宇宙人ポール(Paul)のネタバレ解説・考察まとめ

『宇宙人ポール』とは、アメコミのイベントに参加するためイギリスからやって来たSFオタクの二人の男が、UFOの跡地巡りの旅の途中でポールと名乗る本物の宇宙人と遭遇し、彼を故郷の星に返してあげようと奮闘しまくるアメリカとイギリス製作のSFコメディ。2011年公開。様々なSF映画ネタが出てくるストーリーを担当したのは主演の二人を演じているサイモン・ペッグとニック・フロスト。

グレアム達が宇宙人ポールに初めて遭遇する場面で、グレアムがポールに「エイリアンか」と聞くと「君たちにとってはね」と返事し、恐る恐る「指、入れるの?」とグレアムが聞いたときのポールの言葉。
人間がエイリアンに拉致され体を詳しく調べられるという話は、海外では真偽は別にして体験談なども多く、SF小説やSF映画でもテーマとして扱われることがある。
映画では「コミュニオン/遭遇」(88年 出演:クリストファー・ウォーケン)「ファイヤー・イン・ザ・スカイ/未知からの生還」(93年 出演:ロバート・パトリック)などがある。
エイリアンが人間の体を調べるもんだと勝手に思い込んでいるグレアムに呆れたように「また、それかよ」と言い返し、続けてそんなことするわけないだろとばかりに言い返すユーモラスなシーンでもある。

「これだけど、返してほしいよね、どうぞ」「ありがとう」

少女時代のタラが手に持っていたクマのぬいぐるみ

60年ぶりにタラと再会したポールがタラにクマのヌイグルミを返すときの二人のセリフ。
幼いタラがポールと遭遇したときに手に持っていたヌイグルミで、彼が政府機関に連れ去られるときになぜか一緒に持って行ったようで、それを何時の日か彼女に返そうと彼は大事に保存していた。ポールから受け取ったヌイグルミをタラが大事そうに抱え「ありがとう」と言うところは、長い時を経ても互いの心が初めて会った時のままだと思わされ、胸にグッとくる。

『宇宙人ポール』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『宇宙人ポール』に出てくる映画ネタの数々

「宇宙人ポール」にはSF映画だけでなく、冒険アクションやドラマなど様々な映画ネタがセリフの端々に出てくる。映画だけでなくコミック・ネタも登場する。日本では馴染みのないものもあるが、その元ネタとなった作品を紹介。

「フラッシュ・ゴードン」のラジオ放送

映画の冒頭、タラの家のラジオから「フラッシュ・ゴードン」の番組が流れている。
1934年に新聞連載開始されたスペースオペラのコミックで、その後ラジオドラマ、テレビドラマ、映画などが作られた。
冒険家フラッシュ・ゴードンと恋人のディルがザーコフ博士の作ったロケットで惑星モンゴに行き、そこで冷酷なミン皇帝と戦うストーリー。
クライヴが、ミン皇帝がプリントされたTシャツを着ている。
日本では、クイーンがテーマソングを担当した映画「フラッシュ・ゴードン」(80年)が良く知られている。

クライウがミン皇帝のイラストのTシャツを着ている

「宇宙大作戦 スター・トレック<テレビ版>」

クライブ達がやってきたコミコンの会場モニターに、テレビ版の1エピソード、エンタープライズ号のカーク船長が緑色の異星人ゴーンと戦う「怪獣ゴーンとの対決」が流されている。
クライブ達がキャンピングカーでUFO跡地の旅に出た時、岩場でグレアムがゴーンのマスクをかぶって戦いのシーンを真似て遊ぶ場面が出てくる。

岩場で「スター・トレック」ごっこをするグレアムとクライヴ。

「スタートレック」の異星人キャラ・クリンゴン人

クリンゴン語を話すクライヴ

クライヴは、ムカッときた時やイヤミな人間を相手にした時、「スター・トレック」に登場するクリンゴン星人の言葉を使うことがしばしばある。初期のテレビシリーズでは、獰猛で戦いを好むダークなイメージが強かったクリンゴン星人だが、幾つかのシリーズを経てイメージが変わっていった。
クリンゴン語は、アクセントが極端なのが特徴。

クリンゴン星人

「トータル・リコール」

コミコンで、アダム・シャドウチャイルドに会ったクライヴが自分の書いたSF小説を見せるが、グレアムがイラストを描いた表紙の乳房が3つある美女のイラストをシャドウチャイルドが「素晴らしい」と褒める。
アーノルド・シュワルツェネッガー主演のSF映画「トータル・リコール」(90年)で、乳房が3つある女性が登場するが、それが元ネタのようだ。
グレアムは3つの乳房にこだわりがあるようで、クライブの新作「ポール」の表紙イラストでもポールが3つの乳房を付けている。

ishikawa04227
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@ishikawa04227

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