ターミネーター(T1)のネタバレ解説・考察まとめ

1984年製作のアメリカ映画。ジェームズ・キャメロン監督の記念すべき出世作で、主演のアーノルド・シュワルツェネッガーも大スターへの突破口となった、SFバイオレンス映画の傑作。人間とサイボーグが対立する近未来の地球から、未来の革命リーダーの母となる人物を抹殺するため、過去のロサンゼルスに送り込まれた不死身のサイボーグ・ターミネーターと、それを阻止するため人間側が送り込んだ革命戦士が死闘を展開する。

『ターミネーター』の概要

「ターミネーター」は、1984年製作のアメリカ映画。以降シリーズ化となる最初の作品。
主演のアーノルド・シュワルツェネッガーを一躍スターダムに押し上げた残虐非道なターミネーターの魅力と、現用兵器で展開されるバイオレンスアクションに、時空を越えたロマンスを織り混ぜた傑作SFエンタテインメント。
監督は「殺人魚フライングキラー」(1982年)でデビューした、ジェームズ・キャメロン。製作はこの映画が2作目となるゲイル・アン・ハードで、キャメロンと脚本を共同執筆している。
撮影は後にアーノルド・シュワルツェネッガーの出演作を多数手がける、アダム・グリーンバーグ。音楽は自身初の映画音楽となる、ブラッド・フィーデルが担当。彼は本作をシンセサイザー1つで作曲した。そして、SFXはキャメロンの盟友で本作で脚光を浴びた、スタン・ウィンストンが担当。

ジェームズ・キャメロンは、前作の初監督作「殺人魚フライングキラー」が興行的に大失敗した際、評論家やマスコミから酷くこき下ろされ、屈辱の余り熱を出して寝込んでしまったという。その時、「炎の中からロボットが現れて自分を殺しに来るという悪夢を見た事が本作を製作するきっかけとなった」と語っている。
また、「当初は殺人ロボットの話を予定していたが、現代の技術ではそうしたロボットの実現は不可能であるし、かと言って未来の話ではセットに費用がかかる上に観客にも受け入れがたいと考え、その結果、未来の殺人ロボットが現代にやって来るタイムトラベルのアイデアが浮かんだ」とも語っている。

『ターミネーター』のあらすじ・ストーリー

2029年近未来のロサンゼルス。人工知能スカイネットが指揮する機械軍が反乱を起こし、人類は絶滅の危機を迎えていた。

時は変わり、1984年のロサンゼルスの真夜中、工事現場の作業員が、トラックのエンジンを掛けようとすると、青い閃光とともに、一人の屈強な全裸の男が現れた。裸の男は近くで遊んでいたパンク姿の3人の男たちに向かって、君の服をくれと言うが、彼らは拒絶。すぐさま裸の男は、男たちを殺し服を奪う。
同じ頃、ある裏路地では、こちらでもあの奇妙な青白い閃光が走る。すると空から降ってきたかのように、全裸の男が現れる。青年は近くにいたホームレスの男からズボンを奪うと、警察に見つかり追われてしまう。男は街のデパートに逃げ込みコートを盗み取り、外に止めてあったパトカーから、ショットガンを手に入れると、電話ボックスで、電話帳にあるサラ・コナー姓の場所を抜き取り、その場を去った。
その翌日、工事現場に現れた屈強な男は、車を奪い、銃砲店で店主を殺し銃を奪うと、電話帳を調べ、そこに載っている「サラ・コナー」という同姓同名の2人の女性を掲載順に殺していく。その頃、本命であるサラ・コナーはその殺人のニュースをレストランで見ていた。すぐさま電話帳で自分が3番目に載っているのを確認すると不安に駆られて店を出る。すると路地裏に現れた男が尾行し始めた。彼女は尾行に気づき、隠れるように近くのディスコの店に入る。ちょうどその頃、サラの家に屈強な男が侵入し、同居人の女友達が射殺される。そこへタイミング悪く、サラが留守電に今ディスコにいると知らせるメッセージを入れてしまい、男に聞かれてしまったのだ。警察に電話し助けを求めたサラは、ディスコの店内にじっと身を潜める。そのサラを見張っている路地裏の男。ついに工事現場の男がディスコにやって来た。そして男はサラを発見すると彼女に銃口を向ける。とその時、路地裏の男が発砲し、間一髪で阻止する。工事現場の男は立ち上がりなおも追ってくる。路地裏の男はサラを連れて店を脱出、車を盗んで逃走する。事態が飲み込めず怯えるサラに、路地裏の男はカイル・リースと名乗り、サラを助けようと未来からサラの息子であるジョン・コナーにより送られて来た。そして工事現場の男が殺人マシンT-800と呼ばれるターミネーターであり、機械軍に抵抗する人類のリーダーであるジョン・コナーを歴史から抹消するために、その母親であるサラ・コナーを殺害するため未来から送り込まれて来たことを告げる。話を聞いてもとても信じられないサラだったが、パトカーを強奪して執拗に追ってくるターミネーターとカーチェイスを繰り広げた末、カイルは警察へ捕らえられ、サラは保護される。そしてターミネーターは姿を消してしまうのであった。

カイルは警察ですべてのいきさつを説明するが、警察は全く相手にしない。だが、カイルの説明を聴いていたサラは、決死の覚悟で自分を守ってくれる彼の姿に信頼の心が芽生え始める。そこへターミネーターが警察にやってくる。そして見る見るうちにすべての警官を射殺してしまう。サラとカイルは命からがら何とかそこを脱出する。
逃走の間、カイルはサラに、未来のことやジョン・コナーのことを話して聞かせる。カイルがジョンから受け取ったサラの一枚の写真を持っていたことも。疲れ切った2人はモーテルで一夜を過ごすと、自然に求め合い結ばれるのだった。
だが、サラが母親に掛けた電話を盗聴し居場所を突き止めたターミネーターがモーテルにやって来た。それに気付いた2人はすぐさま車を奪って逃走。バイクで追跡して来るターミネーターにあり合わせの武器で応戦するも、カイルは銃弾を受けて負傷、車も横転し大破してしまう。ターミネーターは今度は大型のタンクローリーを盗むとさらに追って来る。危機一髪、カイルが排気筒に爆薬を投げ込みタンクローリーは大爆発を起こす。

全ては終わったかに見え、二人が抱き合うその瞬間、炎の中から現れたのは皮膚が全て溶け落ち超合金製の骨格を露にした姿のターミネーターだった。
傷だらけのカイルをサラは必死になって励ましながら2人は何とか近くの廃工場へ逃げ込むのだが、ターミネーターは執拗に追ってくる。そしてついに追い詰められたその時、カイルは自らの命を犠牲にしてターミネーターの下半身に爆薬を突っ込み爆破、ターミネーターはバラバラに散ってしまう。カイルの遺体に悲しむサラだったが、それも束の間、なんとターミネーターの上半身だけは生きていたのだ。足を負傷しながらも工場の機械の隙間を必死に這って逃げるサラ。執拗に追うターミネーター。やがてプレス機にたどり着くと、そこへターミネーターが入って来た。サラは必死の思いでスイッチを押すことに成功。ターミネーターの頭はプレス機で潰されていくのだった。

数ヶ月後、カイルの息子を宿したサラ・コナーは、車でメキシコへ向かっていた。途中立ち寄ったスタンドで少年にポラロイドを撮られ売りつけられる。その写真はカイルが持っていたサラの写真だった。やがて生まれてくる息子、ジョン・コナーに聴かせるため、カイルと過ごした事実をテープレコーダーに吹き込みながら、サラは未来の戦いに胸躍らせて車を走らせるのだった。

『ターミネーター』の主な登場人物・キャラクター

ターミネーター(演:アーノルド・シュワルツェネッガー)

スカイネットというミリタリー・コンピュータが作った人間抹殺用のアンドロイド。
2029年、スカイネットの脅威と成り得た人類抵抗軍を指揮するジョン・コナーの存在を事前に抹消するべく、ジョンの出生母体となるサラ・コナーという姓名を持つ女性をすべて抹殺する目的で、人間に擬態し人体の構造を全てプログラムされ1984年に送り込まれた。

カイル・リース(演:マイケル・ビーン)

2029年、人類抵抗軍において尊敬する上官ジョン・コナーの命によりサラ・コナー護衛としての任に就き、1984年にタイムスリップする。
ジョンから譲り受けた写真でサラに好意を持っていたが、カイルこそがジョンの父となる存在だった。
最初はサラを尾行し殺人鬼と誤解されたが、ターミネーターの襲撃からサラを救って説得、サラと共に逃げ、休息に入ったモーテルで想いのたけを告白し、愛を交わす。負傷しながらも、サラの激励でターミネーターに立ち向かうが、奮戦及ばず最後の力を振り絞って爆弾をターミネーターの腰にねじ込み爆破、力尽きて死亡する。

サラ・コナー(演:リンダ・ハミルトン)

地元のハンバーガーショップでアルバイトし、女友達と同居しているごく普通の女子大生。
しかし2029年の未来では、抵抗軍のリーダーとなるジョン・コナーの実母。1984年に送り込まれたターミネーターに命を狙われる。
救助に志願して未来から来たカイルに命を救われるも彼の話を信じられずにいたが、度重なる襲撃を共に切り抜ける内に好意を持つようになる。
ターミネーターとの壮絶な戦いの末にカイルは死亡するが、絶体絶命の危機に負傷しながらも闘争心を発揮、ターミネーターを工場のプレス機で葬り去る。
その後、自身の胎内に宿ったカイルの息子・ジョンを、未来の人類を救うために守り育てることを決心する。

エド・トラクスラー(演:ポール・ウィンフィールド)

ロサンゼルス市警ウエストハイランド警察署の警部。「サラ・コナー連続射殺事件」を担当。
次のターゲットになるサラ・コナーからの連絡を受け、ターミネーターから襲撃された彼女の身柄を署で保護。同時に逮捕したカイルを尋問して未来の話やターミネーターのことを聞かされると、その真剣な様子から次第に彼を信用していく。
その後、同署に押し入ったターミネーターに襲撃され自ら保管庫からM16を取り応戦するも死亡。

ハル・ブコビッチ(演:ランス・ヘンリクセン)

ウエストハイランド警察署の警部補でトラクスラー警部と同じく「サラ・コナー連続射殺事件」を担当。
カイルを逮捕した際、彼の話を全く信じていなかったが、直後に署がターミネーターの襲撃を受け、自動小銃で応戦するも死亡。

ターミネーター / T-800について

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