人の世は愛でできている
「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」は、2013年公開のリチャード・カーティス監督によるイギリスのロマンティック・コメディドラマです。SF的な要素も含まれていてユニークでありながら、今この瞬間を大切に生きることこそが大事であるというメッセージ性を含んだ作品です。
ストーリーは、21歳の誕生日を迎えたティムが家族の男性に代々受け継がれる「タイムトラベル能力」を父親から知らされ、その力を使って人生を変えようと奮闘するというもの。
ロンドンに移り住んだティムは、メアリーと出会い恋に落ちます。タイムトラベルを使って物事を理想的に運ぼうとしますが、だんだんとタイムトラベルは万能でないことに気付き、現実の中で愛や家族の重要性を理解していきます。
タイムトラベル能力が描かれているため、一見、SF要素の強いストーリー展開を予測しがちです。しかし、父親との関係もとても重要な要素として扱われているなど、恋人との関係性だけでなく、家族との絆の大切さも深く描かれています。日常に潜む愛や幸福の意味を再発見させ、観る人に自分の生活の中にある「愛おしい時間」に気づかせてくれる作品です。
ラストはとても温かい気持ちになれました。
リチャード・カーティス監督にとってはこれが最後の監督作であり、彼の映画制作の集大成がここに全て注ぎ込まれているとも言える作品です。2024年には日本公開10周年を記念してリバイバル上映が行われ、多くの観客に再び感動を与えました。