賭博破戒録カイジ(福本伸行)のネタバレ解説・考察まとめ
2001年~2004年に「週刊ヤングマガジン」で連載された福本伸行によるギャンブル漫画、及びそれを原作とするアニメ、映画のこと。自堕落でどうしようもない毎日を送るカイジが、保証人としてかつてのバイト仲間の借金を返済するためギャンブルの世界へ身を投じていく様を描いた前作「賭博黙示録カイジ」の続編として、再びカイジが勝負の世界で奮闘する様子が描かれる。
騒動以降ぱったりと顔を見せなくなったことでその存在すら忘れられていたが、外出期間最終日、満を持してカイジは再び「沼」の前に現れる。「沼」の防衛システムに絶対の自信を持つ一条はカイジの思惑を訝しがりながらもカイジの挑戦を受け入れる。
開始早々第一の関門の釘の森を易々と潜り抜け、いきなりクルーンへと玉を送り込むカイジ。一条は小玉へのすり替えを疑うが、シロ。カイジは「沼」本体への細工は見切り、釘の幅を設定するためのゲージ玉を店長室の真上に位置する階上の部屋から少しずつ大きなものにすり替えていたのだった。警戒感を強めた一条は、ギャラリーに不信感を植え付けないためなるべくランダムに設定していた第二の関門のゲートをリモコン操作で完全にブロックする仕様に変更。一発たりともゲートを通さなくなる。安堵するのも束の間、再び玉はゲートを通過し始める。坂崎がなけなしの600万円を失い台を破壊した際に、修理業者に依頼して一定時間の作動後に機能不全に至るよう細工をしていたことが明かされる。第三の関門は三段クルーン。当たり穴に入りそうで入らないからくりは一見しただけでは分からない傾斜にあった。設定された傾斜ではクルーンの形状からして穴に入り込むのは不可能と見たカイジは、もと土建屋の坂崎の力を借り地盤のゆるい地勢を利用し、空き部屋に20トンもの重さの水をビニールの水槽にためることで裏カジノのビルをフロアごと傾けていた。そのことに気付いた一条はクルーンを限界まで傾けるが、傾けすぎた結果クルーンのハズレ玉排出口に玉が詰まってしまい、ハズレ穴が意味を成さなくなってしまう。ここでカイジ、金が尽きるも遠藤から追加資金を借りつけ勝負を続行。3段目クルーンには玉が溢れ、フィーバーも時間の問題と思われたその時、一条が最後の秘策を繰り出す。3段目の当たり穴の周りを囲うエアシューターが作り出す風の壁により3段目クルーンに溢れる玉はただ穴の周りをうろうろと彷徨い続ける。そして最後のパッキーを消費し万策尽きたかに思われたその時、姿を消していた坂崎が再び警備先の会社から金庫を破って手に入れた2000万円を持って現れる。追加の玉でぎっしりと埋め尽くされた3段目クルーン、最後の一玉の圧力で風の壁は決壊する。ついにカイジはジャックポットをこじ開け7億2910万円を手に入れる。
結末
勝ち分を山分けし祝杯をあげるカイジ、坂崎、遠藤だったが、遠藤が用意した睡眠薬により坂崎とカイジは昏倒してしまう。目を覚ましたときには遠藤の姿はなく、カイジの金がごっそりと減っていた。残された書置きによると、最後の最後に追加した資金の1000万円の利息分を回収したとのこと。これによりカイジの収入は6000万円余りに激減してしまう。そしてさらに仲間たちの救出のために支払った金により、収入はほぼゼロに。ともあれカイジは地上へと解放された仲間たちと再会を喜び合うのだった。
『賭博破戒録カイジ』の用語
地下チンチロリン
地下労働施設での事情を加味した特別ルールを付け足したチンチロリン。大槻がその場を仕切っていた。
1人が親でそれ以外が子方となり、丼の中に3つのサイコロを同時に振り、3つとも目が異なれば目無し、二つの目が重なった場合の余った目の大きさを競うゲーム。また、特殊役として倍払いの「一二三」、倍付けの「四五六」、3倍付けの「一」以外のぞろ目、5倍付けの「一」のぞろ目がある。
地下オリジナルルールとして、親の総取り、総払いなし、親番スルー可、受けた場合は1回目に親が「一」の目、目なし、「一二三」、ションベン(椀からサイコロが出てしまうこと)を出さない限りは2度までは親を続けないといけないこと、どれだけ勝っても親番は連続2回までそして賭け金の上限は2万ペリカといったローカルルールを加えたもの。このローカルルールを大槻は「大きな勝ちも負けもなくして、金のない地下でゆるゆるだらだら勝負を楽しむため」と説明している。
沼
一条が店長を務める帝愛グループの裏カジノに置かれた1玉4,000円のパチンコ台。
ジャックポットとなればその時点でストックされている玉すべてを獲得できる仕様となっている。認識されている関門は三つ。第一関門は無数に並ぶ釘の森、第二関門は電動チューリップ上部に配置された、ランダムな動きで開閉するゲート。実はこのゲートはリモコン操作でランダム開閉からセンサーにより全ての玉をはじく仕様に変更することができる。そして最後の関門は3段クルーン。1段目のクルーンには3つ、2段目には4つ、3段目には5つの穴が空いており、当たり穴はそれぞれ一つだけ、その全てを通過すればジャックポットとなる。最後の3段目クルーンの当たり穴の周りにはリモコンにより作動できるエアシューターが設置されており、入ろうとする玉をよけるための風の壁を作り出すことができる。このシステムは勝負再終盤まで明かされることはなかった。
主な登場人物・キャラクター
伊藤 カイジ(いとう かいじ)
CV:萩原聖人
前作「賭博黙示録カイジ」からの登場人物。本作の主人公。自堕落でどうしようもない毎日を送っていたが、かつてのバイト仲間の借金を保証人として肩代わりさせられたことをきっかけにギャンブルの世界に足を踏み入れることになった。平時においては自堕落な社会不適合者だが、命が懸かった極限の状態に置かれると優れた洞察力、思考力、閃きを発揮するなど、落差が激しい。
遠藤 勇次(えんどう ゆうじ)
CV:内田直哉
前作「賭博黙示録カイジ」からの登場人物。帝愛グループ傘下の「遠藤金融」を営むヤクザ。カイジがギャンブルの世界に足を踏み入れるきっかけとなった。前作「賭博黙示録カイジ」でカイジが帝愛グループナンバー2の利根川を倒したことにより、その配下にいたことであおりを受け負債を抱えるまでになってしまった。「沼」攻略の際にはカイジと手を組むが、実は勝負途中からカイジに提供した資金に法外な金利を押し付ける算段を立てており、勝利後計画通りカイジの金を回収し姿を消す。
兵藤 和尊(ひょうどう かずたか)
CV:津嘉山正種
前作「賭博黙示録カイジ」からの登場人物。帝愛グループの総帥。性格は残虐非道かつ冷酷なサディストで、金の亡者。前作でカイジとの勝負に完勝し、カイジが地下労働を強いられるきっかけとなった。本作では勝負に参加することはないが、モニターでカイジの勝負の様子を鑑賞するなどカイジへの関心が高い。
黒崎 義裕(くろさき よしひろ)
CV:堀内賢雄
帝愛グループの最高幹部の一人。カイジに敗れたことで利根川が失脚した後は帝愛グループナンバー2の地位を不動のものにする。外出期間最終日のカイジの挑戦を安易に受け入れた一条を叱咤するなど、カイジの勝負師としての力量を評価している。
大槻(おおつき)
CV:チョー
地下労働送りとなったカイジが配属されたE班の班長。一日外出券を得るべく節制しようとするカイジを巧みに誘惑し堕落、浪費させるなど人心掌握に長けている。本来は博打禁止の地下において上層部と掛け合い、オリジナルルールのチンチロリン「地下チンチロリン」を開帳、イカサマの四五六サイを使って荒稼ぎしていた。しかしカイジにそのイカサマを見抜かれ敗れたことで、今まで貯蓄していたほぼ全てのペリカを失ってしまう。
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目次 - Contents
- 『賭博破戒録カイジ』の概要
- 『賭博破戒録カイジ』のあらすじ・ストーリー
- 前作「賭博黙示録カイジ」まで
- 第三章 欲望の沼
- 地下へ
- チンチロ博打
- 45組
- リベンジ戦①
- リベンジ戦②
- 「沼」
- 坂崎の敗北
- 下準備
- 「沼」攻略
- 結末
- 『賭博破戒録カイジ』の用語
- 地下チンチロリン
- 沼
- 主な登場人物・キャラクター
- 伊藤 カイジ(いとう かいじ)
- 遠藤 勇次(えんどう ゆうじ)
- 兵藤 和尊(ひょうどう かずたか)
- 黒崎 義裕(くろさき よしひろ)
- 大槻(おおつき)
- 三好 智広(みよし ともひろ)
- 坂崎 孝太郎(さかざき こうたろう)
- 一条 聖也(いちじょう せいや)
- 『賭博破戒録カイジ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「今日をがんばり始めた者にのみ…明日が来るんだよ…!」
- 「ひりつかなきゃダメっ…!」
- 「ある意味桃源郷…!」
- 「ガタガタ御託を言ってる時かっ…! 勝てば…正しくなるんだ…!」