マンガ「童夢」とは

「童夢」という作品のストーリー

広大な団地群では、不穏な空気が流れていました。
謎の投身自殺が連続して止まりません。屋上を立ち入り禁止にして屋上のドアを開かぬ様にしても、自殺は止まる気配を見せないのです。
余りの不自然さに警察は退職間近の刑事と若手の刑事を差し向けますが、事件の真相に近づいた老刑事は、自らは望まないのに、操られ自殺してしまいます。
若手刑事は補充の老刑事と共に、見かけは主婦の霊能者と団地に赴きますが、霊能者震え上がり、逃げ帰ります。
彼女は「子供よ！ 子供に気をつけなさい！」と言い残しました。
一見、のどかな団地では、超能力者同士の激しい戦いが行われていたのです。

あらすじは以上ですが、意外な超能力者の正体、静から激しいバトル、そして静で決着がつく内容は、読者をとらえて放しませんでした。
この「童夢」という作品が、後の「AKIRA」に繋がったと言えます。
大友克洋の名を世間に刻んだのもこの「童夢」という作品であったと言えます。

「童夢」ショックが与えたアニメ表現への影響

「童夢」は特に少女漫画に与えた影響が大きかったように思います。吉田秋生は、それまでの画風を一変させて「BANANA FISH」という名作を残しました。少女漫画の世界では、お目々が大きいキラキラキャラは殆ど見なくなりました。
そして新しく萌えを求める読者が増えました。
背景の書き込みは相変わらず緻密ですが、萌えを取り入れた「カワイイ」キャラが求められたのです。その結果、大友克洋の描いた、リアルな描写は一部のジャンル以外では見られなくなります。

萌えを取り入れた独自のキャラが動く作品が増え、幼い美少女の日常を描く分野が生まれたのです。
ただ、リアルにこだわる漫画は新たな源流を作り上げたのです。