平家物語(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『平家物語』は、鎌倉時代の軍記物語である『平家物語』を古川日出男が現代語訳した版を底本として、サイエンスSARUが制作した2022年1月から放送されたテレビアニメ。物語の語り部となる琵琶法師の「びわ」がアニメオリジナルキャラクターとして主人公に据えられている。未来が見える力を持つ琵琶法師の娘「びわ」が平家の屋敷で暮らすようになり、滅びゆく一族の栄華と衰退をその目で見つめていく。平家の人々と「びわ」の交流を軸に、時代に翻弄されながらも懸命に生きた人々の群像物語。

棟梁(とうりょう)

棟梁という言葉は今日では「大工の親方」という意味で用いられることが多いが、元は建物の屋根の主要部分である棟と梁を指していた。棟と梁は建物の最も高い部分にあり、かつ重要な部分であるため、転じて国家などの組織の重要な人物を指して使用する事もある。10世紀から11世紀にかけて、武士が登場すると「武家の棟梁」という呼び方が広まる。

摂政(せっしょう)

一般に、日本史上における摂政とは天皇の勅令(ちょくれい)を受けて天皇に代わって政務を執ることまたその者の職であると定義される。

白拍子(しらびょうし)

平安時代末期から鎌倉時代にかけて起こった歌舞の一種、及びそれを演ずる芸人のことをいう。また、男装の遊女や子供が今様や朗詠を歌いながら舞うことが多かった。

強訴(ごうそ)

平安時代中期以後、僧兵・神人らが仏神の権威を誇示し、集団で朝廷・幕府に対して行なった訴えや要求、江戸時代に農民が領主に対して年貢減免などを要求したことを指す。「南都北嶺(なんとほくれい)」と並び称された奈良の興福寺と比叡山延暦寺は強訴の常連で、興福寺は春日大社の神木(春日神木)、延暦寺は日吉大社の神輿などの「神威」をかざして洛中内裏に押し掛けて要求を行い、それが通らない時は、神木・神輿を御所の門前に放置し、政治機能を実質上停止させるなどの手段に出た。

恩赦(おんしゃ)

行政権(又は立法権)により、国家の刑罰権の全部又は一部を消滅若しくは軽減させる制度のことを言う。

令旨(りょうじ)

律令制のもとで出された、皇太子・三后(太皇太后・皇太后・皇后)の命令を伝えるために出した文書。平安時代中期以降は、皇太子・三后に加えて女院や親王などの皇族の命令も令旨と呼ばれるようになった。「以仁王の令旨」は、皇太子でも親王でもない以仁王が命令の正統性を高めるためにあえて親王の身位を冒して発したものである。

小枝の笛(さえだのふえ)

別名を青葉の笛という。 平敦盛が秘蔵したと伝えられる笛。弘法大師が在唐の頃、青龍寺で造ったところ不思議にも青葉が生え、帰国後、嵯峨天皇に献上したのが、のち平家に伝わり、敦盛のものとなった。敦盛を討った熊谷直実がその首とともに神戸の須磨寺へ持ち帰り、現在に伝わるのがそれという。

『平家物語』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

びわ「いつかというのはいい言葉だの。明日、明後日。先のことが少し、楽しみになるの」

出典: fugaofftime.com

妓王に手を取られて、また会えることを楽しみにするびわ。

妓王が清盛の元へ、自分の代わりに寵愛を受ける仏御前の話し相手として尋ねたときに、びわが言った言葉。白拍子だった母に「いつかきっと会えるわよ」と妓王に言われたびわは、「いつかというのはいい言葉だの。明日、明後日。先のことが少し、楽しみになるの」と嬉しそうに呟いた。未来の見えるびわは、滅びる運命の平家とともに生活をしていたが、いずれやってくる「先」を怖いと感じていた。妓王との別れ際、「また今度」と言うびわに「また今度もいい言葉ね」と優しく微笑む妓王。びわの日常の穏やかで、ゆったりとした暖かい温度を感じるやりとりである。

平重盛「其方を巻き込んでしまった。滅びゆく、平家という一族に」

出典: fugaofftime.com

最期に琵琶の音を聞く重盛。

重盛が危篤の際、びわを呼んで「すまぬな」と謝ってから「其方を巻き込んでしまった。滅びゆく、平家という一族に」と伝えた。清盛の横暴の尻拭いに奔走し、後白河法皇の信頼も厚く真面目な苦労人の重盛。亡き者が見える自分とは異なるが、先が見える目を持つびわには何事も包み隠さず話していた。平家の栄華に陰りが見え始めた矢先に倒れたため、びわを平家に招いたことを申し訳なく思っていた。重盛は最期にびわに琵琶を弾くように頼み、その音の中で息を引き取る。びわは重盛の亡骸に縋り付いて、泣いていた。

平徳子「私は世界が苦しいだけじゃないって思いたい。だから私は許して、許して、許すの」

びわに語る徳子と流れる涙。

望まない婚姻で嫁いだ高倉天皇に、少しずつ恋をした徳子。しかし、高倉天皇が心休まるのは徳子のそばではなかった。一人の人間として誰かを愛して、愛されることは平家の娘として生まれた自分には無理なのだろうという諦めが滲む言葉。猫のようにやってくる話し相手のびわに、「私は世界が苦しいだけじゃないって思いたい。だから私は許して、許して、許すの」と涙を流しながら話した。平家に反く者を戦いで打ち負かしていく自らの一族も、そんな一族の血が流れる自分から離れる愛する人も、「許したい」徳子の気持ちが溢れている。

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