Lobotomy Corporation(ロボトミーコーポレーション)のネタバレ解説・考察まとめ

『Lobotomy Corporation』とは、韓国のMoon Projectが開発したシミュレーションゲームである。
2016年にアーリーアクセスが始まり、シナリオやシステム面の改善を経て2018年に正式版がリリースされた。ゲームの目的は、巨大企業ロボトミーコーポレーションの管理人となって、不思議な存在「アブノーマリティ」を管理すること。公式で対応している言語は韓国語と英語のみだったが、現在では日本語に対応している。

施設を歩いているモブキャラ。エージェントと違い、プレイヤーが指示を出すことはできない。
エージェントと違ってパラメーターが低く(しかも育成することができない)、E.G.O装備もつけられず丸腰状態のため打たれ弱い。
アブノーマリティの中には死者の数によってさらに強くなったりするものもおり、オフィサーの存在はアブノーマリティを強化させてしまう邪魔な存在という扱いであった。
が、正式版によりオフィサーが生存していることによって施設の各設備が稼働し、エージェントのHP回復などの様々な恩恵が得られるようになった。

セフィラ

エージェントなどの職員より高位の存在であり、施設の各部門を管理するAI。
プレイヤーは認知フィルターがかけられており人の姿に見えるが、実態はAIを搭載したロボットである。
それぞれにモデルとなった人物がおり、セフィラたちはモデルとなった人物の言動を真似して行動する。

全部門を統括し、プレイヤーのサポート役となるアンジェラを頂点として、マルクト、イェソド、ホド、ネツァク、ティファレト、ゲブラー、ケセド、ビナー、ホクマーの10人(9部門だが、ティファレトが双子であるため10人)がそれぞれの部門を担当している。
名前の通り、アンジェラ以外の名前のモチーフはセフィロトの生命の樹。

彼らからは部門別にミッションを受諾でき、与えられた条件を達成して1日を終えることで管理に有用な機能が研究され、彼らとの物語も進んでいく。

コギト

ストーリーの鍵を握る薬品。
作中では「井戸に落とされる釣瓶」と例えて用いられており、具体的にどういうものなのかという点に関しては説明されていない。
「何らかの液体の薬品であること」「人間に使用するとアブノーマリティとなる」「アブノーマリティとならずとも、全身から血を吹き出すなどの重傷を負う」と言った特徴がある。

由来は「コギトエルゴスム(我思う故に我有り)」から「コギト(私は思考するという意味のラテン語)」。

『Lobotomy Corporation』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

レガシー版と正式版の違い

レガシー版と正式版では、大きく異なる部分がある。
まずストーリーの展開。正式版では、レガシー版のイベントのひとつであるBが自らの名前(Benjamin)を綴ってメッセージを送るくだりが消えている。
正式版では、Bが誰であるかは明かされないまま話が進み、B=Benjamin=ベンジャミンであるということはシナリオ終盤にホクマーと初対面してようやく判明する。

他の大きな違いとしては、アブノーマリティへの作業にまつわるシステムがある。
レガシー版にはE.G.Oがなく、職員の武器は警棒とピストルだけという丸腰に近い装備であった。
そして職員にはそれぞれ「楽観主義」「合理主義」などの信条が設定されており、「このアブノーマリティは楽観主義の職員が作業を行うと脱走する」「合理主義の職員が作業を行うと、その職員はアブノーマリティに殺される」というようなシステムであった。
作業自体もレガシー版では「食事」「清掃」「娯楽」「暴力」から「本能」「洞察」「愛着」「抑圧」に名前が変わっている。

エージェント「ジョシュア」

エージェントは(プレイヤーが自由につけることもできるが)システムでランダム決定された名前を持っている。
ジョシュアはランダム決定される名前の候補のひとつである。

バグにより、新しく雇用する職員の名前がすべてジョシュアになるという事態が発生することがあった。

レガシーから長らく発生していたバグで、プレイヤーからはゲームシステムになぞらえて「すべての職員の名前をジョシュアに変えるという情報汚染型のアブノーマリティ」と揶揄されていた。
このバグについては開発も認識しており、何度も修正パッチが配られた。しかし別の要因でバグが起きるなどで「情報汚染型アブノーマリティ ジョシュア」はしぶとく残り続けた。
しかし2018年の正式版アップデートと共についに修正され、ジョシュアバグは完全に撲滅された。
その際には正式版のアップデート欄に「情報汚染アブノーマリティ「ジョシュア」制圧完了」とわざわざ書かれるなど、かなり印象的なバグだった。

「管理人!管理人!」

このネタに由来するアブノーマリティ「何もない」。

動画投稿サイトのプレイ実況によくつけられるコメント。
コメントの元ネタ自体は、アブノーマリティのひとつ「何もない」のエンサイクロペディアの記録から。

アブノーマリティ「何もない」は正体が不定で、「何もないが確かにそこに存在している」と形容するしかないアブノーマリティである。
「そこにある、が、何もない」という「何もない」は、空白の自分を埋めるため、近くの生物を殺してその皮をかぶることでその生物になりきるという生態がある。
施設に収容された「何もない」は作業をしに来た職員の普段の行動、話す習慣、好き嫌い、見たもの全てを模倣する。そして隙があれば殺し、職員になりきるために皮をかぶる。そして観察により学習した職員の言動を繰り返して人間に紛れるというレポートがエンサイクロペディアに書かれている。
「管理人!管理人!」とはそのエンサイクロペディアのレポート内にある記述で、殺された職員が最期に連呼したであろう言葉である。
(「何もない」に殺されそうになり「管理人!(見ているなら助けてくれ!)」とあげた悲鳴)

イベントシーンなどで「何もない」「何もなかった」というような台詞が登場すると、アブノーマリティ「何もない」の存在とかけて視聴コメント欄に「管理人!管理人!」と書かれる。
そして、「管理人!管理人!」のコメントを指して「おい、何もないがコメントを書き込んでるぞ!」「脱走したのか!」とさらなる返信がつけられる。
この一連のコメントは動画投稿サイトのコメント欄でよく見られるお決まりの流れとなった。

「触れてはならない」による初見殺し

「触れてはならない」に触れてしまった時に現れるロゴ。同時に大音量で警告音がする。

アブノーマリティ「触れてはならない」に由来するネタ。

「触れてはならない」はスイッチの形をしたアブノーマリティで、触ると不幸が起きるという設定を持っている。
これは単にフレーバー的なものではなく、実際に「触れてはならない」に何らかの操作を行うことで、職員の全滅や全アブノーマリティの脱走などまさにプレイヤーにとっての「不幸」が起きる。
作業を行うため「何もない」が収容されている部屋をクリックすることも、エンサイクロペディアを開くためにクリックすることもしてはいけない。
もしクリックしてしまうと、画面が揺れて「押すな」と叫ぶ音声が流れる専用の演出が入る。
それを無視してさらにクリックすると、反転したLobotomy Corporationのロゴが画面に現れゲームが強制終了する。
職員の死亡やアブノーマリティの脱走というゲーム内の現象だけでなく、ゲームそのものにまで影響を及ぼすまさに「触れてはならない」存在である。

新規プレイヤーが「触れてはならない」に触れてしまい、ゲーム―オーバーになってしまうというのはLobotomy Corporationの「あるある」「初見殺し」のひとつである。

シナリオのメタ要素

「触れてはならない」のように、シナリオには、いくつものメタ的な要素が含まれている。

ゲーム中の一時停止や倍速再生、さらにはアブノーマリティのデータを引き継いでのニューゲームですら、単なるゲーム的なものではなく「技術提携したTimeTrack社の時間操作技術によるもの」と設定が与えられており、「一時停止中は実際に時間が停止している」「プレイヤーがゲームを起動していない時は、ゲーム内のキャラクターも眠りについている」「プレイヤーがゲームをリセットした場合、ゲーム中のキャラクターも記憶除去処理を行ってリセットされている」ということになっている。
そういったようにゲーム的な操作と世界観設定が結びついているため、時空間干渉能力がある設定のアブノーマリティは一時停止や倍速再生を封じることができる。

作中でホクマーやアベルたちが指す「無数のX」とは、物語上の設定のことではなく、プレイヤーがゲームオーバーになるなどしてニューゲームを始めた場合のことや、このゲームを購入した他のプレイヤーのことなども総合して指している。
そして、46日目で「この先は過酷だから準備を整えた方が良い」というのも、「これからの作業パートでは全アブノーマリティ脱走などの事態が起きるので、もし脱走してもそれほど危なくないように危険性の低いアブノーマリティで固めた方がいい。もし危険なアブノーマリティを収容しているのならニューゲームを始めて比較的安全なものを揃えるべきだ」というゲームプレイ上の攻略のことを指している。

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