童夢(大友克洋)のネタバレ解説・考察まとめ
『童夢』とは、大友克洋が雑誌『アクションデラックス特別増刊』(双葉社)に1980年から1981年にかけて計4回にわたって連載したSF作品である。不可解な不審死が多発する団地を舞台に、団地に引っ越してきた超能力者の少女悦子(えつこ)が、影で事件を引き起こす同じ超能力者の老人チョウさんとサイキックバトルを繰り広げる。
緻密な描き込みと迫力のあるサイキックバトル描写など、後の大友の代表作『AKIRA』の原型とも言える。
高山の上司で、堤団地で発生する連続不審死事件を指揮する。事件を追ううちにチョウさんが事件に関わっていることに気づくが、彼に殺害される。
殺害されてから、団地を捜査する部下の高山達の前に度々出現するようになる。
岡村部長
山川部長の死後、後任として配属してくる。山川部長とは同期。
気さくな性格で、部下の高山達にも親しく接する。
その他の登場人物
野々村 典子(ののむら のりこ)
霊能力者の女性。霊感占いや祈祷などを生業としている。高山から堤団地の事件について相談を受ける。関心を持ち団地を訪れるも、尋常では無い雰囲気を感じ取り高山に「子供に気を付けなさい」と忠告する。
金子教授
宗教人類学を専門とする大学教授。他にシャーマンについても研究している(本人曰く、趣味みたいなもの)。
高山に霊能力者の野々村典子を紹介する。
『童夢』の用語
堤団地(つつみだんち)
本作の舞台。郊外に建つマンモス団地で、中には診療所が設置されている。3年前から立て続けに住民達の連続不審死事件が発生しており、物語冒頭では25人が命を落としている。
その後悦子とチョウさんによる激しいサイキックバトルが繰り広げられ、その影響から団地の一棟が完全に破壊されるという甚大な被害を受ける。
モデルは、埼玉県川口市にある芝園団地。
超能力
悦子やチョウさんが持つ特殊な能力。作中で主に描かれたのは、触れずに物を動かしたり破壊したりする「サイコキネシス」。中盤悦子とチョウさんはサイコキネシスを使用したサイキックバトルを繰り広げ、団地中に甚大な被害を及ぼすことになる。
その他に超能力で空中を移動する「テレポート」や遠くにいる相手を見つけ出す「透視能力」などが描かれている。また、チョウさんは相手の脳内に直接話しかける「テレパシー」や相手に幻覚を見せる能力などを使用している。
子供
本作の重要な鍵となる言葉。刑事の高山は堤団地で起こる事件について、霊能力者の野々村典子に相談する。しかし、野々村典子は団地に渦巻く異様な雰囲気を察し「子供に気を付けなさい」と忠告して手を引いてしまう。この「子供」を高山は当初文字通りの意味に捉えていた。だが事件後にチョウさんの部屋から大量のおもちゃが見つかったこと、さらに取調室で子供のように遊ぶチョウさんを見て高山は「子供」の意味に気づいて愕然とする。
忠告に出てきた「子供」とは、「子供」のような存在のことを指す。さらにその「子供」のような存在の正体は、チョウさんである。チョウさんは老人だが本質は「子供」であり、作中で彼の本質を見抜いていたのは悦子のみ。
『童夢』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
悦子「何がトマトよ あんなコトしたら赤ちゃんが死んじゃうでしょ なんていたずらっ子なのかしら」
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目次 - Contents
- 『童夢』の概要
- 『童夢』のあらすじ・ストーリー
- 不可解な連続不審死事件
- チョウさんの暗躍
- 霊能力者の忠告
- 悦子対チョウさん
- 最後の対決
- 『童夢』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 悦子(えつこ)
- 内田 長二郎(うちだ ちょうじろう)
- 高山
- 堤団地の住民
- 吉川 ひろし(よしかわ ひろし)
- 藤山 良夫(ふじやま よしお)
- 佐々木 勉(ささき つとむ)
- 手塚
- ひろしの父
- 悦子の母
- 悦子の父
- 警察関係
- 山川部長
- 岡村部長
- その他の登場人物
- 野々村 典子(ののむら のりこ)
- 金子教授
- 『童夢』の用語
- 堤団地(つつみだんち)
- 超能力
- 子供
- 『童夢』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 悦子「何がトマトよ あんなコトしたら赤ちゃんが死んじゃうでしょ なんていたずらっ子なのかしら」
- 野々村 典子「子供よ 子供に気を付けなさい」
- ヨッちゃんの怒り
- 悦子とチョウさんの戦いを見つめる子供達
- 悦子の超能力で壁にめり込むチョウさん
- 高山「あっ………あれは殺された子供のことじゃなかったのか?」
- それぞれ違う場所でサイキックバトルを繰り広げる悦子とチョウさん
- 『童夢』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 作者の試行錯誤の果てに誕生した『童夢』
- 主人公「悦子」のモデル
- デヴィッド・リンチによる映画化企画