ターミネーター3(T3)のネタバレ解説・考察まとめ
2003年公開の大ヒットシリーズ第3作。監督は前作までのジェームズ・キャメロンからジョナサン・モストウに交代。主演はアーノルド・シュワルツェネッガー。“T-1000”との壮絶な死闘から10年、青年となったジョン・コナーの前に突如として女性型ターミネーターT-Xが出現。抵抗軍の重要人物となる人々を次々抹殺し始めた。そこへジョンを守るべくあのT-800と同じ形状のターミネーターが姿を現わす。
『T1』ではT-800がウェストハイランド警察署を襲撃した際、高圧ケーブルを用いて配電盤をショートさせ、署内を停電にしている。
ターミネーターはSWAT部隊に対して威嚇射撃を行い死傷者が1人も出てないことを確認する
『T2』ではM134とM79グレネードランチャーを使用。『T3』ではブローニングM1919重機関銃(ドラムマガジンを装備)を使用。
『ターミネーター3』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
キャメロン降板でリストアップされた監督候補者
「物語は『T2』で完結しており、続編を作るべきではない」と考えたジェームズ・キャメロン監督は早々に製作から離脱したため、本作の監督候補にはたくさんの名匠の名前が挙がっていた。リドリー・スコット、ジョン・マクティアナン、デビッド・フィンチャー、ローランド・エメリッヒ、アン・リー。だが、リドリー・スコットは『ブラックホークダウン』、アン・リーは『ハルク』の撮影のために監督を辞退した。
最終的に抜擢されたジョナサン・モストウは、『ブレーキ・ダウン 』『U-571』という2作品を監督した新鋭だったが、 「シリーズ前作から12年経った今、続編を作るつもりは全くなく、自分はシリーズのファンとして、成長したジョン・コナーを描いてみたかった。」という理由で監督を引き受けたという。
キャスティングにもキャメロン降板の影響
本作のキャスティングにも、キャメロン降板の影響は大きかった。
主演のアーノルド・シュワルツェネッガーは、「キャメロンが監督しないのなら出演しない」と発言していた。製作側は「シュワルツェネッガーが出演しなくても2001年には『T3』の製作を開始する」と語り、シュワルツェネッガーが出演しない場合の脚本も用意されていた。だが彼は、1990年代後半以降の人気低迷もあり、2000年に突如『T3』の出演を決定し、今作のために前作とほぼ同じ体形に鍛え直した。
前作までのサラ・コナー役、リンダ・ハミルトンは、多くの報道で「サラが回想シーンに登場する」という情報が流れた。当初は彼女にも出演依頼がされていて台本も手渡していたのたが「この脚本にはドラマがない」との理由から降板してしまった。
前作で少年のジョン・コナーを演じたエドワード・ファーロングには製作側から続投が望まれており、当初は出演すると報道されていたが、彼のドラッグ癖問題のために降板、代わりにニック・スタールが抜擢された。
ケイト・ブリュースター役には、新進女優のソフィア・ブッシュが選ばれていたが、弱冠20歳の彼女はモストウ監督から「若すぎる」と判断され、クレア・デインズへ替えられた。
ドクター・シルバーマン役のアール・ボーエンは、シュワルツェネッガーと同じく三作連続出演であるが、同一人物の役で登場しているのは彼だけである。
また、敵のターミネーター役候補には当初ヴィン・ディーゼルやジュード・ロウ、ファムケ・ヤンセン、キャリー=アン・モスなどが挙がっていたという。
ロケ地へのこだわり
製作費の問題によりカナダで撮影が行われる予定であったが、シュワルツェネッガーがロサンゼルスでの撮影にこだわり、彼の出演料を約800万ドルカットすることでロサンゼルスで撮影されることになった。
ド派手なカーチェイスの主役は超高額の特注クレーン車
T-850とT-Xの最初の戦闘シーンの後から始まる、T-Xが運転するクレーン車を使用した派手なカーチェイスは、一般道ではなくボーイング社の工場敷地内部での撮影である。
巨大なクレーン車は特注品で150万ドルもするそうなのだが、リハーサル中に一度転倒し大破してしまった。新しく買う予算も無く撮影日程も変更できないため、スタッフは24時間体制でクレーン車の修理に取り組み、ギリギリで撮影に間に合わせたそうである。
ちなみに、このクレーン車、映像では右ハンドルだが、それはダミーでオリジナルは左ハンドルであり、実際の運転も左ハンドルで行われている。
クレーンの先端のフックで路上の車を次々と破壊しながら走行するシーンでは、クレーン車と車は本物だが、フックはCGで作られ上手くタイミングを合わせて爆発させている。シュワルツェネッガーがクレーンにぶら下がったままビルに突っ込むシーンは、さすがに危険すぎてスタントマンでも実行できなかったため、CGの彼を作って合成している。
また、この一連のシーンのスタントでシュワルツェネッガーは怪我をしてしまったとも報じられている。
初期型ターミネーターが登場
本作の後半、CRS研究施設内のシーンでT-1という初期型のターミネーターが登場した。
T-1は2004年にCRS が開発、T-800やT-1000などの潜入型と違い、農業用トラクターほどもあるキャタピラ走行の図体に両腕はそのままガトリング砲になっているなど、明白にロボットと認識できる外見をしている実験用のマシンという設定である。
本編では、CGだけではなく、撮影用に工学技術に基づいた精巧なロボットも作られ使用されている。1台あたり1700万円を投じ、合計3台が制作された。
未公開シーンで別キャラクターを演じるシュワルツェネッガー
未公開シーンにおいて、シュワルツェネッガーはCRSの研究スタッフの1人であるウィリアム・キャンディ軍曹という人物も演じている。
キャンディの顔がT-800系統のモデルとなっていくシーンでは、この時点で人間がすでにターミネーターの設計を担当しており、スカイネットはそれを元にマシンを製作しているということが窺える。また、シュワルツェネッガーはドイツ訛りで演じており、ターミネーターの製品化にあたって視察に訪れた軍人から「この喋り方のままではまずい」と指摘されたスタッフが「声はそのままで訛りは直す」と語る姿も描かれている。
なお、この未公開シーンは、Blu-rayとDVD、ゲーム『ターミネーター3 ザ・レデンプション』に収録されている。
レクサス・トヨタ
映画の冒頭、T-Xが洋服店のショーウィンドウに登場後、近くを通り掛かった女性から奪った車はレクサス・SC430。
レクサスは、1989年よりアメリカ国内で展開が開始されたトヨタ自動車の高級車ブランドであるが、映画公開当時の日本にはまだ進出していなかった。
そのため、プレミアムエディションDVDでは「そこのソアラ、止まりなさい」という字幕が付けられているが、吹き替えは「シルバーのレクサス、停まりなさい」となっている。
『ターミネーター3』の主題歌
ED(エンディング):ブルー・マン・グループ feat. ギャヴィン・ロスデイル『The Current』
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目次 - Contents
- 『ターミネーター3』の概要
- 『ターミネーター3』のあらすじ・ストーリー
- 『ターミネーター3』の主な登場人物・キャラクター
- ターミネーター/T-850(演:アーノルド・シュワルツェネッガー)
- ジョン・コナー(演:ニック・スタール)
- ケイト・ブリュースター(演:クレア・デインズ)
- T-X(演:クリスタナ・ローケン)
- ロバート・ブリュースター(演:デヴィッド・アンドリュース)
- スコット・ピーターソン(演:マーク・ファミグリエッティ)
- ピーター・シルバーマン(演:アール・ボーエン)
- 新型ターミネーター/T-Xについて
- プロフィール
- 機能
- 『ターミネーター3』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- "You were always a delinquent.”(あなたはいつも不良だったわよね。)
- "Your father is the one who can shut Skynet down.”(君の父こそがスカイネットを止められる。)
- "There will be no reason for me to exist.”(私が存在する理由はなくなるだろう。)
- ”You are terminated."(お前を抹殺する。)
- 『ターミネーター3』の前2作へのオマージュ・共通点
- 未来戦争の描写が存在する
- 映画の冒頭でターミネーターを信じている人物は1人だけである
- シュワルツェネッガーは必ずサングラスを掛け、バイクに乗る
- T-850が警察の白バイを奪う際に「降りろ」と告げるシーンがある
- シュワルツェネッガー演じるターミネーターは車を奪うとき、必ず窓ガラスを割ってホットワイヤーを使う
- T-850がエンジンをかける前にサンバイザーから腕時計を取り出すシーンがある
- 敵のターミネーターは必ず大型車を奪って追ってくる
- 未来で起こる出来事の詳細は、ほとんど車の中で説明を受ける
- 前2作に登場したアール・ボーエン演じるシルバーマン医師役が登場
- お互いの考えの違いからか、守る側と守られる側で押問答がある
- T-850がT-Xとの戦闘で、高圧ケーブルを用い感電させる
- ターミネーターはSWAT部隊に対して威嚇射撃を行い死傷者が1人も出てないことを確認する
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- キャスティングにもキャメロン降板の影響
- ロケ地へのこだわり
- ド派手なカーチェイスの主役は超高額の特注クレーン車
- 初期型ターミネーターが登場
- 未公開シーンで別キャラクターを演じるシュワルツェネッガー
- レクサス・トヨタ
- 『ターミネーター3』の主題歌
- ED(エンディング):ブルー・マン・グループ feat. ギャヴィン・ロスデイル『The Current』
- 『ターミネーター3』の関連映像
- 予告編動画