コンセント(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

田口ランディ原作の小説が中原俊監督によって映画化、2002年に公開された。ねじれた家族愛と男女の関係、愛とはいったいなんなのか、男と女のサガについて、霊的なものと精神的なものの両方の面から描く。兄の失踪から「死の臭い」を嗅ぎ分けるようになった主人公がめくるめく変身を遂げて、男を癒すシャーマンになる話で、自らの感応力について考えさせられる作品。

『コンセント』のあらすじ・ストーリー

主人公の朝倉ユキは金融・株式関係のフリーライター。
男と寝ていた夜に、突然家族から「兄が死んだ」と電話がくる。
兄は何年も引きこもりの生活をしていて、漁師の父と衝突することが多かった。母親は泣いて自分を責めてばかりで、ユキは兄を引き取り二人で生活をしていたが、突然その兄が失踪していたのだった。
失踪した兄はアパートを借り、そこで餓死していた。
特殊清掃の作業員は「お兄さんは大家さん思いだ、タイルの上で死んでいたからこの部屋はまた貸し出せるようになる」という。
清掃に立ち会っていたユキは、そこでコンセントが差しっぱなしの掃除機をみつける。
餓死という「生きることを自らやめた」兄が、なぜ掃除をしようとしたのか不思議に思っていると、清掃員の男はそのコンセントプラグを遺品として渡してくれた。
その日を境にユキは「死の臭い」を嗅ぎ取るようになり、親しい人間の病気を嗅ぎ当ててしまう。
生前兄が観ていたビデオに出てきた「コンセントに繋がっている時だけ動くことができる少年」のビデオを探すユキに、大学の同じゼミだった律子が話しかけてくる。
律子はユキにゼミで行われたディスカッションの最中に発狂してしまった友人を、完璧な「相手に同調する力」で落ち着かせたユキに当時から興味を持っていた。
シャーマンとしての才能をそこに見つけ、霊能力者や精神科医を紹介したりといろいろと良くしてくれるが、実は紹介した精神科医の山岸は律子の夫だった。
「私があなたとセックスしたいけどできないからこの人にしてもらった」と律子が言い、ユキは呆然とする。
山岸曰く、律子は過去にも似たようなことをして友人をひとり自殺に追い込んでいるという。
精神分野とシャーマン的な分野の狭間で変貌していく自分と、律子から告げられた真実に耐えきれず、ユキはついに発狂する。
そしてその「発狂」という嵐から目覚めた後、彼女は「性」を使って男を癒すシャーマンになっていた。

主な登場人物・キャラクター

朝倉ユキ

市川実和子演じる主人公。
ねじれた家庭で育ち、心理学の分野に進みつつも仕事は金融・株式関係のフリーライターをしている。
男とすぐに寝てしまう癖があり、人に愛されることに慣れていない。
兄とは擬似的な恋人関係を演じることで、自信をつけさせて仕事ができるように成長させようとしていた。
国貞の勧めで彼のカウンセリングを受けることになり、夢日記をつける。
兄の死亡後、部屋にできたウジのわいた血だまりを見てから、街中や知人に「死の臭い」を嗅ぎ取るようになる。

朝倉貴之

木下ほうか演じるユキの兄。
仕事をしても続かず父と衝突を繰り返し、見兼ねたユキが一緒に暮らし始めた。
物語の冒頭で死亡が知らされるが、その後もユキの周りに亡霊、面影、死の象徴として現れる。
以前ユキと「世界残酷物語」というビデオを見ながら、「コンセントが刺さっている時だけ生きている少年」について語り合ったことがある。
物語の終盤で、母が父から逃げるために一家心中を企て、幼い兄妹を連れ踏切に向かうシーンがある。
そこで彼は「死にたくない」「家に帰る」というユキにかわり、“自分が死ぬから大丈夫だ”という笑顔を見せる。

特殊清掃員

斎藤歩が演じている。
兄の死に疑問を抱き、「なぜ兄は飢えて死ぬという時に掃除をしようとしたのか」という質問に、その掃除機のプラグを切り取って遺品としてユキに渡してくれる。
死んだ人がメッセージを残すという話は本当か、という質問には、「私はあると思いますね」と答える。
物語の重要な部分で登場し、ユキが発狂する寸前にみかけた人物であり、シャーマンになった後車で踏切まで連れて行ってくれた人物でもある。

木村

本村淳演じるフリーカメラマン。
ユキと初めて寝た夜、ユキの元に兄の訃報が届いた。
ユキとは仕事でよく組んでいたが、一緒に寝るようになってからユキの「男を癒す能力」と霊感のようなものに驚かされる。
兄の亡霊に怯えるユキを支え、プロポーズをしたが断られる。
さらにユキから死の臭いをかぎとられ、ガンだということが発覚して入院、手術をすることになる。

国貞

芥正彦演じる、ユキの学生時代の先生。
当時は性的な関係をユキと持っていたが、最後まではしなかった。
ユキの兄が死亡してから、ユキのカウンセリングを行っている。
カウンセリング内容は基本的に夢診断で、ユキがノートに書いた夢の内容を分析することになる。
ユキがシャーマンとして目覚めた後、一番最初に「癒す」対象として選ばれた男性。

本田律子

つみきみほ演じるユキの学生時代の知人。
心理学を学んだ後、宗教学に興味を持ち大学生をやり直している。
分野はシャーマンやイタコなど。
ユキにレンタルビデオ屋で再会した後急速に近づき、親友となる。
「国貞にはあなたのことはわからない」とユキに言い、自分の分野であるシャーマニズムに触れさせる。
本当はユキにずっと興味があり、「ユキとセックスしてみたい」と思っていたが、性的にヘテロである二人には不可能だと思い、山岸にかわりにユキを抱かせる。

山岸

小市慢太郎演じる精神科医。
学生の時から「朝倉ユキをいつか抱いてやる」と豪語していた。
患者に「コンセント」を抜く人間がいる話をする。ユキが見たという「コンセントをさしている時だけ生きている少年」とその患者を比較し、「お前の兄はたまにコンセントを抜いていなかったか」とユキに問いかける。
ユキと寝るとその後涙をにじませて、「お前とセックスするといろんなことを思い出す」と言う。

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