装甲騎兵ボトムズ(VOTOMS)のネタバレ解説・考察まとめ

装甲騎兵ボトムズ(Armored Trooper VOTOMS)とは、日本サンライズ(現・サンライズ)制作のロボットアニメである。テレビシリーズが1983年4月1日から、1984年3月23日までテレビ東京系で放送された。テレビシリーズは全52話である。
テレビシリーズの後日談や、サブエピソードを描いた小説、漫画、OVA作品が制作、発表され続けている。
アーマードトルーパー(通称AT)と呼ばれる、大量生産の安価なロボット兵器が、主役機、敵機、関係なく次々と撃破されていく姿は、圧巻である。

第一話 終戦のオープニング、わずか2カットだけバララント軍のATが登場する。
放送当初は幻のATとされていたが、現在は“ブロッカー”という名称が与えられ、商品化もされている。

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キリコの強さ

キリコの鬼神の如き強さ。

ウド篇第三話において、キリコが全力を発揮したAT戦を展開する。
その戦いぶりは、味方相手の第一話と違い、容赦のないもので、視聴者は本話でキリコがはっきりと“強い”と認識するはずだ。

友情の芽生え

第五話。ゴウト達三人組はキリコ救出の為、治安警察内部に侵入する。

ゴウト、バニラ、ココナは金だけで繋がっている言動や行動が随所に見られたが、それはキリコに対しても同様であった。ゴウトはキリコのAT操縦技術を見通し、彼をレッド・ショルダー出身と推測する。そして彼をバトリング選手に仕立て、金儲けを狙っていた。
これはキリコが仲間達に打ち解けない性質が原因でもあったが、第五話あたりから、打算ずくめながらもキリコを仲間と認識し、共に行動する姿が描かれている。
治安警察に捕らえられたキリコを、ゴウト達三人組が互いに協力し救い出す。
キリコは「また借りを作っちまったな…」と、いかにも彼らしく、仲間達に礼を言うのであった。

ATの戦法

それなりの技能を持っていたオリヤ大尉だったが、キリコには敵わなかった

第五話にて、オリヤ大尉がキリコに指導した戦法“一人が囮、一人が殲滅する遊撃戦”は、百年戦争末期の市街戦の定番として、定着していたと思われる。
この戦法は第二次世界大戦の航空戦での、“サッチ・ウィーブ戦法”として定番化している。

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レッド・ショルダーの示唆

レッド・ショルダー。
第一話からその存在が示唆され、以降もセリフとして何度も登場した。
ウド篇第十話にて、キリコの口から“レッド・ショルダー”の正式名称と、自身も同部隊の所属だった事が明かされる。
「正式には、メルキア戦略装甲騎兵団特務任務班・X-1…人呼んで吸血部隊だ。」

本編にて、バニラはスコープドッグの左肩を赤く塗る。彼は伝説のレッド・ショルダー部隊に見立てたつもりであったが、実際には右肩を赤く塗りつぶすのが正解であった。
「レッド・ショルダーの赤はもっと暗い。血の色だ。それとマークは右肩だ。」とキリコはATを見るなり言い放った。
はじめて知るキリコの過去に仲間達は驚嘆するのであった。

キリコと仲間達の結びつき

後にバニラと結ばれるまでは、キリコに一目惚れだったココナ。それだけに彼女は、三人の中で誰よりもキリコの身を案じる事が多かった。
第九話でウドの街に金貨をばら撒く事を提案したのも彼女だ。
第十二話では、キリコを置いて逃げようとするバニラとゴウトに、銃を突き付け、引き返すよう強要している。
だが、その銃から弾が出ないと知りながら、引き返してキリコ救出に向かったバニラの思いやりにも感動を覚える。
バニラとココナが結ばれるのは必然だった。

また第十一話でバニラは、「(キリコと)つかず離れずさ、俺たちゃよ。」という発言もしている。キリコと彼らの結びつきをこれほど的確に表現した言葉は他にはない。
それだけに、治安警察本部から救出されても、離れ離れになったフィアナの事しか眼中にないキリコに対して、仲間達が怒るのは無理もない事であった。

ATの意外な弱点

ウド篇第十三話にて、キリコに乗せる為、ココナはギルガメス軍のATのレンズ部分に、黒いスプレーで視界をふさぐという奇策に出る。
視界をふさがれてしまえば、コクピットからは外部の様子が見えず、激怒したパイロットは頭部のハッチを開けてしまう。その結果待ち伏せをしていたゴウトにパイプで殴られ、気絶。
機体はキリコの物となるが、科学の枠を集めて造られたATの、意外と単純な欠点が垣間見れるシーンでもある。

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@6eyamapon6623

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