スーパーロボット大戦(OGシリーズ)のネタバレ解説・考察まとめ

スーパーロボットアニメ作品によるクロスオーバーシミュレーションRPG『スーパーロボット大戦』から派生したシリーズ。スーパーロボット大戦シリーズ関連作に登場するゲームオリジナルのキャラクターやロボットが共演する作品となっている。また、本シリーズから派生したスピンオフ作品群もスパーロボット大戦OGサーガ(OGはオリジナルジェネレーションの略)と呼ばれ、本シリーズの一角をなしている。

スーパーロボット大戦シリーズ最大のヒットを記録した『スーパーロボット大戦α』発売後、シリーズプロデューサーである寺田貴信は今後のシリーズに関し、3作品を並行展開する構想を発表した。
その中で、従来のスーパーロボット大戦、若年層を対象にした携帯機用新作と共に上げられた3つ目の作品がバンプレストオリジナルキャラクターを使用した新作、すなわち『OG』であった。
発表後に発売されたドラマCD『スーパーロボット大戦α ORIGINAL STORY』全4巻はこの新作のために製作されており、ストーリーやキャラクターが『OG』に踏襲されることとなった。
本来であればタイトルも同ドラマCDのものをほぼそのまま踏襲した『スーパーロボット大戦 ORIGINAL STORY』となるはずであったが、諸般の事情からタイトルは変更されている。
当初は制作ラインの関係から生まれた企画であり、「様々なスーパーロボット作品が共演する」というシリーズコンセプトからずれた外伝作品として1本で終わる予定だったが、スマッシュヒットを飛ばしたことで続編の制作が決定。完成した『OG2』も堅調な売上を記録したことからバンプレストは新たな制作ラインを用意し、据え置き機への移行が決まる。スーパーロボット大戦の新たなるシリーズとして確立されることとなったのである。
シリーズが定着するにつれ、バンプレストはオリジナルジェネレーションシリーズの意外な利点に気づく。
版権調整と版権料がネックとなる他シリーズに比べ、開発期間や予算の面で自由な開発が可能なのだ。
結果、オリジナルジェネレーションシリーズは新規ハードでの開発環境を整える試金石としてPlayStation3、PlayStation4でのスーパーロボット大戦第1弾として投入される事となり、シリーズの中で確固たる地位を築くこととなった。

オリジナルジェネレーションシリーズが可能にした「スーパーロボット大戦のアニメ化」

オリジナルジェネレーションシリーズはゲーム開発上の試金石という意味合い以外にも、スーパーロボット大戦のアニメ化のきっかけも作ることとなった。ゲーム以外の商品を長期的に展開するアニメ化のようなメディアミックスは、多数の版権作品を取り扱う他シリーズでは権利上の問題から難しかったのである。
アニメ第1作は『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION THE ANIMATION』。『OG2』の後日談として2005年にOVAの形でリリースされた。翌年には『OG』を元にした初のテレビアニメ『スーパーロボット大戦OG ディバイン・ウォーズ』がテレビ東京系で放送。同作のラストでは未定となっていた『OGs』の発売日がCM内で発表されるサプライズが施され、ユーザーを驚かせた。テレビアニメ第2作『スーパーロボット大戦OG ジ・インスペクター』は『OG2』を原作に製作され、2010年から2011年にかけて独立UHF局で放映された。前2作とは打って変わり、ファンサービスに注力した内容はファンの熱い声援を受け、2012年の『第2次OG』発売時には同作の初回限定版に封入される形で、放送時には叶わなかったブルーレイ化がなされている。
アニメの内容はゲームにもフィードバックされており、『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION THE ANIMATION』は『OG2.5』及び『OG外伝』の序盤へと正式に組み込まれた他、『スーパーロボット大戦OG ジ・インスペクター』で製作された設定が『第2次OG』以降のゲームに採用されている。

「ヒュッケバイン問題」とは

「ヒュッケバイン問題」とは、スーパーロボット大戦シリーズの代表的なオリジナルユニットであるヒュッケバインがゲーム以外の媒体に登場できない事、及びそれに伴ってメディアミックス上で混乱や違和感が発生する事を指す言葉である。
オリジナルジェネレーションシリーズのアニメ『スーパーロボット大戦OG ディバイン・ウォーズ』が放映された際、ユーザーは違和感に襲われた。
シリーズの顔であるヒュッケバインが全く登場しないのである。
ヒュッケバインは『第4次スーパーロボット大戦』で初登場した機体で、発表当時ガンダムシリーズのメカデザインで活躍していたカトキハジメによるデザインがなされた。V字アンテナに2つの目というガンダムと親しいデザインが特徴の1つだった。
バンプレストオリジナルユニットの中でも抜群の人気と知名度を誇り、その存在感はオリジナルジェネレーションシリーズのプラモデル化第1弾を飾った事が証明している。
ヒュッケバインは同アニメの原作となった『OG』でも活躍していたのだが、ヒュッケバインの代替機としてグルンガスト2号機が登場しストーリーの穴埋めをするという展開になるにいたり、ユーザーはスーパーロボット大戦シリーズ関係者のリークと思われる情報に注目することとなる。
曰く、ヒュッケバインはアニメに出られないのだという。
このリークは放映に先駆けること3ヶ月前の時点でアニメ第1話のオリジナル展開を言い当てており、アニメ放映によって真実味が増した形となった。
このリークではヒュッケバインが登場しない理由は「広告代理店の創通やガンダムシリーズを制作しているサンライズから、ガンダムとのデザインの近似性を指摘された」としている。先述のV字アンテナと2つの目の取り合わせが問題とされた。
ガンダムシリーズはスーパーロボット大戦の常連であり、その他サンライズが手がけるロボットアニメたちもシリーズで活躍している。ヒュッケバインに関する交渉はこの版権問題を盾にされ、成功しなかったというのである。
この過程の真偽は不明ながら、『ディバイン・ウォーズ』の放送中には他の媒体でも影響が発生し始める。
アニメと同時に展開される予定であった『OGs』のプロモーションビデオからはヒュッケバインが削除され、プラモデルの廃版が決定。これらの一連の事態に対し、公式からのコメントは不自然な形での言及のみにとどまり、『OGs』発売延期が重なったことから、ファンはゲームからもヒュッケバインが削除される可能性さえ感じていた。
これらヒュッケバインの存在に関するメディア展開の制約を、ユーザーは「ヒュッケバイン問題」と呼称した。

その後発売された『OGs』ではゲーム内にヒュッケバインが登場し、直前に掲載された関連漫画『スーパーロボット大戦OG -SECRET HANGAR-』にもヒュッケバインシリーズかつ外見が問題とされた特徴を持っているヒュッケバインMk.IIトロンベが登場、問題は収束したかに見えた。
しかし、これ以降ヒュッケバインのイラストが雑誌や書籍に掲載されることがなくなり、『OGs』の攻略本では攻略記事で他のユニットの設定画が多数使用される中、唯一ゲーム内の画像のみ掲載するという措置が取られる事となった。更に、『スーパーロボット大戦OG -SECRET HANGAR-』の単行本ではヒュッケバインMk.IIトロンベの登場するコマが差し替えられる事態が発生、ユーザーはにわかに問題が続いていることを察する。
2010年には新作アニメ『ジ・インスペクター』が放映された。今回はシリーズ構成の時点でヒュッケバインが登場しないように配慮がなされ、問題が継続していること、及び根深いことをユーザーに暗示する形となった。
他方、ゲームにおいては『OG外伝』で前作に引き続きヒュッケバインが登場、ヒュッケバインが登場する『第4次スーパーロボット大戦S』他スーパーロボット大戦シリーズのオンライン販売が開始されるなど、ヒュッケバインの登場は続いた。

この時点では「ゲームでは登場可能、それ以外の媒体ではNG」とユーザーに認識されていたが、『第2次OG』ではヒュッケバインと同種のデザインを持つ機体がすべて破壊されるという事態に発展し、ユーザーは阿鼻叫喚の声を上げることになった(破壊される経緯は「凶鳥を狩るもの」参照)。
結論としては、オリジナルジェネレーションシリーズのメディアミックスからはヒュッケバインが取り除かれ、ゲーム内でも新作にヒュッケバインは登場しないという措置が取られたことになる。
ゲーム上でもヒュッケバインを削除した理由については、メディアミックス上で使用できないヒュッケバインをゲーム中で使用し続けると、新たなメディアミックス展開を行うごとに『ジ・インスペクター』に見られたような手間や配慮が必要になるためという見方がファンの間では根強い。ゲーム上でもヒュッケバインを削除することで、メディアミックス上の制約を減らしたのだ。事実、ゲーム中でヒュッケバインが破壊されるシーンではその特徴的なV字アンテナと2つの目がはっきり確認できる演出となっていたため、ゲームからフェードアウトした時点ではゲーム内での登場に問題がなかったのは間違いない。
なお、ともすると存在自体がなかったことになりかねなかったヒュッケバインであるが、2017年には版権シリーズである『スーパーロボット大戦V』『スーパーロボット大戦X-Ω』に正式参戦。オリジナルジェネレーションシリーズ以外での復活は実現している。

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