(500)日のサマー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『(500)日のサマー』とは、運命の恋を信じる男トムと信じない女サマーが繰り広げる、出会いから別れ、立ち直りまでの500日をリアルに描いた恋愛コメディー映画。ミュージックビデオを多く手掛けてきたマーク・ウェブの長編デビュー作である。本作は、脚本のスコット・ノイスタッターのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでの実際のロマンスに基づいて作られている。

『(500)日のサマー』の概要

「(500)日のサマー(500 Days of Summer)」は2009年公開のアメリカ映画。平凡な会社員の主人公トムが入社してきた小悪魔的なヒロインのサマーに恋をしていく模様を描いた作品。〇日目といった風にストーリーが進んでいき、時系列がバラバラに進んで行くため、ラストのネタバレで意味が解るようになっている。恋愛をしたら誰しもが感じる過去と現在の2人の気持ちのスレ違いを上手く描き出している。主演は「インセプション」のジョセフ・ゴードン=レヴィット、ヒロイン役に「New Girl / ダサかわ女子と三銃士」のズーイー・デシャネル。アカデミー賞の前哨戦としての注目度も高いとされているゴールデングローブ賞で作品賞(ミュージカル・コメディ部門)とジョセフ・ゴードン=レヴィットが主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)にノミネートされた。

『(500)日のサマー』のあらすじ・ストーリー

運命の恋人との出会い

488日目:サマーとトムは、ベンチで見つめあいながら微笑んでいる。サマーの指には、ダイヤの婚約指輪がはめてありトムと手を重ねている。

1日目:サマーとトムの紹介からスタートする。トムは運命を信じるタイプの男であるがサマーは真逆で、自分が長く愛したものでさえ捨ててしまえば何も感じない無感情なタイプだ。トムが勤めているグリーティングカード会社に入社してきたサマーを見た瞬間、トムはサマーを「運命の人だ」と感じた。サマーは普通の女の子よりは少し違った。愛嬌があり、サマーが通るたんびに男達は振り返るほどの可愛さだった。

心の距離が近づくトムとサマー

IKEAでのデートを楽しむサマー(左)とトム(右)。

290日目:失恋真っ只中のトムを妹レイチェルと会社の同僚のマッケンジーと昔からの友人ポールが助けに来る。トムはこれまで上手くいっていたサマーとの仲を3人に語る。イケアでのラブラブなデートやベットで横になり他愛もない事で微笑み合う仲の良かった頃の話や、サマーの情緒不安定な部分に寄り添いながらも関係をなんとか修復しようとしていた頃の事を話した。だが、サマーからは「会うのをやめよう。私たち喧嘩ばかりよ。」と言われた事を告げる。妹は生理のせいで情緒不安定が続いているのだと言うが、アドバイスを聞き入れないトム。さらには、大事な話の最中、パンケーキを喜んで食べるサマーに嫌気がさし席を離れようとした時に、喧嘩別れを避けるために突然サマーから「親友でしょ」と言われた事を話す。サマーを特別だと思っているトムに対して友人達は「お前なら立ち直れる。海は他の魚であふれているだろ」と慰める。だが、トムはアドバイスを聞き入れずやり直すと決める。

3日目:マッケンジーがサマーに話しかけて完全に無視されたことから、サマーはお高くとまった嫌味な女だとトムに話す。トムはそれをあまり聞き入れようとはしなかった。

4日目:エレベーターでトムとサマーは一緒になる。アーティストの「ザ・スミス」を聞いていたトムにサマーが「私もザ・スミス好き」と話しかける。少し歌ってエレーベーターから出ていくサマー。共通の歌の趣味を知ったトムは運命だと感じる。

8日目:会社の同僚の婚約パーティーでトムがサマーに話しかける。いつこの街に来たのか、どうしてこの会社に就職したのか他愛もない会話をサマーにする。トムは本当は建築家になりたかったが諦めてこの会社に来た事を話す。今の会社でヒット商品を作り出したトムに対して、グリーティングカード会社がお似合いだと言うサマー。トムはそれを聞いて、学生の頃「お似合い君」と呼ばれていた事を思い出し話す。するとサマーは自分はきれい好きで几帳面な性格だから「アナル女」(「アナル(anal)」には、フロイト心理学の用語で、几帳面で執着心が強い性格という意味がある)と呼ばれていたとさらっと答えた。友人が先日話していた「サマーはお高くとまった嫌味な女」というイメージは少し違っていると感じるトム。

154日目:トムはサマーに完全にハマったとマッケンジーとポールに話す。サマーの癖や話し方、笑顔、外見全てが好きだと言う。サマーが居れば不可能が可能になる、生きがいを感じると話すトムに友人はぞっこんし過ぎて危ないと感じる。

11日目:トムが妹レイチェルとゲームをしながら、同僚の婚約パーティーでサマーと話し彼女を知ってから、お高くとまった嫌味な女だとこれまで誤解していたことが分かったと言う。レイチェルは冷静に「重症ね。キュートな女の子は心の友にはなれない」要するに真剣な恋愛ができないと伝える。

22日目:数日前にエレベーターでサマーと一緒になった時にトムが「週末はどうだったのか」と聞くと、サマーは「最高だった」と答えたため、トムはジムで出会った男とセックス三昧だったのだと思い込み「尻軽女はごめんだ」とサマーへの思いを諦めた事を友人達に話す。そう言いつつもトムはサマーのことを諦めることができず、サマーも好きだと言っていた「ザ・スミス」の歌を会社でかけて気を引こうとする。しかしサマーには気づかれずスルーされ、「サマーは望み薄だ」と話すトムに対して友人達は呆気にとられる。情緒不安定なトムは「恋人がいなくても平気だ」と自分に嘘をつき強がった。

27日目:マッケンジーに社員全員が行くカラオケ大会に誘われるトム。サマーに近づけると喜ぶ。

28日目:カラオケ大会当日。サマーがステージに上がり歌うところをトムは見つめる。サマーが歌い終わり、マッケンジーとトムとサマー3人でテーブルに座りサマーの歌を褒める。マッケンジーがサマーに「恋人はいるか?」と聞く。サマーは「いない、欲しくないわ。誰かの所有物になるのは最悪」と答える。サマーは恋愛に対して嫌気がさしていた。恋愛は面倒なものであり、傷つく。若い分大切な時間を面倒な事で失いたくないと考えていた。そんな意見を聞いたトムは「恋に落ちたらどうする?」と食い気味に質問した。サマーは「恋を信じているの?結婚しても別れるカップルが大半よ。恋は長続きしない。恋は絵空事よ」と答える。トムは「君は間違っている。愛を感じれば分かる」と反論する。サマーとトムの恋愛の価値観の違いが現れたのだ。その討論を吹っ切るかのようにサマーはトムを次のカラオケ代表者に指名し、トムはステージで酔いながら歌った。そのトムの姿をサマーは楽しそうに見つめていた。解散の時、酔いつぶれたマッケンジーがサマーに、トムが君にぞっこんだということを伝えた。それを聞いていたトムは誤魔化すが、サマーは「私が好きなの?」と聞く。トムは「友達として好きだ。あまり深くは考えたことはない」とはぐらかす。2人の間に何か起きそうで起きない絶妙な雰囲気が漂うがその日は解散した。

31日目:コピー室で2人は一緒になる。サマーは近づき何も言わずトムにキスをする。キスをし終わった後何もなかったかのようにコピー室を出て行くサマーにトムは呆然とする。

282日目:イケアでデートをしているが、気分が乗らないサマー。トムが売り場のキッチンで流しが壊れていると遊んでいても「家族ごっこ」には乗らず冷たい視線で返すサマー。

34日目:イケアでデートをして楽しむ2人。自分たちの家かのようにソファーやキッチンで「家族ごっこ」を始める。サマーは流しが壊れていると言い、2人は笑い合いながら売り物のベットに行く。横になりサマーが「あなたおもしろい。最高よ」と言いトムにキスをする。サマーは真剣に付き合う気は無いことをトムに告げる。トムは強がって、軽い気持ちでのんびり関係を続けていこうと了承する。少し顔が曇るトム。その夜、サマーを家に呼び、軽い関係を望んでいるという事を自分に言い聞かせ体の関係を持った。次の朝、トムの気分は上機嫌で踊り出しながら出社する。とうとう意中の相手を自分の物にできた幸せオーラ全開で会社のエレベーターに乗り扉は閉まる。

303日目:会社のエレベーターの扉が開く。気力を無くしたトムが現れる。サマーは会社を辞めてしまった。友達からは「ヨリは戻ったか?」と聞かれ、「努力している」と答える。サマーからは「友達として会いましょう」というメールが届く。

45日目:会社でサマーは上機嫌に歌を歌いながらトムと電話をしている。

87日目:CDショップで楽しくデートする2人。アダルトビデオを借りて来てじゃれあって楽しんでいる。

トムの失恋

95日目:サマーと散歩しながら街並みを見て建築物に関して話すトム。トムはお気に入りのスポットである街並みを見下ろせる公園のベンチにサマーを連れてくる。立派な建物がたくさんあるとサマーに話す。そして「皆が注目するような建物を自分だったら作りたい」と言い、サマーの腕に建物の絵を描く。

109日目:トムはサマーの部屋に呼ばれる。トムは自分がサマーにとって特別な存在になれたのだと思った。ベットの上で他愛もない事を話したり、くだらない夢の話をして彼女の世界に入り込めた気がした。そしてサマーは誰にも話した事がないよく見る夢の話をし、トムは自分がサマーにとって特別な存在なんだと改めて実感する。

118日目:トムは自分たちの関係は何なのかをサマーに聞こうか悩んでいる事を妹に相談する。妹は「弱気にならず関係を確かめる必要がある」とアドバイスをする。その日サマーと映画を観にドライブしているとき、トムは自分たちの関係は何なのか聞く。サマーは「定義する必要なんてない。幸せだから」と言って微笑む。トムもそれ以上聞けずに微笑む。

259日目:2人はバーにいる。トムは1人でサマーの気を引こうとひたすら喋っている。サマーは浮かない表情。サマーに話しかけようと2人の間に男が割り込んで来た。興味がないと断るサマーに対し、サマーの隣にいて何も止めに入らなかったトムを見て男が「ヒヨっ子男だ」とからかう。そう言って立ち去ろうとした男にトムは頭にきて殴ってしまう。その瞬間トムは男に殴り返されてしまい、倒れてしまう。サマーの部屋に戻り、君の為に殴られたというトムに対して呆れるサマー。トムは今の自分達の関係が何なのかモヤモヤしている事を勢いで伝えてしまう。サマーからは「友達だ」と言われる。立派なカップルだと主張するトムに対し、「あなたが好きだけど…」と言葉が詰まるサマー。トムは怒ってサマーの家から出ていく。夜中にサマーがトムの家に来て「私が悪かったわ」と伝える。トムは「僕らの関係にレッテルを貼りたくないがはっきりさせたいんだ。朝起きて君が他人だって感じるのが怖い」と言う。サマーも「分かるわ。傷つけてごめんなさい」と返し、2人はキスをする。次の日の朝、2人はベットでいちゃいちゃした。その時、サマーは過去にセクシーなボート選手や女性と付き合っていたことがあると話し、トムはサマーの恋愛歴を知った。サマーの事を更に知り、ピクニックに出かけたりと関係は良くなりだした。

191日目:アート展や映画デートをして楽しく過ごす2人。

314日目:トムは1人で映画館にいる。放心状態で気づけば映画も終わっていた。流れている映画にまで自分達の関係の終わりを重ね合わせて見ていた。

321日目:失恋により荒れているトムの状態を心配した社長がトムをデスクに呼び出す。社長は「サマーとの問題で仕事に影響を及ぼしているから、カードのジャンルを苦悩や悲しみの分野にシフトしたらどうだ」とトムに提案する。自分のデスクに戻ろうとしたトムは、以前自分が作った「私たちを愛している」というメッセージカードを見て呆れた。

167日目:サマーとの交際も順調な頃、仕事も好調だった。サマーを見かけて「私たちを愛している」という言葉が浮かび、メッセージカードの商品化に採用される。

322日目:部屋で1人になり、サマーの癖や外見を思いだしながら彼女の事を嫌いだと叫ぶトム。音楽を聞きながらバスに乗っている時も、サマーとの思い入れのある音楽が流れると嫌いだと大声を出してしまうほど、自暴自棄に陥ってしまう。

345日目:トムは友人の紹介で他の子とデートするが、サマーの事を忘れられず愚痴ばかりを話す。忘れられない事、自分を幸せにできるのは彼女だけだという事、一緒に過ごした日々を何度も思い返して失敗した原因を探しているという事を延々と話すトムに対して呆れて帰る彼女。

402日目:トムは同僚の結婚式に向かう為に乗った電車でサマーと出くわす。サマーからコーヒーに誘われ、久しぶりに2人で話して過ごした。結婚式にも2人で向かい、あの頃に戻ったかのように楽しく過ごした。夜、パーティーでダンスをしているときにサマーからホームパーティーに誘われる。トムはサマーとヨリを戻せると期待してしまう。翌日、期待と現実が一致する事を願いサマーのアパートに向かう。だが自分が期待していたものとは全く違い、サマーが他の男の人と婚約した事を知ってしまうことになる。

440日目・441日目:トムは何に対しても怒りがこみ上げた。ラブラブなカップルを見ては八つ当たりをした。

442日目:仕事への意欲もなくなり、平気で遅刻するトム。会議に参加するが、その場でも人の案に当たり散らしてしまう。

450日目:妹のサッカー練習場でサマーを憎む絵を描いているトムに対して妹が「彼女しかいないと思うだろうけど、他にもたくさんの人がいる。今は思い出が一杯でも振り返ってみてもう一度見直すの」とアドバイスをする。それを聞きトムは今までの彼女との良い思い出悪い思い出を走馬灯のように振り返る。

456日目〜476日目:トムは長年の夢だった建築関係に進むために設計図を部屋で描き始め、没頭する。サマーはトムとは別の男性と結婚式を挙げた。

新しい恋の始まり

488日目:トムはお気に入りの場所だった丘の公園のベンチに座っていると偶然サマーと再会する。並んでベンチに座り、話し始める。トムはグリーティングカード会社を辞めて建築の道に進んだことを話し、少し間をあけてからずっと納得のいかなかった事をサマーに聞く。「君は結婚した。誰かの所有物になる事を嫌がっていたのに妻の座についた事に理解できない」と話すトムに対し、サマーは「ある日目覚めてあなたとは違う気持ちって気づいたの」と話した。トムには理解できず、自分が思っていた運命は全てたわ言だったと愚痴るが、サマーは笑う。サマーは「小説をデリで読んでいて話しかけて来た人が今の夫なの。出会うべくして出会った気がする。あなたの考えは正しかった。ただ私たちが運命じゃなかっただけ」と話しトムの手に手を重ねる。サマーが立ち去ろうとしたときずっと言えなかった言葉をトムが言う。「幸せを願っている」サマーは微笑み2人は別れる。

500日目:建築関係の面接に来たトムは同じ様に面接に来ていたある女性と出会う。トムは面接待ちの部屋のソファーに座って辺りを見渡していた時、女性から「あなたも面接に来たの?」と話しかけられる。そこから徐々に話し始め冗談を言い合ったりしてその場の空気が和んでいった。女性は「あなたをお店で見かけた事がある」と言い、トムもよく行くお店だったため知らず知らずのうちに出会っていた事に気付く。トムが面接官に呼ばれ先に立ち、部屋を後にしようとした時、運命や奇跡などは起きないと確信したトムは自ら行動を起こし女性をコーヒーに誘い出す。快い返事をもらった女性とそこで初めて自己紹介を交わす。彼女の名前は「オータム」だった。奇跡などは起きないと思いつつも次の女性がサマーからオータムに変わった事に少し奇跡を感じつつ、トムの新しい1日が始まり出す。

『(500)日のサマー』の登場人物・キャラクター

トム・ハンセン(演:ジョセフ・ゴードン=レビット/日本語吹替:猪野学)

建築関係の仕事に憧れながらもグリーティングカード会社で働いている。周りには昔からの友人や会社の同僚に恵まれ、恋愛上級者である妹にも支えられながら平凡な日常を過ごしているサラリーマン。運命を信じる傾向にあり、サマーと出会ってからは「サマーだけが自分を幸せにしてくれる」と思っている少し拗らせ気味の男。サマーと良い関係になってからは友人達にはお惚気話をしたり愚痴を言ったりと自分の気持ちに正直ではあるが、サマーを前にすると今の関係が壊れる事を恐れてなかなか素直になれないでいる。サマーとの関係が悪化してからは、何をしても上手くいかず、周りにあたり散らしてはサマーを忘れられずにいた。

サマー・フィン(演:ズーイー・デシャネル/日本語吹替:宮島依里)

トムが働いているグリーティングカード会社に受付として入社してきた。サマーがアルバイトをしていたアイスクリーム屋では、売り上げが倍になるほど普通より可愛いタイプの女性。運命を信じない傾向にあり、誰かの所有物になるのが嫌で真面目な付き合いを望まないと断言をする。少し小悪魔な感じと情緒不安定な部分があり、感情を掴むのが難しい。トムに対しては正直に気持ちを表す方で、次第にトムへの気持ちが薄れていく。友達として付き合っていきたいと提案するがトムには納得されず、トムとの関係を切るため仕事を辞める。そして、デリで偶然出会った男性と恋に落ちそのまま結婚し、結局運命の恋を信じるようになる。

レイチェル・ハンセン(演:クロエ・グレース・モレッツ/日本語吹替:うえだ星子)

トムの妹。サッカーが得意。トムが悩んでいるのを目にすると、サッカーの練習中の休憩時間を割いてでも聞いてあげるほど、トムの事を気にかけている兄思いの良き妹。小学生ながらも恋愛マスターである。トムがサマーに対して悩んでいる時もいつも冷静に大人顔負けのアドバイスをする。「サマーを思い出す時は良いことばかりを思い出さないで」とトムにアドバイスをする。要するに、過去を美化して思い出に浸っていたら駄目だと言う事を伝え、立ち直らせる勇気を与える一言となった。

マッケンジー(演:ジェフリー・エアンド/日本語吹替:田村健亮)

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