花燃ゆ(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『花燃ゆ』(はなもゆ)とは、2015年1月4日から放送されたNHK大河ドラマ。大河ドラマとしては第54作目にあたり、吉田松陰の末妹で、後に久坂玄瑞の妻となる杉文(後の楫取美和子)の生涯を描いた作品となっている。主演はテレビドラマ『花より男子』などで知られる女優の井上真央が務め、伊勢谷友介や大沢たかおといった人気俳優たちが脇を固める豪華出演陣でも話題となった。

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『花燃ゆ』の概要

『花燃ゆ』(はなもゆ)は、2015年1月4日から12月13日にかけて放送されたNHK大河ドラマ。第54作目となる作品で、キャッチコピーは「幕末男子の育て方」。
テレビドラマ『1リットルの涙』などの代表作をもつ大島里美、NHK連続テレビ小説『ぴあの』などの脚本を担当した宮村優子が脚本を務め、途中からはテレビドラマ『ナースのお仕事』シリーズなどで知られる金子ありさが参加し、第36回からはNHK大河ドラマ『天地人』などの脚本を担当した小松江里子が残り全回分を書き継ぐという、大河ドラマとしては異例の、4人の脚本家によるチームでの執筆となった。
テレビドラマ『花より男子』の牧野つくし役などで知られる井上真央が主演を務め、伊勢谷友介や大沢たかおといった豪華出演者たちが脇を固めることでも大きな話題を呼んだが、初回放送の視聴率は16.7%と、1989年の『春日局』の14.3%、1977年の『花神』の16.5%に次ぐワースト3位の発進となってしまった。

幕末の長州藩を舞台に、兄の松陰や夫の玄瑞を喪いながらも、彼らの志を引き継ぎ、当時はまだ浸透していなかった「女子教育」の普及に尽力した杉文(楫取美和子)の激動の人生を描いている。

『花燃ゆ』のあらすじ・ストーリー

松下村塾での青春

江戸時代末期、長州藩士の家に四女として生まれた杉文(すぎ ふみ)は、若くして兵学師範として長州藩の軍事を率いる兄・吉田寅次郎(よしだ とらじろう、のちの吉田松陰)を誇らしく思っていた。松陰は11歳にして藩主・毛利敬親に兵学を講義するなど、藩の将来を背負うと期待されていた天才だった。文はある事件をきっかけに儒学者・小田村伊之助(楫取素彦)と松陰を出会わせることになる。心の繊細さから他人とつきあうことができなかった文だったが、常識にとらわれず振る舞う兄の影響を受け、人と関わることの面白さを知り、たくましく成長していく。
文は、寅次郎が運営する「松下村塾」で、松陰や久坂玄瑞(くさか げんずい)、高杉晋作(たかすぎ しんさく)、伊藤博文(いとう ひろぶみ)といった後の明治維新の立役者となる若き志士たちに囲まれ、彼らを支える存在として日々を過ごしていた。
松下村塾での議論や学びの中で、文は彼らの志に触れ、影響を受けながら一人の大人の女性として成長した文は久坂玄瑞と結婚し、幸せな毎日を噛みしめていた。

激動の幕末

しかし、そんな日々も長くは続かなかった。時代は幕末の動乱期へと突入し、吉田松陰が脱藩する。脱藩は藩主を裏切る大罪。松陰が犯した罪のせいで苦しめられる文と杉家であったが、しかしその罪の軽減を藩に熱心に求め続けたのが、のちに夫となる小田村だった。文は、兄を救おうとしてくれた小田村に密かに憧れを抱くようになる。
そんな努力もむなしく、ペリー来航の機に乗じ、国禁とされる密航を企てるなどの過激な行動を繰り返した兄の松陰は、安政の大獄で処刑されてしまう。
文は兄の死に深く傷つくが、彼女は松陰の志を胸に、夫の玄瑞と共に困難を乗り越えようと足掻き続ける。やがて長州藩は幕府との対立を深め、玄瑞もまた、禁門の変で命を落としてしまった。文は相次ぐ身近な人々の死に直面し、激しい悲しみと葛藤の中で、それでも生き抜くことを決意する。

「美和」としての再出発と女子教育への尽力

玄瑞の死後、文は毛利家の大奥で女中として働くなど、新たな道を模索していたが、ある日兄や夫の同士である小田村と再会する。彼は楫取素彦(かとり もとひこ)と名を改めて生活していた。文は彼との出会いを通じて自身の人生を変えることを決意。名前を「美和」と改めた文は素彦と再婚し、新たな生活をスタートさせることとなった。
時代はいよいよ明治へと移り変わっていった。夫の素彦が群馬県令となり、美和は彼と共に新しい日本の建設に尽力する。特に、兄である松陰の教えを受け継いだ美和は、女性も学問を身につけるべきだという信念から、女子教育の普及に力を注いだ。多くの困難や苦難を乗り越えながらも、日本の未来に希望を見出し、一人の女性として力強く生き抜いていく美和は、さらなる飛躍を求めて群馬県令の職を辞した素彦に従い、東京に向けて群馬を発つのであった。

『花燃ゆ』 の登場人物・キャラクター

杉家

杉 文(すぎ ふみ)/楫取 美和子(かとり みわこ)(演:井上真央/山田萌々香(少女期))

幼少期の文

杉家の四女。松下村塾の“女幹事”として、兄・松陰や塾生を助けながら塾を切り盛りした。塾生たちとも親交を持ち、その一人だった久坂玄瑞と結婚する。
しかし、禁門の変で会津・薩摩の連合軍に敗れた久坂は自刃。夫を失った文は、毛利元徳の子・元昭の守役として、毛利家に仕えることになる。明治維新を迎え、激動の時代を生き抜いた末、文は亡き姉の夫であった群馬県令・楫取素彦に嫁ぐことを決める。群馬の産業・教育の近代化に寄与した楫取は男爵となり、文は華族の妻として新しい人生を切り開いていった。

杉 寅次郎(すぎ とらじろう)/吉田 松陰(よしだ しょういん)(演:伊勢谷友介/板垣李光人(少年期))

幼少期の寅次郎(吉田松陰)

兵法を研究する兵学者にして、松下村塾の主宰者。11歳にして藩主の前で講義をするなど、長州藩内でも将来を嘱望された天才だった。1854年、国禁を犯して下田に停泊中だった黒船に乗り込んで密航を試みるも、失敗して自首。故郷の萩で獄中生活を送る。その後自宅で蟄居の身となるが、近所の子たちを集めて開いた塾が評判となった。
しかし、塾生たちと日夜議論を交わしていくうちに、次第に過激な思想に傾いていった松陰は、尊王攘夷を実現するために江戸幕府の老中暗殺まで計画するようになる。それを知った藩によって再び投獄された松陰は、1859年に江戸に送られ、安政の大獄によって処刑される。享年30。

久坂 玄瑞(くさか げんずい/演:東出昌大)

松下村塾では高杉晋作と並ぶ「双璧」とうたわれ、松陰から「天下の英才」と賞賛された長州藩士。美声の持ち主で、身の丈180cm以上。萩城下一の美男子だった。18歳で松陰の妹・文と結婚。
松陰の死後、長州藩内の尊王攘夷派のリーダーとして、1862年、藩の方針を公武合体から尊王攘夷へ転換させ、当時建設中だったイギリス公使館を焼き討ちしたり、下関を通る外国船を砲撃したりするなど、攘夷を実行するが、1863年8月、会津藩と薩摩藩を中心とする公武合体派によって京都を追われる(八月十八日の政変)。翌年、軍を率いて上洛するも、会津・薩摩の連合軍に敗れ(禁門の変)、鷹司邸内で自刃する。25歳の若さだった。

杉 百合之助(すぎ ゆりのすけ/演:長塚京三)

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