虹色のトロツキー(安彦良和)のネタバレ解説・考察まとめ

『虹色のトロツキー』とは、1990年より1996年まで、安彦良和が『月刊コミックトム』に連載した漫画作品。昭和初期の満州を舞台に、日本人の父とモンゴル人の母との間に生まれた青年・ウムボルトが、レフ・トロツキーを満州国に招く「トロツキー計画」に関わり、自身のルーツに迫っていく姿を描く。舞台となる満州国や日本を中心とする第二次世界大戦直前の世界情勢の中で、トロツキーをめぐって国家や民族、人々の思惑が絡み合い、複雑な人間ドラマが形成される。石原莞爾や辻政信、甘粕正彦といった実在の人物が多数登場する。

陸軍少将。関東軍参謀副長。
「陸大創設以来の頭脳」と評される謀略家で、満州事変(まんしゅうじへん)の首謀者。
ウムボルトの父である深見圭介(ふかみけいすけ)とは陸士の同期。 深見がかつて関わっていた、レフ・トロツキーを満州に招聘する「トロツキー計画」によってソ連を牽制しようと企て、ウムボルトを計画に引き入れようとする。
その一方で、ウムボルトの両親を死に追いやった負い目から、彼のことを気にかけている。
のちに病気療養という名目で日本に帰国。やがて健康上の問題もあって心境が変化し、満州で暴走しがちな関東軍参謀の服部卓四郎(はっとりたくしろう)や辻政信(つじまさのぶ)をいさめようとする。

辻政信(つじまさのぶ)

陸軍少佐。関東軍作戦参謀。建国大学創設主任。
石原莞爾(いしはらかんじ)の信望者で、強引・専断・無情の鬼参謀として知られる。ウムボルトを強引に建国大学の特別研修生として入学させた。野心家でさまざまな謀略を行い、ウムボルトのことも謀略の駒としか考えていない。
ノモンハン事件が起きると作戦指揮をとる。後にシンガポール戦、ガダルカナル戦の作戦指揮を行い、敗戦後は参議院議員となり、ラオスにて行方不明となる。

東条英機(とうじょうひでき)

陸軍中将。関東軍参謀長。建国大学の創設委員長。
石原莞爾(いしはらかんじ)のライバルで、石原の話になると感情的になる。
甘粕正彦(あまかすまさひこ)からは「軍人としては立派だが、小さい物事に動じすぎる。陸軍大臣までならいいが、国の命運を任せることはできない」と評される。
のちに陸軍大臣、首相をつとめる。

磯谷廉介(いそがいれんすけ)

陸軍中将。元軍務局長。
中国通で、東条英機(とうじょうひでき)の後任として、石原莞爾(いしはらかんじ)を差し置いて参謀長となる。

片倉衷(かたくらただし)

陸軍中佐。関東軍参謀。
同僚である三品隆以(みしなりゅうい)とともにトロツキー計画に参加する。
新疆(しんきょう)を属国化しようとするソ連に抵抗するため、ウムボルトを新疆の伊寧に帰郷させる。

三品隆以(みしなりゅうい)

陸軍少佐。関東軍参謀。
同僚である片倉衷(かたくらただし)とともにトロツキー計画に参加する。

植田謙吉(うえだけんきち)

陸軍大将。関東軍司令官。
辻政信(つじまさのぶ)と服部卓四郎(はっとりたくしろう)が具申した「国境紛争処理要綱(こくさいふんそうしょりようこう)」に対し、兵站に不安があることからソ連との誘発を慎むよう注意する。

服部卓四郎(はっとりたくしろう)

陸軍少佐。関東軍参謀。
辻政信(つじまさのぶ)の盟友。辻と共に対ソ連戦争開始のための謀略に従事する。

安江仙弘(やすえのりひろ)

陸軍大佐。大連特務機関長。
ウムボルトの父・深見圭介(ふかみけいすけ)や石原莞爾(いしはらかんじ)とは陸士の同期。深見とはシベリア出兵時の戦友でもあり、かつての同志。陸軍きってのユダヤ通として知られる。
ソ連を刺激するトロツキー計画を危ぶみ、その阻止のためにウムボルトを利用しようとする。
深見が接触していたトロツキーは偽物だと考えており、その確認のためにウムボルトと共に上海に向かうが、その際にウムボルトに肩書きが必要だと考えて、満州国公安軍の士官として任官させる。

犬塚惟重(いぬづかこれしげ)

海軍大佐。対ユダヤ・対米工作 特命犬塚機関・機関長。
安江仙弘(やすえのりひろ)とともに「トロツキー計画」を阻止しようとする。

山家亨(やまがとおる)

陸軍中佐。北支派遣軍報道部長。

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