平家物語(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『平家物語』は、鎌倉時代の軍記物語である『平家物語』を古川日出男が現代語訳した版を底本として、サイエンスSARUが制作した2022年1月から放送されたテレビアニメ。物語の語り部となる琵琶法師の「びわ」がアニメオリジナルキャラクターとして主人公に据えられている。未来が見える力を持つ琵琶法師の娘「びわ」が平家の屋敷で暮らすようになり、滅びゆく一族の栄華と衰退をその目で見つめていく。平家の人々と「びわ」の交流を軸に、時代に翻弄されながらも懸命に生きた人々の群像物語。
平家が一ノ谷で、頼朝の弟である義経(よしつね)率いる軍に圧倒され敗走する最中、敦盛は清経に誓った「雄々しく戦う」という言葉を思い出していた。そして、戦場に亡き清経の笛を忘れたことに気づき、引き返す。笛を手に平家の船が浮かぶ浜へ向かおうと馬で駆けていると、「敵に背を向けるとは」と一人の源氏の武者に挑発される。敦盛は馬を降り、刀を抜いた。見事な剣術で敵に膝をつかせるも、戦いに不慣れなため人を斬ることに躊躇い、一瞬の隙を作ってしまう。そこを見逃さなかった源氏武者に、押し倒されて兜を取られる。しかし、敦盛のまだ若く幼い顔を見た武者は、その顔を自身の息子に重ねて動きを止めた。助けようとした武者に、敦盛は「さっさと首を取れ」と言い放ち「首を取れば、其方の名も上がろう」と穏やかに武者へ語りかけた。若い敦盛の命はこの瞬間、終わることになる。
維盛の最期
一ノ谷の戦いの敗走中に捕えられた重衡から、平家に朝廷へ三種の神器を返すようにと書状が届く。しかし結局返さず、重衡は鎌倉の頼朝の元へ送られた。倶利伽羅峠から気を病んでいた維盛の元にも、資盛からこの重衡のことが伝えられた。肩を震わせて「地獄に落ちるのだ」と怯える兄に、資盛は少しでも笑わせようと冗談を言うが虚しさが勝った。鎌倉に送られた重衡は頼朝と出会うことになるが、重衡の雅で美しい様を見て頼朝の罰する気持ちが揺らぐ。それでも、根絶やしにしなければ終わらない戦を想い、一層平家打倒に覚悟を決める。その頃、びわは平家の逃れた屋島近くまでやってきていた。そこで、出家して坊主となった維盛に再会する。維盛は屋島を逃れ、数人の家臣とともに出家し、そしてこれから入水することがびわには見えていた。「其方のことも語ろうぞ」と話すびわの目を見つめて、「生きた甲斐がある」と微笑む維盛。入水間際、念仏を背に立つ維盛の手は震えていた。最後まで子供の時のように臆病な維盛だった。
屋島の資盛は後白河法皇に命乞いの書状を送っていたが、返事はなくため息をついていた。そこにびわが現れ、びわはようやく平家一門の元に辿り着く。再会を喜ぶのも束の間、屋島に義経の軍勢が押し寄せて再び海へと平家は追いやられてしまった。
滅びる平家と語り継ぐ物語
屋島を追われた平家は、これ以上退く場所がない程追い詰められていた。そして、壇ノ浦で義経の兵と正面から戦うことになる。兵力に分はあれど、勇猛な知盛の活躍によって平家が源氏を押していた。しかし突然風が止み、どこからか現れたイルカが両者の船の回りを泳ぎ始めた。そして平家の連れていた陰陽師が、「イルカがこちらに来れば平家が滅ぶ」と予言した。その通りに、イルカは次第に平家側へ泳ぎ出し、止まっていた風は源氏に追い風として吹き始めたのだ。一気に劣勢となった平家に勝機はなく、知盛は母の時子に負けを伝えに行く。「敵の手にはかからない」と言う時子は、孫の安徳天皇の手を取って船の先に立つ。まだ小さい天皇を抱いて、「波の下にも都がありますよ」とつぶやいた時子は入水した。続いて飛び込む女たちに混ざって、徳子も沈む。しかし、「徳子の先はまだ続いている」とびわが叫んで、徳子は引き上げられる。平家の武者たちは鎧を着て、敵を道連れにして海に飛び込んでいく。知盛は全身に錨の綱を巻きつけて、雄々しく沈んでいった。びわの目はその瞬間から、みるみる視力を失っていく。
時が経ち、後白河法皇が山寺に住む徳子のもとを訪れる。「どうすれば苦しみを超えられるのか」と徳子に問う法皇に、徳子は「ただ愛する者を想い、祈るのです」と柔らかに語った。びわが自分たち平家の物語を語り継ぎ、その中で平家一門は生き続けていると徳子は信じていた。徳子は、その物語の始まりは「祇園精舎の鐘の声」だと法皇に教える。
『平家物語』の登場人物・キャラクター
主要人物
びわ
声: 悠木碧
薄い青緑の右目で未来が見える琵琶法師の娘。アニメオリジナルキャラクターで、平家の滅亡を見届けるまで容姿の変化が全くない子供の姿。父親の死をきっかけに平家の行く末を知り、重盛に伝えたところ平家とともに生活することになる。重盛の子供たちと成長していく。
平重盛(たいらのしげもり)
声:櫻井孝宏
平清盛の息子。過去や亡者の見える、薄い茶色の左目を持つ。「平家の良心」と朝廷で言われるほど、清盛の横暴や諸々の面倒ごとの尻拭いをして忠義を大切にする。人格者で、周囲からの信頼も厚いが、清盛は真面目な重盛を「面白うない」と野次る。暗闇に亡者をよく見るため闇を怖がり、屋敷には灯籠を多く置いているため「灯籠殿」とも呼ばれていた。
平家の人々
平徳子(たいらのとくこ)
声:早見沙織
重盛の異母妹で、清盛の娘。高倉天皇の妻として嫁ぎ、安徳天皇を産んだ。聡明で美しく、物腰の柔らかい女性。びわの良き話し相手で、仲が良い。自身の身の上を嘆き、受け止め懸命に我が子を守ろうとする。
平維盛(たいらのこれもり)
声:入野自由
重盛の長男。大人しく、優しい性格。武芸よりも舞を得意とし、その舞の美しさは評判だった。臆病で思い詰めるため、戦場の悲惨さや命を失う恐ろしさに少しずつ気を病んでいく。
平資盛(たいらのすけもり)
声:岡本信彦、小林由美子(幼少期)
重盛の次男。生意気で勝ち気な性格。びわとはよく口喧嘩をしているが、思慮深い一面も持つ。兄が気を病んでからは、弟や平家のために考えを巡らして戦う。
平清経(たいらのきよつね)
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目次 - Contents
- 『平家物語』の概要
- 『平家物語』のあらすじ・ストーリー
- 平家とびわの出会い
- 妓王の運命と徳子の輿入れ
- 厳島の思い出と延暦寺の強訴
- 鹿ヶ谷の陰謀
- 以仁王の令旨
- 敦盛の登場、富士川の戦い
- 清盛の死
- 倶利伽羅峠の戦いと都落ち
- 清経の死、びわの母
- 一ノ谷の戦いと敦盛
- 維盛の最期
- 滅びる平家と語り継ぐ物語
- 『平家物語』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- びわ
- 平重盛(たいらのしげもり)
- 平家の人々
- 平徳子(たいらのとくこ)
- 平維盛(たいらのこれもり)
- 平資盛(たいらのすけもり)
- 平清経(たいらのきよつね)
- 平経子(たいらのつねこ)
- 平宗盛(たいらのむねもり)
- 平知盛(たいらのとももり)
- 平重衡(たいらのしげひら)
- 平敦盛(たいらのあつもり)
- 平清盛(たいらのきよもり)
- 平時子(たいらのときこ)
- 平時忠(たいらのときただ)
- 平高清(たいらのたかきよ)
- 新大納言局(しんだいなごんのつぼね)
- 平忠度(たいらのただのり)
- 平教経(たいらののりつね)
- 源氏の人々
- 源頼朝(みなもとのよりとも)
- 北条政子(ほうじょうまさこ)
- 源義経(みなもとのよしつね)
- 武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)
- 静御前(しずかごぜん)
- 木曾義仲(きそよしなか)
- 巴御前(ともえごぜん)
- 熊谷直実(くまがいなおざね)
- 朝廷
- 後白河法皇(ごしらかわほうおう)
- 平滋子(たいらのしげこ)
- 高倉上皇(たかくらじょうこう)
- 安徳天皇(あんとくてんのう)
- 後鳥羽天皇(ごとばてんのう)
- 以仁王(もちひとおう)
- その他の登場人物
- 妓王(ぎおう)
- 浅葱の方(あさぎのかた)
- びわの父
- 藤原成親(ふじわらのなりちか)
- 俊寛(しゅんかん)
- 『平家物語』の用語
- 琵琶(びわ)
- 琵琶法師(びわほうし)
- 禿(かぶろ・かむろ)
- 棟梁(とうりょう)
- 摂政(せっしょう)
- 白拍子(しらびょうし)
- 強訴(ごうそ)
- 恩赦(おんしゃ)
- 令旨(りょうじ)
- 小枝の笛(さえだのふえ)
- 『平家物語』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- びわ「いつかというのはいい言葉だの。明日、明後日。先のことが少し、楽しみになるの」
- 平重盛「其方を巻き込んでしまった。滅びゆく、平家という一族に」
- 平徳子「私は世界が苦しいだけじゃないって思いたい。だから私は許して、許して、許すの」
- びわ「平家の行く末を見届けようと思う。見届けて、祈りを込めて琵琶を弾く」
- 敦盛の一騎打ちと死に様
- 平重盛・びわ「祇園精舎の鐘の声」
- 『平家物語』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 徳子の物語
- びわの歌はプロお墨付き
- 維盛の弱さが『平家物語』には必要
- 『平家物語』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):洋文学「光るとき」
- ED(エンディング):agraph feat. ANI(スチャダラパー)「unified perspective」