冷たい熱帯魚(Cold Fish)のネタバレ解説・考察まとめ

『冷たい熱帯魚』(Cold Fish)は、園子温監督、脚本による2010年の日本映画。1993年に発生した「埼玉県愛犬家殺人事件」をモデルにしたサイコホラーで、同監督による実際の事件を土台とした「家賃3部作」シリーズの第1作。優れた演出と物語性が高い評価を獲得し、日本国内での主要な映画賞を総なめにした。しかしこの一方、俳優陣の狂気的ともいえる演技や、グロテスクな演出が話題となり「トラウマ映画」として挙げる視聴者も多い。小さな熱帯魚店を営む男性が事件に巻き込まれ、狂気に取り込まれていく姿を描く。

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吉田の手下(よしだのてした)(演:中泉英雄/阿部亮平/小出志浩/龍坐/伊藤竜翼)

吉田の弟と共に村田の店に訪ねてきた男たち。血の気が荒く屈強な体格をしており、村田や社本を脅して吉田の居場所を聞き出そうとした。

美津子の彼氏(みつこのかれし/演:山根和馬)

美津子の彼氏。いかにも不良然とした若い男で、実際に素行もあまりよくない様子。家族で食事中の美津子を迎えに来て、連れ出していた。

刑事(けいじ/演:橋本一郎)

川尻の部下。基本的に二人一組で動いているようで、失踪した村田の部下の写真などを持ち歩いて川尻をサポートしている。

「アマゾンゴールド」のスタッフ(演:斉藤リナ/赤崎菜美子/竹垣綾香/三ツ井菜々花/古藤ロレナ)

村田の経営する熱帯魚店「アマゾンゴールド」のスタッフ。愛子いわく「それぞれ事情を持ちつつも、社会復帰のために頑張っている」若い女性たち。全員若い女性で、寮に住み込んで働いている。基本的にタンクトップにミニスカートというセクシーな出で立ちで働いており、彼女たちを目当てに来店する顧客も多い。

『冷たい熱帯魚』(Cold Fish)の用語

社本熱帯魚店(しゃもとねったいぎょてん)

社本と妙子が二人で営んでいる、小さな熱帯魚店。店の規模が小さいことから大型の魚などはあまり取り揃えていないが、きちんと世話は行き届いている。

アマゾンゴールド

村田が経営する熱帯魚店。大型店舗で、珍しい魚や大型の魚も幅広く取り扱っている。店頭に立つのは基本的にタンクトップにミニスカートという露出の高い制服を着用した女性従業員で、村田の妻である愛子が彼女たちを仕切る形で運営している。社員寮も完備しており、従業員は基本的に住み込み。社本の娘である美津子も雇用されて働くことになる。

はらきり山(はらきりやま)

村田が遺体処理のために所持している小屋がある山。村田はかつて父親と2人暮らしをしており、作中でその当時に受けたトラウマを明かしている。

ボディーを透明にする(ボディーをとうめいにする)

作中の村田の台詞に登場する一節で、殺害から処理までのことを指す。
殺害後に毛布で包んだ遺体を山中の山小屋の風呂場まで運び、骨と肉に分けて肉は出来るだけ小さく切り刻み、骨は醤油をかけながらドラム缶でしっかり焼却、肉は川へ流し捨て、灰は山林に散布してしまうという一連の流れを「ボディーを透明にする」と称している。
モデルになった実際の事件では「遺体なき殺人」と呼ばれていた手口。

『冷たい熱帯魚』(Cold Fish)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

村田幸雄「てめぇはよ、自分の足で立った事のねぇ、腰抜けだっコノヤロォ!オレ 見てみろ、警察もやくざも全部敵に回しても、ここまで自分の力で、生きてきたんだっ!!」

顧問弁護士の筒井とその部下を処分し、二人の遺体を「透明」にした際に、及び腰になる社本の人間性を真っ向から否定した村田の一言が「てめぇはよ、自分の足で立った事のねぇ、腰抜けだっコノヤロォ!オレ 見てみろ、警察もやくざも全部敵に回しても、ここまで自分の力で、生きてきたんだっ!!」である。村田はこうして巧みに社本を煽り、この直後に社本の妻である妙子を抱いたことも仄めかす。自分自身の足で強く生きてきたことを誇示しつつも、生きるために自ら巨悪にならざるを得なかった村田の人生を全て凝縮したかのような、重い一言だ。

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