スーパーロボット大戦(OGシリーズ)のネタバレ解説・考察まとめ
スーパーロボットアニメ作品によるクロスオーバーシミュレーションRPG『スーパーロボット大戦』から派生したシリーズ。スーパーロボット大戦シリーズ関連作に登場するゲームオリジナルのキャラクターやロボットが共演する作品となっている。また、本シリーズから派生したスピンオフ作品群もスパーロボット大戦OGサーガ(OGはオリジナルジェネレーションの略)と呼ばれ、本シリーズの一角をなしている。
ツインバトルシステム
2機のユニットを同時運用するシステムである。『OGs』から登場し、以降は本シリーズの特徴的なシステムとなっている。『OGs』『OG外伝』ではマップ上で所定の条件を満たした際、2つのユニットを合流させてツインユニットを編成することが出来る。ツインユニット時には強力な精神コマンドが開放される他、組み合わせに応じて様々なステータス上昇の恩恵が得られる。『OG2nd』以降は出撃前に予めツインユニットを編成しておく形となり、一部ツインユニットになれないユニットが設定されている。両者ともにマップ上で分離・合流することで臨機応変なユニット運用が可能となっている。
『スーパーロボット大戦(OGシリーズ)』の主要登場人物・キャラクター
ラトゥーニ・スゥボータ
CV:平井理子
オリジナルジェネレーションシリーズで生まれたキャラクター。かつて連邦軍に存在したパイロット養成機関、スクールの出身者。スクールは所属する者を人として扱わず、非人道的な実験を繰り返す危険な組織であり、ラトゥーニもその実験を受け、高い白兵戦能力と機動兵器運用能力を得ると同時に心に深い傷を負い、対人恐怖症になった。スクールが解散した際には対人恐怖症により戦えなくなっていたが、連邦軍のジャーダ・ヴェルネディとガーネット・サンデイが彼女の身元を引き受け、プレイヤー部隊に参加することとなる。
当初はジャーダとガーネット以外に対して心を閉ざしていた。しかし、スクール出身であることを敵パイロットから嘲笑された際、本気で怒って自身の思いを代弁してくれたリュウセイ・ダテに好意を寄せ、彼に心を開き始める。リュウセイへの想いをきっかけに、次第に周囲との付き合い方も理解し始めるようになった。
外見は紫色のセミショートの髪と分厚い眼鏡が特徴。眼鏡は視力矯正のためではなく情報分析・処理に用いるデバイスである。
『OG』ではガーネットの用意したゴスロリ服を着用するイベントの後、キャラグラフィック(本シリーズで用いられるキャラグラフィックは頭部のみのものだが、眼鏡とリボンの有無で判別可能)とカットインがゴスロリ服のものに変更される。以降『OG2』まではこの格好のまま軍隊にいる事となっている。理由は連邦軍が広報に利用するためとされた。ただし、この設定は『OGs』製作時の設定変更に伴ってなかったことになっており、以降リリースされたゲームでは基本的に軍服を着用している(ただし、戦闘アニメーション中のカットインはゴスロリ服が描かれる事がある)。
『OG2』ではリクセント公国王女、シャイン・ハウゼンと共に自軍に合流。以降はパイロットとして未熟であるシャインのフォローに回る。終盤では同じスクール出身者であり、スクールで一番優しくしてくれたオウカ・ナギサと悲劇的な戦いを繰り広げた。
リュウセイの影響により彼と同様に登場兵器の兵装や必殺技を独自のネーミングで叫ぶ事がある。リュウセイへのあこがれから来る行動だが(作中で叫ぶ前には必ず「リュウセイみたいに」との台詞が入る)、安直なネーミングや無理があるものが多い。平井の演技も相まって、リュウセイにあこがれながらも上手くいかない様子がよく分かる演出となっている。
搭乗ユニットはビルトラプター、フェアリオン・タイプS。後者はラトゥーニ以外が搭乗できない専用機となっている。ラトゥーニ自体は様々なユニットに乗り換え可能なため、プレイヤーによってラトゥーニの搭乗機が違うこともままある。
キャラクターとして魅力的な点が非常に多く、オリジナルジェネレーションシリーズ出身のキャラでは一二を争うファンの多さを誇る。シリーズを重ねるにつれてその特徴は増える一方にあり、ゲーム中でも「属性(キャラクターの特徴を指すゲーム・アニメファン用語)過多」と直接言及されているほどである。
シャイン・ハウゼン
CV:貝原怜奈
オリジナルジェネレーションシリーズで生まれたキャラクター。両親を『OG』で勃発した戦争で亡くしており、後を継ぎリクセント公国の国家元首を勤めている。周囲のキャラクターからはシャイン王女と敬称をつけて呼ばれる事が多い。
赤いドレスに縦ロールのもみあげが特徴。
なお、王女は原則的に君主の娘をさすが、彼女はれっきとした君主である。王女とされているのは、女性君主一般を表す公女が一般的でない単語であることや、同じく女性の王を指す女王はキャラクターに似つかわしくないため。
ハウゼン家は予知能力を持つ家系であり、シャインも予知能力を持つ。『OG』ではその資質を狙われ、ディバイン・クルセイダーズに攫われ、洗脳を受けて機動兵器のパイロットに仕立て上げられてしまった。
『OG2』ではリクセント公国がノイエDCに占拠されたことを受け、自ら戦場に立つ。
ラトゥーニと非常に仲がよく、戦闘時のパートナーの他、インターミッションでも一緒にいることが多い。ライディース・F・ブランシュタインに恋心をいだいている。
予知能力を持つ以外は特別な訓練を受けていない純然たる素人だったが、プレイヤー部隊加入直後から生粋の軍人をもうならせる鋭い戦術眼を見せ、『OG外伝』ではラトゥーニの助力無しでの戦闘もこなせるまでに成長した。他方、自身の立場を利用した権謀術数はあまり用いていない。
国家元首という立場も相まって、普段は上品で高潔な言葉遣いをしているが、度々年相応の発言を行い慌てて訂正する姿が描かれる。
搭乗ユニットはフェアリオン・タイプG固定となっており、乗り換えは不可能。
後述のフェアリオンやロイヤル・ハート・ブレイカーの印象もあり、「縦ロールの王女様」という鉄板のキャラ付け、ラトゥーニとの名コンビぶりもあって人気が高いキャラクターである。
フェアリオン
『OG2』で登場したアーマードモジュール(本シリーズにおける機動兵器の種別の1つ)。『OG』で戦火に巻き込まれたリクセント公国が企画した観光キャンペーンのために開発が開始され、世界情勢の変化に伴い戦闘能力も持つ形にプランが変更された。
リクセント公国は歴史的事情から兵器の開発が認められていないため、フェアリオンは対外的には恒星間飛行プロジェクト「プロジェクトTD」の技術を元に、主に観光キャンペーンで使用する式典用の機体として開発された事となっている。これに伴い、機体は小型かつ、機動兵器としては不要な装飾が多く施され、少女のような外見となっている。機体のサイズについては機動性を高めるためにあえて小さくしたものだが、デザインに関してはフェアリオン開発者が自身の趣味を反映させたという設定が存在する。
機体特性は機動力特化型。小型かつ軽量なボディに多くのテスラ・ドライブ(本シリーズにおける推力発生装置)を搭載しており、その機動性は「超音速の妖精」と称されている。
フェアリオンはタイプGとタイプSの2機が存在し、タイプGがシャイン・ハウゼン、タイプSがラトゥーニ・スゥボータ専用機となっている。主武装や基本的な機体構造は両機共通だが、カラーリングがタイプGは赤と金、タイプSは青と銀のカラーリングとなっている。また、タイプGは操縦系統にシャインの予知能力とリンクする脳波コントロールシステム管制システムを採用しており、タイプSは標準的なアーマードモジュールの操縦系統を採用している。
フェアリオンの一番の特徴として「W-I3NKシステム」の搭載があげられる。これは機動兵器の操縦経験がほぼ皆無なシャインが公国の先頭に立ち士気を高め、同時にシャインの予知能力を戦場で活かすために開発されたシステムである。2機のフェアリオンは相互に操縦と情報の共有が可能となっており、タイプSがタイプGの操縦を肩代わりしたり、タイプGがタイプSへ予知能力によるデータを転送したりすることが出来る。
搭載兵器は頭部に設置されたビーム砲「ロールキャノン」及び腰と肩に装備したエネルギー兵器「ボストーク・レーザー」、単騎での必殺技としてエネルギーフィールドを展開して突撃する「ソニックドライバー」を使用可能。
また、2機のフェアリオンによる合体攻撃として「ロイヤル・ハート・ブレイカー」が存在する。本機の設計者が作成した攻撃パターンプログラム「パターンRHB」を使用し、W-I3NKシステムでシャインの予知をラトゥーニに転送、ラトゥーニが2機のフェアリオンを操縦して敵に集中攻撃を加えるというもの……なのだが、1機が集中攻撃する間にもう1機はダンスを踊るなど、その動作は戦術的優位性よりも見栄えを意識したものとなっている。踊る必然性は設定上でも、物語上でも全く存在せず、本機の設計者がフェアリオンを躍らせるため、わざわざアイドルのダンスを研究してまで不必要なダンスモーションを搭載したことが関連書籍で明かされている。
「ロイヤル・ハート・ブレイカー」は本シリーズを殆ど知らないゲームファンでも知っていることがあるほどの知名度を誇る。スーパーロボット大戦シリーズ全体の特徴である戦闘アニメーションも凝りに凝っており、『OG2nd』では専用ステージまで(戦闘用演出で)登場するなど力が入っている。
本シリーズの自由奔放さと表現力の高さを象徴する機体である。
『スーパーロボット大戦(OGシリーズ)』の名シーン・名場面
R-1対アルトアイゼン
『OG』より。
新型機、グルンガスト弐式の実戦配備が決まり、模擬戦闘を開始するプレイヤー部隊、SRX隊。
R-1のパイロット、リュウセイ・ダテはグルンガスト弐式のパイロットが幼馴染で軍属ではないクスハ・ミズハであることに憤り、司令官のイングラム・プリスケンに対して怒りを露わにする。
自ら望んでグルンガストに搭乗したクスハはリュウセイを説得しようとするが、彼は聞き入れる様子を見せない。そんなプレイヤー部隊の前に、SRX隊と同じ連邦軍のATX隊が現れ、戦闘を仕掛けてくる。
イングラムはこれをイレギュラーな事態とし、SRX隊各位に実弾による応戦を指示した。
クスハがパイロットになったことに続き、味方であるはずのATX隊の強襲という突然の事態の連続を受け動揺を見せるリュウセイだが、ATX隊のエース機体アルトアイゼンのパイロット、キョウスケ・ナンブの挑発に乗る形で戦う意志を固め、アルトアイゼンに挑みかかる。
必殺技、T-LINKナックルでアルトアイゼンの左腕を破壊するリュウセイ。しかし、キョウスケは残った右腕でR-1を捉え、アルトアイゼンの全弾をR-1に叩き込む。
戦闘はここで終了となった。全ては仕組まれた模擬戦であり、SRX隊の精神面での強化を図りつつ、良質な戦闘データを取るために自軍のエース部隊をリュウセイたちにぶつけたのである。
戦いを終えたリュウセイとキョウスケはお互いの実力を認めあい、味方として合流することとなる。
オリジナルジェネレーションシリーズのコンセプトである、スーパーロボット大戦オリジナルキャラクターによるクロスオーバーを体現するシナリオである。味方同士をぶつけるという大胆な展開と、ルーキーであるリュウセイとベテランであるキョウスケのしっかりとした対比、そしてR-1がアルトアイゼンの左腕をきっちり破壊することで負ける側に回るリュウセイの株もしっかりと保つ展開がユーザーの印象に残る。
『OGs』では決着の場面がボイス付きのムービーとして描かれ、以降のシリーズに収録された『OG』のダイジェスト紹介でも必ず引用される名場面となった。
なお、『OG』はリュウセイとキョウスケの二人のうちから主人公を選択する形式となっており、このシナリオはリュウセイを主人公に選んだ場合のものである。キョウスケを主人公に選んだ場合は、戦いの目的や段取りなどをある程度明かされた状況で戦いが始まるようになっている。
裁く者、裁かれし者
『OG2』より。
異星人軍「インスペクター」と異世界人軍「シャドウミラー」の拠点、ホワイトスターへと侵入したプレイヤー部隊。インスペクターの目的に疑念を抱き離反したメキボス・ボルクェーデの助けを借りてシャドウミラーのリーダー、アクセル・アルマーを退けたプレイヤー部隊の前に、インスペクター幹部、アギーハ、シカログ、ヴィガジが立ちはだかる。強敵との連戦を戦い抜いたプレイヤー部隊は、下方より迫り来る大型機動兵器に目を見開くこととなった。
インスペクターのリーダー、ウェンドロ・ボルクェーデが駆るディカステスである。
地球への降伏勧告を行うウェンドロに対し、引き下がる訳にはいかないと戦う意志を見せるプレイヤー部隊。ウェンドロは半ばあきれながら、自身の侵略の目的を語る。
インスペクターは異文明を監査し、脅威とみなせば侵略を行い、裁きを下す銀河の裁判官だったのである。自身を前にしても戦おうとするプレイヤー部隊の行動は、インスペクター、そしてウェンドロから見れば宇宙に脅威をもたらすほどの闘争心を体現していた。
裁きの執行のために空間転移を行おうとするウェンドロを、彼の兄であるメキボスが制止する。ウェンドロはメキボスを不要と判断し、メキボスをその手にかける。
この時、プレイヤー部隊はウェンドロと決着をつける決意を固めた。自らの力を消耗させないために人工人間を生み出し、地球人類の使う兵器を掠め取って地球圏を蹂躙したインスペクターも、自身の目的のために肉親の情も抱かず実の兄を処分するウェンドロも、地球人類にとっては脅威の体現だったのだ。
裁かれるのは地球人類の闘争心か、非人間的な冷徹さを持つ宇宙人の裁判官か。決戦の火蓋が切られた。
インスペクターはDC戦争シリーズにあたる『第3次スーパーロボット大戦』の敵軍勢であり、『OG2』に登場する事が発売前はひた隠しにされていた。『OG』に登場していたDC戦争シリーズ由来のキャラクター・ユニットは『スーパーロボット大戦α』制作にあわせて設定が作り直されたもののみであったため、旧来の設定を引っさげての強敵の登場はユーザーを歓喜させた。
そして、インスペクターとの最終決戦は『第3次スーパーロボット大戦』と同様の長丁場となった。ボスであるウェンドロとディカステスの能力の高さもあり、真打登場の威圧感と、それまでの戦いでリソースを消費したプレイヤー部隊の激突。プレイヤーは苦しい戦いを強いられることとなり、シリーズ屈指の緊張感があふれるマップとなった。
『OGs』におけるリメイクでは戦闘アニメーションの強化によりディカステスの強さが視覚的に強調されるとともに、甲斐田ゆきの名演によりウェンドロの冷徹さと傲慢さが描き出され、より強い絶望感と緊張感をプレイヤーに与えている。
凶鳥を狩る者
『第2次OG』より。
オーバーホールが必要となった自軍の主力兵器、ヒュッケバインシリースが、建造元であるマオ社によるオーバーホールを終えて連邦軍に引き渡されることとなった。ヒュッケバインは数々の不幸を呼び、中には機体の消失まで引き起こしてきたため、「凶鳥」や「バニシング・トルーパー」という忌み名を頂戴するほどのいわくつきの機体群である。万一のことを考え、マオ社はプレイヤー部隊による輸送を要請した。
プレイヤー部隊はヒュッケバインシリーズのあるマオ社のオルレアン工場へと赴く。輸送の準備を行っているオルレアン工場を強襲する所属不明機。ヒュッケバインシリーズは起動準備ができておらず、無防備な状態で戦火にさらされかねない。プレイヤー部隊は攻撃してきた所属不明機を撃破する。
戦闘終了後、周囲を警戒する一同の前に、所属不明機の増援がヒュッケバインシリーズ直上へと空間転移を利用して現れる。防衛ラインをすり抜けられたプレイヤー部隊は為す術なく、ヒュッケバインが持ち去られるかと思った瞬間、ガイアセイバーズのガリルナガンが所属不明機を撃破してみせる。味方の増援かと考えるプレイヤー部隊だが、ガリルナガンはヒュッケバインシリーズにもそのまま攻撃を加えた。パイロットが搭乗していないため、為す術もなく破壊されるヒュッケバインシリーズ。この事件により不幸を呼ぶと同時にプレイヤー部隊と連邦軍を支えたパーソナルトルーパー、ヒュッケバインは一部の量産機を除き、忌み名通り消失してしまうこととなった。
『第4次スーパーロボット大戦』で搭乗したヒュッケバインは、長年に渡りユーザーに愛されてきた機体であったが、後述の「ヒュッケバイン問題」が重くのしかかり、もはやゲーム内でしかその勇姿を拝めず、シリーズのメディアミックス展開にも支障をきたすロボットとなっていた。
『第2次OG』では久々にヒュッケバインの勇姿を堪能できると楽しみにしていたユーザーだったが、バンダイナムコゲームスがヒュッケバイン問題に対して出した答えは「全機の戦線離脱」という衝撃的な展開だった。
これにより、ヒュッケバイン問題に影響する機体はゲーム中からは完全に消え去り、以降その姿を見せることはなくなった。
ただし、この展開は単にヒュッケバインを消し去るだけのものではなかった。ヒュッケバインを奪おうとする所属不明機が空間転移を使ったことは、その正体を明らかにする上で必要な描写であったし、その所属不明機と共にヒュッケバインを葬り去るガリルナガン、そしてガイアセイバーズの存在はプレイヤーに新たな脅威として刻み込まれることとなる。
『第2次OG』以前には、ヒュッケバインシリーズはなかったものとして存在が抹消される可能性さえ指摘されていた。劇的な散り様が用意されたことに対し、問題解決を図らねばならないことを鑑みれば評価できるとするユーザーも多い。
真偽の程はともかく、長年愛されてきた機体の全機撃墜という衝撃的な展開は、オリジナルジェネレーションシリーズ屈指の印象的な場面であることには議論の余地はないだろう。
女のために決まってる
『無限のフロンティア』より。
主人公、ハーケン・ブロウニング一行はロストエレンシア唯一の都市、トレイデル・シュタットで発生した事件を解決し、それぞれの世界へ帰ろうとしていた。ハーケンは仲間たちをそれぞれの世界へ送り届けるため、ずっと旅を続けていた楠舞神夜と一旦別れることになる。明日には再会できるはずの二人だが、神夜はハーケンとの関係を「楽しかった」と過去形で語る。ハーケンは「仲間を送り返したら続きといこう」と訂正するが、神夜は一瞬言葉に詰まる。
ハーケンは養父でありトレイデル・シュタットの代表を勤めるジョーン・モーゼスの元へ挨拶へ向かい、神楽天原で神夜の持つ霊力を使い各世界をつなぐクロスゲートをすべて封鎖する事が決まったと告げられる。今回の事件の主犯格であるアインストが、クロスゲートから力を得ていると判明したからだ。
クロスゲートのコントロールには、命にかかわるほどの大量の霊力を必要とする。13年前、神夜の母、羽衣はクロスゲートのコントロールを担い、霊力を使い切って命を落としている。
霊力は満月の夜にしか発現できない。そして今夜は満月である。神夜の態度が自身の死を意識してのものだったのだと気づくハーケン。神夜を救うための策を探すハーケンに、ジョーンはかつて自身が使い、今はハーケンの愛馬となっている戦艦、ツァイトに単独で世界を行き来する力があることを明かす。この力を使ってアインストの本拠へ乗り込み、倒してしまえばクロスゲートを封鎖する必要はなくなり、神夜は霊力を使わずに済む。
ハーケンの仲間たちにも、神楽天原によるクロスゲート封鎖が決定されたことが伝えられる。クロスゲートが封鎖されればそれぞれの世界への帰還も不可能になるため、出発を急ぐ仲間たち。ハーケンの仲間の1人、有栖零児は以前神夜の父が見せた様子と今回の決定から神夜が命をかけてクロスゲートを封鎖することを察し、出発前に代表して挨拶をすると偽り、ハーケンの元へ現れる。
アインストを叩くと明かしたハーケンに、零児は神夜の代わりになることは出来ない、神夜は命をかけてこの世界を救おうとしていると諭すように語る。ハーケンは零児の言葉を遮り、まだ若い神夜がすべてを押し付けられることに憤る。
ハーケンがアインストを直接叩き、倒す事ができるならば、世界を守ることが出来る。しかし、失敗すればハーケンはアインストに殺され、世界を救うため神夜も遠からず命を落とす。零児は世界を守るために自分の命を賭けるのかとハーケンに問うが、ハーケンは世界のためではなく、「女のために決まってるだろうが」と零児の言葉を訂正する。ハーケンは神夜のためにアインストを叩くのであって、世界はそのついでなのだ。
これを聞いた零児も、ハーケンに力を貸すことにする。ハーケンの男気に答えたのだ。零児を「とんだロマンチスト」と評しながらも、満更でもない様子のハーケン。仲間たちもおおよそ率先して(零児のパートナーである小牟は零児に強引に巻き込まれ)ハーケンに同行し、神夜を救うためにクロスゲート封鎖を行おうとしている神楽天原へ向かうのだった。
『無限のフロンティア』屈指の名シーンとして名高い。その肝は、ライトで小粋な『無限のフロンティア』の作風を象徴する主人公ハーケン・ブロウニングの行動原理だ。ある意味でベタながら、いかにも彼らしい理由が、プレイヤーを惹きつけた。
シナリオライター森住惣一郎の売りである軽妙な台詞回しが冴え渡っている点も見事なシーンである。
『スーパーロボット大戦(OGシリーズ)』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
オリジナルジェネレーションシリーズが確立されるまで
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