特捜エクシードラフト(特撮テレビ)のネタバレ解説・考察まとめ
「多様化する犯罪から人々を守る為に、三つの魂が炎となって燃えた!これは明日の地球に愛と優しさを求めた、特別救急捜査隊の物語である!!」(OPナレーションより)
特捜エクシードラフトとは、1992年に放映された東映製作の特撮ヒーロー番組である。メタルヒーローシリーズ第11作目にして、1990年放映の特警ウインスペクターより始まった、レスキューポリスシリーズの3作目にして最終作である。
全長:4650mm
全幅:1970mm
全高:1650mm
最高速度:400km/h(パトロールスピード)、1200km/h(ハイパースピード)、2000km/hもしくは3000km/h(ウルトラハイスピード)
第25話より登場したレッダー専用のスーパーパトカー。通常走行モードの他に「ウルトラハイスピード」と呼ばれる緊急走行モードが存在している(ウルトラハイスピード時の最高速度は書籍によって記述にばらつきがある)。
「スーパースピード」と呼ばれる高速走行時は、赤いバリアフィールドに覆われ、空気抵抗などから車体を護る。また、バリアス7登場以降、レッダーの「実装」はバリアス7車内にて行われるようになる(ドラフトレッダー、シンクレッダーともに共通)。
下記の7種の機能が装備されており、通常形態の「パトロールモード」と、7つの装備を展開した「エマージェンシーモード」を状況に応じて使い分ける。
グレネードシューター(Aボタン・爆裂弾、ガス弾等の複数のカートリッジを打ち分ける)
ハイパーサーチライト(Bボタン・X線、赤外線などを照射する透視能力を持ち、明るさを最大にすれば有毒ガスも分解することも可能)
マルチアンカー(Cボタン・多目的マニピュレータ付属の牽引装置)
ブレイクレーザー(Dボタン・進路上の障害物破壊用レーザー砲)
アクセスレーダー(Eボタン・全周波数帯域を網羅する探査装置)
ハイドランドキャノン(Fボタン・消防車3台分の消化能力を有する、放水消火砲と化学消火砲)
ホバースピーダー(Gボタン・短距離飛行や水上移動を可能にする浮揚装備)
ベース車はシボレー・コルベット。
変形シーンはミニチュアをトラックの荷台に乗せて撮影しており、実車と違和感のない映像とすることが目指された。
名作回・犯罪者
特捜エクシードラフトでは、他のレスキューポリスシリーズ同様、基本的に毎回異なる犯罪者と対峙するスタイルが取られているが、第33話から最終回までは、大門巌が最大の黒幕としてエクシードラフトの前に立ちはだかった。本項では名作回と、大門巌を含む登場犯罪者を解説する。
第1話「死の幼稚園バス」
宇宙工学研究所から、開発中の電磁バリア発生装置が強奪された。現場に急行する耕作と拳、そして日本にやってきたばかりのエクシードラフト隊長、隼人。3人に追いつめられた強奪犯・氷室3兄妹は近くに居合わせた幼稚園バスを乗っ取り逃走する。電磁バリアを発生させた幼稚園バスは、パトカーを容易に弾き飛ばして暴走する。不敵に笑う3兄妹であったが、バリア発生装置の出力が異常上昇を開始し、制御不能に陥ってしまう。このままでは装置を緊急停止させてから1分後、装置はバスを巻き込み自爆してしまう。エクシードラフトは幼稚園バスの園児たちや先生を救出するため、バスを断崖から落としてバリアを破壊し装置を停止させ、爆発までの僅か1分の間に救出作戦を刊行する。遂に装置と共に爆発するバスであったが間一髪、バスの乗員全員の救出を成功させ、エクシードラフト最初の任務は無事完了する。彼らの熱い戦いの日々が幕を開けたのだった。
第1話という事もあり、アクション面に力が入っている印象が強い一編。特に、暴走する幼稚園バスと共に断崖から落下するレッダーのシーンが大変印象的であり、見ている方も手に汗握る。幼稚園バスに最後まで取り残された幼稚園の先生と犯人の一人・竹子であったが、二人とも無事救出される。きっちりと犯人も救出するあたり、犯罪者を含めた人の命を守るというエクシードラフトの理念を体現する名シーンといえよう。
氷室松男(演:早坂直家)/氷室梅男(演:佐藤信一)/氷室竹子(演:今井喜美子)
金のためなら人殺しも平気で行う悪徳産業ブローカーの3兄妹だが、竹子が最後まで車内に取り残された際に激しく動揺するなど、兄妹愛は強いようである。宇宙空間で隕石などから人工衛星を守る為に開発された電磁バリア発生装置を盗み出し、高値で売ろうとしていた。しかしバリア発生装置は、地球上で使用すると瞬く間に出力が異常上昇してしまう上、バリアを停止させてから1分後に自爆するという欠陥があった事から、幼稚園バスを奪っての逃走中にバリア出力の異常上昇が生じ、街中のあらゆるものを破壊する危険なバスと化してしまった。エクシードラフトはバスを断崖から落とし(転落のショックはバリアにより吸収され、乗員には影響なし)、バリアを破壊した後、バリア停止から装置の自爆までの1分の間に乗員の救助を試みる。松男、梅男はすぐに救助されるも、竹子が幼稚園の先生と共に取り残されてしまう。しかし、爆発寸前にレッダーにより救助される。シーンの描写こそないが、その後は3人揃ってしっかり逮捕されたものと思われる。
第9話「危険な家族ごっこ」
宝石強盗団の一員・長井清二が一味を裏切り、宝石を持ち逃げするという事件が発生する。逃走した長井は、両親が共働きである少年・小田切守を人質とし、彼の家に身を隠す。長井はこの後船に乗り、オーストラリアへ逃亡を図ろうというのだ。しかし、自分に冷たい両親を嫌悪していた守は、長井、小田切家のハウスキーパーロボット・キーパーと3人でオーストラリアへ逃亡しようと持ち掛ける。かつて妻と子供を事故で亡くしていた長井は、守に自分自身を重ねていた。長井、守、キーパーの間に生まれる「家族」にも似た奇妙な信頼関係。しかし3人の前に、裏切り者の長井を狙う宝石強盗団が襲い掛かる。エクシードラフトの活躍で宝石強盗団は逮捕されたが、エクシードラフトが現れた事で、もはやこれまでと判断し国外逃亡を諦めた長井は、「家族ごっこ」に終わりを告げ、一芝居打って守とその両親の絆を取り戻させようとする。そして長井はエクシードラフトに逮捕され、オーストラリアへ自分と「家族」を連れて行く筈だった船の出港を見るのであった。こうして、守少年の「家族ごっこ」は終わった。だが代わりに、「本当の家族」という名の船が、新たに船出しようとしていたのであった。
SF刑事ドラマであるエクシードラフトの中でも、とりわけ「刑事ドラマ」的な色合いが濃い一編。家族を失った男と、家族を見失った子供と、家族代わりのロボットの束の間の家族ごっこと、その逃亡劇が主軸に描かれており、悪人でありながら非情に徹しきれない、人間臭い男・長井を、名バイプレイヤー・遠藤憲一が見事に演じきった。仲良くなった守のため、自分の逃亡を諦め、最後に守と両親の絆を取り戻させようとする長井の姿が胸を打つ一方、事件の流れから長井の意図、心情を察するも、それでも「悪は許せず、逮捕しなくてはならない」と行動するエクシードラフトの葛藤が描かれている。レスキューポリスシリーズでも屈指の感動編といえる。
長井清二(演:遠藤憲一)
宝石強盗団の一員として活動していた男。かつては真っ当なサラリーマンであり、妻子をオーストラリア旅行へ連れて行く約束をしていたが、仕事にかまけて伸ばし伸ばしにしている内に、4年前、妻子を交通事故で失ってしまう。遺された長井は道を踏み外して犯罪に手を染めてしまうが、踏み外しながらも、かつての約束を果たすべく、妻子の遺骨を持ってオーストラリアへと向かおうとした。逃走の最中出会った小田切守に感化され、一度は守とキーパーもオーストラリアへ連れていく決心をするが、エクシードラフトの登場で逃亡もこれまでと判断し、最後は守と両親の絆を取り戻させるべく、わざと守を人質にとって脅しをかけ、キーパーに突き飛ばされた(これも長井の指示した演技である)隙に逮捕された。
悪人でありながら悪に染まりきれない、大変人間臭いキャラクターであった。
第11話「炎の超高速ロボ」/第12話「マッハのロボ戦線」
エクシードラフトの装備の製作を請け負っている中光機械株式会社の工場に爆破予告が届いた。現場に急行するエクシードラフトだが、爆発物が探知できない。しかし、突如として謎の突風が吹き荒れ、予告通り工場が爆発し吹き飛んでしまう。その犯人は、肉眼では見えないほどの超高速で機動するロボット・ポセイドンであった。ターボユニット-Wをつけたエクシードラフトをも振り切るポセイドン。ポセイドンに対抗するため、新装備・ガードラーを携えて再度挑戦するエクシードラフト。ポセイドンの開発者である野々村博士は、当初は平和利用のためポセイドンを造り出したが、助手の玉木は軍事利用するために博士を殺害する。そして博士の息子・和也をだましてポセイドンを暴れさせていたのだ。真実を知った和也はポセイドンの暴走を止めようとするが、玉木による改造を施されたポセイドンはコントロールを離れて暴走する。このままでは東京は壊滅してしまう。ガードラーを装備したエクシードラフトは、ポセイドンと東京を股にかけた超高速バトルを展開の末、ついに破壊に成功するのであった。
アクションシーンが多いエクシードラフトの中でも一際印象に残る一編。超高速ロボ・ポセイドンとの戦いでは超高速戦闘が様々な特撮を駆使して描かれており、現在のようにCGで処理されることが多いであろうシーンの描かれ方は、今見た方がかえって斬新で面白いかもしれない。第12話終盤でのポセイドンとエクシードラフトの戦闘シーンは、何気に東京の観光スポットを回っている所が面白い。
超高速ロボ・ポセイドン
ロボット工学の野々村博士が、中光機械株式会社で開発した海中作業専用ロボット。地上より抵抗の大きい水中で活動するため、水の抵抗を極限まで減少させるべくボディのフォルムや材質等が徹底的に研究、設計されている。そのため、水中より抵抗の小さい地上では肉眼ではつむじ風にしか見えないほどの超スピードで走行可能であり、最高速度はマッハ0.88をマークする。これはガードラー装備以前のエクシードラフトのターボユニットの速度を凌ぐものであり、当初はエクシードラフトを翻弄した。超スピードの走行と、左手に装備されたハンドカノンが武器である。
ポセイドンの操縦は、野々村博士の息子・和也の脳波でのみ可能であるため、博士の助手である玉木は和也をだまし、ポセイドンを悪用した。だが、玉木の改造によりポセイドンは和也のコントロールを離れて暴走してしまう。最後はガードラーを装備したエクシードラフトと互角の超高速戦闘の末、レッダーのエンブレードを受け破壊された。
第33話「完成!戦闘強化服(バトルジャケット)」/第34話「生命を売る契約書」
ある日、隼人は夢を見る。謎の空間で、不思議な雰囲気を持つ少女と出会う夢を。少女は、隼人に「地球が消滅するまでの日にち」を告げるのであった。
そんな中、隼人、耕作、拳が次々と謎の刺客に襲われる事件が発生する。エクシードラフトに迫る数多の暗殺ロボットと謎のスナイパー。遂に波状攻撃を受けトライジャケットが破壊され、エクシードラフトは破れてしまう。しかし、トライジャケットでは対処しきれない敵の出現を予期していた本部長は、この日のために新しい戦闘用装備の開発を進めていた。強化されたトライジャケットとバトルジャケットを纏い、再び戦場に舞い戻るエクシードラフト。謎のスナイパーの正体は、かつてオリンピック代表候補になったこともある国際的犯罪者・湯田均であった。エクシードラフト打倒のため、再度戦いを挑む湯田。だが、強化されたバトルジャケットと、必殺武器・サイクロンノバの前には敵わず、湯田は敗れ去った。しかし、隼人の夢の中に出た少女・美香がエクシードラフトの前に現れ、湯田を操った黒幕である「悪魔」の存在を示唆する。エクシードラフトの戦いは、かつてないスケールに突入していくのであった。
ヒーローモノ恒例のパワーアップ回で、終盤に向けての新展開の幕開けとなる前後回。ドラフトレッダーはバトルジャケットを纏ってシンクレッダーにパワーアップし、見た目も大幅にヒロイックになった。前後回ではそんなシンクレッダーをはじめとした、パワーアップしたエクシードラフトの迫力あるバトルを堪能できる。
湯田均(演:高品剛)
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目次 - Contents
- 『特捜エクシードラフト』の概要
- 『特捜エクシードラフト』の登場人物・キャラクター
- 特捜エクシードラフト
- 叶隼人/ドラフトレッダー → シンクレッダー(演:影丸茂樹)
- 村岡耕作/ドラフトブルース(演:河井マモル)
- 大熊拳/ドラフトキース(演:榊原伊織)
- 日向愛(演:中村由利)
- 桂木重吉本部長(演:福田豊土)
- 一色哲夫警視監(演:溝口舜亮)
- エクシードラフトの関係者
- 日向勝(演:韮沢雄希)
- デビット秋葉(演:嵯峨周平)
- 美香/天使ミカエル(演:森安加代子)
- 正木俊介警視監(演:宮内洋)
- 装備・メカニック
- トライジャケット
- バトルジャケット
- 強化トライジャケット
- EDRT-001 リボルバックG-3/EDRT-002 トライシャフト
- EDRT-003 アクセスロック-S
- EDRT-004 ハイドランダー
- EDRT-005 ターボユニット-W
- EDRT-006 ガードラー
- EDRT-007 エンブレード
- EDRT-008 ビルドライバー
- EDRT-00X ヘビーサイクロン
- スーパーマシン
- SRED-01 スクラムヘッド
- SRED-02 バリアス7(セブン)
- 名作回・犯罪者
- 第1話「死の幼稚園バス」
- 氷室松男(演:早坂直家)/氷室梅男(演:佐藤信一)/氷室竹子(演:今井喜美子)
- 第9話「危険な家族ごっこ」
- 長井清二(演:遠藤憲一)
- 第11話「炎の超高速ロボ」/第12話「マッハのロボ戦線」
- 超高速ロボ・ポセイドン
- 第33話「完成!戦闘強化服(バトルジャケット)」/第34話「生命を売る契約書」
- 湯田均(演:高品剛)
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- 大門巌(演:阿部祐二)
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