんじた片岡は辞表届けを提出していた。さらに、青道高校の校長からの熱烈なラブコールを受けて名門校から新コーチ・落合が赴任してきてくる。そんな中で沢村がイップスに陥っていることが判明する。甲子園予選最終試合の稲実との試合で自らが放ったデッドボールを忘れられない沢村は、インコースに投げることがまったくできなくなっていた。その折、片岡が退こうとしていることを知った3年生は、なんとか力になりたいと考え、予定を早めて引退試合をやらせてほしいと願いでた。そして行われた引退試合にて、片岡の意図が1、2年選手達の知るところとなる。しかし彼らはその事実を知ったことを片岡に明かすことはせず、秋大を制して甲子園出場を決め、退陣をやめさせようと決意した。

秋の大会

甲子園センバツをかけた秋大会が始まり、青道の初戦の相手は、東東京の常勝軍団と呼ばれる帝東高校である。雨の中で試合が始まり、先発した降谷と絶対的な制球力を誇る1年投手・向井太陽の間で両者譲らぬ投手戦が繰り広げられていた。だが、雨の中の試合は降谷の集中力と体力を次第に奪っていく。天候不良によって試合が中断したのを境に降谷の勢いは完全に途切れ、再開後の問題プレーの連続により、降板を余儀なくされた。後を託された沢村は完璧なアウトローでバッターを制し、帝東に傾きかけていた流れを完全に食い止めた。帝東1点リードのままで迎えた試合の最終局面、流れを変えたのは、これまで一度もヒットを出せずにいた前園であった。彼の一撃が逆転タイムリーとなり、最後まで自分達のプレーを貫いた結果、青道は強豪・帝東を打ち破ったのであった。
第2試合で5回コールド勝ちを決め、青道の第3試合の相手は、鵜久森高校である。彼らは自らのことを「挑戦者」だといい、闘志剥き出しの徹底的な攻撃姿勢を見せていた。初回から激しい点の取り合いの様相を呈するも試合は青道リードで進み、しかし、なぜか鵜久森高校のベンチは不気味なまでに明るい様子を見せて盛り上がっていた。直前の試合で野球では無名の高校である鵜久森が強豪稲実を破っており、同じような波乱を期待し始めた観客は完全に鵜久森の味方につく。リードしているはずの青道は、まさに四面楚歌の状況に陥ることとなった。鵜久森の猛攻は続いて一気に点差が縮まり、とうとう青道は1点差に追い詰められてしまう。観客全員が敵に回ったかのような状況の中、最後の回のマウンドを任されたのは、やはり強い心を買われた沢村である。「逃げてたまるか」という強い気持ちを胸に、イップスを乗り越えた沢村が渾身のインコースを放って梅宮を制した結果、青道はベスト8進出を果たしたのであった。
降谷が鵜久森戦で足を傷めたことが発覚し、次の試合で投げられない可能性が生じる。次の試合を控え、目をつけた選手に声をかけて独自の指導を始めていた落合は、沢村にチェンジアップを教えた。これをきっかけに、沢村は自分だけの変化球を進化させていくこととなる。

準々決勝の相手は、進学校でありながら甲子園出場実績を持つ頭脳派集団、都立王谷高校である。エース・若林豪はフォークを主体とする珍しい投手であり、頭を使ったピッチングを得意としていた。降谷に代わって先発した沢村は完全に王谷高校の作戦にはまり、序盤から2得点を許してしまった。だが、客席で試合を見ていた選手の1人・渡辺が王谷の守備の動きを完璧に把握していたことが功を奏し、青道はいっきに同点にまで追いつく。その後、パターンを読まれていることに気付いた王谷はなんとか挽回しようと策を練るも、仲間に認められたことでやる気をいっそう高めた沢村がすばらしいピッチングを見せて相手を圧倒し、沢村の完投で青道高校はベスト4進出を決めたのであった。
準々決勝の相手、成孔学園は、巨体の選手が揃い、徹底的なパワープレイを得意とするチームである。エースとしての自覚をさらに増しながら先発した降谷は、これまで以上に相手を圧倒するピッチングを見せるが、成孔のフルスイング打線を相手にするプレシャーから次第に追い詰められて、悔しさを胸にマウンドを降りることとなる。降谷の覚悟を引き継いでマウンドに上がった沢村はしっかりと自分のプレーを貫き、一方、成孔1年の問題児である小川は、試合の中でようやく野球の楽しさに目覚めていた。同点で迎えた9回表の成孔の攻撃、小川がいっきにホームに帰ろうとしたとき、青道守備からのストライク返球が行方を阻む。だが、勝利に尋常ならぬ執念を燃やしていた小川はそのまま止まることなく、ホームベースで待ち受けていた御幸にタックルをかました。ラフプレーにも取れる暴挙であったが、御幸が身を挺してブロックしたために小川は得点ならず、この回を終える。試合は延長戦に突入し、両軍譲れぬ想いを背負っての激闘に終止符を打ったのは、御幸であった。「あの舞台に立った者しかわからないその先の世界をあいつらに見せてやりたい」。その想いを胸に放った一打がさよならホームランとなり、青道は見事に勝利を飾ったのであった。
決勝の相手は因縁の相手、薬師高校に決まる。だが、足が完治しなかった降谷はマウンドに上がれるのは1イニングまでと制限を付けられる。さらに御幸も成孔学園戦での負傷を隠しており、不安要素を抱えたままに青道の決勝戦が始まった。奇抜なオーダーで青道を翻弄する薬師だが、試合の中盤にいよいよエース真田が登板し、薬師のベストオーダーが完成する。一方、脇腹を傷めていた御幸は1度もヒットを出せず、なんとか隠しきろうとしていたものの、とうとうその事実が皆の知るところとなる。だが、片岡は、「無理だと判断したら即代える」といいつつも目の前のプレーに全力を尽くすようにと激励し、御幸にプレーを続けることを認めた。1点ビハインドのままで迎えた9回表、青道はツーアウト、ランナーなしのピンチに陥る。しかし真田の初球を捉えた小湊が出塁していよいよ打順は御幸へと回り、しぶとく粘って内野安打を放って次の攻撃への希望を繋げた。小湊がホームに戻って同点となり、さらに御幸が三塁を回ってホームに帰還、続いて前園がヒットを打って青道が逆転した。9回裏の守備、エース・降谷がマウンドに上がる。粘り強くプレーを続けた薬師だが、降谷の全力のピッチングを前に得点は叶わずにゲームセットとなった。こうして青道は念願の甲子園センバツへの切符を手にしたのであった。

新生野球部の始動

春の甲子園センバツが始まり、青道はその名を周囲に知らしめながら、1、2回戦を順調に勝ち上がる。3回戦の相手は、降谷と同世代で同じ北海道育ち、さらに同じく脅威の球速を誇るエース・本郷政宗を擁する巨摩大藤巻高校である。試合が始まると、巨摩大藤巻の強力な守備を前に、青道はなかなかヒットを打てずにいた。ようやく御幸が塁に出てランナーが得点圏に進んだものの、ホームインに繋げることはできない。青道高校は3回戦を2vs0で敗退し、悔しさを胸に甲子園を後にすることとなった。
新年度、前主将結城の弟である結城将司を始めとする多くの有望な新入部員を迎え、青道高校新生野球部が始動する。春季東京都大会を順調に勝ち進んで準決勝、青道の相手は、市大三高である。両チームの投手ともに制球が定まらない状態での攻防が続く中、市大三高の天久が実力を発揮し始める一方で、降谷は絶不調とも言える状態であった。エースとしての高い意識がゆえに不安定になってしまった降谷はあえなく降板となるが、替わって登板した沢村は、誰もが驚くほどのすばらしいピッチングを見せる。打席に立っても勢いを失わなかった沢村が出塁し、それに応えようと続く選手たちは全力を尽くした。しかし、結果として逆転は叶わず、青道は都大会を準決勝敗退で終えたのだった。
夏の大会を見据えた片岡はあらためて一からレギュラーを選び直すことを宣言し、新入生と上級生の紅白戦を経て一軍、二軍に参加する1年選手が決まる。一方の沢村は新たなオリジナル投球パターンを身につけつつあり、その名も「ナンバーズ」は、目にして選手が驚愕するほどの大きな可能性を秘めていた。

ゴールデンウィークを迎え、夏を前にした青道のライバル校の野球部はそれぞれに練習試合を組み、調整に余念がない。青道もまた超機動力を武器とする強豪校・白龍高校と試合を組んで実力アップを図る。先発を指名された沢村は、気合十分でマウンドに立ち、無失点のまま試合を進めていく。一方の降谷は独りよがりなプレーを連発し、片岡から「積極性をはきちがえた傲慢なプレー」と叱咤されたあげくにベンチに下がることとなった。強豪相手にさえも互角以上に渡り合っていることに充実感を感じる沢村はそのまま完投し、試合は、3対1で青道の勝ちに終わった。
その折、背中に異変が生じた降谷が医者から投球を禁止されてしまう。沢村は、「万全の状態で戻ってこい」と声をかけ、自らがエースとしてチームを引っ張ることを決意した。青道が練習試合で勝ち続けている中、御幸が日米親善野球東京都代表チームに参加するため、一時的にチームから抜けることが決まった。御幸が抜ける穴を埋めるため、片岡は1年から奥村、瀬戸を合流させる。一方、背中が回復してきた降谷は、一軍に復帰を果たした。
青道高校と山守学園の練習試合、先発した降谷は、エースナンバーを取り返すという気で投球し、打者を三振に打ちとる。その後山守の選手たちに追い詰められた降谷だが、キャッチャーの小野の働きで力みが取れ、調子を取り戻すことができた。片岡は「御幸を東京代表に送り出すことができたのは小野がいてくれたからだ」と言い、彼に対する厚い信頼を示す。だか、試合の中で手を痛めた小野は離脱を余儀なくされ、それぞれの選手が諦めることなく健闘したものの、結果は敗北に終わる。こうして、青道の春からの連勝は19で止まったのだった。
御幸が戻った青道ではいよいよ夏の大会のベンチ入りメンバーが発表される。1年生からは奥村と由井、結城がスタメン入りし、一方の選ばれなかった多くの3年生は事実上の引退ということになった。選ばれた20人は、彼らのためにも夏の大会を戦い抜くことを胸に誓う。例年通りの厳しい夏合宿を終え、各選手に背番号が与えられる。エースナンバーを背負ったのは、練習試合でその成長ぶりを遺憾なく発揮した沢村であった。

沢村2年・夏の大会

夏の大会が始まり、シードの青道の初戦の相手は、片岡の恩師かつ前青道監督・榊が指揮を執る由良総合工科に決まる。エースとしての自覚がゆえにりきみが取れない沢村はあっさり先制され、片岡監督は投球を崩した沢村を替えて川上をマウンドに送ることを決める。川上が打線を完璧に抑えて悪い流れをすぐさま断ち切り、さらに御幸が放ったホームランを皮切りに青道は逆転を叶え、結果、青道は7回コールド勝ちを決めたのだった。
続く4、5回戦も、青道はコールド勝ちを決め、さらに準々決勝を7vs1で勝利して準決勝進出を果たす。だが、その試合の後、川上の右腕に異変が起きる。診断の結果は念のため精密検査が必要とのことであり、準決勝の出場が危ぶまれた。野球人生をこの夏で終えることを決めていた川上は出場を志願するが、片岡は検査結果が分かるまでは出せないという決断を下す。
準決勝、市大三高との試合が始まり、沢村、天久の両チームのエースがそれぞれに好投して相手を抑え、初回は両者無得点のままに終わる。その後も投手戦が続き、青道は先制点を許してしまった。両エースは一歩も譲ることなく、7回を終えても試合は1-0で市大三高リードのままである。だが、8回で青道が逆転し、結果、粘りを見せた青道が2-1で勝利を飾った。
試合を終え、決戦の稲実戦を見据えて、選手たちはいっそう士気を高めて最終調整に余念がない。夜中、ともにバットを振っていた御幸は、その場にいた降谷に、高校生活後の将来についての考えを告げる「野球で飯食えるようになって、これまで好きにやらせてくれた親父に恩返しがしたい」。つまりは、プロになりたいという思いだった。それを端から聞いていた沢村は、初めてその思いを吐き出したのが自分ではなかったことにショックを受けながらも、その覚悟の大きさをひしひしと感じるのであった。

『ダイヤのA』の登場人物・キャラクター

青道高校(せいどうこうこう)

沢村 栄純(さわむら えいじゅん)

学年:高校1年→2年
ポジション:投手
投打:左投げ左打ち
背番号:20(1夏)→18(1秋-2春)→1(2夏-)
身長/体重:175cm/65kg
CV:逢坂良太

沢村栄純は、本作の主人公である。長野県の赤城中学出身で、5月15日生まれのO型。打席は主に9番である。1年生の春に二軍入りし、夏に一軍入りを果たした。
試合の流れを引き寄せる闘志、打者に真正面から挑んでいくメンタルの強さなど、生まれながらにしてエース気質をもっている。青道の首脳陣やチームメイトをはじめ、対戦校にも将来性を認められている。ベンチにいるときでさえも味方への声援やヤジで非常に騒がしく、周囲を呆れさせることも多いが、それがムードメーカーたる要因にもなっている。
人並み外れた肩関節・手首の柔らかさにより生み出される、上下左右に変化する出所の見えないムービング・ファーストボールを武器とする。青道高校に入学するまで本格的な指導を受けた経験がなく、それが先の読めない変速球の元になっていた。入学当時はムービングボールのみだったが、1年夏にフォーシームを習得し、2球種を投げ分けるようになった。同じく1年夏にカットボールを習得し、秋に落合からチェンジアップと高速チェンジアップを伝授された。冬のオフの間に御幸とともに多数のボールの握りを試し、それぞれの握りに番号をつけてナンバーズと呼んでいる。1年秋までの球速は130km/hに満たなかったものの、2年春には最速135km/h、2年夏には140km/hを記録した。投手として優れた才能を持つ反面、打撃センスは低く、トスバッティングすら空振るほどである。練習試合を含めても毎打席のように三振しているが、なぜかバントだけは天才的に上手い。沢村本人は打撃下手という自覚がなかったものの、1年冬の合宿から弱点であることを認識し始めた。2年春の都大会からバスター打法を取り入れ、少しずつではあるものの、攻撃で活躍する機会が増えている。

降谷 暁(ふるや さとる)

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