
『冷たい熱帯魚』(Cold Fish)は、園子温監督、脚本による2010年の日本映画。1993年に発生した「埼玉県愛犬家殺人事件」をモデルにしたサイコホラーで、同監督による実際の事件を土台とした「家賃3部作」シリーズの第1作。優れた演出と物語性が高い評価を獲得し、日本国内での主要な映画賞を総なめにした。しかしこの一方、俳優陣の狂気的ともいえる演技や、グロテスクな演出が話題となり「トラウマ映画」として挙げる視聴者も多い。小さな熱帯魚店を営む男性が事件に巻き込まれ、狂気に取り込まれていく姿を描く。
社本信行「人生ってのはな、痛いんだよ。」

美津子と対峙する社本
社本が娘の美津子に残した一言が「人生ってのはな、痛いんだよ。」だ。この言葉を残して社本は美津子の前で自殺をし、映画はクライマックスを迎えるが、美津子にこの言葉の重みが届くことは終ぞないままだった。
見るものの胸に重く圧しかかる、強いメッセージ性を感じる一言だ。
『冷たい熱帯魚』(Cold Fish)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
ネットで話題の「検索してはいけない言葉」のひとつとして挙がっている本作『冷たい熱帯魚』

多くの視聴者にトラウマを植え付けた、終盤の社本の変貌
インターネット上で「検索してはいけない」とされる言葉の中に、本作『冷たい熱帯魚』が挙げられている。園子温監督作品らしく、グロテスクとエロスを目一杯詰め込んだ作風と、実際に発生した事件が土台になっているという背景もあってか、この映画を視聴した人たちからは「トラウマ映画」として挙げられることも多い。
再編集するなら「愛子が笑っているくだりでエンドロール」と語った園子温
本作の監督を務めた園子温は、2012年『映画秘宝』7月号の『恋の罪』DVD発売に際したインタビューで「もしこの映画を再編集するなら、村田が社本に刺されて、愛子が笑っているくだりでエンドロールにしたい」と語っている。
作中、社本にボールペンでめった刺しにされた村田が絶命する場面でエンドロールに入ることで解釈の余地が広がり、ひとりひとりの視聴者によって違う結末を迎える『冷たい熱帯魚』が生まれていくかもしれない。再編集版の実現を望むファンが増えそうなエピソードである。
『冷たい熱帯魚』(Cold Fish)の主題歌・挿入歌
挿入歌:Polish National Radio Symphony Orchestra「Symphony No.1 in D Major, “Titan”-III」
村田が吉田を殺害後に村田が社本を怒鳴りつけるシーンや、筒井の遺体を山林の川に流した後、社本が村田を殴るシーンなど、比較的重要な場面で流れている挿入歌。静かで優雅な旋律とは裏腹に、画面はバイオレンスというギャップが心に残る。
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目次 - Contents
- 『冷たい熱帯魚』(Cold Fish)の概要
- 『冷たい熱帯魚』(Cold Fish)のあらすじ・ストーリー
- 村田との出会い
- 不穏のはじまり
- 壊れていく社本
- 全ての終わり
- 『冷たい熱帯魚』(Cold Fish)の登場人物・キャラクター
- 社本 信行(しゃもと のぶゆき/演:吹越満)
- 社本 妙子(しゃもと たえこ/演:神楽坂恵)
- 社本 美津子(しゃもと みつこ/演:梶原ひかり)
- 村田 幸雄(むらた ゆきお/演:でんでん)
- 村田 愛子(むらた あいこ/演:黒沢あすか)
- 筒井 高康(つつい たかやす/演:渡辺哲)
- 吉田 アキオ(よしだ アキオ/演:諏訪太朗)
- オオクボ ヒロシ(演:裴ジョンミョン)
- 吉田の弟(よしだのおとうと/演:三浦誠己)
- ますだ(演:芦川誠)
- 川尻 進(かわじり すすむ/演:坂田雅彦)
- さわだ ゆうこ(演:瀬戸夏実)
- 吉田の手下(よしだのてした)(演:中泉英雄/阿部亮平/小出志浩/龍坐/伊藤竜翼)
- 美津子の彼氏(みつこのかれし/演:山根和馬)
- 刑事(けいじ/演:橋本一郎)
- 「アマゾンゴールド」のスタッフ(演:斉藤リナ/赤崎菜美子/竹垣綾香/三ツ井菜々花/古藤ロレナ)
- 『冷たい熱帯魚』(Cold Fish)の用語
- 社本熱帯魚店(しゃもとねったいぎょてん)
- アマゾンゴールド
- はらきり山(はらきりやま)
- ボディーを透明にする(ボディーをとうめいにする)
- 『冷たい熱帯魚』(Cold Fish)の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 村田幸雄「てめぇはよ、自分の足で立った事のねぇ、腰抜けだっコノヤロォ!オレ 見てみろ、警察もやくざも全部敵に回しても、ここまで自分の力で、生きてきたんだっ!!」
- 社本信行「人生ってのはな、痛いんだよ。」
- 『冷たい熱帯魚』(Cold Fish)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- ネットで話題の「検索してはいけない言葉」のひとつとして挙がっている本作『冷たい熱帯魚』
- 再編集するなら「愛子が笑っているくだりでエンドロール」と語った園子温
- 『冷たい熱帯魚』(Cold Fish)の主題歌・挿入歌
- 挿入歌:Polish National Radio Symphony Orchestra「Symphony No.1 in D Major, “Titan”-III」