アタック・ザ・ブロック(Attack the Block)のネタバレ解説・考察まとめ

『アタック・ザ・ブロック』とは、南ロンドンの低所得者用の公営団地(ブロック)で暮らす不良キッズ達が、彼らがカツアゲした看護師も巻き込んで、宇宙から飛来した凶暴なエイリアン達と苛烈なバトルを繰り広げる一夜を描いたイギリスのSFアクション・ムービー。映画監督クエンティン・タランティーノが、11年度のベスト映画の1本に挙げた痛快娯楽作だ。2011年製作。

「すっげえビビってるけど、サイコーだぜ」

エイリアン達の中を抜けて団地に戻ろうとする時、ペストがモーゼスに向かって興奮気味に言う

地下駐車場でハイハッツの手下がエイリアンに殺された隙に彼の前から逃げ出したモーゼス達が団地に戻ろうと決めた時、ペストがモーゼスに「すっげえビビってるけど、サイコーだぜ」と自分を鼓舞するように言い放つ言葉。
道路に凶暴なエイリアンがウヨウヨいる中をバイクや自転車で突き抜ければならず、それがとても恐いが、めったにない出来事に興奮さえ覚えているペストの気持ちがストレートに伝わってくる。

「家に帰って“ナルト”でも観てろ」

メイヘムとプロブスがモーゼス達に「武器ならある。僕たちも連れてって」と頼んだときに、「家に帰って“ナルト”でも見てろ」と言って追い返す。
日本の漫画&アニメ「ナルト」は、イギリスの若者たちの間で人気があったそうで、本作の脚本を書くためにコーニッシュ監督がキッズ達に取材した時、この作品の名がよく上がったので映画に取り入れたのだそうだ。

「奴らを呼び寄せたの俺だ。俺がカタをつける」

襲いくるエイリアンからロンの部屋の温室に逃げ込んだモーゼスが、ブルースから彼の服に付いたメスのエイリアンのフェロモンに引き寄せられ襲ってくるんだと説明され、仲間のデニスやジェロームが死んだのは自分のせいだったと気付き、絶対に彼らを倒してやると決意したときのセリフ。
ヒーローになろうとしたのではなく、仲間を殺したエイリアン達への復讐心から彼らを全滅させる作戦を実行するわけで、強い仲間意識を感じさせ、胸にグッとくる。

『アタック・ザ・ブロック』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

エイリアンを直接的にはっきりと見せない監督のこだわり

ティアの部屋の窓に現れたエイリアン達

コーニッシュ監督は、凶暴なオスのエイリアンをあえて直接的に映さないことで、見る者の恐怖心を掻き立てようとしたそうだ。
だから最初は窓越しや煙越しにエイリアンを見せるだけで、全身が映し出される場面でも全体が真っ黒で目と歯だけが青白く光り、はっきりとした形が分からないよう工夫されている。

不良キッズ達の会話には、ヒット映画やゲームのネタがいっぱい

不良キッズ達の会話には、SFやホラーなどの人気映画やゲームに関したセリフがいろいろ出てくる。
・映画「ハリー・ポッター」シリーズ
路上でモーゼス達がサムをカツアゲしている時にそばの高級車に隕石らしきものが激突し、お宝があるんではと車内を物色していたモーゼスに得体のしれない生き物が襲いかかり、そいつがナイフで刺されて逃げ出した時にデニスが「ハリー・ポッターのドビーみたいだった」と言う。
ドビーは、屋敷しもべの妖精でハリーを何かと手助けする耳の大きい魔法生物。

「ハリー・ポッター」シリーズに登場するドビー

・映画「28日後…」(02)
地下駐車場でハイハッツから逃げてきた不良キッズ・グループのジェロームが、自分たちを取り巻くヤバイ状況を映画「28日後…」に例えて言う。
「28日後…」はロンドンで初登場1位の大ヒットを放ったサバイバル・ホラー。新種のウィルスに感染した人間が他の人間達を襲う様を生々しく描いていて、2007年には続編「28週間後…」が作られた。

・ゲーム「ギアーズ・オブ・ウォー」
最初のエイリアンを殺したモーゼス達が、それを団地に持ち帰ろうと歩道を歩いている時、ジェロームが携帯で友達に「未知の生物だ。まるでギアーズ・オブ・ウォーだ」と言う。
兵士たちが地底からの侵略者ローカストと戦うというゲームで、現在「ギアーズ・オブ・ウォー4」まで発売されている。映画化の話が持ち上がっているが今のところ進んでいないようだ。

ゲーム「ギアーズ・オブ・ウォー」

・映画「ゴーストバスターズ」(84)
モーゼス達が無理矢理サムの部屋に押しかけてきた時、携帯で警察に通報しようとした彼女に向かってペストが「ゴーストバスターズを呼んでもらった方がいい」と言う。
「ゴーストバスターズ」は、都会に現れたお化け達を退治するゴーストバスターズの活躍をコミカルタッチで描いた大ヒット作。レイ・パーカー・jrが歌うテーマ曲も大ヒットした。89年に続編「ゴーストバスターズ2」が作られ、2016年にはリプート女性版「ゴーストバスターズ」が製作された。

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